映画『ローマに消えた男』の概要:精神を病んでいた哲学教授が、瓜二つの双子の兄の替え玉となり、政治家として大活躍するというコミカルなヒューマンドラマ。保守的な政治家と奔放な哲学者という対照的な2人の男を、トニ・セルヴィッロが一人二役で見事に演じ分けており、彼の魅力を堪能できる。
映画『ローマに消えた男』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
監督:ロベルト・アンドー
キャスト:トニ・セルヴィッロ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ミケーラ・チェスコン etc
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映画『ローマに消えた男』の登場人物(キャスト)
- エンリコ・オリヴェーリ / ジョヴァンニ・エルナーニ(トニ・セルヴィッロ)
- エンリコとジョヴァンニは瓜二つの双子の兄弟。兄のエンリコはイタリアの最大野党の書記長をしているが、最近は落ち目で党の支持率も低迷している。弟のジョヴァンニは哲学の教授だったが、精神を病んで、長いこと病院に入院していた。兄弟は25年前から会っておらず、現在は50歳になっている。
- アンドレア(ヴァレリオ・マスタンドレア)
- エンリコの側近。国政選挙を前にエンリコが失踪してしまい、瓜二つのジョヴァンニに彼の替え玉を頼む。真面目な性格で、自分の任務を忠実にこなす。カリスマ性のあるジョヴァンニに心酔していく。
- ダニエル(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)
- エンリコの25年前の恋人。映画監督をしている夫のムングと娘のエリーヌとパリで暮らしている。自分を頼ってきたエンリコを自宅に泊めてやり、仕事現場にも同行させる。映画のスプリクターをしている。ジョヴァンニのことも愛していたらしい。
- アンナ・オリヴェーリ(ミケーラ・チェスロン)
- エンリコの妻。エンリコの替え玉となったジョヴァンニのこともすんなり受け入れ、彼の魅力に惹かれていく。
映画『ローマに消えた男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ローマに消えた男』のあらすじ【起】
イタリアの最大野党の書記長であるエンリコ・オリヴェーリは、全国党大会の舞台に立つのが憂鬱だった。最新の世論調査によると、党の支持率は低迷しており、エンリコの評判もすこぶる悪い。側近のアンドレアに促され、暗い表情で壇上に出たエンリコは、客席にいた中年女性に激しく罵られる。女性は「あんたが党をダメにした」と大声で叫んでいた。
車に乗ったエンリコは、明日の欧州左翼会議のための演説用の原稿をアンドレアから受け取る。エンリコはアンドレアに「じゃあ元気で」と意味深なことを言って、自宅へ帰る。
アンドレアは、相談役の老人を尋ねる。国政選挙が間近に迫っており、アンドレアも追い詰められていた。老人はエンリコに党を任せたことが過ちだったと指摘し、彼のせいで我々は消え失せることになると予言する。そしてその夜、エンリコは闇に紛れて姿を消す。
翌日、重要な欧州左翼会議の席にエンリコが現れず、アンドレアは焦る。しかしエンリコの居場所はつかめず、やむなく「エンリコは体調不良で欠席」ということにしておく。党首が大事な会議を欠席するというのは、憂慮すべき事態だった。
エンリコは「戦いの前に1人の時間が欲しい、あとはアンドレアが何とかしてくれる」という書き置きを残し、行方不明になっていた。妻のアンナにも行く先に心当たりはなく、アンドレアは途方にくれる。
その頃、エンリコはパリにいた。パリにはエンリコの昔の恋人だったダニエルが暮らしており、彼は彼女の自宅に身を寄せていた。ダニエルには、映画監督をしているムングという夫とエリーヌという娘がいたが、彼女は黙ってエンリコを置いてやる。
映画『ローマに消えた男』のあらすじ【承】
アンドレアは、党の幹部にもエンリコは入院していると嘘をつく。党では緊急会議が開かれ、マスコミへの対応策などが練られる。アンドレアは大統領にまで呼ばれ、エンリコの病気について聞かれる。大統領とエンリコは協力関係にあり、エンリコの病状を心配していた。マスコミは、エンリコが病気だというニュースを大々的に報じる。
アンナは、エンリコには長らく会っていない双子の兄弟がいることをアンドレアに伝える。ジョヴァンニ・エルナーニというエンリコの双子の弟は、哲学の教授をしていたが、精神を病んで長らく病院に入院していたらしい。アンドレアは、最近退院したというジョヴァンニのアパートを訪ねる。
ジョヴァンニはエンリコに瓜二つだった。アンドレアはとにかく話を聞いてもらおうと、ジョヴァンニを食事に誘う。レストランでの食事中、アンドレアは電話をするため席を外す。その隙に、新聞記者がジョヴァンニに近づき、エンリコと思い込んで取材を申し込む。ジョヴァンニはエンリコになりすまし、快く取材に応じる。ジョヴァンニの魅力的な話を聞き、記者は「まるで別人のようだ」と驚く。これにはアンドレアも驚かされる。
ジョヴァンニの話によると、彼とエンリコは若い頃よく入れ替わっていたらしい。アンドレアはアンナの同意を得て、ジョヴァンニにエンリコの替え玉を依頼する。これは危険な賭けだったが、アンドレアはジョヴァンニに不思議な魅力を感じていた。エンリコのスーツを着てメガネをかけると、ジョヴァンニは誰が見てもエンリコそのものだった。
翌日の新聞に昨日のインタビュー記事が掲載され、ジョヴァンニは記者会見を行うことになる。アンドレアは、彼が質問攻めになることを予想し、原稿を渡す。しかしジョヴァンニはそれを破き、壇上に立つ。そして、どんな質問にもウィットに富んだ答えを返し、さらには見事な演説までやってのけ、記者たちから拍手喝采を浴びる。マスコミは彼を絶賛し、党の支持率もぐんぐん上昇していく。
映画『ローマに消えた男』のあらすじ【転】
一方、パリのエンリコはダニエルの家で静かな時間を過ごし、少しずつ元気を取り戻していた。ダニエルは映画のスプリクターの仕事をしており、ロケのため出張へ出る。エンリコはエリーヌとともに彼女の出張に同行し、郊外の別荘に滞在する。
エンリコとダニエルは25年前にカンヌで知り合い、恋に落ちた。エリーヌは母親の昔の恋人に興味津々で、ダニエルが持っていた若い頃の2人の写真をエンリコに見せる。ムングは、今でもエンリコが妻を愛しているのだろうと思っていたが、それを咎めたりはしない。エンリコは、ムングの映画のファンでもあった。
エンリコはロケ現場にもついていくが、関係者以外は立ち入り禁止だと追い出されてしまう。仕方がないので街をぶらついていた時、エンリコはジョヴァンニの記事が掲載された新聞を目にし、弟が自分の替え玉になっていることを知る。エンリコが自宅へ電話するとジョヴァンニが出て、「君か?」と聞いてくる。しかしエンリコは無言で電話を切り、自分を呼びにきた女性スタッフとロケ現場に戻る。
エリーヌはすっかりエンリコに懐き、スキー合宿に行く時も、エンリコに車で送ってもらう。エンリコは、倒れたスタッフの代わりに小道具の仕事を手伝い、若い女性スタッフと肉体関係を持つ。ダニエルも生気を取り戻したエンリコに惹かれていく。
ジョヴァンニの方も順調だった。ジョヴァンニは、党の幹部もマスコミも、さらには大統領まで驚かす活躍ぶりで、みんなの心を掴んでいく。ジョヴァンニは人気者となり、党の支持率は面白いほどアップしていく。アンドレアもすっかりジョヴァンニに心酔し、このままエンリコが戻ってこなければいいと思い始める。しかしアンドレアは、そんなことを考える自分が恐ろしくなる。
国政選挙を目前に控え、大規模な党大会が開かれる。広大な広場には多くの群衆が集まり、エンリコとなったジョヴァンニの演説に聞き入る。この様子はテレビで生中継され、国中がその様子を見守っていた。ジョヴァンニはここでも迫真の名演説を披露し、熱狂的に支持される。党の幹部は選挙での勝利を確信し、ジョヴァンニを讃える。
エンリコとライバル関係にある政治家は、彼のドーピングを疑っていた。ジョヴァンニは精神科から処方された薬を服用していたが、「ドーピング検査をしてみればいい」と強気に出る。
映画『ローマに消えた男』の結末・ラスト(ネタバレ)
新聞の報道で、ジョヴァンニの人気ぶりを知ったエンリコは、彼に電話で礼を言う。アンナと海辺の別荘に来ていたジョヴァンニは、無言でエンリコからの電話を切る。ジョヴァンニはアンナを散歩に誘い、砂浜でキスをする。そしてジョヴァンニは、アンナからエンリコが持っていたという写真を見せられた直後、忽然と姿を消してしまう。その写真には、ジョヴァンニとダニエルとエンリコの3人が並んで写っていた。
エンリコはダニエルの車にジョヴァンニの新聞記事を残し、撮影現場から姿を消す。ダニエルは急いで別荘に帰り、また自分を巻き込むのかとエンリコを責める。どうやら25年前、ジョヴァンニとエンリコはダニエルをめぐって三角関係になり、ジョヴァンニは自著を残して彼女の前から姿を消したらしい。エンリコは、ダニエルがジョヴァンニを愛しているのだと思っていた。しかしダニエルは「あなたの右目と彼の左目を愛したのよ」と言って、エンリコとキスをする。
アンナからジョヴァンニがいなくなったという連絡が入り、アンドレアは必死で彼の行方を捜す。しかしジョヴァンニは、病院にもアパートにも帰っていなかった。アンドレアは疲れ果て、車の中で眠ってしまう。その夜、エンリコもダニエルに手紙を残し、姿を消す。
翌日の早朝、党の本部ビルへ戻ったアンドレアは、ピアノの音を聞く。それは書記長室から聞こえてきた。ドアを開けると、そこにはジョヴァンニがいた。しかし、どうも昨日までのジョヴァンニと様子が違う。アンドレアは、彼がジョヴァンニなのかエンリコなのかわからぬまま、「今度は勝てます」と声をかける。すると彼は「君は狂人に賭けたのだ、正念場はこれからだ」と厳しい顔をする。その直後、彼は鼻歌を口ずさみ始める。それは以前ジョヴァンニが口ずさんでいた鼻歌だった。アンドレアはドアを閉め、隙間から中を覗き込む。すると彼はこちらを見て、愉快そうにニンマリと笑うのだった。
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