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映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』の概要:密室で女性が殺害され、不倫相手の青年実業家が容疑者として起訴される。弁護を依頼された女性弁護士は、法廷で勝つためだと言って、青年実業家と事件を再検証していくのだが…。先の読めない展開が続く、スペイン発の秀悦なミステリー。

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』の作品情報

インビジブル・ゲスト 悪魔の証明

製作年:2016年
上映時間:106分
ジャンル:サスペンス、ミステリー
監督:オリオル・パウロ
キャスト:マリオ・カサス、アナ・ワヘネル、ホセ・コロナド、バルバラ・レニー etc

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』の登場人物(キャスト)

ドリア(マリオ・カサス)
スペインの青年実業家。妻と幼い娘がいる。不倫相手だったローラが殺害され、その現場にいたため、事件の容疑者にされる。無実を訴え、顧問弁護士を通じて、刑事事件専門の有能な弁護士であるグッドマンを雇う。
ローラ(バルバラ・レニエ)
ドリアの不倫相手の写真家。夫はエリート銀行マン。ドリアと一緒にいる時に交通事故を起こし、事故の隠蔽工作をする。ドリアと密会していたホテルの一室で、何者かによって殺害される。
グッドマン(アナ・ワグナー)
法廷では負けなしのキャリアを持つ敏腕弁護士。白髪のシャキッとした老婦人で、非常に頭がキレる。法廷で勝つためだとドリアを説得し、彼が隠していた事件の真相を聞き出す。
トマス(ホセ・コロナド)
スペイン北部のビエルへという田舎町で、妻と銀行員のダニエルという息子と3人で暮らしている。車が故障して困っていたローラを助ける。ダニエルは高齢になってできたひとり息子。妻は劇団の元女優で、現在は峡谷のホテルで働いている。

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のあらすじ【起】

スペイン北部、ビエルへの峡谷にあるホテルで、写真家のローラが殺害される。ローラは、室内にあった調度品で頭部を殴打されており、彼女の死体の周囲には、10万ユーロの札束が散らばっていた。ドアには鍵とドアチェーンがかけられ、窓も内側からは開かない仕組みになっていた。つまりローラが殺された部屋は、完全な密室状態になっていたのだ。その密室の中にいたのが、彼女の不倫相手のドリアだった。

異変に気付いたホテルの従業員から通報を受け、警察が部屋に突入した時、室内にいたドリアが容疑者として起訴される。しかしドリアは容疑を否認していた。ドリアとローラは何者かに呼び出され、10万ユーロを持って現場のホテルを訪れていた。部屋に入ってからこれが罠だと気付き、帰ろうとした時に後方から何者かに襲われ、ドリアは気を失う。そして目覚めた時には、ローラが殺されており、その直後に警察が突入してきた。しかし部屋に他の人間が出入りした形跡はなく、現場の状況証拠は、圧倒的にドリアにとって不利だった。

ドリアは欧州の最優秀起業家にも選ばれた青年実業家で、妻と幼い娘がいた。ローラの方も写真家として成功しており、銀行マンの夫がいた。事件後、ドリアは妻から離婚され、ビジネスの面でもピンチを迎えていた。ドリアの顧問弁護士は、敏腕弁護士のグッドマン女史にドリアの弁護を依頼し、起死回生を図ろうとしていた。グッドマンは、自分のキャリアの集大成として、この難しい裁判の弁護を引き受ける。そのグッドマンが、突然ドリアのマンションを訪ねてくる。

グッドマンは、検察が新たな証人を用意したので、今夜ドリアが法廷に呼ばれるという情報を掴んでいた。審議が始まるまでの3時間で話を詰めないと、ドリアが緊急逮捕される可能性もあるという。ドリアは「真実は全て話した」と言い張るが、やり手のグッドマンは、彼に隠し事があることを見抜いていた。グッドマンは「救済には苦痛が伴う、思いあがるな」と言って、ビエルヘで行方不明となっているダニエルという青年の新聞記事を突きつける。ドリアは観念し、隠していた事実を話し始める。

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映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のあらすじ【承】

事件の3ヶ月前。ドリアはパリへの出張だと偽り、ビエルへの別荘でローラと会っていた。しかし、ドリアは妻を欺くことに疲れ、帰りの車中でローラに別れ話を切り出す。その時、飛び出してきた鹿を避けようとして、対向車と衝突事故を起こす。幸い2人は無事だったが、対向車の運転手は、頭から血を流して死んでいた。ドリアはすぐに通報しようとするが、ローラがそれを止める。「通報したら全てを失う」と言われ、ドリアも逃げることにする。

しかし車のエンジンがかからず、後続車が来てしまう。ローラはダニエルの遺体を隠し、自分とドリアの車が事故を起こしたように偽装する。後続車の運転手をごまかすことはできたが、2人は顔を見られてしまったので、ダニエルの遺体を処分するしかなくなる。

遺体の処分はドリアが引き受け、ローラは助けを呼ぶことにする。ドリアは遺体をトランクに隠し、ダニエルの車を運転して、遺棄する場所を探す。そして、峡谷の中の湖に、車ごとダニエルの遺体を沈める。

一方、レッカー車を待っていたローラは、この近くに住むトマスという男性に声をかけられる。トマスは元整備士だからと、車の修理を引き受けてくれる。ローラはそちらの方が早いと考え、故障車を牽引してもらい、彼の自宅へ向かう。

彼の妻もとても親切な女性で、ローラのことを心配してくれる。夫婦は定年退職後、自然豊かなこの地に移住し、息子のダニエルと3人で暮らしていた。ローラはダニエルの写真を見せてもらい、心臓が止まりそうになる。ダニエルは、先ほど死亡した運転手だった。

ダニエルと会う約束をしていた友人から、彼が来ないという連絡が入る。妻が息子の携帯に電話すると、すぐ近くで着信音が鳴る。ローラが、車内にあったダニエルの携帯を持っていたのだ。ローラは急いでそれをソファーの下に隠し、逃げるようにして夫婦の家を出る。

合流したドリアとローラは、痕跡が残らないよう車を処分し、2度と会わない約束で別れる。ドリアは「パリで車を盗まれた」と嘘の盗難届を提出し、今まで通りの生活に戻る。ダニエルの失踪はテレビでも報道されていた。警察は、ダニエルが車の事故にあったと見て、捜査を始めていた。

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のあらすじ【転】

トマスは、ローラの車のナンバーを記憶しており、そこからドリアに捜査の手が伸びる。ローラは偽名を名乗っていたため、彼女の正体は不明のままだった。ドリアは、警察にローラの似顔絵を見せられ、彼女について聞かれる。しかし、女に心当たりはなく、車はパリの駐車場で盗まれたと嘘を突き通す。ドリアは顧問弁護士にだけ事実を話し、アリバイの捏造と警察の記録を破棄してくれるよう依頼する。

顧問弁護士のおかげでアリバイが確認され、ドリアは捜査対象から外される。しかし、ローラは完璧を求め、ダニエルが銀行の金を横領して逃走したという事実を捏造する。ドリアは密かにローラと会い、やりすぎだと注意するが、彼女は聞く耳を持たなかった。

失踪した息子が、勤め先の銀行の金を横領していたという事実を知り、母親は打ちのめされ、寝込んでしまう。夫婦は、これが犯人の隠蔽工作だと確信していたが、警察は信じてくれない。トマスは身分を偽り、ドリアの受賞パーティに潜入する。そしてドリアに、真実を話して欲しいと懇願する。トマスは、せめてダニエルをきちんと葬ってやりたいと願っていた。しかしドリアは保身に走り、トマスを追い返す。夫婦は、その後消息不明となる。

再び日常へ戻ったドリアに、差出人不明の郵便物が届く。中には「お前の秘密を知っている」というメッセージと、遺棄現場によく似た場所の写真が入っていた。その後、ドリアの携帯に「10万ユーロ用意して、女と一緒にビエルヘへ来い」と脅迫電話がかかってくる。ドリアは、後続車の男が自分を尾行し、全てを見ていたのではないかと推測する。しかしグッドマンは、その推測には無理があると指摘する。

後続車の男がドリアを脅迫したなら、目当ては間違いなく金だ。しかし金はローラの殺害現場にばらまかれていた。そして何より問題なのは、男がどうやってあの密室に出入りしたのかを立証できないことだった。

グッドマンは、ローラを殺害した犯人がトマスなら、全ての辻褄が合うと考えていた。そして、トマスがどうやって犯行に及んだかを論理的に説明し始める。

トマスには、ドリアを罠にはめる動機があり、ローラへの強い憎しみもある。さらに彼の妻は、事件のあったホテルの従業員だった。警察が提出した事件当日の証拠写真の中には、妻の姿がはっきりと写っていた。

妻の手引きでトマスは事前にクローゼットの中に隠れ、ドリアを襲ってローラを殺害した。そして凶器にドリアの指紋を残し、彼が疑われるような状況証拠を作った。その後、妻が確保した逃走経路から部屋を脱出し、妻が警察を部屋に案内する。警察と一緒に部屋へ入った妻は、窓に工作して密室状態を作り、ドリアを犯人に仕立て上げた。このグッドマンの推理に破綻はなかった。

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』の結末・ラスト(ネタバレ)

グッドマンは、遺棄したダニエルの車にローラの私物を隠せば、ドリアは助かると考える。ローラは単独で事故を起こし、トマスに脅された。ローラに助けを求められ、ドリアは殺害現場のホテルへ行き、事件に巻き込まれた。こうすれば、ドリアは事故にも事件にも無関係な第三者になることができ、殺害事件の容疑も晴れる。嘘をついてグッドマンを試してきたドリアは、ようやく彼女の腕を信用し、ダニエルを沈めた場所を白状する。そしてさらに、驚くべき事実を告白する。

車を沈める直前、ドリアはトランクを叩く音を聞いていた。ダニエルは重傷を負っていたが、まだ生きていたのだ。しかしドリアは彼を見殺しにした。冷静なグッドマンもさすがに驚き、事件の真相をドリアにぶつける。

事故の隠蔽はドリアの指示だった。共犯者にされたローラは、罪の意識に苦しんでいた。グッドマンは、彼女の精神科への通院履歴も確認していた。ローラは、トマス夫婦に真実を告げる決意をする。そして、目撃者がいたと嘘をつき、ドリアに金を用意させる。何も知らずにホテルへやってきたドリアは、これがローラの罠だと気付き、彼女を殺害する。しかし密室に閉じ込められたため、自ら頭を打ち付けて襲われたように偽装工作し、他に犯人がいるよう仕向けた。ローラに呼び出されていたトマス夫婦は、すぐ真相に気づいたが、警察には通報しなかった。ダニエルの死体がなければ、ドリアは嘘を突き通すだろうと考えたからだ。

グッドマンはドリアに、向かいの建物にいるトマスの姿を見せる。トマスは執念でドリアの尾行を続けていた。そして、先ほど見せた警察の証拠写真は、加工されたものだったことを打ち明ける。ドリアはグッドマンが助けてくれると信じて、ローラ殺害も認める。

その時、ドリアのマンションの留守番電話に、顧問弁護士から「携帯の電源が切れているぞ」とメッセージが入る。顧問弁護士と話し始めたドリアを見て、グッドマンは部屋を出ていく。唯一の目撃者である後続車の男を捜していた顧問弁護士は、彼の買収に成功していた。顧問弁護士もドリアも、これで無罪が勝ち取れそうだとホッとする。

その時、電話の電波が途切れ、ボールペンのインクが漏れ出す。ドリアはハッとして、グッドマンの残したメモ帳を見る。そこには「運命は私しだいです」と書かれていた。壊れたボールペンを解体すると、その中には盗聴器が隠されていた。

向かいの建物にはグッドマンがいた。彼女はじっとドリアを見つめ、カツラを取り、マスクを外す。ドリアが全てを打ち明けた相手は、グッドマンに変装したトマスの妻だった。そして2人の会話は、盗聴器を通してトマスが全て録音していた。向かいの窓際で呆然としているドリアを見ながら、トマスは警察へ電話をかける。そしてドリアの部屋には「あなたの弁護士から依頼されました」と言って、本物のグッドマンがやってくるのだった。

映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』の感想・評価・レビュー

ミステリー好きにとっては見慣れた、よくある密室トリックかと思うだろう。しかし最後は思いもよらなかった方向に裏切られる。そして、この映画の中にはストーリーの他に私たちも騙される大胆なトリックが混ざっているので興味深い。

密室トリック自体は正直「あぁ、そんなものか」と言ったレベルだった。
とはいえ、俳優たちの演技は鬼気迫ったものがあり、私は序盤から感情移入しすぎて久しぶりに映画を見て冷や汗が止まらなくなった。伏線もしっかり張られていて、どんでん返しもあり、ラストも面白い。この映画は良作であると言える。(女性 20代)


「悪魔の証明」というのは存在しない事実を証明すること。もうこれを聞いただけでワクワクしませんか?サスペンスな謎解きものが大好きな私は「存在しない事実の証明」というワードを聞いただけでこれは間違いないと確信しました。
事件の容疑者にされた青年とその弁護士が無実を勝ち取るために「悪魔の証明」を立証させていくスペイン発のサスペンスムービー。スペイン映画というと、情熱や愛をイメージしますが、こんなにも秀逸なサスペンス作品があったのかと驚きました。
ラストまで見逃せない展開に、明らかになっていく謎。何が本当なのかわからなくなっていくストーリーは本当に見応えがあってとても面白かったです。(女性 30代)

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