映画『ロード・オブ・ウォー』の概要:死の商人と呼ばれる、武器商人のサクセスストーリー。武器の密輸売買にて、のし上がっていく男の半生を描く。実在する武器商人の何人かから話を聞き、実際の出来事に基づいて制作されたフィクション映画。
映画『ロード・オブ・ウォー』の作品情報
上映時間:122分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:アンドリュー・ニコル
キャスト:ニコラス・ケイジ、イーサン・ホーク、ブリジット・モイナハン、ジャレッド・レトー etc
映画『ロード・オブ・ウォー』の登場人物(キャスト)
- ユーリ・オルロフ(ニコラス・ケイジ)
- 4人家族の長男。賢く商才があり、計算高い。武器の売買に魅入られ、武器商人となる。
- ヴィタリー・オルロフ(ジャレッド・レト)
- ユーリの弟。兄に誘われ武器商人となるも、四重生活に耐えられず、麻薬に溺れてリタイアする。
- ジャック・バレンタイン(イーサン・ホーク)
- インターポールの刑事。ユーリをつけ狙っており、法に忠実。
- エヴァ・フォンテーン・オルロフ(ブリジット・モイナハン)
- 女優。黒髪でグラマラスな美女。ユーリと結婚する。
- アンドレイ・バプティストSr.(イーモン・ウォーカー)
- 冷酷非道なリベリア大統領。
映画『ロード・オブ・ウォー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ロード・オブ・ウォー』のあらすじ【起】
ユーリ・オルロフは両親と弟の4人家族で幼い頃、ウクライナからユダヤ人を装い、アメリカへ移住してきた。
1982年、ニューヨークのリトル・オデッサ。ユーリと弟のヴィタリーはくすぶっていた。リトル・オデッサでは殺人が日常茶飯事。ユーリ自身、今までに遭遇したことはなかったが、目前のレストランへ行った際、たまたまギャングの抗争に遭遇。武器の素晴らしさを知った。このことをきっかけに、ユーリは武器の売買、いわゆる武器商人となることを決意。
当時、ユダヤ教に嵌っていた父親とミサへ行き、つてを頼ってウージー短機関銃を入手したユーリ。初の仕事を成功させる。幸いなことに、彼には商才があった。
夢は大きく。いつか大きなことをやり遂げたいと思っていたユーリは、国家間の戦争で動く大金に目をつける。売り方次第では、自分が売った武器が戦争を牛耳ることもあり得るはずである。ユーリは母親が経営していたレストランで、シェフとして働いていた弟ヴィタリーを誘って起業した。
1983年、ベルリン兵器フェアに出展。武器商人の中でも、大物である人物に取り入ろうとしたユーリだったが、相手にされなかった。こうなると、正規の売り方では実績が作りづらくなる。道は始まったばかり。
1984年、レバノンのベイルートで闇取引に着手。やがて、10大戦闘地の8カ所で、ユーリが売った銃が活躍するまでに至った。彼には銃声がレジを切る音に聞こえてしまうのだ。
1989年、コロンビアのカルタヘナ沖。ユーリは禁輸措置も巧みに抜けていく。武器取引は合法か違法、或いはグレーの3つのタイプに分けられ、ユーリが好むのはグレーだった。武器商売において、支払いはかなり重要である。故に、取引相手も慎重に選んだ。理想は口座に前払いだったが、相手によっては現金以外の物と交換することもある。武器商人の鉄則は、自分が扱う商品で命を落とさないことだ。
そんなある日、マフィアとの取引で、大量のコカインと武器を交換した後、何から逃げているのか、ヴィタリーが忽然と姿を消す。ユーリは12日間捜し歩き、ボリビアで弟を発見。ヴィタリーは薬漬けになっていた。即座にニューヨークのリハビリセンターへ、弟を入所させたユーリ。以降は単独での仕事となる。
映画『ロード・オブ・ウォー』のあらすじ【承】
同年、ユーリは10歳の頃から片思いしていたモデル、エヴァ・フォンテーンとの出会いを演出し、破産覚悟で彼女を落とすことに成功。やがて、ユーリはエヴァと結婚にまで漕ぎつける。
1991年、ニューヨーク。貿易業を営む資産家だと嘘を吐いて結婚したため、ユーリの財政は綱渡り状態だった。クリスマスで家族が揃っており、息子が初めて歩いた日でもあったが、ユーリはそれよりもソ連の冷戦が終わったことに大興奮。
1992年、ウクライナへ渡ったユーリ。冷戦終了は武器のバザール開幕と言われるほど、熱い商戦が繰り広げられる。彼はその地で、かつて自分をバカにした大物の武器商人と再会。協力しようと言われるも、断った。彼ら保守派から見れば、ユーリのようなグレーな商人は邪道なのだ。
ウクライナにて軍人をしていた叔父を通し、武器を仕入れたユーリだったが、ここでもヴァレンタイン刑事に捕縛されそうになる。法の抜け穴を利用して上手く逃げたが、叔父は大物武器商人の手によって、事故に見せかけ殺害してしまう。
ソ連崩壊にて、320億ドル相当の兵器がウクライナから消えた。
1995年、リベリアのモロンビア。ユーリの顧客はアフリカだった。10年で11の抗争が起き、銃がバカ売れ。取引場所はリベリアで、大統領バプティストによる独裁がまかり通っていた。大統領は顧客だったが、ユーリが苦手な人物だった。しかし、ユーリは彼に気に入られてしまう。
バプティストとの取引により、財政は嘘を追い越した。エヴァが絵を描いていたため、ユーリは美術支援をする。ヴィタリーは度々、家へ遊びに来たが、いつも違う女性を連れており、落ち着いた試しがなかった。しかも、金の無心までする始末。なぜ、こんなにも落ちぶれてしまったのか、ユーリには分からなかった。
映画『ロード・オブ・ウォー』のあらすじ【転】
武器商人にとって、平和は敵だ。戦争がなければ商売にならないからだ。ユーリの自宅を発見したヴァレンタイン刑事が、彼の身辺調査を開始。刑事はユーリを逮捕しようとしているのだった。
自家用ジェット機を持つまでに稼いだユーリは、今や週に1回は西アフリカに飛んでいた。飛行計画の多くは偽造で、急ぎの時は届け出すら出していない。そんな折、しつこくも追って来たヴァレンタイン刑事により、自家用機が発見されてしまう。助けは当てにならなかったため、とにかく地上へ着陸させた。
パイロットが早々に逃げてしまったので、格納庫を開けたユーリは、現地人に無料で武器を与え証拠を隠滅。ヴァレンタイン刑事が到着した時、飛行機はすでに空っぽだった。
刑事に捕縛されるも、戦争で稼いではいるが、ユーリは人殺しではない。証拠がないため、刑事は逮捕ができない。だが、24時間拘束の行使はできる。ユーリは監視もされず、ただ24時間動かず拘束されたまま。飛行機は現地民たちに解体され、朝には残骸を残すのみとなっていた。
翌朝、解放されたユーリだったが、戻るとバプティスト親子が大物商人を捕縛していた。ユーリは人殺しを強要され、大物商人を自分の商品で殺してしまう。
失意に飲まれてしまったユーリ。
その頃、自宅にヴァレンタイン刑事がやって来て、夫であるユーリの正体を明かし、エヴァに協力を要請していた。
這う這うの体で自宅へ戻ったユーリだったが、ヴァレンタイン刑事が来たことを知らされ、エヴァと口論になる。妻の必死の訴えに心を打たれたユーリ。半年間、武器の商売を控えることにした。
合法的な商売で稼ぐ方法はいくらでもあったが、悲しいことに儲からなかった。それでも、ユーリはエヴァとの約束を守った。
映画『ロード・オブ・ウォー』の結末・ラスト(ネタバレ)
そうしている内、バプティスト大統領親子がユーリを訪ねて来る。大粒のダイヤモンドを持ち出して、彼に再び商売をしろと言うのだ。恐らくやめれば、冷酷で残虐な彼らに消されてしまうだろう。ユーリはエヴァに嘘を吐いて、武器の売買を再開。だが、何かを察したエヴァは、動き出したユーリを密かに尾行。妻は夫が保持する倉庫を突き止め、武器商人としての証拠を発見してしまうのであった。
真面目に働き始めたヴィタリーを訪ね、協力を仰いだユーリ。現地の治安は悪化の一途を辿っており、誰も信用できない。頼りは弟だけだった。
2001年、リベリアのモロンビアへやって来た兄弟。バプティストと再会。2人は半ば脅されるように、戦場へと武器を届ける。しかし、難民の女子供が無情にも殺される様子を見てしまったヴィタリーは、武器の取引を中止するようユーリに進言。だが、武器商人は武器を売って稼ぐ仕事だ。商品を売った先でその商品がどのような使い方をされるかまで、考えていたら商売にはならない。ユーリは弟を説得するも、その心情を察することができなかった。
一度は納得したヴィタリーだったがしかし、彼はとうとう自ら戦ってはならないという鉄則を破ってしまう。ヴィタリーは積み荷を爆破させ、殺されてしまうのだった。武器は人を殺す道具。上手く扱わなければ、銃口は自分へも向けられる。武器は半分に減ってしまい、取り分も半分に減ってしまった。
ユーリが売った武器でヴィタリーが予想した通り、虐殺が開始。悪は蔓延り続け、止める手立てなどどこにもない。ヴィタリーの遺体と共に帰国したユーリ。帰国前にヴィタリーの遺体から弾丸の摘出を行ったが、ケチったために弾丸が1発だけ残っていた。空港の検問でそれが発見され、情けないことにユーリは逮捕されてしまう。
ヴァレンタイン刑事による、審問が開始。死の商人ユーリの逮捕は新聞にも掲載された。これにより、両親からは絶縁され、エヴァと息子も彼の元を去った。大切な弟さえも失ったユーリ。彼はヴァレンタイン刑事に、これから起こることを説明。合衆国大統領とも取引のあるユーリは釈放されるだろうと。
現にその通りとなり、ユーリは再び天職へと戻るのだった。
映画『ロード・オブ・ウォー』の感想・評価・レビュー
実在する武器商人の何人かに直接取材して描かれている作品であるため、非常にリアル。作中では意外なほどにとんとん拍子に出世していくが、実際はもっと死と隣り合わせで危険な仕事なのだろうと思う。武器は人を殺しもするし、守りもする。特に戦争は武器商人が稼ぐ場であり、稼ぎ時でもあるので真の商売人なら危険など顧みずに行くだろうなと簡単に想像できる。自分だったら絶対に無理だけど。実際にいるのだから本当に凄い。主人公を演じたニコラス・ケイジがまた嵌っていて素晴らしかった。(女性 40代)
みんなの感想・レビュー