1993年に公開されたゲイリー・オールドマン、レナ・オリン主演のミステリー映画「蜘蛛女」。まるで蜘蛛のような女殺し屋と、彼女に振り回され命を落としていく男たちの物語。
映画『蜘蛛女』 作品情報
- 製作年:1993年
- 上映時間:100分
- ジャンル:ミステリー
- 監督:ピーター・メダック
- キャスト:レナ・オリン、ゲイリー・オールドマン、アナベラ・シオラ、ジュリエット・ルイス、ロイ・シャイダー etc…
映画『蜘蛛女』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『蜘蛛女』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『蜘蛛女』のあらすじを紹介します。
元刑事のジャックは、今は食堂の店主をしながら、一人の人物を待っていた・・・
ジャックは汚職警官で、犯罪組織に情報を売って大金を稼いでいた。
そんな時、刑務所から出所してきた女殺し屋のモナの居場所を、犯罪組織に売り渡すことになる。
モナに会ったジャックは、その計算高さに驚くのだが、彼が考える以上にモナは狡猾な女性だった。
売り渡したはずの住所から、モナは逃走し、犯罪組織は始末しようとしたモナがいない事に激怒。
犯罪組織に脅されたジャックは、モナの見つけ出し殺害するよう命じられる。
だが、突然連絡してきたモナは、犯罪組織が提示した金額の5倍で、彼女の死を偽装する手伝いをしないかと持ちかけてくる。
お金に目がくらみ、条件を飲んでしまうジャックだが、犯罪組織への裏切りがばれて暴行を受けてしまう。
妻の身を案じたジャックは、貯めてきたお金を預けて、5月1日にか12月1日に食堂で待ち合わせをする約束をし、それまでは隠れて暮らすよう告げる。
その後、モナと落ち合うが、殺し合いに発展し、お互いに大怪我を負って、モナは行方不明に。
犯罪組織に追われる身となったジャックはモナを探すが、間違えて別人を射殺してしまい、モナに捕らわれてしまう。
そして、マフィアのボスを殺す手伝いをさせられてしまうのだった。
その後、仲間だった警察に捕まったジャックは、隙を見てモナを射殺するが、罪には問われなかった。
・・・それから5年、今の彼の名前は、ジム。約束の食堂で、まだ妻を待ち続けている。
映画『蜘蛛女』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『蜘蛛女』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ジャックが罪に問われなかった理由
人前で、しかも仲間だった警官のいる前でジャックがモナを射殺したのに、それが罪に問われなかったのは謎です。
しかも、「よくやった」とまで声をかけられ、名誉賞ももらっています。
自分の身を挺してまで、警官の命を守ったと。
ジャック自身も、変だと言っています。
モナは、組織のボスを、ジャックに手伝わせて殺めています。
そして、今はモナがボスだと、死ぬ前に公言しています。
また、警察をひどく侮辱した発言を、彼らの前で言っています。
侮辱された警察組織、それから警察官ジャックの身を、自らの命を張ってまで犯罪組織から守った、という意味にしたと考えられます。
なぜなら、ジャックが、辞表を出したり免職を告げられるシーンが無いので、一応警察官のままだったと考えられるからです。
そうなると、現職警官が犯罪組織のボスを、個人的な理由で射殺したのも、ある程度問題になるでしょう。
また、モナがボスになった組織に、あの段階では立証できていないものの、捕らわれている警察官がいたとも考えられます。
捜査に関わっているはずのないジャックが、変だと思っても、不思議はありません。
ストーリー上でも主人公が理解していない、完全な謎として扱われているので、可能性はたくさんありますが、モナが想像以上の悪女だという印象を、最後までしっかりと残す役割になっています。
ナタリーの行方
ジャックの妻、ナタリーはどうなったのでしょう。
モナは、「この世の人ではなくなっている」と言っています。
ところで、モナはジャックと
しかし、モナを射殺するシーンで、彼女は義手のはずの腕を動かし、意味深にウインクしています。
その手は、ジャックと車内で殺し合いになった際の怪我で、失ってしまった腕でした。
その腕が、もしもナタリーを殺害し、移植したものだとすれば。
ジャックが直感で気づき、頭に血が上ってモナを射殺した理由となり、モナがわざわざ見せて、ウィンクまでした説明になります。
お金でどうにでもなる、と行動しているモナだからこそ、無理を承知で医師に移植させたのではないでしょうか?
ジムとして生きるジャックは、あまりにもショックでそれを忘れることにしたのだ、と考える事ができます。
ダメダメでクズなゲイリー・オールドマンが最高に愛らしくてファンにはたまらないキャラクターでした。
女にだらしない汚職警官というと、誰が見ても最低なのですが、それをゲイリー・オールドマンが演じるだけで魅力的に見えてしまうのはなぜでしょう。
そんな彼が引っかかってしまったのは究極の悪女。色気があってセクシーなのにやることはかなりヤバいです。美しさと危うさのバランスが絶妙で、それが作品の雰囲気とも相まって非常にオシャレな作品でした。(女性 30代)
映画『蜘蛛女』 まとめ
名優、ゲイリー・オールドマン演じる、女好きで救いようの無い悪徳警官が、落ちるところまで落ちる作品です。
そしてとてつもない悪女の、蜘蛛の糸に絡めとられて身動きが取れなくなる、という後味の悪い作品になっています。
色っぽいしぐさをすると思えば、命からがら逃げるときには、格好悪く靴を投げ飛ばしたり。
このシーンは、人間味あふれていて、必死になると絶対にこうなる!と言いたくなります。
また、ジムが語るジャックという男の話、これは昔の自分のことだ、という進め方に意外性があり、待ち人が途中でわかるものの、来るか来ないかが、最後まで曖昧に表現されているのが、スパイスになっています。
しかし、日本版のキャッチフレーズにある「愚かな男たちの屍」は、そんなにはゴロゴロ転がっていませんでした。
みんなの感想・レビュー
コメントありがとうございます。
本編を再度確認したところ、確かにモナ本人から見て左腕が義手で、撃たれる前に動かしていたのは右手でした。
考察に書いた、その後の意味ありげなポーズに関しても、深読みしていただけかもしれません。
的確なご指摘、ありがとうございました。
コメント失礼致します
レビューを読ませて頂きました
モナの義手に関しての考察ですが、
向かい合って右側(モナ当人から見て左腕)
が義手なので、最後に撃たれる前のシーンで動かしているのは義手ではない本人の腕だと思います。
気になったので、指摘させて頂きました。
ご確認ください。