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映画『ローズマリーの赤ちゃん』あらすじ&ネタバレ感想

1968年制作のロマン・ポランスキー監督によるホラー映画。曰く付きのアパートに引っ越してきた妊婦が、怪しげな隣人たちに追いつめられる恐怖を描く。ミア・ファローが狂気に駆られる妊婦を演じる。

映画『ローズマリーの赤ちゃん』 作品情報

  • 製作年:1968年
  • 上映時間:136分
  • ジャンル:サスペンス、ホラー
  • 監督:ロマン・ポランスキー
  • キャスト:ミア・ファロー、ジョン・カサベテス、ルース・ゴードン、シドニー・ブラックマー、モーリス・エバンス etc…

映画『ローズマリーの赤ちゃん』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

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映画『ローズマリーの赤ちゃん』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『ローズマリーの赤ちゃん』のあらすじを紹介します。

ローズマリー(ミア・ファロー)と役者をしている夫のガイ(ジョン・カサヴェテス)はニューヨークのアパートに引っ越してくる。過去に忌まわしい事件が起こった曰くつきの物件であったが、若い2人はあまり気にしない。むしろおせっかいな隣人のカスタベット夫婦の方がローズマリーにとっては悩みの種だ。何故かガイが彼らを気に入っていることもローズマリーを苛つかせていた。ある日ガイが芝居仲間の不幸から大きな役を手に入れると、唐突にローズマリーに子づくりを提案する。喜んで受け入れるローズマリーだが、ことの前にカスタベット夫人からもらったデザートを食べると意識が朦朧として気絶する。そして彼女は悪魔に犯されるという不気味な夢を見るのだった。

妊娠した彼女にカスタベット夫婦は異常なまで献身的に接する。医者を紹介し、栄養価の高い薬草を煎じて毎日持ってくる。だがローズマリーの体調は日に日に悪くなっていく。親友のハッチは彼女の身体を案じるが、原因不明の病で死んでしまう。そしてローズマリーはハッチが残した本から衝撃の事実を知る。カスタベット夫婦は悪魔崇拝者だったのだ。お腹の中の赤ちゃんを守るため逃げ出すローズマリーだが、周囲の人間はガイや主治医も含めみな同じ意志の元に動いていた。あえなく捕まり出産をしたローズマリー。しかし生まれた赤ちゃんは悪魔の子なのだった。

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映画『ローズマリーの赤ちゃん』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『ローズマリーの赤ちゃん』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

母性の狂気のさらに先

主人公のローズマリーは物語の冒頭では無邪気でどこか世間知らずな印象さえ受ける女性だ。それが妊娠をきっかけに自立した行動的な女性へと変貌する。それは子供を守ろうとする母性故なのだが、本作ではそれが観客には狂気に映る。おせっかいな隣人を疑い、挙げ句の果てには有名な医師まで悪魔の手先だと疑いだす始末。不気味な周囲の人間たちよりも、それに過剰なまでに反応する彼女の方がよっぽど恐怖だ。だがその行為に母性という理由を見つけると、観客はある種の予定調和を感じてしまう。即ち悪魔は彼女の妄想の中、人間の疑心暗鬼の中に潜んでいるのだと。だからこそ生まれてきた赤ちゃんが悪魔であったシーンは強烈だ。妄想に過ぎないと思っていたはずの悪魔が、確かにそこに存在しているという恐怖が観客を襲う。

全てを受け入れてしまう母性

しかしラストで恐怖はもう一段階先へと進んでしまう。生まれた悪魔の赤ちゃんに恐怖しながらも、ローズマリーは揺りかごを揺らし始める。たとえ生まれてきたのが悪魔の子であっても、自分が生んだ以上やはり自分の子であって母性が働いてしまったのだ。善も悪も全て受け入れてしまう母性の偉大さと、それ故の恐怖を感じさせる結末になっている。


ミア・ファロー演じる妊婦が身ごもっている赤ちゃんを巡って展開されるミステリーは、最後まで真実がはっきりと明かされないので不安がずっと続く。宗教的な恐怖もじわじわと自分を追い込んでいった。もう観たく無い恐ろしい作品だ。

そしてダコタハウスにしても、ロマン・ポランスキーにしても全てが曰く付きで気味が悪い。その気味悪さが作品にそのまま現れているようだ。結局何だったのか、スッキリしないのもこの作品の良さなのだろうか。(女性 20代)

映画『ローズマリーの赤ちゃん』 まとめ

血や死体といった直接的なスプラッタ描写をほとんど用いず、サスペンスのみで恐怖を生み出していく。キューブリックの『シャイニング』にも似た、人間の心理を巧みに演出した恐怖映画だ。徐々に追いつめられていくミア・ファローの演技も見事だ。ストーリーの細部についても物語の序盤から伏線が巧みに張られており、二度三度観ても新たな発見がある作品に仕上がっている。

また物語の内容に負けず劣らない曰くつきの映画としても知られている。本作の撮影はジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻が住んだことで有名なダコタ・ハウスで行われた。つまりこのアパートの前でジョン・レノンはファンによって射殺された。さらに、監督のポランスキーは公開の翌年、妻のシャロン・テートをカルト教団によって惨殺されている。奇しくも彼女は妊娠8ヶ月だった。それだけ魔力を秘めた映画だと言うことだろうか。

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