映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の概要:テネンバウムズ家の騒動をユーモラスに描いたコメディ。出演はジーン・ハックマン、ベン・ティラー、グイネス・パルトロウ。「ダージリン急行」のウェス・アンダーソン監督、2001年米国映画。
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 作品情報
- 製作年:2001年
- 上映時間:110分
- ジャンル:コメディ、ラブストーリー
- 監督:ウェス・アンダーソン
- キャスト:ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー、グウィネス・パルトロー etc
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
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映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 あらすじ【起・承】
テネンバウムズ家では、両親が離婚し、3人の子供達は妻エセル(アンジェリカ・ヒューストン)に引き取られていた。3人の子供達は皆、天才だった。長男チャス(ベン・スティラー)は相場が専門。長女マーゴ(グイネス・パルトロウ)は、兄弟と血は繋がっていない。養女だが劇作家だ。
次男リッチー(ルーク・ウィルソン)は、17才でプロテニス選手になり、現在は引退。姉マーゴにずっと片思いしていた。父親ロイヤル・テネンバウムズ(ジーン・ハックマン)は元法律家だったが、現在は破産してホテル暮らしをしていた。
ある日、彼は病気で死期が近いと家族に偽り、家族の絆を取り戻そうと画策した。長年、テネンバウムズ家に仕える召使いパゴダも一緒だ。
一方、別れた妻エセルは考古学者。長年、支えてくれている会計士のヘンリー・シャマンからプロポーズされます。その事実を知ったロイヤルは、彼女の再婚阻止も目論むのだった。
ロイヤルは、元妻エセルや3人の子供達、そして長男チャスの子2人と同居を始めた。”孫に会いたい!”と長男チャスに頼むが、会わせないと強く拒否されてしまう。長男チャスは飛行機事故で亡くした妻レイチェルの悲劇から立ち直ることが出来ないでいた。
飼っていたビーグル犬でさえ、助かったのに。ロイヤルは、長男チャスがいない時を狙い、孫2人を街へ連れ出した。ロイヤルは、タクシーに物を投げつけたり、店の品物を盗んだりと悪事を働いた。
一方、マーゴは、精神学者で夫のラレイ・シンクレア(ビル・マーレィ)と結婚していたが、脚本が書けずバスルームに引きこもる毎日だった。そのため、気分転換に家を出て、母の元に身を寄せたのだった。そんなマーゴを次男リッチーがやさしく寄り添う。
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 結末・ラスト(ネタバレ)
次男リッチーにも悩みがあった。26才でプロテニス選手を引退してから、人生の夢や意義を見い出せないでいた。彼の引退試合は、テニス史上最悪な試合だったと言う。それに加えて、姉マーゴへの想いにも揺れていた。
マーゴは、男性遍歴が派手で何度も結婚・離婚を繰り返していた。また兄弟の誰もが知らなかったのだが、12才の頃から喫煙していたらしい。ついにマーゴの元に夫ラレイが現れた。マーゴは戻る気持ちはないと夫に伝えた。
次男リッチーは、ラレイから”マーゴは浮気をしているらしい。”と聞き、イーライ・キャッシュ(オーウェン・ウィルソン)を疑う。彼は、リッチーの幼馴染で現在は人気作家だった。父親ロイヤルの家族の絆作りにも、彼が一枚噛んでいるようだ。
ある日の午後、元妻エセルと元夫ロイヤルは散歩をしながら、話をしていた。エセルは言う、”なぜ私達の事を気に留めなかったの?”と。その2人を複雑な想いで、会計士ヘンリーは見つめていた。
ロイヤルは妻と会計士の再婚を阻止したいと思っていたが、なかなか上手くゆかない。そんな中、会計士ヘンリーが家族を集めた場で、ロイヤルの胃ガンが末期であるのは嘘であるという証拠を発表した。
なんと、ロイヤルの主治医マクルーアも存在せず、薬はミント味の偽薬であるらしい。家族の誰もが非難する中、ロイヤルは”最後の6日間は、私の人生で一番充実した日々だったよ。”と初めて本音を語った。
しかし、元妻エセルからは、”あなたはろくでなし。さようなら!”と言われ、家を追い出された。その後、マーゴの過去を知った次男リッチーが自殺未遂を図ってしまう。
自殺未遂をきっかけに自分の気持ちをマーゴに打ち明けたリッチー。マーゴは彼を受け入れ、付き合うことに。
そして、エセルと会計士ヘンリーの結婚式当日。元夫ロイヤルとイーライの策略で、結婚式が一時中断されてしまう。教会にイーライの暴走車が突っ込んだのだ。その事故に巻き込まれて、孫の愛犬ダドリーが死んでしまう。
それから48時間後、無事に結婚式が行われた。ばらばらな気持ちだった家族が立ち直り、各々の人生を歩み始めた。その数年後、ロイヤルは86才で心臓麻痺により死亡。
その墓石には、”ロイヤルは沈む軍艦から家族を救い、非業の死を遂げた。”と刻まれた。
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
家族って難しい!天才家族の奇天烈なコメディ
子供達3人が天才だからといって、自慢するでもなく自主性に任せている、テネンバウムズ一家。ただ別れた父親ロイヤルは、長男チェスの預金口座のお金を盗んだり、孫に悪い遊びを教える放蕩者です。元父親に振り回されるが、それによって再び家族の絆が深まるという、不思議で温かいコメディ。
ウェス・アンダーソン監督は、家族を変化する1つの生き物として描き、おしゃれな小物使いやしゃれの効いた会話で盛り上げます。見どころは、姉マーゴに対してずっと片思いを続けている次男リッチーの恋です。一見、突拍子もないような行動を取っているように見えますが、後半で次男リッチーの気持ちを知ると納得できます!
また姉マーゴを演じる、グイネス・パルトロウの魅力も必見です!人間の弱さや満たされない想いに共感できるのではないでしょうか。
恋多き女性~グイネス・パルトロウの魅力
グイネス・パルトロウと聞いて思うのは、1995年に「セブン」で共演したブラット・ピット演じる刑事の妻役で、注目されたこと。ブラット・ピットと映画で出会い、婚約中でした。
その後はベン・アフレックなどと浮名を流し、2003年にロックバンド「コールドプレイ」のボーカル、クリス・マーティンと結婚しました。
本作「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」では、長女マーゴ役。養女ですが、次男リッチーと付き合う仲になります。マーゴの半生は、結婚したり別れたりの繰り返しで、まるでグイネス・パルトロウの人生にも重なります。
ウェス・アンダーソン流のユーモアかしら。実生活では、2014年にクリス・マーティンと離婚。その後はそれぞれに恋人もできて、たまに子供達とも4人で過ごすのだそう。
実生活が演技に生かされていることや「恋におちたシェイクスピア」(98)などで魅せたキュートさが永遠に彼女の中で輝いている点に注目して下さい。
ウェス・アンダーソン作品が大好きな私。今作も見始めて直ぐに、ああこれこれ!と頷いてしまうような心地良さで、個性豊かなキャラクターたちが絶妙なバランスで関わりあっていく様子が明るく、面白く、ちょっぴり皮肉も含めて描かれていました。
こんなに癖の強い家族が集まったら、そりゃ何かあるだろうと当然思うのですが、それを派手に描くのではなく淡々と繰り広げていくのがすごく良いんです。
見終わった時に少しニヤッとしてしまうような、いい映画を見たなと思わせてくれる作品です。(女性 30代)
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 まとめ
ウェス・アンダーソン監督が、家族について描くと普通の家族では起きえないことばかりになってしまう。本作のようなダメ親父が家族をかき回しても、不思議と憎めないのだ。
ただ愛犬家としては、犬がリッチーの親友・イーライの暴走する車の下敷きになって死んでしまうのは、笑えない。このシーンだけは納得いかないと思う。
3人の子供達もそれぞれ個性的で面白かったが、ダメ親父ロイヤルと元妻エセルの心の温度差を感じる会話がいい。”なぜ、私達の事を気に留めなかったの?”と訊くシーン。
またダメ親父が死なないことが家族にばれて、”最後の6日間は私の人生で1番充実した日々だったよ。”と本音を語るシーンも見どころだと思う。
今、離婚を考えている夫婦がいたらこの映画を観て、思いとどまるかもしれない。家族の絆を温かく、ユーモラスに感じさせる作品です。
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