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映画『酒井家のしあわせ』あらすじネタバレ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『酒井家のしあわせ』の概要:「そこのみにて光輝く」や「きみはいい子」で、現代の邦画界を引っ張る女性監督の呉美保監督。彼女のオリジナル脚本による今作は、2005年のサンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞しました。

映画『酒井家のしあわせ』 作品情報

酒井家のしあわせ

  • 製作年:2006年
  • 上映時間:102分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:呉美保
  • キャスト:森田直幸、ユースケ・サンタマリア、友近、鍋本凪々美 etc

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映画『酒井家のしあわせ』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『酒井家のしあわせ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『酒井家のしあわせ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『酒井家のしあわせ』 あらすじ【起・承】

関西の小さな町で暮らす酒井家は、一見普通の家庭。口うるさいお母さんの照美に、気弱そうな父親の正和。愛嬌ある妹の光に、反抗期真っ盛りの主人公・次雄の四人家族です。
しかし、母は再婚で前夫とは死別しており、しかも次雄は前夫の連れ子、光は正和との間の子と、少々複雑な内情を抱えていました。ですが、そんな複雑な内情など感じさせないほど普通の酒井家は、今日も平和に過ぎていきます。ちゃきちゃきの大阪弁のお母さんと、ちっとも関西弁が上達しない東京生まれのお父さん、甘えたい盛りの妹に、最近同級生の女の子に好かれて困っている次雄。
しかし、ある日の父正和の告白によってその様相は一変します。

「お父さん、出て行くんやて。好きなひとがおるんやって。しかも男。」
母から聞かされたその事実は、次雄の心を少なからず動揺させます。
事態を飲み込めない光は父を探してぐずり、母は父の裏切りによって苛立ちます。そんな母を上手く慰めることができない次雄も、突然出て行った父への苛立ちを募らせますが、その気持ちを上手く伝えることができずにいました。

映画『酒井家のしあわせ』 結末・ラスト(ネタバレ)

学校でも苛立つ次雄は、ついに、ひょんなことあら友人・田上に怪我をさせてしまいます。
「子どもが親を選べへんように、親も子供を選べへんねん。」
田上の母は、そう言って次雄を叱るのでした。

お祭りで、偶然父とその恋人で会社の後輩の麻田くんに出会ってしまった次雄は、父に怒りをぶつけます。しかし、そこで麻田くんから、父は治る見込みのない重病であることを聞かされます。またも夫を失う悲しみを照美に背負わせたくなかったと語る父に、何も言えず帰った次雄は、母に「お父さん死んでしまう」と泣きつきます。
光を連れ、父のもとを訪れる母と次雄。そこで母から、実は父が出て行った翌日には父の病気のことを知っていたと聞かされ、両親のどちらにも裏切られていたような、情けない気持ちを味わう次雄でしたが、母は父に、帰ってくるよう説得します。
家族なんだから、一緒に背負わせてほしいという照美に、落涙する正和。そんな二人を見て、家族の仲が深まったことに、複雑な気持ちを抱えながらも安堵する次雄なのでした。

翌週、正和の看病のため大阪の病院近くに引っ越すことになった酒井家を、次雄の同級生田上と、次雄のことを好きな筒井が見送りに来ます。
そこで実は二人が付き合っていたことを知らされた次雄を、両親は笑い飛ばします。
次雄もまた、バツが悪そうに笑い皺を作るのでした。

映画『酒井家のしあわせ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『酒井家のしあわせ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

テレビでよく見かけるキャスト

テレビ、それもバラエティでよく見かける芸能人がキャストに名前を連ねていると、なんとなく敬遠してしまいます。そんな経験をお持ちの方も少なくないと思います。
今作に出演する母・照美役の友近さん、父・正和役のユースケ・サンタマリアさんも、そんなバラエティ常連の二人。当然警戒しましたが、蓋を開けてみてびっくり。ふたりとも、なかなかにこの映画の色にハマっていました。
まず、設定が二人におあつらえ向きなのです。こてこての関西弁の肝っ玉母さんに、東京育ちで気弱だけど心優しいお父さん。まるで、二人のために用意した役柄のようです。
さらに、今作は公開当時もそれほど広範囲ではかからず、もちろんシネコンなどで観られる類の映画でもなく、平たく言ってしまえばマイナー。そんな映画に出ることは、裏を返せば、映画好きの厳しい(偏見に満ちた)目にさらされるということ。その厳しい目をクリアした二人は、間違いなくタレントではなく「俳優」でした。

反抗期の強い瞳

そしてそんな両親を食って、間違いなく主役、という存在感を見せつけたのが、主演の森田直幸さん。役柄と当時の本人の年齢がリンクすることもあって、リアルな中学生像を披露しています。苛立ちをなかなか言葉にできず、先に手が出てしまったり、そっけない態度に出てしまったりするシーンが、演技じゃこうはならない、という空気感でたまりません。そしてさらに、そんな彼が父を睨む瞳の強さたるや。わざと荒く撮影された夏の田舎の風景と相まって、これがフィクションだと忘れさせるリアリティが、そこにあります。


友近の演技力の高さは芸人としての彼女のクオリティからも見て取れますが、今作を見ると本物だったのだと改めて感じるでしょう。
芸人として誰かのモノマネをするのではなくて、女優として照美という女性をしっかりと演じていました。
気弱そうなお父さんを演じるユースケ・サンタマリアの雰囲気も絶妙で、全ての不幸を背負ったような悲しげな表情が忘れられません。
こういう家族ってどこにでもいるのだろうと思いますが、映画として一つの作品になると家族の素晴らしさを感じます。(女性 30代)


この世界のどこかにいる田舎の家族をそのまま映したかのような、日常が描かれています。学校での友人のやり取りや、近所から聞こえる家庭音など演出も細部までリアルです。おとぼけ父役のユースケさんや、ザ・お母さん役の友近さんなど、キャストと役がぴったりとハマっていました。勿論何事も起きない訳ではなく、とある出来事から少し冷めた家族の日常が崩れていきます。両親の決断や行動、思春期の息子の心の揺らぎから”幸せ”とは何だろうかと考えさせられます。(男性 20代)

映画『酒井家のしあわせ』 まとめ

ジャケットからも、ストーリーからも、地味な印象が拭えない映画です。しかし、だからこそきちんと中身のある、この時期に観たい家族の夏休み映画です。
呉美保監督といえば、今一番面白い映画を撮る女性監督だと思います。同期には山下敦弘、寺内康太郎、柴田剛など日本映画のビッグネームが名前を連ねます。そんな彼女が、長編映画のキャリアの序盤で撮った映画は、やはり面白く満足感がありました。是枝監督や山下監督に見える、邦画独特のリアリティのある会話劇は今作から健在。今後、間違いなく世界で注目される日本人監督の一人です。

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