フランスヌーヴェル・ヴァーグの巨匠ルイ・マル監督による自伝的映画。寄宿学校で出会った2人の少年の友情を、ドイツ占領下のフランスを舞台に描く。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
映画『さよなら子供たち』 作品情報
- 製作年:1987年
- 上映時間:103分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ルイ・マル
- キャスト:ガスパール・マネッス、ラファエル・フェジト、フランシーヌ・ラセット、スタニスラス・カレ・ド・マルベール、フィリップ=モリエ・ジェヌー etc…
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映画『さよなら子供たち』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『さよなら子供たち』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『さよなら子供たち』のあらすじを紹介します。
時は1944年、ドイツ占領下のフランスで12歳の少年ジュリアン(ガスパール・マネッス)は寄宿学校に通っていた。クリスマス休暇明けのクラスにジャン・ポネ(ラファエル・ファジト)という転入生がやってくる。ジャンにはある秘密があった。実は彼はユダヤ人であり、ジャン神父の計らいでこの寄宿学校に匿われているのだ。それをジュリアンは彼の荷物を盗み見たことで偶然知ってしまう。
だがそんなこととは関係なく、2人は徐々に関係を深めていく。一緒に森で迷子になり、映画を観て笑い、夜には発禁本を2人でこっそり読み明かした。ジュリアンの母親と一緒に食事にも行った。戦争とは無縁の無邪気な時間が流れていた。
しかしそんな平和な日々は長くは続かなかった。食料を盗んでいたのがバレて解雇された料理番のジョセフが、学校がユダヤ人を匿っていることを腹いせにゲシュタポに密告したのだ。突然学校にやってきたゲシュタポによってジャンたちユダヤ人とジャン神父は連行され、学校も一時閉校となるのだった。連れ去られていくジャンに小さく別れの合図を送るジュリアンは、子供ながらこれが永遠の別れになることを理解していた。その冬の出来事は永遠に彼の心から離れることはなかった。
映画『さよなら子供たち』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『さよなら子供たち』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
秘密の共有が育む友情
本作のメインテーマはジュリアンとジャンの無邪気な友情にあるが、決して彼らの間に初めから友情が成立していたわけではない。むしろ優等生タイプのジャンはジュリアンの反感を買っていた。それがジャンがユダヤ人だという秘密を知ったことから状況が変わってくる。本来であれば生き死に関する重大な秘密だが、少年たちの間ではそれすら友情を育むための糧となる。ジュリアンは彼がユダヤ人であることをからかって遊ぶぐらいである。ジュリアンが兄から借りた千夜一夜物語もまた秘密の共有だ。夜寝静まった部屋で発禁本を読むという背徳感は彼らの友情を盛り上げている。
さよなら子供たち
2人が無邪気な時間を過ごしている間にも、戦争の足音は聞こえ続けている。ジュリアンの母親とレストランに行った時には、戦争による大人たちの欺瞞が浮き彫りになる。売国奴が平然と愛国者を偽って大手をふるい、ジュリアンの母親を含む大人たちは言葉では聞こえのいいことを言いつつも、実際は自分の保身しか考えていないのだ。まだ子供の2人はまだそのことに気づけない。だからこそ自分たちの日常に突然踏み入ってきた戦争に衝撃を受ける。以前から足音は聞こえていたというのに、それを本当の意味で理解できていなかったのだ。2人より1回り年上のジョセフはジュリアンに「これが戦争なんだ」と言い放って去って行く。いかに人間がエゴにまみれた存在であるかを知って、2人の子供時代は唐突に終わりを告げるのだ。
子供らしく、自由奔放で無邪気で、なんの制限もなく、わがままな子供時代を送ってきた私にとって彼らに与えられた人生は、辛すぎて見ていられませんでした。
もっと子供らしくていいんだよ、自由に生きていいんだよと誰も言ってあげることが出来ない時代だったのが悲しくてたまりませんが、そんな中でもこっそりと秘密を共有して絆を深めた2人は離れ離れになっても、心はずっと繋がっているのだろうと感じました。
色々なことを考えさせられる作品です。(女性 30代)
映画『さよなら子供たち』 まとめ
ルイ・マル監督が自身の少年時代の経験を基に描く渾身の作品。全編少年の目線から語られており、例え戦争中であれ普遍的に存在する美しい友情が描かれている。特に千夜一夜物語を夜こっそり読むシーンなどは、少年時代特有の瑞々しさを強く感じさせるシーンだ。現代で言えば学校にエロ本を持って行って回し読みするような感覚なのだろうが、もっと美しく同性愛的なものさえ感じさせる仕上がりになっている。
その純粋な友情が描かれているからこそ、ラストの一方的な暴力には戦慄さえ覚える。ルイ・マルは今作の脚本を執筆するにあたってこのラストシーンから書き始めたという。恐らく彼の人生にこの数時間が永遠に付きまとっていたのだろう。自分の人生そのものとも言えるシーンを描こうとする監督の覚悟がこもった作品だ。
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