12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『あるスキャンダルの覚え書き』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『あるスキャンダルの覚え書き』の概要:アメリカで実際に起きたメアリー・ケイ・ルトーノーの事件をモデルとした、ゾーイ・ヘラーによる小説を実写化。定年を目前に控えた孤独な女性教師が、魅力的な美術教師の秘密を握り自分の物にしようとする様子を綴る。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』の作品情報

あるスキャンダルの覚え書き

製作年:2006年
上映時間:92分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:リチャード・エアー
キャスト:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、アンドリュー・シンプソン etc

映画『あるスキャンダルの覚え書き』の登場人物(キャスト)

バーバラ・コヴェット(ジュディ・デンチ)
定年を目前に控えたベテラン教師。堅物な部分が多く、生徒や同僚から疎まれている。プライベートでも友人が少なく、孤独に苛まれている。シーバと出会い新たなトキメキを得る。
シーバ・ハート(ケイト・ブランシェット)
念願叶って美術教師となった女性。年の離れた夫の連れ子2人を抱え、家庭と仕事のバランスに葛藤している。親身になってくれるバーブラと絆を深めていく。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『あるスキャンダルの覚え書き』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』のあらすじ【起】

労働階級の家庭で育つ生徒が集う中学校。定年を目前にしたバーバラは、堅物さから生徒に疎まれ、多くを語らないため同僚からも距離を置かれている。プライベートでも友人が少なく、猫だけが話し相手の孤独な日々を過ごしていた。

同じ学校に美術教師として赴任したシーバは、若さから教師・生徒共に注目の的になった。透き通った白い肌や、無垢な言動から「妖精のよう」だと内心でシーバを揶揄したバーバラは観察日記をつけ様子を伺うのだった。

生徒に茶化されることも多いシーバ。ある日、美術室で生徒同士の大きな喧嘩が起こる。困り果てたシーバを助けようと、止めに入ったバーバラ。喧嘩の原因はシーバの悪口を言った生徒に対してスティーヴンという男子生徒が殴り掛かったことだという。この日を境に、バーバラとシーバは距離を詰め始め、行動を共にすることが多くなるのだった。

ある日シーバは自宅にバーバラを招待した。久しぶりに休日の予定が入り、胸を弾ませ準備をするバーバラ。やりすぎない程度に、着飾るのだった。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『あるスキャンダルの覚え書き』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』のあらすじ【承】

当日玄関でバーバラを出迎えたのは、予想と異なる年老いた夫であった。甘やかされて育った娘とダウン症を抱える息子も一緒に食事をする。シーバは作業部屋として使う離れにバーバラを案内し、息子が学校に入れたことで念願の教職に就くことができたと話す。さらに夫と恋に落ちたときはまだ妻帯者だったことや、母親からの愛情が足りなかったこと、シーバの身の上話を聞いたバーバラは仲良くなれると確信するのだった。

学芸会の日、シーバの席を空けておいたバーバラだったがいつになっても姿が見えない。気になったバーバラは美術室に迎えに行ったが、そこには下着姿のシーバの姿が見えた。教室から出てきたのはスティーヴンである。状況を察したバーバラは翌日シーバを呼び出し、話を聞くのだった。

シーバは赴任初日にスティーヴンに心を奪われたと語る。学習障害を持ち美術を専攻できないスティーヴンは、特別に放課後シーバのレッスンを受けていた。毎日顔を合わせる中でスティーヴンのアピールは強くなっていく。良い妻として、良い教師として理想を貫こうとする反面、求められた喜び逆らえなくなったシーバ。夫の目を欺き、ある夜スティーヴンと一線を越えてしまった。バーバラが仲裁に入った喧嘩の時点で二人はすでに関係を持っていたのだ。公になるのを恐れるシーバの姿を見て、バーバラは共犯関係になることでシーバを手に入れられるのではないかと悪知恵を働かせるのだった。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』のあらすじ【転】

別れるならば学校には明かさないとバーバラが約束したことで、シーバは安心してクリスマスパーティーに参加した。夫の親族や自分の母親が集まる中、スティーヴンからの連絡を確認しシーバは動揺する。母親の嫌味から逃れようと外に出たとき、スティーヴンが待ち構えていた。別れると言うシーバに対してスティーヴンは子犬のような目で縋り付く。シーバは押し切られ、関係はずるずると続いてしまうのだった。

ある日、バーバラの猫が余命宣告を受けた。気持ちの拠り所を求めたバーバラはシーバの元を訪ね、話を聞いてもらったが、時折シーバの携帯には連絡が入っていた。帰ろうとしたバーバラは何者かが離れに向かうのを見かけてしまう。必死に隠そうとするシーバ。その矢先携帯が鳴り、バーバラは咄嗟に電話に出た。相手はもちろんスティーヴンだった。裏切りを許せないバーバラは若い男の子の残酷さを知るべきだと言い残し帰路に就いた。

別れなければならないと必死になったシーバはスティーヴンの家を訪ねた。父親の暴力や病気を抱える母親と暮らしていると聞いていたシーバは、真実を目の当たりにする。さらに「遊びだった」と言い切るスティーヴンに絶望し、別れを決意するのだった。

バーバラの猫が亡くなった。一緒に居て欲しいとシーバを頼るバーバラだったが、その日は息子の発表会があった。家族を優先してしまったシーバに憤慨するバーバラ。その様子が気がかりだったシーバは、次の休みには一緒に旅行をしようとバーバラを誘う。すぐに機嫌が直ったバーバラは、過去に大事にしていた女友達について話すのだった。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』の結末・ラスト(ネタバレ)

シーバに好意を寄せる同僚がバーバラを訪ねてきた。些細な復讐を思いついたバーバラは、スティーヴンとの関係が噂されていると匂わせるのだった。すぐにバーバラの思惑は形になった。スティーヴンの両親がシーバの自宅に押し掛けてきたのである。リチャードに話さざるを得ない状況に追い込まれたシーバは、学校の通報もあり警察に連行された。その頃、この事実を隠蔽していた「共犯者」としてバーバラは疑われ始めてしまう。

実は以前も同僚の女性に好意を寄せ、接近禁止命令を出されてしまっているバーバラ。校長と同僚たちの視線に追い込まれ辞職するしか道はなかった。その頃シーバも夫に別居を申し込まれ、居場所を失っていた。マスコミの執拗な追い立てに耐えながら、バーバラの自宅に身を寄せることになったシーバ。バーバラは嬉しい状況が続くが、ある日シーバはバーバラの書いた自分の観察日記を見つけてしまう。

バーブラの思惑と裏切りに怒り狂ったシーバは、自らマスコミの前に立ち夫のいる自宅に戻っていく。シーバを失ったバーブラ。シーバについてまとめた記事を読む若い女性に「私は同僚だ」と声をかけたバーバラは、懲りずに孤独を埋めてくれる存在を探すのだった。

映画『あるスキャンダルの覚え書き』の感想・評価・レビュー

孤独が生む人生の弊害を見た。ロマンチックになり得る一目惚れは、歪んだ愛情へと変わっていく。家族よりも自分を優先して「猫の死の哀しみ」を共有してくれると思い込んでいたバーバラの暴走。原作を拝読できていない以上、当作ではこの愛情の全貌は追い切れていないようにも思える。終盤畳みかける、名女優2人のぶつかり合い。ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット両名は同時期にエリザベス1世を演じており、演技合戦が話題にもなった一作である。第79回アカデミー賞では4部門にノミネートされているだけあり、見ごたえのある95分であった。(MIHOシネマ編集部)


私がもしバーバラのような先輩に出会ったらシーバと同じように陥れられてしまうのかもしれないと恐怖を感じてしまいました。人間関係を築くのが苦手な私は、友人を作るくらいなら一人でいる方が楽だと思って生きてきました。しかし、職場で接する上司や先輩、年上の同僚とは気兼ねなく話すことができます。これはまさにバーバラの格好の餌食でしょう。
もし他人に知られなくない秘密があるのなら、友人との関わりを断ち、誰にも打ち明けること無く1人で秘密を守りきるしかないのだと感じてしまいました。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー