この記事では、映画『先生を流産させる会』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『先生を流産させる会』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『先生を流産させる会』の作品情報
上映時間:62分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:内藤瑛亮
キャスト:宮田亜紀、小林香織、高良弥夢、竹森菜々瀬 etc
映画『先生を流産させる会』の登場人物(キャスト)
- サワコ先生(宮田亜紀)
- 中学1年生のクラスを受け持つ少し性格のキツイ女教師。妊娠4か月目になりながらも、教鞭を振るう一方で、生徒たちからの嫌がらせやモンスターペアレントに悩まされる。
- ミヅキ(小林香織)
- 不良グループのリーダー。妊娠したサワコ先生に異常なほどの嫌悪感を抱く。
- フミホ(高良弥夢)
- 不良グループの一員。口数は少なく大人しい性格のため、ミヅキのすることに反対ができない。母親がモンスターペアレント。
映画『先生を流産させる会』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『先生を流産させる会』のあらすじ【起】
中学校教師のサワコは、正義感が強くしっかり者だが少しだけ融通が利かない真っ直ぐな人物。生徒たちからは、怖いと思われる他にウザがられている面もある。
自分が担任をしているクラスの生徒、ミヅキたちに妊娠中か聞かれ、サワコはそうと答える。ミヅキは、サワコがセックスをして妊娠したことに対して嫌悪感を抱いた。
ミヅキたちは不良グループに分類され、人家から離れた場所にある潰れたラブホテルをたまり場にしていた。
グループ内のフミホは、ヒステリックで過干渉の母親を持つ。母親は連日サワコの妊娠について学校に電話を掛けクレームを入れ、更に手紙でも抗議する人物。ミヅキの家は、自宅の電話番号も緊急連絡先の携帯電話も不通で、ミヅキについては全くの無関心。彼女たちはどこか問題を抱える家庭に育っていた。
そしてある日、ミヅキたちはスーパーマーケットから5つの指輪を万引きし、ホテルで指輪をはめ合い「先生を流産させる会」を発足させる。
理科の時間、ミヅキたちは先生の目を盗んで薬品をいくつかくすねる。サワコの給食のスープに薬品を入れ、スープを飲んだサワコは生徒たちの前で嘔吐する。
保健室で休んでいるサワコを訪ねたミヅキは、サワコのお腹を触りながら、保健医にいつから人間になるのかと聞く。保健医は、8週間から胎児と呼ばれるよと答えた。
映画『先生を流産させる会』のあらすじ【承】
ホームルームの時間、サワコは給食に異物が混入されていたことを生徒たちに話す。そして、心当たりがある人は手紙を書いてと生徒に伝えると、ミヅキたちが容疑者として浮上する。
しらばっくれるミヅキたちに、サワコはもしも自分たちの赤ちゃんが、誰かのいたずらで死んでしまったらどうするかと問う。「訴える」や「分からない」と答える生徒たちに続いて、ミヅキは「生まれていなかったから、なかったことにする」と答えた。
困惑するサワコに、ミヅキが逆に先生ならどうするのか問い返すと、サワコは何の迷いもなく殺すよと答えた。
サワコたちが話している場に、他の先生の制止も聞かずフミホの母親が乱入してくる。有無も言わさずサワコにがなり立て、生徒を犯人にするサワコに恥を知れと怒鳴った。
ミヅキたちは懲りずにサワコのイスにいたずらを仕掛け、授業中、サワコは座っていたイスが壊れ転倒する。クラス中で笑い声が響き渡り、怒りが頂点に達したサワコはミヅキたち5人に平手をした。
教頭と学年主任たちと保護者が集まり、平手をしたことを保護者に謝罪する。フミホの母親は特にヒステリックに騒ぎ立てた。
平手をされたミヅキたちは、それでも次の策をどうしようか笑いながら話し合う。フミホがまだやるのと聞くと、ミヅキはまだ終わってないと笑う。
映画『先生を流産させる会』のあらすじ【転】
サワコはミヅキたちの根城のラブホテルを突き止め待ち伏せをし、今後一切こんな遊びをやめるようにと釘を刺す。しかしミヅキは、理科室から硫黄などの劇薬を盗み出した。
しかし次第に、他の友人たちはミヅキのやることに手を貸さなくなる。ミヅキは、平手の事件以来学校に来ていなかったフミホの家を訪問する。フミホの母親が、フミホを巻き込むなとミヅキを追い返すが、母親の隙を見てミヅキはフミホを呼び出す。
フミホがいなくなったことでパニックになった母親は、事情を話してサワコと一緒にフミホを探す。
ガスマスクをしながら劇薬を作り上げたミヅキとフミホは、フミホを呼ぶ母親の声でハッと顔を上げる。その瞬間、ミヅキはフミホのガスマスクを取り上げ、劇薬が充満する部屋にフミホを閉じ込める。
母親とサワコが駆けつけたとき、フミホの意識は朦朧としており、人工呼吸をしてようやく息を吹き返した。サワコがミヅキを探すと、ミヅキは武器を手にサワコに襲い掛かる。
なぜこんなことをするのかサワコが問うと、ミヅキは気持ち悪いからと答えた。お腹を殴られ、倒れたサワコの足の付け根から大量の血が流れ出す。満足したとミヅキに問い、サワコはミヅキの指輪を奪い取る。
そのとき、フミホの母親がミヅキに襲い掛かり、サワコは咄嗟にミヅキを庇う。意識を取り戻したフミホが母親を止め、母はフミホを抱きしめ涙を流した。
映画『先生を流産させる会』の結末・ラスト(ネタバレ)
学校では変わらず授業が進められ、サワコの代わりに新任の先生がミヅキたちのクラスを受け持っていた。
フミホはずっと学校へ行っておらず、心配する母親がフミホに新しい服を買い与える。フミホに着てみるよう勧めるが、フミホは自分で買うからと母親に服を突き返した。
ミヅキは児童相談所で、今回の件は殺人事件にならず、不同意堕胎罪と傷害罪だけだからと説明を受ける。児童相談所から外へ出ると、サワコが喪服を着てミヅキを迎えに来ていた。
2人は無言のまま一定の距離を開け川の近くまで歩く。サワコがミヅキに小さなスコップを渡し、地面に穴を掘るよう依頼する。なぜ自分が穴を掘るのかと問うミヅキに、親族が掘ってはいけないのとサワコは力なく答えた。
穴に胎児の入った木箱を埋め、サワコが手でゆっくりと土を被せると、それを見ていたミヅキもゆっくりと土を被せ始める。山になった土の周りに風車を飾り、花を供え、2人は手を合わせる。
サワコはミヅキと真っ直ぐ向かい合い、いなかったことになんてできないのと告げる。風が吹き、風車のカラカラと言う音が響いた。
映画『先生を流産させる会』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
2009年に愛知県半田市で起こった事件をモチーフとし、大幅に脚色したサスペンス作品。内藤監督のデビュー作。
とにかくタイトルの通りの衝撃的な内容で、不快感極まりなく観ていて怒りが込み上げてきた。先生を流産させようといたずらを仕掛ける生徒たちや、モンスターペアレントの登場で更にイライラした。
特に、「流産させる会」結成後の儀式など、中学生の描写にリアリティーがあった。
思春期の中学生たちの異常な思考や、性に対する嫌悪感には狂気を感じ、結末にもとても考えさせられた。(女性 20代)
多感な時期って大人には想像もできないようなことを考えていて、止めてくれる人がいなければ、善悪の判断も出来ないままそれを実行に移してしまうのかなと怖くなりました。
性に対して興味を持つ人もいれば、嫌悪感を持つ人もいるのは理解できます。しかし、それは自分が感じるものであって、他人のそれについてまるで八つ当たりのようなことをするのは絶対に間違っています。
全てを親のせいにするのは良くないと思いますが、中学生くらいの年頃の子供にはまだ親の支えや教えが必要なんだなと感じました。(女性 30代)
最初はタイトルのインパクトに惹かれて観ましたが、想像以上に内容がヘビーでした。実話が元になっていると思うと、怒りや悲しみが湧いてきます。女子中学生の残酷な行為と、そこに至るまでの人間関係や家庭の背景が丁寧に描かれていて、ただのショッキングな話では終わりません。ラストで先生が涙を流すシーンには、感情を押し殺してきた分の全てが詰まっていて、静かながら強烈な印象を残します。(20代 男性)
娘を持つ母親として、本当に怖かった。学校という場所で、ここまでエスカレートした行動が実際に起きるのかと、ただただ震えました。娘がこうなったらどうしよう、と頭の中をぐるぐるしました。子どもたちの心の声を誰も拾ってあげなかったことが、こんな結末を生んだのかと思うと、親としての責任を強く感じました。先生の苦悩と無力感がリアルで、涙が止まりませんでした。(50代 女性)
正直、タイトルだけだとセンセーショナルなだけのB級映画かと思ってましたが、蓋を開けてみると社会派で、しかも感情にズドンとくる内容でした。演出が静かで、だからこそ余計に中学生たちの「狂気」が浮かび上がって怖いです。先生が一人で問題に向き合おうとする姿は痛ましく、周囲の大人たちの無関心さがこの事件の背景にあると思わされました。考えさせられる名作です。(30代 男性)
生徒がここまでのことをやってしまうなんて信じられなかったけれど、観終わったあとで冷静に考えると、無視できない現実だと思いました。最近の中学生の残酷さ、精神的な成熟度の低さ、そして親の責任。学校も親も子どもをコントロールできていない現実が重くのしかかります。子どもたちもまた犠牲者なのかもしれないという視点が描かれているのが良かったです。(40代 女性)
学校の現場を知る身として、あまりにもリアルで震えました。教師の立場から見ても、無力感や理不尽さが痛いほど伝わってきます。特に印象的だったのは、周囲の大人たちが何も気づいていない、あるいは見て見ぬふりをしていること。この作品は、「教育の限界」ではなく、「社会全体の責任の放棄」を鋭く突いています。多くの人に観てもらいたい作品です。(50代 男性)
女の子たちの「無感情な悪意」が本当に怖かったです。特にリーダー格の美香は、感情が欠落しているようで、人間とは思えない冷たさがありました。でも、それもまた彼女の家庭環境が作った人格であるということが分かってくると、単に「悪い子」で片付けられない構造になっていて見応えがありました。先生の苦悩に共感して、最後は一緒に泣いてしまいました。(20代 女性)
「先生を流産させる」なんて狂気の沙汰ですが、その動機に関しては大人たちの無理解や放置が要因になっているのが分かる作りでした。子どもたちは「悪意の鏡」だとよく言われますが、まさにそれを体現したような作品。後味は決して良くないけれど、観る価値は十分にある重厚な社会派映画。教育や親子関係に少しでも関わる人には、ぜひ観てほしいです。(60代 男性)
観終わってからも、ずっと心がザワザワしてます。子どもたちの表面的な無邪気さと、裏にある冷酷な行動のギャップが恐ろしく、でも現代社会において全く他人事とは思えません。SNSでのいじめが問題になっている今、この映画のような出来事が実際に起きてもおかしくない時代です。「見えない暴力」の怖さと、子どもたちの心の叫びを受け止める大人の重要性を痛感しました。(30代 女性)
映画『先生を流産させる会』を見た人におすすめの映画5選
告白
この映画を一言で表すと?
復讐と罪の境界線を問う、戦慄の心理サスペンス。
どんな話?
愛娘を生徒に殺された中学校教師が、静かに、そして冷徹に復讐を始める物語。淡々と語られる衝撃的な告白と、その後の生徒たちの心理の変化が、緊張感をもって描かれます。正義と報復の境界が揺らぐ問題作。
ここがおすすめ!
教師と生徒、そして親たちの心理を多角的に描いた作品で、『先生を流産させる会』と同様に“子どもの残酷さ”を真正面から描いています。中島哲也監督の美しい映像と不穏な演出が心に残ります。
ミスミソウ
この映画を一言で表すと?
雪の中で繰り広げられる、壮絶すぎる復讐劇。
どんな話?
転校先で壮絶ないじめに遭い、家族を失った少女・春花が、次第に狂気に染まりながら復讐を遂げていく姿を描いた作品。美しい雪景色と、そこに広がる血と憎しみの対比が圧巻です。
ここがおすすめ!
生徒同士のいじめがエスカレートしていく様子や、それに無関心な周囲の大人たちの描写がリアルで胸に刺さります。『先生を流産させる会』と同じく、学校という閉鎖空間の恐ろしさがじわじわと伝わってきます。
エレファント
この映画を一言で表すと?
日常の静寂の中に潜む、暴力の予兆と不条理。
どんな話?
ある高校で実際に起きた銃乱射事件をモチーフに、加害者と被害者それぞれの日常を淡々と追いながら、事件当日へと進んでいくドラマ。カメラはただ歩くだけなのに、不安と緊張が徐々に高まっていきます。
ここがおすすめ!
「なぜ、こんなことが起こったのか」に明確な答えを出さず、観る側に問いを突きつけてくる構成が印象的。『先生を流産させる会』が描いた“子どもの暴力の無感情さ”と共鳴する重苦しい一作です。
ぼくたちの家族
この映画を一言で表すと?
“普通の家族”の崩壊と再生を描いたリアルな人間ドラマ。
どんな話?
突然、母が脳腫瘍と診断されることで、平凡に見えた家族の関係が少しずつ綻び始め、やがて向き合うことになる絆と現実の物語。心の奥にある“本当の想い”をじっくり描いています。
ここがおすすめ!
生徒たちの家庭環境の描写が印象的だった『先生を流産させる会』の流れで見ると、家族という単位がどれだけ人の人格形成に影響を与えるかを痛感させられます。池松壮亮の演技も秀逸です。
氷の轍
この映画を一言で表すと?
静けさの中に潜む痛みと真実に迫る、女性刑事の孤独な闘い。
どんな話?
北海道を舞台に、女性刑事が孤独死した男性の不可解な死を追ううちに、戦争の記憶や差別、家族の秘密が浮かび上がっていくサスペンス。過去と現在が静かに交差していきます。
ここがおすすめ!
表面では穏やかに見えるものの、その下に潜む深い闇や心の傷を掘り下げていく展開は、『先生を流産させる会』にも通じる静かなる衝撃を持っています。孤独な女性の視点も共通点のひとつです。
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