映画『千と千尋の神隠し』の概要:10歳の千尋が迷い込んだ世界には独自の掟があり、不思議なキャラクターたちが湯婆婆の経営する「油屋」でせっせと働いていた。宮崎駿ワールドが炸裂した長編アニメ映画。国内外で数多くの映画賞を受賞。アニメ映画の枠を超えて世界中から絶賛される傑作で、唯一無二の存在感を放つ。
映画『千と千尋の神隠し』の作品情報
上映時間:125分
ジャンル:アニメ、ファンタジー
監督:宮崎駿
キャスト:柊瑠美、入野自由、夏木マリ、内藤剛志 etc
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映画『千と千尋の神隠し』の登場人物(キャスト)
- 荻野千尋 / 千(柊瑠美)
- 10歳。軟弱なひとりっ子だがまじめで素直。引越し先で異世界に迷い込み、豚にされた両親を救うため湯婆婆の経営する油屋で働く。そこで湯婆婆に本当の名前を奪われ、千になる。ハクとは不思議な縁で結ばれている。
- ハク(入野自由)
- 普段は少年の姿をしているが竜にもなる。魔法使いになりたくて湯婆婆に弟子入りした。自分の本当の名前は思い出せないが、なぜか千尋のことは覚えていた。
- 湯婆婆 / 銭婆(夏木マリ)
- 湯婆婆は八百万の神相手のお湯屋「油屋」を経営する強欲な魔女。人の名前を奪い支配する。息子の坊を溺愛している。働かないものは容赦なく動物や炭に変えてしまうが、働くものには仕事を与える誓いを立てていて手が出せない。
銭婆は湯婆婆の双子の姉。姿形は湯婆婆にそっくりだが、静かな暮らしを好む心優しい魔女。“沼の底”と呼ばれる場所の森の奥に住んでいる。
- リン(玉井夕海)
- 油屋の従業員。口は悪いが気のいい女で千尋の面倒を見てくれる。イモリの黒焼きが好き。
- 釜爺(菅原文太)
- 油屋の罐焚き男で薬湯の調合もしている。伸縮可能な6本の腕を持つ奇怪な姿の爺さん。ススワタリを“チビども”と呼び、部下にしている。ススワタリの餌は金平糖。
- カオナシ(中村彰男)
- 通常は言葉を発しない大人しい生き物だが、呑み込んだキャラクターによって人格や姿が変わり凶暴化していく。なぜか千尋に執着し、千尋を欲しがる。謎だらけのキャラクター。
- 坊(神木隆之介)
- 湯婆婆のひとり息子の巨大な赤ん坊。過保護に育てられ外の世界を知らなかった。銭婆の魔法でネズミになり、千尋についていく。
映画『千と千尋の神隠し』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『千と千尋の神隠し』のあらすじ【起】
千尋と両親は引っ越し先の新居へ向かっていた。転校したくなかった千尋は車内でふてくされて母親に怒られる。能天気な父親は道を間違えたことを面白がり、山道を進む。その先は行き止まりで、目の前にトンネルがあった。
車を降りてトンネルに入っていく両親に千尋は渋々付いていく。トンネルを抜けると廃墟のような建物が点在する広い場所に出る。美味しそうな匂いに誘われ先へ進むと通りに飲食店が並んでいた。しかし誰もいない。両親は大皿に盛られたご馳走を勝手に食べ始め、千尋は仕方なく辺りを散策する。
橋の向こうには豪勢なお湯屋「油屋」があった。千尋は橋の上で謎の少年に“川の向こうへ走れ!”と急かされ、両親のもとへ戻る。そこにいたのは巨大な豚と化した両親だった。
建物に灯りがともると、不思議な生き物たちが集まってくる。千尋はパニックになり、川のほとりで怯えていた。そこへ先ほどの少年が現れ、千尋を助けてくれる。
千尋は少年に導かれ油屋の敷地内に入る。この世界では人間が毛嫌いされており、千尋は慎重に行動する必要があった。少年は千尋にこの世界で生きるための掟を伝授する。ハクと名乗るその少年はなぜか千尋のことを知っていた。千尋は両親を助けるため、ひとりで釜爺のいるボイラー室へ向かう。
千尋は“ここで働かせてください”と釜爺にお願いする。釜爺は困惑しながらもちょうど飯を運んできたリンに千尋を湯婆婆のところへ連れていくよう頼んでくれる。リンはヤモリの黒焼きで買収され、千尋の世話を引き受ける。
映画『千と千尋の神隠し』のあらすじ【承】
リンに案内してもらい、千尋はひとりで湯婆婆と対面する。湯婆婆は魔法を使ってわざと千尋を怖がらせ、弱音を吐かせようとする。千尋は夢中で湯婆婆に食い下がり、何とか契約までこぎつける。湯婆婆は契約書のサインから千尋の名前を奪い、ここでは“千”と名乗るよう命じる。そしてハクに千尋を託す。千尋はハクの冷たい態度に困惑する。
ハクは従業員たちに千尋を紹介し、リンに面倒を見るよう命じる。従業員たちは人間の千尋を嫌がるが、リンは千尋の無事を喜んでくれる。雑魚部屋に案内された千尋は疲れが出て寝込んでしまう。
早朝。ハクは密かに千尋を呼び出し、豚になった両親に会わせてくれる。ハクは千尋を心配し、千尋の所持品やおにぎりを用意してくれていた。千尋はハクの優しさに感謝し、元気を取り戻す。千尋と別れたハクは竜になってどこかへ行ってしまう。
千尋の仕事が本格的に始まった。千尋はリンにしごかれながらせっせと働く。千尋は雨降る庭に佇んでいたカオナシを油屋に招き入れる。その時、湯婆婆は異変を感じていた。
汚れた風呂釜の掃除を押し付けられたリンは千尋に薬湯の札をもらいに行かせる。番台では札をくれないが、カオナシが千尋に札をくれる。カオナシは風呂場にも現れ、多くの札を千尋に差し出す。しかし千尋は受け取らない。
油屋に巨大な腐れ神がやってくる。千尋は汚物の塊のような腐れ神の世話を任され、風呂場へ案内する。腐れ神は風呂へ入るが、湯はすぐに汚れてしまう。千尋はカオナシが出した札を使って足し湯をし、腐れ神の体に何かが刺さっているのを見つける。腐れ神の正体は大量のゴミで汚れた高名な川の神だった。神は千尋に苦団子をくれ、油屋に砂金を落としていく。湯婆婆は大儲けだと喜び、千尋の奮闘を褒めてくれる。
映画『千と千尋の神隠し』のあらすじ【転】
営業終了後。砂金を探しに来たカエルは、カオナシに呑まれてしまう。カオナシは手の平から何でも出すことができた。カオナシはカエルそっくりに喋り出し、砂金をばらまいてお大尽遊びを始める。
千尋が目覚めると雑魚部屋には誰もいなかった。下ではカオナシのばらまく砂金目当てに従業員たちが集まっていた。金に興味のない千尋は上へ戻り、紙の鳥に襲われている竜を見つける。その竜がハクだとすぐにわかった千尋は、血だらけのまま湯婆婆の部屋へ向かった竜を追っていく。
途中で会ったカオナシは大量の砂金を見せて千尋を誘惑するが、千尋は見向きもしない。カオナシは苛立ち、近づいて来た従業員2人を呑み込んでしまう。
湯婆婆の部屋へ侵入した千尋は、目を覚ました坊に捕まってしまう。自分と遊ぶようしつこくせがむ坊を振り切り、始末されそうになっていた竜を助ける。紙の鳥に姿を変えて千尋に貼りついていた銭婆は正体を現し、坊をネズミに、湯婆婆の手下の湯バードをハエに、三匹の頭を坊に変えてしまう。竜は最後の力を振り絞って銭婆を追い払い、千尋とともに落とし穴から落下する。落下する途中で千尋はある感覚を思い出す。
落ちた先は釜爺のいるボイラー室だった。竜は湯婆婆の命令で銭婆の契約印を盗んだため、強い魔法で命を食い荒らされていた。千尋が川の神にもらった苦団子を飲ませると、竜は判子と変な虫を吐き出す。千尋はその虫を踏み潰す。すると竜はハクの姿に戻る。千尋は銭婆のところへ行き、判子を返してハクを助けてくれるよう頼んでみることにする。
映画『千と千尋の神隠し』の結末・ラスト(ネタバレ)
千尋は銭婆のところへ行く前に凶暴化したカオナシに会いに行く。自分を欲しがるカオナシの口に千尋は苦団子を放り込む。汚物を吐きながら追ってくるカオナシを、千尋は建物の外へおびき出す。途中でカオナシは従業員2人を吐き出し、海に出てカエルも吐き出す。するとカオナシはもとの大人しいカオナシに戻り、黙って千尋に付いてくる。
千尋はカオナシとネズミになった坊とハエになった湯バードを連れ、釜爺にもらった切符で電車に乗る。銭婆は“沼の底”という場所に住んでいた。
湯婆婆は勝手に油屋を出た千尋に激怒していた。元気になったハクは湯婆婆のところへ行き、坊が偽物であると気づかせる。ハクは銭婆のところから本物の坊を連れ帰る代わりに千尋と両親を人間の世界へ戻してくれるよう湯婆婆に頼む。
銭婆は快く千尋たちを迎えてくれた。千尋は誠意を持って銭婆に謝罪し、判子を返す。銭婆は怒っておらず、千尋にお守りの髪留めをくれる。千尋が帰ろうとした時、竜になったハクがやってくる。銭婆はハクを許して、カオナシを引き取ってくれる。
竜に乗って空を飛んでいる時、千尋の中で幼い頃の記憶が蘇る。それは「コハクガワ」という川へ落ちた時の記憶だった。千尋がその名前を口にすると竜はハクの姿に戻り「ニギハヤミコハクヌシ」という自分の本当の名前を取り戻す。ハクはマンション建設により埋められてしまった川の神だった。
油屋へ戻った千尋は湯婆婆のテストを受ける。似たような豚の中から両親を見つけるというテストで、千尋はその中に両親はいないと答える。答えは大当たりだった。千尋は湯婆婆との契約から解放され、ハクと川まで走る。再会を約束してハクと別れた千尋は、トンネルの手前で人間に戻った両親と合流する。両親は何も覚えていなかった。
トンネルを出て、千尋はもとの世界に戻る。トンネルを見つめる千尋の髪には銭婆のくれた髪留めが光っていた。
映画『千と千尋の神隠し』の感想・評価・レビュー
日本の伝統や文化が幅広く盛り込まれていながらも、どこか外国的な印象を受けるのは私だけではないだろう。盛大な祭りや祝い事が日常的に繰り広げられている舞台は、どことなく神秘的な雰囲気がある。
人間のように見えるけれど人間ではない、どこか遠い世界に引き込まれていくようだ。
気弱な主人公が生き延びるため、助けを借りながらもしっかりと自分の足で力強く歩いていく姿は、最初に比べるとまるで別人になったかのようだ。(女性 30代)
カオナシが千に執着したのは、それまで自分の周りにいなかったタイプだったからかと想像します。金を作り出した時にそれを「いらない」と言った千。名前を奪われ元の自分を半分忘れかけながらも、両親を助けて元の世界に戻る強い思いがあったからだと思います。
好きなシーンは坊がネズミから元の姿に戻りたくないと、フルフル顔を横に振るシーンです。千尋といた短期間でワガママいっぱいの自分から、色々考えることがあったのかもと思いました。(女性 40代)
この作品は未だに様々な考察をされている程、登場人物や、ストーリーの組み立てられ方が独特である。
主人公の千尋が不意に不思議な世界に迷い込んでしまい、あげく湯婆婆に自分の名前を奪われ、風呂屋で働く事を余儀なくされてしまう。
今だからこそ慣れてしまったが、初見の湯婆婆はなかなか恐ろしいものがあり、当初千尋も気落とされていたが、最終的にそんな湯婆婆を毅然と相手に出来るようになるなど、後半の千尋の成長ぶりは見ていて、これがなかなか面白いのである。(男性 30代)
最初は少し生気の無かった顔をしていた千尋ですが、湯屋で働き、様々な経験を積んだ後は、生き生きとした表情をするようになったと感じました。序盤の千尋が少し暗い目をしていたのは、不思議な世界に来る以前、嫌なことがあったからだと思います。引っ越しの不安、仲良しだった友達との別れ、自分勝手な父親、過度に放任主義な母親など、小学4年生の彼女には、きっと耐えきれないことばかりだったのでしょう。しかし、向こうの世界で、スリリングでドラマチックな体験をしたことで、千尋の世界観が変わり、前向きで明るい性格になれたのだなと感じました。(女性 20代)
出てくるキャラクターの個性が強く、初めて見たときに衝撃を与えられた。ストーリーも濃く、はらはらどきどきしながら見られ、最後のシーンも神秘的で見るものを魅了していた。千の素直で負けず嫌いな性格と、ハクの何故か透き通って繊細に見える演出も面白く、カオナシの登場や湯婆婆の強烈な威圧感も見所であり、すべてのキャラクターに愛着が沸くような感覚になった。(女性 20代)
言わずと知れた大ヒット作。もやもやしないハッピーエンドが嬉しい。
描かれている景色全てが魅力的だ。時々見返してはその景色の中を散歩する。
主人公の両親は、あろうことか店員のいない店の食べ物を勝手に食べて豚にされてしまうような体たらくだが、主人公はその分短時間で成長をする。主人公が見せる、いきなり全く知らない世界に置かれても働いて食べて生きていける力に、どこか勇気に近い物を貰える。
子供向けに作られたというが、大人にも優しい作品。(男性 40代)
ジブリ作品でも一、二を争う人気作だろう。トンネルの先にあるのは普段の日常とは違う世界。両親とはぐれた千尋が、ひょんなことから油屋で働きながら成長していく姿を見ることができる。
神様が住まう世界ということもあり、個性的なビジュアルのキャラクターが多い。作品を観た人のなかには、カオナシがトラウマになった人もいるのではないかと思う。
最初は右も左も分からなかった千尋が、最後には自分で判断して決定できるようになる。両親を見分ける心の目も磨かれ、強い心を持って湯屋をあとにした千尋の背中はたくましく見えた。
大人になってから観ても多くの発見ができる作品だと感じた。(女性 20代)
ジブリ映画の中でも、ナンバー3に入る作品です。何度見ても自然と泣けてしまいます。特にラストの展開が素晴らしいです。
ストーリーはジブリ独特の世界観ですが、他のジブリ作品とは違い、どこか現実の世界も入り込んだような不思議な感覚で進んでいきます。
特に、主人公の成長が切に感じられ、その度に応援してしまいます。
この作品は今までに数えきれないくらい見ていますが、その度に違う目線で見ることができ、違う感情が生まれてきます。
生活や環境が変わるたびに、見直したい作品です。(女性 40代)
一見してとっ散らかった物語の進展に思えるが、何故かとても面白い。
主人公が等身大の10代の少女で、特別な何かをもっているわけではないゆえに感情移入もしやすく、千尋と一緒に神隠しにあったような気持ちになる。さらにはキャククター達のデザインが素晴らしいし、風景も美しい。なにより久石譲の音楽が暖かく、懐かしい感情を呼び覚ます。特に『あの夏へ』は名曲。聞くだけで夏の風景が広がり、作品の空気に体全体を包まれる。
見るたびに新たな発見があるので、定期的に見返したくなる作品だ。(男性 30代)
基本的にジブリ作品は何度観ても面白いのだが、この『千と千尋の神隠し』については、観れば観るほど面白い、と個人的には思っている。
つまり言い換えれば、一度観ただけではその良さはわからない、ということだ。
実際、初めて観た時はひどくあいまいな印象で、他のジブリ作品と比べてそれほど好きではなかった。だが、その不思議な世界観と美しい音楽に惹かれ何度か観ているうちに、自分の中で様々な解釈が出来るようになり、最終的には心の底から面白いと感じるようになった。今では他のジブリ作品と肩を並べるくらい大好きな作品である。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
日本が誇るジブリ映画の中で一番好きな作品。その世界観と何度も見返したくなるシーンの数々に小学生の時にとても惹かれていた時期があったのを思い出す。千尋が食べていたおにぎりやあんまんみたいなのが美味しそうでいつも好きなシーンだった。
当初観たときは怖かったが、毎年年齢を重ねるごとに観ていくと、子供のときは理解できなかった側面とかに気づきさらに映画の深みが増していっているので、素晴らしい作品だと改めて思った。「いのちの名前」は何度聞聴いても懐かしさで胸がいっぱいになる。
小さい頃から何度も見てきた映画。見る年齢が変わると感じることも変わって、結末も知っているはずなのに、いつ見ても感動する。かつては千尋と同じ年で、千尋の感覚で見ていたが、いつか千尋の母親と同じ立場でこの映画を見ることになって、その時もきっと私は涙するのだろう。トンネルを抜けた先にある神様たちがいる街なんて、私たちは当然見たことも行ったこともないのに、どこか懐かしくて、無性に切なくなる。多くの日本人の琴線に触れるのは、やはりこの作品が名作だという証だと思う。
宮崎駿監督による日本映画史に残る長編アニメーション興行収入308億円というトップクラスの記録を誇る作品だ。
ネットでは、宮崎駿が込めたとされる裏メッセージがまことしやかに取り沙汰されているが、小難しいことは抜きにして、千尋が迷い込んだ不思議な世界を堪能してほしい。
魅力的なキャラクターが多数。その間には友情も芽生え、千として千尋が成長していく姿は、親のような目線で見てしまう。
そして、カオナシという独特のキャラが何か悪い暗示のようで、物語を引っ張るが、カオナシの寂しさに気づくのも千なのだ。人の優しさを改めて感じさせてくれるアニメである。
わたしはこの作品を観た当時は小さかったこともあり、しばらくはトラウマ作品でした。カオナシから感じる恐怖感が今までも何故か抜けません。今でこそかろうじて観られますが、親が豚に変わってしまうシーンや、ハクが竜で呪いの紙と戦ってくれるシーン、最もカオナシが湯屋の人や物を食い散らかすシーン…どれもが今もなおトラウマであります。それでも名作だと思う、感動するのは何故でしょうか。未だにわからない感情ですが、ただ漠然とこれもまたジブリのすごさなんだろうと思っています。
映画の冒頭からワクワクできて、何度見ても楽しめます。湯屋の建物の美しさ、八百万の神やなど日本古来の文化や伝統の美しさ、面白さを再確認できる作品でした。大人になって見ると物語を通して千尋が段々強くなって成長するところにウルッときてしまいます。そして、顔ナシや湯婆婆、坊やリンやハクなどの個性的なキャラクターがこの作品の魅力、またそういったキャラクターの謎や、意味深なシーンなど様々な考察ができるのも、この作品の魅力だと思います。
千尋の成長を嬉しく思う分、最後の別れのシーンがとても寂しく思う映画だ。無事に千尋が暮らす本来の世界に戻れた筈なのに、これで良かったのか?と後ろ髪を引かれる思いだった。油屋に残ればハクやリンそして釜爺などの優しい人達に囲まれて生きていけるのに、どうして帰るのか。子供の頃は、そんな疑問ばかり抱いた。大人になった今でも、この答えは分からない。しかし辛いことや壁にぶつかった時に、ふとこの映画を思い出す。そうすると、不思議と問題に向き合える。相変わらず答えは見つからないが、この作品からは不思議と勇気をもらえる。
あまりにも有名で人気なジブリ作品の1つ『千と千尋の神隠し』実はこの作品がとても苦手で、観るのを避けていました。千尋のお母さんがめちゃくちゃ冷たいんですよね…。暗闇を歩いている時は怖くてくっついて来る千尋に対して「歩きづらいから離れて」なんて言うくらい。暗闇をぬけたらお父さんもお母さんも勝手にご飯を食べて豚になってしまう。こんなイメージしか無くて苦手だったんです。
改めて見返してもイメージは払拭されませんでしたが、大切にしなきゃいけないものは何なのか考えさせられる作品でした。
宮崎駿作品というと、少女が様々な経験をして感動を呼ぶ映画が少なくない。この作品も少女が主人公だが、他の作品と違うのはその少女が最初はなんとも頼りない子であることだ。
生気がなく、覇気のない女の子だった千尋が、迷い込んだ不思議な世界の「油屋」で仕事をし、恐ろしい体験をしながら、驚くべき成長を見せる。まるで世の中を知らなかった若者が、社会に出て色々と揉まれ、逞しい大人に成長するような感じだ。何でも経験をすることが一番の成長に繋がるのだと教えてくれる。
千(千尋)に執着するカオナシは、現代のストーカーを思わせる存在であり、自分の居場所を見つけられない者が一人の人間に執着してしまう様子を哀れに感じた。
最初は弱々しかった千尋も、油屋で働きながら周りとの交流の中で強く成長していき、その印象の違いが繊細に表現されていて素晴らしかった。
全てのキャラクターが一度見たら忘れない強烈な個性で、それでいてなぜか愛着をもてる不思議な魅力がある。
従業員やカエルを吐き出して大人しくなったカオナシと電車に乗って銭婆のもとへ向かうシーンは、清々しい風景が美しく印象深い。
観る人によって様々な解釈のできる、大人になっても何度でも観返したい素晴らしい名作だ。
宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』は2001年に公開されたスタジオジブリ製作によるアニメーション映画です。
有名すぎる作品ではありますが、何度観ても面白いというのがジブリ作品の凄さで、この作品もやはり何度も観られますし観たくなる作品です。
映像美、建築物のデザイン、ストーリー、千尋とハクの過去など、非常によくできた設定が盛り込まれています。
千尋の両親がブタになってしまうシーン、湯屋の世界、カオナシとの列車のシーンなど、名シーンが散りばめれた傑作です。
子供の頃に見たとき、親が豚に変わってしまうシーンでリタイアした。大人になり再度鑑賞してみると、昔だったら伝わらないメッセージ性を強く感じた。独特な世界観の中に切なさや寂しさを感じる作品である。
宮崎駿監督らしい丁寧な映像と独特の世界観には圧倒される。それぞれのキャラクターに個性を与え、命を吹き込んでいる。名作という一言では片付けられないほどの作品だと思う。
子供の時に観たことがある人も、大人になってもう一度観てほしい。成長と共に面白さも変化していくところが魅力である。
主人公の女の子が豚になった両親を助けるために、不思議な銭湯で働くのですが主人公の成長していく姿と勇敢さには元気づけられます。また、不思議な少年との出会いで変わっていく姿はジブリならではだと思いました。
話しの途中でカオナシと言うキャラクターが出てくるのですが、それは個人的には少し気持ち悪いキャラクターでした。
宮崎駿監督の作品の中でも群を抜いて凄い作品。
気がつけば公開から20年位経つのに、古さを全く感じさせません。
名作ゆえ裏の意味があるだとか、監督のメッセージが隠されているなど憶測も常に飛び交っていますが、何も考えずにただただ楽しみたいです。
もしかしたらもうこの先こんな名作は生まれてこないかもしれない、そう思うと寂しい。
この映画を初めて子供に見せた時は、両親がブタになってしまう所に衝撃を受けていました。
これから子供に見せる人はその反応を楽しんで欲しいです。
主人公の千尋は冒頭で出てきた時、頼りなくてどことなく鈍臭かった。しかし働きはじめ、カオナシへの対応を見てから既に印象が変わってくる。成長したからだろうかと思ったが、元々持っていた勇気や強さが引き出されたのかもしれない。親近感を抱くようで遠い、そんなバランスの良いキャラクターだった。
また、人間とは異なる姿の登場人物たち、懐かしいようで知らない情景の妖しさと美しさ、そんな世界観に半分惹かれ、半分恐怖を抱く。何度でも見返してしまう魅力がある。
所々にヒントを残しつつもジブリ作品特有の余韻を残す終わり方に、観賞後しばらくはハクと千尋がどうなったか、頭から離れない。矛盾がうまく調和した、美しく儚い名作であった。
公開当時、劇場に観に行った時はカオナシが怖くてその日の夢にまで出てくるほどトラウマでしたが、成長と共にどんどん見方が変わりました。大人も子供も楽しめる内容なのに、そこはかとなく寂しくノスタルジックな気持ちになる映画です。町の雰囲気やハクとの別れがそう感じさせるのだと思います。久石譲が手掛ける劇中音楽はもちろんのこと、キャストの演技も素晴らしくキャラクターも個性的で印象に強く残ります。
公開から19年経った今でも日本歴代興行収入ランキング1位をキープし続けていますが、今後もこの映画を超えるアニメ映画は出てこないと思いますし、手書きアニメーション映画の最高峰であり続けてほしいです。
宮崎駿監督作品のアニメ長編映画。ひょんなことから神様たちが暮らす世界に迷いこんだ少女の姿を描く。
宮崎ワールドと呼ばれる、不思議な空間が繊細な描写で描かれた本作は、宮崎作品1,2といってもいいほど、美しい作品。特に神様が暮らす街は見たことない風景のはずなのだがどこか懐かしく感じる。本作は神々の世界の奇抜さにめを取られがちだが、宮崎駿の人々が神様への信仰を忘れてしまった現在に向けて、神々の存在に目を向けるべきだと言うメッセージのように思える。
トンネルの向う側にある世界は一体何なのでしょうか。単純に考えれば、トンネルは「この世」と「あの世」をつなぐ境目で、トンネルの向こう側は「あの世」ということでしょう。彼岸の世界です。だからあの世界には神様がそこら中に存在するし、湯婆婆は魔法みたいなものを使いますよね。此岸とはまるで別の世界だからこそ、我々の好奇心をくすぐってくれるのです。
町並みに赤・朱色が目立つのは、まさにあの世界が彼岸の世界だということをはっきりと表しています。で、湯屋はなんだったの?というと、女性が神様の「風呂」の世話をするということは、そういう場所だということです。
『千と千尋の神隠し』は賛否が分かれると書かましたが、私は大好きです。今までに見たことがないような世界観が広がっていて、神様の造形も面白いし、映像表現はいまだに本作を越えるアニメ映画はないだろう、というほどの素晴らしさ。千尋とカオナシが電車に乗っているシーンは筆舌に尽くしがたい感動がありますよね。あれがアニメの素晴らしさだと思っています。湯婆婆、釜爺、カオナシ、坊など、愛すべきキャラクターがたくさん登場するのもいいんですよね。
ベルリン国際映画祭で金獅子賞を、アカデミー賞で長編アニメ賞を受賞するなど、海外では最も知られているジブリ作品ですが、意外にもアメリカでの興行収入は大したことがなかったそうです。