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映画『SHADOW 影武者』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『SHADOW 影武者』の概要:『三国志』の荊州争奪戦を大胆にアレンジし、領土を奪還する大任を得た都督の影武者が自由を目指して、強敵に立ち向かう。主の都督の陰謀、夫と影武者の間で揺れ動く美しい妻、国王の計略が交差するチャン・イーモウ監督作品。

映画『SHADOW 影武者』の作品情報

SHADOW 影武者

製作年:2018年
上映時間:116分
ジャンル:アクション、歴史
監督:チャン・イーモウ
キャスト:ダン・チャオ、スン・リー、チェン・カイ、ワン・チエンユエン etc

映画『SHADOW 影武者』の登場人物(キャスト)

都督 / 影武者(ダン・チャオ)
8歳の頃、都督とその影武者として出会い、厳しく育てられる。判断力に長け動じない冷静さを持ち、武技にも長けている。都督の命令を忠実に遂行する影武者であるが、人知れず個としての思いに悩まされている。
シャオアイ(スン・リー)
都督の妻。琴の名手で美しい女性。都督を深く愛しているものの、夫と瓜二つで健気な影武者にも惹かれている。夫を立てる妻の鑑。炎国将軍の刀術に対抗できる技を考案する。
ペイ国の王(チェン・カイ)
若きペイ国の王であり策略家でもあるが、怠惰な日常を是としている。妹姫を大切にしているが、計略のために炎国の将軍の息子へ嫁がせようとする。言いなりにならない都督を疎ましく思っている。
ティエン・チャン(ワン・チェンユエン)
ペイ国の家臣で忠心に厚く、都督を支持している。王の計略に異を唱え、官職を解かれてしまう。都督の策略の全てを知る1人。

映画『SHADOW 影武者』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『SHADOW 影武者』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『SHADOW 影武者』のあらすじ【起】

強大な炎国と同盟関係を結ぶことで平和を維持してきたペイ国。若いペイ国の王は同盟を維持することで戦を回避しようと考えていたが、都督はこのまま維持し続けるとペイ国が滅びると危機感を抱いていた。そこで、都督は王に相談もせずジン州を支配する炎国の将軍へ、ジン州を巡っての勝負を挑んでしまう。元々、ジン州はペイ国のものであったため、返還を求めたのである。このことでペイ国の王は激怒したものの先王亡き後、現王を王位へと即位させたのは聡明な都督のお陰でもあったため、彼に諭されると王は強く言い返せないのであった。

そこで、王は都督と都督夫人シャオアイに琴の合奏を所望。シャオアイは琴の名人で都督との合奏は素晴らしいと評判だった。しかし、シャオアイは夫の意を汲みジン州を取り戻すまで琴は弾かないと頑なに固辞。弾くならば指を詰めるとまで言い放ったが、王は我こそが天意だと宣う。シャオアイは仕方なく琴を弾き即座に指を詰めようとしたが、都督は職を辞す勢いで妻を守るのであった。

王はどうにか開戦を回避するべく、唯一の家族である妹を炎国将軍の息子へと嫁がせようと考える。
実は、現在都督として活躍している人物は、都督の影武者であった。本物の都督が1年前の刀傷で病になってしまったからだ。影武者は都督が病を得てからの1年間、表に出て本物の身代わりを務めたが、誰も影武者とは気付かなかった。そこで、都督本人はジン州を奪還した暁には、影武者としての任を解き自由を与えると告げる。更に都督は影武者の母親を見つけ出し元の家を与え、影武者のその後まで準備万端に整えていた。故に、ジン州奪還は影武者にとってとても重要な任務だった。

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映画『SHADOW 影武者』のあらすじ【承】

全てを本物の都督と同じにしなければ、影武者としては成り立たない。彼は都督と同じ場所に矢傷を作り、シャオアイとの琴の合奏に励んだ。影武者とは人権を持たず記録にも残されない正に影の存在である。このことを知っているのは、妻のシャオアイだけだった。だが、シャオアイは例え影武者であっても夫とは別の人間だと認識し、常に労ってくれる。そんな彼女に惹かれない道理はなかったが、身分差や任務上、シャオアイと影武者が深い関係になることは許されないことだった。

ペイ国の王は国を危険に晒した罪を都督に問い、都督としての任を解き無位無官の一市民へと身分を貶めた。更に王は胸の刀傷を目にして都督が影武者ではないかと疑念を持ったが、影武者は周囲を上手く納得させる。そして、一市民となったからには、将軍と勝負したところで王とは関わりのないことだと告げ颯爽と王宮を去った。

このことを妻から聞いた都督は、影武者が王の巧みな罠に落ちなかったと絶賛し、病をおして影武者を鍛える。都督の胸の刀傷は炎国の将軍との戦いにて得たものであったため、将軍の技に対抗できるよう厳しく特訓を施した。

一方、王は将軍親子が妹の縁談を了承したと知らせを聞き喜んでいたが、正妃ではなく側室として迎えられることにすら怒らない。妹は兄が勝手に決めた縁談に激怒し、更に家臣一同王家の姫が側室として迎えられることに屈辱を覚え憤怒。しかも結納品が守り刀1本とは、ペイ国を属国と考えているとしか思えない。中でも家臣ティエン・チャンの怒りは凄まじく、このままでは現王の代で国が滅びると注進したが、王は話を聞くどころかティエンの官職を解いてしまうのだった。

その頃、影武者と都督の特訓を見守っていたシャオアイは、炎国将軍の刀術に対抗できる技を考案。それはペイ国特有の柔軟さを持った傘を使って攻撃を防ぐ技だった。都督は妻の技を試し、有効と知るや影武者に徹底して叩き込むよう命令。果たして技は完成し、都督は大いに喜んだ。

その後、影武者は罷免されたティエンと会い、ジン州との戦に備え死刑囚を兵士として訓練するよう頼む。更に彼を病に臥せる都督と会わせた。都督は全てを明かし、今後の壮大な計画をティエンへと話して聞かせる。そうして、傘の技を兵士にも徹底して仕込むよう命令した。

映画『SHADOW 影武者』のあらすじ【転】

ペイ国を救うには3人の存在が不可欠。影武者とティエン、そして王だ。都督は邸の地下から影武者を使って国を救うための策略を先導する。
そうして、1週間の長雨が続き決闘の前日。影武者はシャオアイに対し、自分は明日の勝負には勝てないだろうと告げる。これまで逃げもせず影として生きてきたのは、一重にシャオアイのためだと言う。彼は決してシャオアイと床を共にしたことがなく、その日の夜も共寝することはなかった。だが、シャオアイは影武者の健気さに心惹かれ、彼ととうとう体を重ねる。

そうして約束の日。ジン州の関所にたった1人で影武者が姿を現した。雨は降り止まず激しさを増すばかり。戦いの場は断崖の狭間にある川の上に設置した櫓の上である。充分な広がある櫓の中心には太極図が描かれていた。将軍の息子はこの状況に違和感を覚えたが、将軍は勇んで奇策を試そうと笑みを浮かべる。ティエンは死刑囚の兵を従え、船の底から兵を順次送り込む。しかし、その中にはなぜか王の妹も潜んでおり、彼女はティエンの制止を振り切り出陣してしまう。

将軍と影武者が櫓の上で相対した頃、長雨で増水した川からジン州城の排水溝へ侵入を果たす兵士たち。影武者はこの日のために作り上げた刃の傘を武器として構えた。刃の傘は将軍の攻撃を見事に防ぐ。

その頃、城へまんまと侵入を果たしたティエン達は刃の傘を使って更に進軍。傘を回して刃を飛ばせば、遠距離攻撃もできる。市中にて戦闘が発生したと聞いた将軍の息子が隊を率いて彼らと対峙した。
一方、将軍からの攻撃を3回躱した影武者。これまで将軍の三太刀を避けた者はほとんどいないとされていたが、刃の傘でどうにか生き残った。将軍は彼を称え引き分けにしようと言ったが、作戦は市中に侵入したティエンの隊が関所の旗を降ろすまで終わらない。影武者は更なる戦いを望んだ。

将軍の息子と対峙することになったティエンの隊は、妹姫が奴を倒そうと突入したことで窮地に陥っていた。関所の旗は息子の奮闘によりなかなか降ろすことができず、姫を庇ったティエンが負傷。姫もまた血塗れになりながら戦っていた。しかし、武技に長けた彼に勝てるはずもなく致命傷を負ってしまう。だが、姫は死の間際、彼に結納品を返すと言い守り刀にて息子へと致命傷を与え、息を引き取るのであった。

映画『SHADOW 影武者』の結末・ラスト(ネタバレ)

将軍の息子を討ち取ったことで関所の旗をティエンが倒す。このことで将軍は憤怒し、劣勢にあった影武者を酷く痛めつけた。深手を負った影武者だったが、彼もまた強い心でもって将軍を討ち果たす。その後、影武者は都督の約束通り、ジン州の我が家へ向かったが、母の姿はなく現れた暗殺者によって殺されそうになる。しかし、そこへ何者かが現れ彼を助けてくれるのだった。

ジン州奪還が成功したことで、ペイ国の王が駆け付ける。半狂乱となった王は妹の亡骸を前に愕然としたが、ティエンから彼女の最期を聞き涙に暮れた。
王宮ではジン州奪還を祝い宴が開かれる。悲壮感が漂っていたが、その場にはシャオアイも出席していた。しかし、そこへペイ国の英雄として血塗れの影武者が登場。同じ頃、邸の地下に潜む都督は侵入して来た王の配下によって暗殺されようとしていた。

王は影武者を都督として迎え、妻の隣へと誘う。王は家臣を全て下がらせ都督夫妻と大臣だけを残したが、大臣が炎国将軍と繋がっていたことを指摘し断罪してしまう。そして、影武者に対しシャオアイと本物の夫婦になりたいだろうと唆した。そこへ箱を持った兵士がやって来る。その箱には都督の首が入っているはずだった。

しかし、箱の中には何も入っておらず、兵士が王を殺害してしまう。その兵士こそが都督であった。曰く、王は言いなりにならない都督を疎ましく思い、暗殺を企て影武者を都督として迎えようとしたらしい。そのため、ジン州に保護した影武者の母親をも殺したのだと言う。都督は影武者に王の息の根を止め、シャオアイを連れて逃げろと命令した。最早都督の命も残り僅か。共に逃げることは叶わないだろう。だが、卑劣なのは都督とて同じである。彼は密かに妻と情を交わした影武者に嫉妬していたのだ。影武者は都督を殺害し王を助けようとしたが、叶わず一思いに息の根を止めた。そして、仮面をつけた都督に剣を握らせる。

その後、怯えるシャオアイに彼女からもらった匂い袋を返し、剣を手に外へ。そして、王が逆賊によって崩御し、その逆賊を自分が始末したと叫んだ。全てを見ていたシャオアイは異を唱えようとしたが、扉に手をかけふと動きを止める。彼女は今後どうすれば良いのか、扉を開けることもできず息も荒く焦った様子で思い悩むのであった。

映画『SHADOW 影武者』の感想・評価・レビュー

三国志の荊州争奪戦をアレンジし、架空世界の戦国時代を舞台にチャン・イーモウ監督が制作。影武者を主人公に据え、個に思い悩む姿と主の美しき妻への恋心を描いている。

主演は都督と影武者の二役を演じたダン・チャオだが、病に姿を変えた凄まじくも激しい性格である都督と清廉で実直な影武者は、まるで別人である。姿はもちろんのこと、身に纏う雰囲気もまるで違う。ダン・チャオの演技力が素晴らしかった。加えて、私生活でもダン・チャオの妻であるスン・リーが妻役を演じ、その美しさと苦悩する姿が作品に華を添える。必要最低限のセリフで状況や戦況を知らせ、俳優たちの演技や間合いで心情を描く。さすがのチャン・イーモウ監督作品である。(MIHOシネマ編集部)


チャン・イーモウ監督の作品といえば、迫力のある映像美と「色使い」にこだわったものが多く、『グレートウォール』では素晴らしい色彩を見せてくれました。しかし、今作では派手な色彩は一切無く、モノクロかと思うような黒を基調とした世界が描かれているので、イメージと違った…と一瞬がっかりしたのですがそれは後半で大きく覆されました。
暗く、静かな世界を描いていたのはこの為だったのかと感じる「血」の描写。赤く、鮮明な血しぶきが物凄く目立っていてかっこよかったです。
チャン・イーモウ監督の色彩に対するこだわりは、想像以上のものでした。(女性 30代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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