映画『シドニー・ホールの失踪』の概要:若き作家シドニー・ホールは、処女作がベストセラーとなる。だが、内容に影響された読者が自殺を図り、大スキャンダルとなる。そんな時、シドニーは突然、失踪してしまう。
映画『シドニー・ホールの失踪』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:サスペンス、ミステリー
監督:ショーン・クリステンセン
キャスト:ローガン・ラーマン、エル・ファニング、カイル・チャンドラー、ミシェル・モナハン etc
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映画『シドニー・ホールの失踪』の登場人物(キャスト)
- シドニー・ホール(ローガン・ラーマン)
- 学生時代から書き始めた“郊外の悲劇”という小説がベストセラーとなり、世界的に有名になる。ピュリッツァー賞にもノミネートされるが、この本が原因で自殺者が出て受賞は逃してしまう。ある日、突然、皆の前から姿を消してしまう。
- メロディ(エル・ファニング)
- シドニーのガールフレンドで、のちに彼の妻となる。写真が趣味で、事実、成長したあとは写真家となった。シドニーの文才を高く評価しているが、結婚後は冷たくなる。
- ブレット・ニューポート(ブレイク・ジェンナー)
- シドニーの友人。父は裁判官だが、ブレットに暴力を振るう。高校生の時に自殺しており、シドニーの書いたベストセラーの主人公のモデルでもある。アメフト部で体格が良い。
映画『シドニー・ホールの失踪』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『シドニー・ホールの失踪』のあらすじ【起】
幼少期から文を書く才能を発揮したシドニー・ホールは、高校生になる頃には突飛な題材と表現で教師を困らせる存在になっていた。彼は学校新聞に短編を寄稿し、教師のジョーンズは彼を気に入っていた。
ある日、ポストにメロディという名の女の子からラブレターが届く。メロディが誰か気になるが、学校にはそんな名前の生徒はいない。シドニーは放送室に忍び込み、校内放送でメロディに呼びかけたが、やってきたのはシドニーを捕まえにきた教師だけだった。
メロディの正体は向かいの家に住むジェームソンの娘だった。彼女は一度、遠くへ引っ越して行き、最近、また戻ってきていたのだ。
シドニーはブレット・ニューポートに声をかけられる。ブレットとは幼少期に仲が良かったが、今では住む世界が違っていた。彼は、幼少期に一緒に埋めに行ったものを掘り起こしたいと言いだす。その場所はシドニーしか記憶していなかった。
ブレットは道案内をしてくれたシドニーに、お礼としてメロディと仲良くなるチャンスをお膳立てすると言った。ブレットはシドニーを車で家まで送ってくれたが、家の前で彼の父親が現れ、ブレットを連れていってしまった。連れて行かれる前、ブレットから掘り出した物を預かってくれと頼まれる。それは缶の入れ物だった。
映画『シドニー・ホールの失踪』のあらすじ【承】
メロディから連絡があり、一緒にお祭りへ行くことになる。彼女と色々なことを話し、二人の距離は縮まっていった。祭りにやってきたブレットから預けた物のことを聞かれ、月曜日に学校に持っていくと言った。だが、月曜日に登校したシドニーは、校内放送でブレットの死を知ったのだった。両親の前で自殺したとのことだった。
メロディから、卒業したら一緒に西へと旅立とうと言われる。メロディはシドニーの文才を高く評価していたが、何かきっかけを待っていると言った。そして、ブレットのことを書いてみたらどうかと提案する。
シドニーはブレットをモデルに、“郊外の悲劇”というタイトルの小説を執筆。ある程度書き上がったものをジョーンズに送った。ジョーンズは、その出来を絶賛。人に影響を与えるちからを持っている危険さもあり、ぜひ続きを読んでみたいと言う。ジョーンズは出版社に原稿を見せていた。興味を示した社があり、後日、シドニーはジョーンズと共に出版社を訪れた。
母親の過剰な干渉に耐えられなくなったシドニーは、本の前払い金で家を出ていくことにした。母親は許さず、彼を引き留めようとして突き飛ばし、シドニーは右の側頭葉に傷を負ってしまう。その後、シドニーはメロディと共に家を出ていき、二人は結婚した。
映画『シドニー・ホールの失踪』のあらすじ【転】
“郊外の悲劇”は大ベストセラーとなり、ピュリッツァー賞の候補に選ばれる。ライバルはフランシス・ビショップという作家。彼の作品を読んだシドニーは、その凄さに圧倒される。
メロディとの関係は、すっかり冷め切っていた。人気者になったことも原因のひとつだった。シドニーは編集長の娘、アレクサンドラと浮気していた。
本のサイン会が行われ、シドニーは集まった読者に快く対応していた。だが、後日、サイン会に来ていたヘンリーという男が、本に影響されて両親の前で自殺してしまう。マスコミは、今後も本に影響された者たちが、内容を模倣していくだろうと記事にした。
シドニーの続編が心待ちにされる中、彼は突然に失踪してしまう。それから数年後、ある図書館でボヤ騒ぎが起きた。焼かれたのはシドニーの本だった。捜査にやってきた刑事は、司書に言った。本を焼いたのは、たぶんシドニー本人だと。
シドニーを捜す刑事は、彼が捕まったことを無線で知った。シドニーの保釈金を払い、彼と対面した刑事は、あなたのファンで、あなたの伝記を書きたいと伝えた。シドニーは協力を拒み、ピュリッツァー賞を受賞したフランシスの伝記を書いたほうがいいと言う。だが、実はこの刑事こそ、フランシス本人だった。おもちゃのバッジで刑事のふりをしていたのだ。
伝記を書くことは断られたが、フランシスはシドニーを自宅へと送り届けた。そして、あなたは命の恩人だとシドニーに告げた。フランシスの息子はシドニーの本によって救われたのだという。
映画『シドニー・ホールの失踪』の結末・ラスト(ネタバレ)
それから数日後、シドニーが入院したとの報道がされた。シドニーはフランシスを呼び寄せると、やはり伝記を書いてほしいと言った。シドニーは右脳に機能障害が出ており、肝機能障害もあった。シドニーは何年も放浪した際に書き溜めたメモをフランシスに渡すと、秘密を打ち明けだした。
放浪の旅に出た原因は、メロディの死だった。関係は冷え切っていたが、妊娠を機にやり直すことになる。メロディはシドニーに浮気していないかと問い、していないという言葉を信じた。だが、仲直りの食事の場にアレクサンドラが現れ、浮気をバラしてしまう。
メロディは激怒して店を出ていき、シドニーは追いかけた。運悪く、エレベータ内で停電が起こり、二人は閉じ込められてしまう。メロディは喘息持ちだったが、怒って店を飛び出したため、薬を忘れてきてしまった。焦るシドニーの前でメロディはお腹の子供と共に、呼吸困難で死亡してしまった。落ち込んだシドニーは、着の身着のままで家を出ていき、放浪の旅を始めたのだった。
シドニーは“郊外の悲劇”に隠された秘密を語った。それは、ブレットから預かった缶の中身について。中身は、ブレットの父親が中学生の少女と性交しているところを映したビデオテープだった。小学生だったブレットが隠し撮りしたのだ。父は裁判官だったが、ブレットに暴力を振るい、最近では妹にも手を出し始めていた。
祭りの日、ブレットは箱の中身を見たかとシドニーに尋ねていた。見たと言ったシドニー。月曜日になったらテープを持って警察に行こう約束する。だが、祭りから戻ったシドニーは、怒りに震える母の姿を目にする。シドニーの部屋でテープを見た母は、その内容に驚愕してしまったのだ。そして、こんなものはあってはいけないと、暖炉にテープを投げ込んでしまった。シドニーは大急ぎでテープを救助するが、もう観ることはできなくなっていた。
テープがダメになったことをブレットに言うが、電話は何事もなかったように切れてしまった。だが、ブレットはその後、腹を切って自殺したのだった。シドニーは自分のせいでブレットを失望させてしまい、死に追いやったのではないかと自責の念を今まで持ち続けていたのだった。
フランシスに秘密を打ち明けたシドニーは、出会ったばかりの可愛らしかったメロディの幻覚を見た。その顔は、とても穏やかで、幸せそうだった。
映画『シドニー・ホールの失踪』の感想・評価・レビュー
ベストセラー作家にしたことで、共感が生まれにくくなっている印象も受けたが、自分の好みではあった。思春期のユーモラスなやり取りから、20代の陰鬱とした雰囲気、30歳の虚無感とそれぞれにくっきりしているのは分かりやすくて好印象だった。ただ、テーマの掘り下げは浅く、立ち直りの決定打も少し甘い気がする。言葉や文章だけが持つ快感や力強さがもっと作中で登場したならば、もっと高評価になったかもわからない。(MIHOシネマ編集部)
本作は、失踪したシドニー・ホールという人物の人生を追ったサスペンスミステリー作品。
彼の学生時代、作家時代、現在の3つの構成で物語は進行する。
成功した小説家の葛藤と悲劇が丁寧に描かれている印象で、主人公の苦しみに切なさで胸が苦しくなった。
派手な展開はないが役者陣はそれぞれ存在感があり、過去と未来が交差しながらシドニー・ホールの失踪の謎に迫っていく展開で、最後まで見応えがあって心を掴まれる作品だった。(女性 20代)
ベストセラー作家が失踪するというあらすじを見て、どんな事件が描かれているのかと興味をそそられた。作品を見てみると、描かれていたのは、あまりにも壮絶な一人の男性の人生だった。
ブレットの死に負い目を感じていた主人公は、妻子の突然の死を耐えることができなかったのだろうなと思う。自分だったら、シドニーと同じように生涯忘れることができず、苦しみ続けると思う。シドニーが見つかってもハッピーエンドとは言い難く、深い悲しみが心に残る作品だった。(女性 30代)
ベストセラー作家のシドニー・ホールの失踪が物語のメインですが、彼の高校時代、作家になった彼と恋人のメロディの物語と、3つの時系列が描かれています。物語は交互に進み内容も濃いのですが、非常に理解しやすい演出になっています。ラストがどれも悲しく、それでいて意外性もあります。しっかりと伏線が回収され、エンディングの音楽も良く、約束をするシーンは泣けました。しかし、内容が濃い故に作品全体の印象が薄まってしまっている気もしました。良く練られ過ぎた作品かと思います。(男性 20代)
シドニー・ホールというベストセラー作家の人生を覗き見てしまったような今作。本をあまり読まないので作家の生活や人生にそれほど興味はありませんでしたが、今作のように学生時代からその人生を追っていくとまるで彼の人生を疑似体験しているような気分になり、自分の知らない作家という世界の人間に共感してしまいました。
最初はリアリティがないと思っていましたが、物語が進むにつれて共感度が高まり、のめり込むように彼の人生を追ってしまいます。とても面白い作品でした。(女性 30代)
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