映画『モリーズ・ゲーム』の概要:モーグルの五輪選手だったモリーは怪我のために引退する。ロサンゼルスで知り合った男を通じて裏カジノの運営に携わるようになったモリーは、その世界にどんどんと夢中になっていった。
映画『モリーズ・ゲーム』の作品情報
上映時間:140分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
監督:アーロン・ソーキン
キャスト:ジェシカ・チャステイン、イドリス・エルバ、ケヴィン・コスナー、マイケル・セラ etc
映画『モリーズ・ゲーム』の登場人物(キャスト)
- モリー・ブルーム(ジェシカ・チャスティン)
- 幼少期から父親に厳しく育てられ、モーグルの選手となる。今までに数多くの怪我をしており、ソルトレイク五輪の予選の時には、背骨に矯正ピンが埋め込まれているほどだった。学業も優秀だったが、二人の弟はモリーよりも更に優秀で、ひとりはモーグルの世界1位を獲得していた。厳しすぎる父から愛情を感じられず、次第に反抗的な態度を取るようになる。
映画『モリーズ・ゲーム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『モリーズ・ゲーム』のあらすじ【起】
モリー・ブルームは、自分の過去を書き記した“モリーズ・ゲーム”という本を出版する。しばらくすると、モリーのところにFBIが現れ、突然に逮捕されてしまった。容疑は違法賭博だった。
幼少期から父の英才教育を受けてモーグルの選手となったモリーは、ソルトレイク五輪の予選で大怪我を負い、選手生命を絶たれてしまう。身体の休息と、これからのことを考えようとロサンゼルスに渡ったモリーは、クラブでウェイトレスの仕事をしていた。
ディーン・キースという男と出会い、彼の仕事を手伝うことになる。彼は賭けポーカーも運営しており、顧客は映画スターやアーティスト、政治家など大物ばかりだった。モリーは酒を作り、帳簿をつけながらポーカーについて勉強していく。
賭けポーカーの運営にすっかり夢中になったモリーは、一年後にはすっかりリッチになり、着る服も洗練されていった。常連客の映画スター・プレイヤーXのポーカーの腕は一流で、モリーとも仲が良かった。モリーは後ろで帳簿をつけるだけだったが、ゲームをする著名人たちから、様々な裏情報が自然と耳に入ってきていた。
ゲームに関わって3年後、ディーンが経営難に陥る。そのため、モリーに給料を払わないと言いだした。毎回、客から高額のチップをもらえていたが、モリーは納得がいかない。考えた末、自分でゲームを運営していくことに決めた。貯金をはたき、フォーシーズンズ・ホテルの一室にポーカーテーブルを設置。客の好みの酒を置き、ゴージャスな空間を作り上げる。
映画『モリーズ・ゲーム』のあらすじ【承】
ディーンから正式にクビを言い渡されたモリーは、自身のイベント会社を設立。顧客リストはモリーが握っていたため、それをそっくり頂き、客たちを自分のゲームへと引き込んでいった。
弁護士の話では、客からゲームの手数料を取らなければ違法にはならないと説明される。モリーは法に触れないよう、慎重に行動していった。言い寄ってくる客も多かったが、スキャンダルを避けるため、全て断っていた。
プレイヤーXの提案で、ゲームのレートを上げることにする。そのためにはカモが必要だ。モリーはポーカー大会優勝者のシルヴァーマン、金持ちだが全く勝てないブラッド・マリオン、腕の立つハーランを参加させ、高額のゲームと面白みを生むことに成功する。
ハーランは誰よりも堅実な男だったが、下手すぎるブラッドと初対決した際、その経験の高さが災いし、大負けしてしまう。なんとしても勝ちたくなったハーランは冷静さを失い、気がつけば二日間で120万ドルも失ってしまっていた。
プレイヤーXはハーランに金を貸して窮地を救うが、モリーは彼がやっていることは違法だと気がつく。プレイヤーXと意見の相違から亀裂が入りだし、結果、彼女は締め出され、ゲームを運営できなくなってしまう。
自分の無力さと、身勝手な男たちに怒りを感じたモリーは、新しい“勝ち”を手にするため、ニューヨークへと向かった。そこで、新しくゲームを開催することにする。プレイメイトを使って、有名人や金持ちに興味を持たせた結果、ゲームの参加者はあっという間に集まった。
モリーは法律違反もせずに、利益を出していく。だが、しばらくするとチップの未払いが山となり、運営の危機を感じ始める。信頼するディーラーのBのアドバイスもあり、モリーはとうとう手数料を取り、法律違反を犯してしまった。
その後、モリーはロシアン・マフィアをゲームに呼び込み、運営を更に安定させていく。彼らは世界で最悪の犯罪組織の連中だったが、モリーには普通の人に見えていた。
ブラッドがFBIに逮捕され、モリーのことを暴露。モリーはFBIに金を渡し、大ごとになるのを防いだ。疲弊しきったモリーはドラッグ中毒になっていく。悪いことは続き、ギャングから手を組む話を持ちかけられ、断ったモリーは襲撃に遭い、暴行されて金品を奪われてしまう。
この世界から足を洗うことにしたモリーの元に、電話が入り、FBIに内情がバレたと知らされる。プラザホテルで開催中にゲームにも踏み込まれていた。モリーは大急ぎで荷物を纏めると、母の所へ逃げていった。口座を調べてみると、400万ドルはFBIよって没収され、0になっていた。
そして数年後、本を出したモリーはFBIに逮捕されたのだ。
映画『モリーズ・ゲーム』のあらすじ【転】
モリーはチャーリー・ジャフィー弁護士に弁護を依頼。彼はロシアン・マフィアとの繋がりが問題だとし、潔白を証明するためにハードディスクを持ってこいという。そこには携帯のメールも残っていた。情報を漏らさないことを条件にモリーはハードディスクを渡した。
本の前払い金の話になった。編集者からは、実名を出せば売れる要素となるため、高額を準備できると言われたのだが、モリーはそれを拒否し、ブラッドがFBIに密告したプレイヤーたちの名前だけを登場させることで合意した。そのせいで、金額はとても少額だった。
検察と話し合いの場が設けられた。検察は犯罪者摘発のため、モリーに司法取引を持ちかける。だが、モリーは頑なに拒否した。チャーリーはモリーを弁護し、彼女が組織犯罪などには関わっていないと強調する。手数料を取ったのも、暴力的な対処を避けるためだと。
モリーには様々な情報が集まってきていた。公表すればセレブ達が震えあがるようなものばかりだ。本に書いたらさぞかし売れたことだろう。だが、彼女はそれを利用せず、誰にも迷惑がかからないように努めた。チャーリーは彼女の立派さを声高に伝えると、どうか正しい判断をしてほしいと検察にお願いした。
映画『モリーズ・ゲーム』の結末・ラスト(ネタバレ)
チャーリーと検察が話し合う間、モリーは街に出て、ふらりとスケートリンクに立ち寄った。そこで父親と再会する。モリーに会いにやってきた父はセラピーをすると言い出し、彼女の内面を露にしていった。
父は、モリーがゲームの世界にのめり込んでいったのは、強い男たちを支配したかったのが原因だと分析。そして、そうなってしまったのは自分の冷たい態度と、モリーが幼少期に、直感的に父が浮気していることに気がついてしまったのが始まりだという。
モリーの弟たちは出来が良かったが、モリーは自分も彼らと同じように愛されているか自信が無かった。だが、父は当然のように愛していると答えた。モリーの著書で、初めてモリーの体験したことを知り、その苦労を知った父は、愛を込めてモリーを抱きしめてくれた。
検察側との交渉で、ハードドライブを提供すれば、金も戻るし、投獄もないと言われる。だが、ハードドライブには個人情報が山となっていたため、提供すれば大勢の人がひどい目にあうとモリーは言い、提案を飲まなかった。モリーは法廷で有罪を主張し、司法取引もしないと決意する。
審理が始まり、モリーは有罪を主張。裁判官は検察側を呼び寄せると話し合いを始めた。判決を述べた裁判長は、モリーの法律違反は投獄に値しないとし、保護観察と社会奉仕、罰金を言い渡した。
久しぶりに家族が集まり、皆で食事をしたモリーは、これからのことを考える。
ソルトレイク五輪の予選での怪我を思い出したモリーは、まだ別の新しいことで、いくらでも勝負していけるのだと、自分を奮い立たせた。
映画『モリーズ・ゲーム』の感想・評価・レビュー
監督のアーロン・ソーキンは脚本家として有名だが、本作は彼らしい台詞の量とスピード感に満ちている。意識したのはデビッド・フィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』ではと感じた。モリーの裁判が、今までのポーカーゲームと対になっているのが面白い。ポーカーをする男たちは常に勝ちを手にしようとして破滅へと向かうが、モリーは裁判で勝ちを得ようとせず、降りることで結果的に勝ちを手にする。作品のコンセプトが貫かれているのがいい。(MIHOシネマ編集部)
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