この記事では、映画『縞模様のパジャマの少年』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『縞模様のパジャマの少年』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『縞模様のパジャマの少年』の作品情報
出典:Amazonプライムビデオ
製作年 | 2008年 |
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上映時間 | 95分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | マーク・ハーマン |
キャスト | エイサ・バターフィールド ジャック・スキャンロン アンバー・ビーティー デヴィッド・シューリス |
製作国 | イギリス アメリカ |
映画『縞模様のパジャマの少年』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『縞模様のパジャマの少年』のあらすじ【起】
ナチスドイツの軍人である父ラルフの昇進により、主人公の少年ブルーノは家族と共にベルリンから田舎へ引っ越すことになります。新居に着いたブルーノは、自分の部屋から裏の森の奥深くに農場があることに気づきますが、近隣の大人たちの様子に違和感を覚えます。
友達のいない退屈な日々を過ごすブルーノは、ある日の遊びでけがをしてしまいます。そこで、台所で働くユダヤ人のパヴェルに看病されます。ブルーノの母エルサは当初ユダヤ人を好いていませんでしたが、息子から事の次第を聞き、パヴェルらに対する考えを改めようとします。
その日、森の奥にある施設の煙突から立ち上る黒い煙と悪臭が、ブルーノの住む家を覆っていました。
映画『縞模様のパジャマの少年』のあらすじ【承】
ブルーノは好奇心から森の中を探検し、有刺鉄線で囲まれた施設で、パヴェルと同じ縞模様の衣服を着た少年シュムールと出会います。2人は同い年ということもあり、すぐに意気投合して友達になります。
それ以来、ブルーノは家から食料と遊び道具を持ってシュムールに会いに行くようになります。かつては医者や時計職人だった大人たちが、芋の皮むきや靴の修理ばかりしていることを不思議に思うブルーノは、やがてシュムールたちがユダヤ人であることを知り、動揺します。
一方、家庭教師や父の部下の影響で過激な思想になっていく姉のグレーテルの様子を不安に思ったエルサは、ラルフに相談します。翌日、施設の煙突からは悪臭と共に黒い煙が上がっていました。
映画『縞模様のパジャマの少年』のあらすじ【転】
煙突の黒い煙の正体に気づいたエルサは、ラルフに二度とこのようなことをしないよう訴えますが、責任者のラルフは耳を貸しません。実はブルーノが農場だと思っていた場所は、ユダヤ人の強制労働収容所だったのです。
ある日、ブルーノの家に手伝いとしてシュムールがやって来ます。お腹を空かせているシュムールにお菓子をあげたブルーノでしたが、ラルフの部下に見つかり問い詰められます。怖くなったブルーノは「この子のことは知らない」と嘘をつき、後悔に泣き崩れます。
後日、シュムールに謝罪するためにブルーノは施設を訪れますが、なかなか会えません。再会を果たした時、シュムールの顔にはひどい傷がついていました。ブルーノは過ちを詫び、許してもらい、2人は再び仲良くなります。
映画『縞模様のパジャマの少年』の結末・ラスト(ネタバレ)
ラルフとエルサの仲は悪化し、ラルフはブルーノとグレーテルを別の場所に住まわせることを決めます。シュムールと離れ離れになると思ったブルーノは、最後の探検として行方不明のシュムールの父を探す計画を立てます。
次の日、ブルーノはシュムールから借りた縞模様の衣服を身に着け、施設へ潜り込みます。今まで聞かされてきたのと全く異なる収容所の現状に驚き怖くなりますが、友達のためにシュムールと共に父を探します。
しかし、2人は大勢のユダヤ人の行列に飲み込まれ、施設内のガス室に連れて行かれてしまい、帰らぬ人となります。ブルーノを必死に探す家族でしたが、結局彼の元気な姿を見ることはありませんでした。
映画『縞模様のパジャマの少年』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
この映画は、本当に心をえぐられました。ナチス高官の息子・ブルーノと、ユダヤ人の少年・シュムエルの友情が、最後にあんな形で終わるなんて思ってもいませんでした。子どもたちには何の罪もないのに、大人たちの戦争によって命が奪われていく現実。ブルーノの父親が、自分の息子を死に追いやってしまうという皮肉に、涙が止まりませんでした。(20代 男性)
息子と一緒に観たけれど、私は涙が止まりませんでした。無垢な友情が、あんなにも非情な結末を迎えるなんて。ラストでブルーノがガス室に入り、父親がその事実に気づいたときの表情…母として胸が締めつけられました。戦争は誰も幸せにしない。子どもの視点で描かれるからこそ、その悲劇がより深く突き刺さる作品でした。(40代 女性)
あまりに静かで、あまりに残酷な映画。大人の理不尽な世界を、子どもたちの目線で描いたことで、戦争の愚かさがより鮮明に伝わってきました。フェンス越しの友情が、最も悲しい形で終わるなんて、あの結末には言葉を失いました。これはただの反戦映画ではなく、無知と無関心がどれほど恐ろしいかを教えてくれる作品です。(30代 男性)
何度も泣いたけれど、ラストのあの数分間は特に胸が苦しかったです。シュムエルの靴を探すためにフェンスを越えたブルーノが、まさかそのままガス室に入るなんて…。ブルーノが最後まで純粋だったからこそ、余計に悲しい。戦争が子どもから未来を奪うという現実に、心の底から怒りが湧きました。(20代 女性)
「縞模様のパジャマ」というタイトルの意味が、観終わった後で重くのしかかってきます。何も知らないまま、純粋に友だちを助けたいと思ったブルーノの行動が、命取りになるなんて…。ガス室での描写が直接的ではないのに、想像するだけで十分に恐ろしい。ラストで父親が崩れ落ちるシーンに、やっと人間らしさを見ました。(50代 男性)
静かに展開する物語が、最後に観客の心を破壊する。そんな映画でした。ブルーノとシュムエルが握手を交わし、ただ一緒にいたいと願っただけなのに、その純粋さが戦争の現実に押し潰されるのが、見ていて本当に苦しかった。戦争を知らない世代こそ観るべき映画だと思います。平和の尊さを再認識しました。(30代 女性)
最初は「よくある戦争映画かな」と思って観ていたけれど、まったく違いました。子どもたちの無垢な関係がどんどん深まっていくのに対し、背景の不穏さがどんどん濃くなっていく構成が見事。ブルーノがガス室へ連れていかれるラストは、人生で一番ショックを受けた映画の結末かもしれません。観る価値のある傑作です。(20代 男性)
これほど胸が苦しくなる映画はありませんでした。ブルーノの行動は“悪意のない無知”ゆえのもので、それが命取りになってしまうという残酷さ。フェンスの向こう側にいる“友だち”を助けようとした彼の勇気が、報われなかった現実があまりにも悲しい。ラストの母親の慟哭が今でも忘れられません。(40代 女性)
ドイツ人の家庭が舞台で、加害者側の家族から見るホロコーストという視点が非常に新鮮でした。特に、父親が息子の死で初めて“人間性”を取り戻したかのような描写が印象的です。教育と思想の怖さ、そして知らないことがどれほどの悲劇を生むかを丁寧に描いた作品。静かな怒りを感じる映画でした。(30代 男性)
中学生のときに初めて観て、あまりに衝撃的すぎて大人になってからも忘れられない一本です。あの結末をどう受け止めるかで、戦争への意識が変わると思う。ブルーノは悪くない。ただ純粋だっただけ。その純粋さが報われない世界に、本気で怒りを覚えました。友人にも必ず観てほしいと勧めています。(20代 女性)
映画『縞模様のパジャマの少年』を見た人におすすめの映画5選
ライフ・イズ・ビューティフル
この映画を一言で表すと?
絶望の中で息子に「人生は美しい」と教え続けた父の、涙と希望の物語。
どんな話?
ユダヤ人の父と息子がナチスの強制収容所に連行され、父は息子に恐怖を感じさせまいと、「これはゲームだ」と言い聞かせながら日々を生き抜いていく。愛とユーモアが詰まった感動作。
ここがおすすめ!
『縞模様のパジャマの少年』と同じく、戦争の非情さを“親子”や“子ども目線”で描いています。ラストの父の行動に号泣必至。戦争の中でも人間らしさを失わなかった人物の強さに心打たれます。
サウルの息子
この映画を一言で表すと?
絶望の地・アウシュビッツで、息子を弔おうとした男の執念が胸を打つ。
どんな話?
ユダヤ人でありながら死体処理を強いられる“ゾンダーコマンド”の男サウルが、ガス室で亡くなった少年を息子だと信じ、ユダヤの葬儀で弔おうと奔走する24時間の物語。
ここがおすすめ!
一人称視点のカメラワークが、サウルの“個”に迫り、観客に恐怖と混乱を体感させます。『縞模様のパジャマの少年』で感じた理不尽さや無力感を、さらに強烈に突きつける問題作です。
火垂るの墓
この映画を一言で表すと?
兄妹の生と死を通して描かれる、戦争の悲惨さと人間の尊厳。
どんな話?
太平洋戦争末期、空襲で母を亡くした兄妹が親戚を頼るも冷遇され、やがて防空壕での自活を選ぶ。過酷な日々を経て、兄は命を守ることの難しさを痛感する。
ここがおすすめ!
子どもの目を通した戦争のリアリティが『縞模様のパジャマの少年』と共通。アニメであることを忘れるほど深い感情が伝わり、静かな描写の中に強い反戦のメッセージが込められています。
戦場のピアニスト
この映画を一言で表すと?
音楽だけが命をつなぐ、実在したユダヤ人ピアニストの壮絶な記録。
どんな話?
ナチス占領下のポーランドで、家族を奪われながらも生き延びたユダヤ人ピアニスト、シュピルマンの実話。絶え間ない恐怖の中、彼は演奏を心の支えに戦火を生き抜いていく。
ここがおすすめ!
『縞模様のパジャマの少年』と同じホロコーストの現実を描きながらも、大人の視点から生き残る苦しみと希望を描いています。ラストの静かなピアノ演奏が、心に深い余韻を残します。
ジョジョ・ラビット
この映画を一言で表すと?
子どもの純粋さが、偏見と戦争を打ち破るユニークで切ない傑作。
どんな話?
ナチスを信奉する少年ジョジョが、家の屋根裏にユダヤ人の少女が隠れていることを知り、世界の見方が変わっていく。想像上の“ヒトラー”との対話が、物語に風刺とユーモアを加える。
ここがおすすめ!
子どもの視点からナチスの狂気を描く点が『縞模様のパジャマの少年』と共通しつつ、ユーモアと希望も感じられるバランスが魅力。笑って泣ける、考えさせられる一作です。
みんなの感想・レビュー
「知らないことが悲劇をもたらした」と言うことではなく、ナチスのユダヤ人虐殺を通して戦争の理不尽さの本質を描いている作品。
国家の命令により兵士が何の恨みも関係もない武器すら持たない市民をまとめて殺戮する。
そこに戦争の絶望と悲しみと虚しさがある。
なぜ、収容されているのか?父親の仕事は何なのか?
ユダヤ人自身ですら、理由を知っていても逃れることはできない現実だし、たまたま収容所に入らなければ悲劇は起こらなかったかのような解釈は違うと思う。
この映画に救いが無いのは、戦争の残酷さを表現するためだ。
戦争に救いなどないからだ。
気持ちに寄り添えそうな登場人物がいるなら、お父さん(所長)と中尉でした。お父さんは軍人で、任務は拒否できるものではないと理解できる。それは冒頭でもお父さんがそういっていた。その任務は秘密だった。そうでなかったとしても、ああいう感じの奥さんだったら、話せないというか話さないだろうなと思った。中尉は最初すごく怖かったけれど、そういう態度をとらずにいれない彼の背景がわかってくると、なんだか切なくなった。水をぶっかけてやりたいほどムカついたのに、ブルーノ少年に別れを告げたときの中尉には、なんだかいたたまれない気持ちになった。お父さんが、秘密をバラされた腹いせに、彼を前線に飛ばしたんだ。それも聞かれたくないことをしつこく聞いて、多分あの後調べて、都合のいい口実をみつけたと思ったんだろう。大人は黒いなと思うけれど、今も昔も世間一般に常々よくあることだと思う。お姉さんとお母さんは好きになれなかった。彼女たちにはモヤモヤした。ブランコから見上げる煙突の煙に嫌な予感がした。人を焼いてる暗示。不穏な空気。でも、電流の流れる柵越に、二人の親睦が深まっていく様子が奇妙なほど穏やかで、かえってさらに不気味だった。最後の方で、ベルリンが攻撃されて…という会話からすると、時代は戦争の末期の頃だったんだなとわかった。自分のせいで息子を殺してしまったお父さんが辛すぎる。お母さんにはやっぱり 腹が立ったけど、現実を否認していたかったにだろう、それが悲惨な結果を招いた主たる原因になったかなと思った。何も知らない、知ろうとしないことは、恐ろしいことだとおもった。