映画『シモーヌ』の概要:映画監督のタランスキーは我儘な女優から突然降板を申し立てられ、映画が上映できなくなってしまう。途方に暮れていると、ハンクと名乗る男が突然訪ねてきて、CG女優を使った映画を作らないかと話を持ち掛けられる。
映画『シモーヌ』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:SF、コメディ、ヒューマンドラマ
監督:アンドリュー・ニコル
キャスト:アル・パチーノ、レイチェル・ロバーツ、ウィノナ・ライダー、キャサリン・キーナー etc
映画『シモーヌ』の登場人物(キャスト)
- ヴィクター・タランスキー(アル・パチーノ)
- 映画監督。2度に渡り、アカデミー賞にノミネートされたことがある。監督としてのプライドが高く、俳優に対して媚びを売ることに苦痛を感じていた。現在はヒット作に恵まれず、出演してくれる女優探しも難航する有り様だった。
- シモーヌ(レイチェル・ロバーツ)
- ハンクが作ったソフトを使って、タランスキーが作り上げたCG女優。ソフトに登場した”SIMULATION ONE”の言葉の両端を取って、タランスキーがシモーヌと名付けた。
- エレイン・クリスチャン(キャサリン・キーナー)
- タランスキーの元妻。映画会社の社長。現在はタランスキーとは別の恋人と暮らしている。
- レイニー・クリスチャン・タランスキー(エヴァン・レイチェル・ウッド)
- ヴィクター・タランスキーとエレインの娘。両親が復縁することを密かに望んでいる。両親思いの優しい女の子。
- ハル・シンクレア(ジェイ・モーア)
- タランスキーの作品に出演した俳優。シモーヌに恋い焦がれるあまり、シモーヌに気に入られたと言う嘘を吐いて、2作目の映画の出演をタランスキーに直談判する。
- マックス・セイヤー(プルイット・テイラー・ヴィンス)
- 記者。シモーヌを気に入り、写真を撮ろうと部下と共にタランスキーを付け狙う。
- ニコラ・アンダース(ウィノナ・ライダー)
- 元モデル。現在は人気女優として引っ張りだこ。我儘な性格。タランスキーが監督した映画を、途中で降板する。だがその後、シモーヌが出演してヒットしたことを知り、改心する。
- ハンク・アリーノ(イライアス・コティーズ)
- CG女優を作り上げるソフトを開発した。だが、開発の影響で目に腫瘍ができ、亡くなってしまう。タランスキーの映画に感銘を受け、ソフトを譲り渡す。
映画『シモーヌ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『シモーヌ』のあらすじ【起】
人気女優の二コラは、休憩用のトレーラーが他の出演者のトレーラーよりも高さが低いと言う理由で、監督のタランスキーに降板を申し出た。それだけが理由ではなく、脚本の内容についても不満を抱いていた。二コラはマスコミに既に降板を発表していた。タランスキーは二コラの勝手な行動に腹を立て、悪態を吐いて二コラが乗り込んだ車を送り出した。
二コラ側の申し立てにより、二コラが映っている場面は映画館で上映することができなくなる。タランスキーの元妻で映画会社の社長であるエレインは、タランスキーの無能さを非難した。だが、タランスキーはそのことに納得がいかなかった。“楽屋に煙草を10箱用意し、その内3つは開封しておくこと”など、二コラの馬鹿げた要求を呑んでいたのに、勝手に降板されてしまったのだ。タランスキーは昔の俳優達とは違い、監督を大事にしない現在の若い俳優達に腹を立てていた。エレインは過去に縋るタランスキーの姿勢に呆れ果てた。そして、ヒット作を生まないタランスキーとの契約を切ることにした。
タランスキーの元にハンクが訪ねてくる。初めは誰だか分からなかったが、タランスキーは8年前に“未来の映画 討論会”で会ったことを思い出す。ハンクはCGで動く女優のソフト開発に成功しており、映画で使用する話を持ち掛けた。タランスキーは人間に劣ると馬鹿にしていたが、ハンクは自分のシステムなら大丈夫だと譲らなかった。タランスキーは会話することに疲れ、来週電話すると約束して帰っていった。だが、ハンクはシステムの開発のせいで目に腫瘍ができており、来週だと亡くなっている可能性が高かった。今週中に電話してくれと、タランスキーの車に向かって叫んだ。
タランスキーは出演してくれる女優を探すが、無名の女優でさえも出演することを嫌がった。そこに、ハンクの遺言の件で、弁護士が訪ねてくる。弁護士はタランスキーに、ソフトが入った小包を渡した。タランスキーがソフトをパソコンに入れると、美しい女性の姿が浮かび上がった。
映画『シモーヌ』のあらすじ【承】
9か月後。
タランスキーがハンクのソフトを使って完成させた映画が上映された。タランスキーはCGの女優だとばれるのではないかとびくびくしていたが、観客は誰もCGだと気づいておらず、素敵な女優(シモーヌ)だと褒め称えた。
タランスキーは過去の女優達の話し方や表情を取り入れ、シモーヌを作り上げていった。1人で作業をしながら、CGだと公表するべきなのか悩んでいた。タランスキーは俳優達の理不尽な要求に振り回されるよりは、人の心を打つ演技をするなら偽者(CG)でもいいと思うようになっていた。悩んだ結果、次の作品を撮った後、公表することを決める。
タランスキーは新作「永遠の彼方」の制作を発表した。前作でシモーヌの相手役をした俳優のハルが、今回も相手役としてキャスティングして欲しいと頼んできた。道でシモーヌと偶然出会い、シモーヌも了承済みだと言うのだ。タランスキーはシモーヌと電話をするフリをして、シモーヌがハルを嫌がっているかのように振る舞った。その電話を記者のマックスが盗聴しており、シモーヌの声が聞こえないことに不信感を抱いていた。
「永遠の彼方」のキャストによる顔合わせが行われた。結局ハルが相手役を務めることになった。タランスキーは事前に用意していたシモーヌの音声テープを流した後、急いでスタジオに行き、マイクを通してキャストと会話を行った。相手と会わない方が演じやすいのだと嘘を吐き、顔を合わせないことに納得させた。
映画『シモーヌ』のあらすじ【転】
タランスキーはホテルに下着を置いたり、鬘の毛を落としたりして、シモーヌがいたかのように偽装をした。そして、カーテン越しに人形を見せ、シモーヌの存在を記者に印象付けた。その後、秘書のフェイスにシモーヌの代役頼み、ホテルから逃げるように車に乗り込んだ。フェイスは体を張って、女優をマスコミから守るタランスキーの姿に感動していた。タランスキーもまた、シモーヌに似ているフェイスに心惹かれていた。2人はタランスキーの家に行きセックスをしようとするが、フェイスの目的がシモーヌに会うことだと知り、タランスキーの心は冷めてしまう。
エレインはシモーヌと会えないことに苛立っていた。タランスキーの制止を振り切り、スタジオに強行して入った。タランスキーはパソコンを見られてしまうが、本当のことは言えなかった。咄嗟にシモーヌがコンピューター中毒で、広場恐怖症だと嘘を吐いてしまう。エレインは姿を現さないことに納得するが、社長としてこのまま何も手を打たないわけにはいかなかった。タランスキーと話し合った結果、中継で対談を行うことになる。
タランスキーはシモーヌの姿を通して、対談を行った。だが、途中でメモリ不足が発生し、映像が乱れてしまう。司会者が電波の乱れだと誤解してくれたおかげで、何とかばれずに終えることができた。後日、マックスはシモーヌが対談場所で座っていた砂漠地帯へと足を運んだ。対談の写真と現場を見比べてみると、遠くに建っている筈のホテルが写っていなかった。マックスは意味が分からず混乱した。
「永遠の彼方」が大ヒットし、シモーヌの人気は益々加熱していた。マックスはタランスキーの口座を調べ、シモーヌに給料が振り込まれていないことに気づく。タランスキーに会ってその事実を突きつけ、シモーヌに会わせなければ警察に話すと脅した。タランスキーは1人を騙すよりも多くの人を騙す方が楽だと考え、ホログラムを使ってコンサートを開催した。
映画『シモーヌ』の結末・ラスト(ネタバレ)
エレインはシモーヌが身勝手にタランスキーを振り回しているのではないかと思い、タランスキーのことを心配するようになった。そのことにエレインの恋人はうんざりし、別れを切り出した。エレインとタランスキーの娘であるレイニーは、両親が再び付き合うようになるのではないかと思い喜んだ。レイニーは父にそのことを話すと、母の誤解を解くためにも、母とシモーヌが面と向かって話せるようにして欲しいと頼んだ。
タランスキーは車にシモーヌに似たマネキンを乗せ、エレインの車と並走させた。そして、シモーヌとして電話を掛け、会話を行った。タランスキーが愛しているのはエレインだけで、一緒にオスカー授賞式に来て欲しいと頼んだ。初めは渋っていたエレインだったが、シモーヌの必死な様子に承諾した。授賞式当日。シモーヌは主演女優賞に輝いた。シモーヌのお礼コメントが流れるが、ハンクへの感謝の言葉しか流れなかった。タランスキーは自身へのお礼コメントを用意していたはずなのに、なぜシモーヌが言い忘れたか分からず困惑した。
タランスキーはエレインを誘い出し、ベッドに誘い込もうとした。だが、エレインはシモーヌを裏切れないと話し、タランスキーを拒んだ。タランスキーは真実をエレインに伝えるが、エレインは信じようとはしなかった。その後、タランスキーはシモーヌのイメージを落とそうと、煙草を吸って過激な発言をする映像を放送した。だが、それでもシモーヌの人気は衰えなかった。
タランスキーはウィルスソフトを使い、シモーヌを殺すことを決意する。涙を流して別れを告げた後、ソフトをインストールした。そして、シモーヌのソフトが入った箱を、海に投げ捨てた。その姿を監視カメラの映像が捕らえていた。後日、タランスキーはシモーヌが亡くなったことを発表し、葬儀を行った。だが、刑事がやって来て、空の棺を暴かれてしまう。タランスキーはシモーヌが映像だったことを証言するが、信じては貰えなかった。海から箱が回収されるが、鍵が開いており、ディスクが海に流されてしまっていた。
レイニーだけは父の話を信じていた。母と共にスタジオに行くと、そこにあったパソコンを操作し、ウイルスを使ってシモーヌを壊したことを知る。レイニーはパソコンを操作し、シモーヌを復元させた。そして、シモーヌに新聞を持たせた映像を作り、無事であることをテレビで放送した。タランスキーは無事に釈放される。エレインはシモーヌと共に家に来ないかタランスキーに提案した。タランスキーは喜んでその提案を受け入れた。
映画『シモーヌ』の感想・評価・レビュー
CG技術がどんどん発達してきているので、いつか映画のようなことが起きても不思議ではないなと思う。タランスキーはCG女優で映画を作ってしまうほど技術は凄いのに、人間関係が下手糞なところが何だか憎めない人だった。シモーヌが生きているように偽装するところは、ちょっとコミカルでおもしろかった。でも、シモーヌがCGだと明かした後、なかなか皆が信じてくれないところは、もどかしく感じてしまった。
シモーヌ役のレイチェル・ロバーツが本当に綺麗。CGで作ったと言われても驚かないと思う。(女性 30代)
アル・パチーノ演じる映画監督がとにかく魅力的でした。監督としての手腕は一流なのに、プライドが高くて人間関係を築くのは下手っぴ。それがとても可愛くて愛されるキャラクターだと思います。
CGで作り出されたシモーヌを演じたのはモデル出身のレイチェル・ロバーツ。もうとにかく美しくて、もっと見たいと思ってしまうほど。AIなどの技術が発達した現代で、こういったCGの女優が主演の映画が公開される日もそう遠くないかもしれません。(女性 30代)
設定が面白く時代の先を行っていると感じる映画です。2002年の作品なので、今観るととてもリアルに感じる場面が多いです。さらに、AIが暴走して人類の危機というアクション映画が多い中、CG女優で映画が大ヒットしてしまうストーリーは斬新に映ります。
シモーヌを演じているのが監督の奥さんでこの作品にくらいしか出演していないのもツボです。アル・パチーノがマフィアのボスなどではなくどちらかと言うと冴えない役を演じているのも新鮮です。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
shimone(シムワン)でシモーヌ。
面白かったです。
とくにシモーヌがホテルに泊まるところの監督?のドタバタ偽装工作とかが。笑えて。