この記事では、映画『死にぞこないの青』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『死にぞこないの青』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『死にぞこないの青』 作品情報

- 製作年:2007年
- 上映時間:95分
- ジャンル:ホラー、サスペンス
- 監督:安達正軌
- キャスト:須賀健太、谷村美月、城田優、入山法子 etc
映画『死にぞこないの青』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『死にぞこないの青』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『死にぞこないの青』のあらすじを紹介します。
普通の小学6年生のマサオの担任になったのは、新任の羽田先生。
生徒に優しく、同僚の教師や親からの信頼も厚い、理想の先生だった。
しかしクラスの係り決めの時、何も知らずに人気の生き物係りになれたと思い込んだマサオは周囲から冷ややかな視線を受け、羽田先生に目を付けられるようになる。
誰かが悪いことをすると注意しなかったマサオの責任に。
テストの点数が悪いのはマサオの責任。
そんな羽田先生に倣い、クラスメイトたちもマサオに全ての責任を押し付け始め、それはすぐにイジメへと発展していく。
暴力を振るうことは無いが、言葉で傷つける羽田先生に絶望するマサオ。
やがて、マサオにだけ全身が青い子が見えるようになる。
マサオを庇って事故で命を落とした姉によく似たそれを、マサオは”アオ”と呼ぶことにした。
生徒たちによるマサオへのイジメは過激になっていき、命に関わるものもあったが、羽田先生はそれすらマサオの責任にした。
鵜呑みにするマサオに対し、アオは戦うべきだと諭す。
そしてマサオは自分自身を救うため、アオと一緒に羽田先生殺害計画を考え始める。
羽田先生の部屋に入り込んだマサオだったが、すぐに気付かれてしまう。
怯えるマサオに対し、羽田先生も怯えているのだと告げるアオは今こそ戦うべきだと言い、マサオも覚悟を決める。

映画『死にぞこないの青』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『死にぞこないの青』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ホラーというよりイジメ問題を中心にした作品
イジメという問題にフォーカスを当てながら、幽霊のような謎の真っ青の子供”アオ”とマサオとの交流、そして成長する様子を描いた作品。
イジメの主犯だった羽田先生の内面に潜む弱さや凶暴性を描きつつ、マサオの心の中の復讐してやりたいという気持ちを”アオ”という代弁者が表現しているのが、良く出来ている。
アオの拘束服で身動きが出来ない傷だらけの体、つぶれた片目に縫い付けられた口は、マサオの状態そのものを描いているという設定で、登場シーンこそ不気味。
ラストでマサオがイジメの主犯の羽田先生を許すと言った後、綺麗な姿になって浄化していくという設定は、谷村美月のピュアな外見を上手く利用している。
原作ではアオは少年だったが、映画化の際に少女に変更されている。
アオ役の谷村美月と、主演のマサオ役の須賀健太がどことなく似ているので、このキャスティングにはやられたと感じる。
また、悪役の印象が薄かった城田優の、爽やかなイケメン教師だが心の中は真っ黒という羽田先生役が、実際にいたら嫌だという印象を強く与えている。
深みが足りないストーリー展開
作中の、イジメの進み具合には違和感を感じる。
手探りの状態で、新任教師の羽田先生と生徒たちが交流しているときに、マサオ君の責任だ、と言われて納得する生徒はそこまで多いだろうか?
また、そのイジメの図を授業中にマサオが書いているシーンがあるのだが、もう少し長く映せばわかりやすいだろうとも思われる。
プールに落とされたランドセルを拾うマサオと、それを見て騒ぐ生徒たちを注意しない、他の教師たちの存在はツッコミどころになっている。
ホラーに分類されることが多いが、アオの存在が幽霊のような謎の存在というだけで、怖がらせるようなシーンは1シーンしか無い。
人間の心の奥に潜む、羽田先生やクラスメイトたちの暴走する悪意、アオが見せるマサオの悪意は方向こそ違えど怖いものだ。
ホラーと言うよりもいじめをテーマにした作品で見ていて気分がいいものではありませんでした。ある日突然、何の理由もなくいじめの標的にされてしまうことは少なくないと思います。しかし、先生が主導となっていじめを誘発させるような姿は本当に不快でした。
先生も怖かったんだと弁解するようなシーンがありますが、私だったらとても許すことはできないなと思ってしまいました。酷いことをされながらも「許す」という選択が出来たマサオの優しさに涙が出そうになりました。(女性 30代)
いじめという現実的で重いテーマをホラーとして描いた作品。主人公・安積の心の闇が具現化する“青い少年”の存在は、恐怖というよりも痛々しい共感を呼ぶ。終盤、彼が自分の弱さと向き合い、過去と決別する場面は胸を打った。ホラー要素より心理描写が中心で、人間の弱さと救済を描いた意欲作。(20代 男性)
教師の無責任さ、同級生の残酷さ、そして自分を責め続ける主人公。『死にぞこないの青』は単なるホラーではなく、心の傷をえぐるような心理ドラマだった。“青い少年”が現れるたびに、彼の心の闇が形になっていくようで怖かった。最後の赦しのシーンに涙。(30代 女性)
ホラーとしては静かだが、じわじわとした不安が続くタイプの作品。いじめのトラウマをテーマにしているので観ていて胸が苦しくなる。青い少年の存在は恐怖そのものではなく、主人公の“もう一人の自分”。人間の弱さを象徴していて印象的だった。ラストの光がとても美しかった。(40代 男性)
子供の頃のいじめ体験を思い出してしまい、かなり重く心に響いた。恐怖というよりも悲しさと孤独が全編に漂う映画。青い少年が消えるシーンは、過去の痛みがようやく癒える瞬間のようで涙が出た。タイトルの「死にぞこない」は、むしろ“生き直す”意味に感じた。(30代 女性)
この映画は、ホラーを通して“心の再生”を描いていると思う。主人公が抱える罪悪感と、そこから生まれる幻影。その存在を否定せず、向き合うことで成長する姿は感動的。淡々とした演出が逆にリアリティを増していた。救いのない展開かと思いきや、最後に優しさがあるのが良い。(50代 男性)
映像の青のトーンが印象的で、全体を通して冷たく美しい。青い少年のビジュアルも不気味だがどこか切ない。主人公が“恐怖の正体”を理解した瞬間の演出が秀逸だった。ホラーというより心理サスペンスに近い。観終わった後、心に静かに残るタイプの映画。(20代 女性)
「怖い」という感情より、「痛い」「悲しい」が勝る映画。子どもの無邪気な残酷さ、教師の無関心、そして大人になっても癒えない心の傷。青い少年はその象徴だ。ラストで主人公が彼を受け入れることで、ようやく自分を許せる。恐怖の中にある優しさに気づかされる作品。(40代 女性)
松岡茉優の初期作という点でも注目。全体的に抑えた演技と演出が、現実感を強めている。青い少年の存在はホラー的でありながら、同時に“孤独の友”のようにも見えた。観終えた後、ただの怪談ではなく、心の成長物語としての余韻が残った。静かな傑作。(30代 男性)
原作・乙一の世界観をよく映像化している。淡い光と影、そして静寂の使い方が美しい。人間の心の奥底にある“誰にも見せたくない傷”を形にしたような作品だった。終盤の安積の表情がすべてを物語っていて、言葉がなくても伝わる。深い余韻が残る映画。(50代 女性)
映画『死にぞこないの青』を見た人におすすめの映画5選
告白(2010)
この映画を一言で表すと?
「人間の“悪意”と“贖罪”を冷徹に描いた衝撃の復讐劇」
どんな話?
中学校の教師・森口が、娘を殺した生徒たちへの“告白”から始まる物語。平凡な日常の裏に潜む狂気が、冷静な語り口とともに暴かれていく。彼女の復讐は、誰も予想しない形で生徒たちの心を蝕んでいく。静かで美しくも恐ろしいサスペンス。
ここがおすすめ!
『死にぞこないの青』同様、“心の闇”と“罪の意識”を真正面から描く作品。中島哲也監督のスタイリッシュな演出と松たか子の圧倒的な演技が融合し、観る者の倫理観を揺さぶる。観終わったあと、言葉を失うほどの余韻を残す名作。
リリイ・シュシュのすべて(2001)
この映画を一言で表すと?
「痛みと孤独を抱える少年たちの心の叫びを描いた青春の黙示録」
どんな話?
中学生の少年たちが、いじめ、暴力、裏切りの中で生きる苦しみを抱えながら、“リリイ・シュシュ”という音楽に救いを求める。美しい映像と詩的な語りが、思春期の心の混乱をリアルに描き出す。
ここがおすすめ!
『死にぞこないの青』と同じく、“心の闇”を繊細な感性で表現。岩井俊二監督の映像美とSalyuの歌声が、絶望の中の微かな光を照らす。重く切ないが、心に深く刻まれる青春映画の金字塔。
渇き。(2014)
この映画を一言で表すと?
「愛と狂気が交錯する、暴力と絶望の果ての物語」
どんな話?
娘が失踪した元刑事が、彼女を探すうちに人間の醜悪さと自らの罪に直面していく。次第に娘の本性が明らかになるにつれ、父親は壊れていく。愛なのか、執着なのか——その答えが衝撃的なラストで突きつけられる。
ここがおすすめ!
『死にぞこないの青』のような“心の病み”を極限まで描いた作品。中島哲也監督らしいビジュアルセンスと狂気の演出が炸裂。人間の弱さや暴力性を、圧倒的な映像と音楽で叩きつける問題作。
仄暗い水の底から(2002)
この映画を一言で表すと?
「母と娘の愛情が、恐怖の底で静かに交わる哀しいホラー」
どんな話?
離婚した女性が娘と共に新しい生活を始めるが、引っ越したマンションで奇妙な出来事が起こる。上階から漏れる水、少女の幻影。やがてその“水”に秘められた真実が明らかに——。
ここがおすすめ!
『死にぞこないの青』と同じく、“恐怖の中にある優しさ”を描く。中田秀夫監督の繊細な演出が、母子の絆と喪失の痛みを静かに浮かび上がらせる。泣けるホラーとしても名高い傑作。
ミスミソウ(2018)
この映画を一言で表すと?
「いじめの果てに少女が選んだ、悲しき復讐の物語」
どんな話?
転校先でいじめを受けていた少女・春花は、家族を殺されたことで壊れていく。彼女は自らの手で復讐を遂げていくが、その結末はあまりにも悲しい。雪の中の血の赤が美しくも痛々しい。
ここがおすすめ!
『死にぞこないの青』の“いじめ”と“心の崩壊”というテーマをさらに激しく描いた衝撃作。北欧的な映像美と極限の暴力描写が融合し、観る者を突き放すようで惹き込む。少女の狂気と哀しみが心に残る。






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