映画『知らなすぎた男』の概要:1997年製作のアメリカ映画。ビル・マーレイ演じる主人公が体験ゲームと勘違いしたまま、本物の大使暗殺計画に巻き込まれていく。能天気な主人公をビル・マーレイが好演した痛快コメディ。
映画『知らなすぎた男』 作品情報
- 製作年:1998年
- 上映時間:94分
- ジャンル:コメディ
- 監督:ジョン・アミエル
- キャスト:ビル・マーレイ、ピーター・ギャラガー、ジョアンヌ・ウォーリー、アルフレッド・モリナ etc
映画『知らなすぎた男』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『知らなすぎた男』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『知らなすぎた男』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『知らなすぎた男』 あらすじ【起・承】
アイオワ州に住むウォレス・リッチー(ビル・マーレイ)は、自分の誕生祝いのため、ロンドンで銀行員をしている弟のジェイムズ(ピーター・ギャラガー)のもとへやってくる。
ジェイムズはその日、大きな商談パーティの準備で大忙しだった。
時間を潰してもらうため、兄を演劇体験ゲーム“ライブ劇場”に参加させる。
芝居のスタート地点は電話ボックスで、そこにかかってきた電話の指示に従うことになっていた。
ウォレスが電話を取ると、予定通り次の行動の指示がある。
しかし、その電話はイギリス謀報部が本物の殺し屋スペンサーにかけたものだった。
何も知らないウォレスは“スペンサー”を自分の役名だと勘違いして指示通り動き始める。
指示された屋敷の2階へ行くと、ローリー(ジョン・ウォーリー)という女がいた。
ローリーは国防大臣や英露の謀報機関の秘密を知る女で命を狙われていた。
ウォレスを殺し屋だと勘違いしたまま、ローリーは本物のスペンサーから殺されそうになり、ウォレスと車に乗って逃げる。
しかし、屋敷には重要な秘密が書かれた手紙を隠してあり、2人は戻ってくる。
すると、本物のスペンサーは死体になっていた。
ウォレスはこれも芝居だと思っているので全く怖がらず、手紙も手に入れる。
スペンサーの持っていた通信機で、ウォレスはスペンサーになりきって、大使殺害を計画しているイギリス謀報部のロジャーと通信する。
謎の男の登場で、謀報部は大騒ぎになる。
ウォレスとローリーは、謀報部が新たに仕向けたボリス率いる殺し屋に追われ、さらに追跡してきた警察と派手なカーチェイスとなるが、大喜びで走り回る。
映画『知らなすぎた男』 結末・ラスト(ネタバレ)
ロジャーと、300万ポンドで手紙を渡すという取引をし、ウォレスとローリーは指定されたホテルへ行くが、ボリスたちに捕まり拉致される。
ロジャーとロシア謀報部のセルゲイがそこへ来て、手紙は取り上げられてしまう。
今夜0時、このホテルでイギリスとロシアの平和協定が結ばれることになっていた。
ロジャーとセルゲイは協定が結ばれると謀報部の出番がなくなることを恐れ、その晩餐会の席でマトリョーシカに仕掛けた爆弾を爆発させ、両国の大使を暗殺し、再び両国を冷戦状態にさせる計画をしていたのだ。
一方、弟のジェイムズもウォレスが危険にさらされていると知り、ホテルに駆けつける。
ウォレスは偶然の連続でボリスの仲間を倒し、ローリーに一緒に逃げようと言われるが、金を受け取るというシナリオだと思っているウォレスは応じず、ローリーを幻滅させる。
兄を助けようとしたジェイムズはボリスの仲間に捕まり、地下室で拷問を受ける。
ウォレスもボリスに追われた末、ロシアの舞踏団に混じり晩餐会の席で踊る羽目になる。
晩餐会に出席していたロジャーとセルゲイは、ウォレスを見て驚く。
しかもウォレスは、爆弾を仕掛けたマトリョーシカを手にして踊り出し、ロジャーたちはついに観念する。
時限爆弾は、ボリスがウォレスを殺すために放った毒矢によって偶然止まる。
ジェイムズも解放され、結局ウォレスは何も知らないまま大金とローリーの愛を手に入れる。
後日、ローリーと海辺でバカンスを楽しんでいたウォレスのもとに、噂を聞きつけた謀報員がスパイとしてのスカウトに来る。
ウォレスはこれをまだ俳優としてのスカウトだと勘違いしたまま、喜んで受け入れる。
映画『知らなすぎた男』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『知らなすぎた男』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
徹底的に貫かれた勘違い
本作は勘違いによる巻き込まれ型のコメディで、よくあるパターンではある。
しかし、本作の良いところはとにかく勘違いを徹底しているところ。
大抵は、途中で主人公なり周囲の人間なりが気づいて、そこに新たなピンチが訪れたりするのだが、本作ではぶっ通しで勘違いが貫かれる。
気づいていたはずのジェイムズも、結局は能天気な兄を讃えている始末だ。
“とにかく気づかない”という設定で、最後まで脚本を書ききるのは大変だ。
この設定で下手な脚本家がコメディを書くと、おそらく話はどこかでだらけ始める。
本作はしっかり練られた脚本で、最後までぶっ通しでおもしろい。
ビル・マーレイの見事なオトボケぶり
主人公のウォレスという男が“実はものすごく間抜けなのだが、何となく何かありそうに見える男だ”ということがこの映画の重要な肝になっている。
このつかみどころのない飄々とした雰囲気の主人公をビル・マーレイがとても自然に演じていて、それがまた妙におかしい。
笑わせようと力みすぎた演技は見苦しいし、オトボケを狙いすぎても観客はしらける。
ウォレスの勘違いを笑ってもらうためには、肩の力を抜いた自然な演技が必須だ。
このかなり難しいことをビル・マーレイは何の困難もなく演っているように見える。
だから観客も力むことなく、とても自然に笑える。
クライマックスでマトリョーシカ型の時限爆弾を抱えて、嬉しそうに踊るビル・マーレイの“滑稽さ”は見事としか言いようがない。
すごく背が高いことさえおかしくなってくるのだから不思議だ。
この作品本当に面白すぎました。こんな展開絶対にありえないと思うし、絶対にどこかで気づくだろうと思ってみていたのに、最後の最後まで本当に気づかないウォレス。もうここまでくると天然とかおバカというレベルじゃなくて才能です。
何も知らないで勘違いのまま行動するってこんなにも「怖いもの知らず」なんだなと笑ってしまいました。こういう人ってある意味最強ですよね。
ラストはウォレスにとって「2作目」の依頼が来るような展開になっていて、本当によく出来た作品だなあと感心してしまいました。(女性 30代)
映画『知らなすぎた男』 まとめ
この作品には、アメリカのコメディ映画によくある下ネタ満載の下品な雰囲気がない。
舞台がイギリスということもあるのだろうが、全体に紳士的で上品な仕上がりになっていて、ほのぼのと笑える。
世界平和を揺るがすような陰謀を企てている悪役や殺し屋たちも、それぞれに愛すべきキャラクターで全然怖くないところがまたおかしい。
特に、アルフレッド・モリーナの演じる殺し屋ボリスは非常にいい味を出している。
安心して観られる善良なコメディ映画なので、ただ笑いたい時に見て欲しい。
好みはあるだろうが、たいていの人は“ああ、おもしろかった”と明るい気持ちになれるだろう。
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