この記事では、映画『サイレン(2006)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『サイレン(2006)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『サイレン』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:87分
- ジャンル:サスペンス、ホラー
- 監督:堤幸彦
- キャスト:市川由衣、森本レオ、田中直樹、阿部寛 etc
映画『サイレン』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『サイレン』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『サイレン(2006)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『サイレン』 あらすじ【起・承】
1590年にアメリカのロアーク島で事件が起こった。
それは島民である117人全員が突然消えてしまうと言う物だった。
島には謎の文字が残されているだけだった。
再び、1872年。大西洋の上に浮かぶ漂流していたマリーセレクト号は、船員皆が消失。
航海日誌は、「12月4日 我がマリー号が」と書かれたまま、不気味に途中で終わっている。
1976年。日本の夜美島の島民は、いくら救助スタッフが探しても無人であった。
つい先ほどまで人がいたかの様な様子の不気味な室内で、島には1人だけ生き残りがいた。
保護されたのは、土田圭(阿部寛)。
しかし呼びかけにもこたえず、サイレンが鳴ったら外に出てはならないと言う言葉を繰り返すだけで支離滅裂な状態に陥っていた。
29年の時が経ち、2005年の事。
フリーライターである父天本真一(森本レオ)を持つ天本由貴(市川由衣)は、弟の英夫と愛犬オスメントと一緒に島へと移ってきた。
英夫の療養が目的である。島民も閉鎖的で、感じが良くないと感じた由貴は居心地が悪いと感じる。
診療所の医師である南田豊(田中直樹)は、迎えに来てくれ、隣に住む女性の里美も手伝いに来てくれたりした際に、「森の鉄塔には近寄らない事」「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」など同じ事を忠告してきた。
ライターである父は島を研究し、本を書く準備の為にも島内を調べたり撮影し始めた。
ある日、英夫を追った由貴は、壁に「DOG LIVE」と書かれた廃屋の中で、割れた鏡の中から赤いノートを発見する。
そこには取材メモが書かれており、サイレンの定義、セイレーン、島民は犬を恐れるなど日記も書かれていた。
英夫は赤い服の少女と一緒に居て、島には色々な場所に赤い布が飾られている。
英夫と由貴は帰路の途中で会館の中の怪しい儀式を目撃する。
その夜、父の真一は、撮影で外出してしまったが、島が停電しオスメントは吠え出し、サイレンが鳴り始める。
父は朝になっても戻らず、由貴は南田に相談し、森へと探しに行く。
警察に届けようと思った由貴だが、すぐ戻るだろうと軽くあしらわれてしまう。
南田とはぐれた由貴はいつのまにか会館の前に来ていた。
会館内には、不気味な像や、怪しい文字が描かれていた。
奥から物音が聞こえ、地下を発見した由貴は階段を下った先で父が椅子に座ったまま死んでいるのを見つけてしまう。
動揺した由貴を見つけた南田は、巡査を含め3人で再び父を確認しに行くがそこには何も無かった。

映画『サイレン』 結末・ラスト(ネタバレ)
家では父が怪我をしたものの戻って来ており、普段懐いているオスメントは吠え続けている。翌日行方不明になったオスメントを探しに出た由貴は、父の使っているビデオカメラを見つけ確認してみると、父は崖から落ちて負傷したのでは無く、何かに襲われた事がわかった。南田に父の事を訴えた後、帰宅した雪は父のパソコンから「夜美島のはなし」と言う話を読み始めた。
そこには、昔この島に疫病患者である異国人や感染者を閉じ込めた事。
不老不死の力を持つ人魚が多くの人間によって食い殺されてしまった事。
夜美島には人魚伝説があり、人魚をセイレーン=サイレンと呼ぶ事など書かれていた。
また、動画を見た由貴は1976年の事件も知り、そこで赤い服の少女が関係しているのを目にして焦って英夫を探し始める。
暗い中、英夫を見つけたが、例の赤い服の少女と一緒にいる。
急いで離れるよう叫ぶと少女は去るがサイレンが鳴り始めて英夫は倒れてしまう。
由貴は熱を出してしまった英夫と共に廃屋へと避難するが、気がつくと穴から覗く多数の目が。
家に戻った由貴は、鍵をかけ、明日朝一番にここを出られるように、港の船に隠れようと英夫と誓う。荷作りしている際に、父の引き出しからオスメントの首輪や島民消失事件の資料を見つけ、この家も被害者の家だった事実を知る。
写真から隠し部屋を見つけ、そこで見た写真には現在の姿と変わらない不老不死のメンバーが写っている事を知る。そこには南田の姿もあった。
3度目のサイレンがなった後、停電に襲われたと思ったら、父がシャベルを持ち襲って来た。
異様な姿の父を見て、もはや人間ではないと判断した由貴は、英夫をかばい父に目くらましをして逃げるのだった。
巡査までもが発砲しながら、父の様な異様な姿で襲って来た。
船の乗り場には隠れ場所は無く、とても朝まで耐えられる環境ではなかった。
鉄塔を指差した英夫のヒントで、由貴は鉄塔のサイレンを壊す事を思い付く。
弟を背負い、鉄塔を登り出す由貴は、拡声器を壊し始めるが、下にはたくさんの島民が。
拡声器を壊してもサイレンは止まらず、困惑する由貴に「サイレンなんて鳴っていない、君の中だけで鳴っている、英夫くんも半年前に死んでいる」と南田は告げる。
実はそれは事実で、責任感を感じ、精神を患ってしまった由貴が本当はこの島に療養に来ていたのだ。父や島民が異形に見えるのも全て由貴の妄想だった。
事実に我に返った由貴は、投身自殺を図る。
ベッドに眠る由貴の隣の部屋で、南田と父は29年前も土田が幻聴を境に島民全員を殺してしまった事を話す。
それ以降、島ではサイレンが鳴ったら外に出てはならない、つまりサイレンが聞こえる人間を外には出すなと言う意味だったのだ。
由貴の赤いノートを見つけた南田は、自分の持っている物と並べる。このノートは2つで1つのついになっており、「4度目のサイレンでやつらを皆殺し」と書いてあった。
そして由貴が南田にナイフを振り下ろす所で終わるのだった。
映画『サイレン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『サイレン(2006)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
うまい構成
赤い服の正体が良くわからないままと言う事、犬のオスメントの行方。なぜ土田と同じ様な症状に由貴が陥ってしまったのかなど完全に理解しにくい部分も多々ある。
ただ、由貴の視点で島や弟を見ている流れなので、最後の方まで「由貴の妄想」と言う景色に気が付きにくいようにうまく構成されている。
ラスト、事実を受け止めきれずに、結局は南田にも殺意の刃を向けてしまう所がホラーとしての味を出している。
一生懸命弟の為に世話してきた分、精神が混乱状態になってしまうと、なかなか回復が厳しい様子が伝わってきて悲しくなる。
土田といい、由貴といい、定期的に精神に異常をきたしてしまう者がこの島に現れてしまう時点で、この島も何か呪われた意味を持つのかもと思わせる部分もある。
引っ越してきた先での、不安定な心理と、島の閉鎖的な雰囲気がこの妄想地獄を生み出してしまったかもしれないなど納得はなかなか出来る様な作りである。
ゲームとの比較
ゲームとはまた少し似ている様で、なかなか深い闇の恐怖感を出し切れて居ないと感じる部分はあった。
それでも精神の迷路に迷い込んだままの由貴視点で展開されていくからそれなりにホラーとして成り立っている。
現実のホラーより、精神の迷宮から出てこられる希望が無い方が恐ろしいと思う。
異常だと思っていた島民が実は健全で、正しいと思っていた自分が異常をきたしていた事実に気がついてしまう事が、この映画の最大に恐ろしい所なのかもしれない。
暗いシーンだと見難いかもしれないが、もう少し闇夜のシーンなど、一寸先すら見えない中での逃亡劇もゲームの様に観てみたかったと思える作品。
想像以上に面白くて、クオリティの高い作品でした。ゲームのストーリーを実写映画にするのはなかなか難しいし賛否両論あると思いますが、今作はかなり良作だと思います。
サイレンの謎やノートの秘密など序盤に出てくる伏線が綺麗に回収されていくのがとても気持ちよかったです。
妄想だという点にも気づかずに見ていたので、明らかになった時にはやられたと思いました。
俳優陣も豪華なので見ていて飽きませんが、驚くシーンも多いので苦手な方は注意してください。(女性 30代)
ホラーゲーム原作ということで期待していましたが、雰囲気は抜群でした。特に島全体に漂う不気味な静けさと、サイレンの音が鳴り響いた瞬間の絶望感がすごかったです。真相が明かされるにつれて、現実と幻覚が入り混じる感覚に引き込まれました。もう少し恐怖演出が強ければさらに良かったですが、独特な怖さを楽しめました。(20代 男性)
ゲーム版が好きだったので観ましたが、かなり映画独自の解釈が入っていましたね。サイレンが鳴ると世界が変わる演出は不気味で良かったです。エリカの存在がミステリアスで、最後に彼女の正体が明かされる場面はぞくっとしました。全体的に静かな怖さがじわじわくるタイプで、派手さはないけど後味が残る作品でした。(30代 女性)
ストーリーの進み方がかなりスローペースですが、その分じわじわと迫る不気味さをしっかり味わえました。サイレンが鳴ることで現実が歪み、住民たちが変貌する演出が怖かったです。特に、過去の悲劇が繰り返される島の呪いという設定が秀逸でした。恐怖演出よりも世界観に浸りたい人向きだと感じました。(40代 男性)
ホラー映画初心者でも楽しめるレベルの怖さだったと思います。ジャンプスケア系ではなく、じわじわ来る不気味さが特徴的で、映像も綺麗でした。サイレンの音とともに変わる世界が怖いけど美しい、不思議な感覚でした。結末もはっきり説明しすぎないので、考察好きな人にはたまらない映画です。(20代 女性)
正直、怖さはそこまでではなかったですが、独特の世界観に引き込まれました。特に、サイレンが鳴るたびに感じる異様な緊張感が良かったです。中盤からラストにかけての展開がやや駆け足な印象でしたが、島に隠された秘密を解き明かしていく過程は楽しかったです。静かなホラーが好きな人におすすめです。(50代 男性)
ホラー映画なのに、どこか幻想的で綺麗な映像に驚きました。恐怖感よりも、どこか悲しい物語だと感じたのが印象的です。特に妹を守ろうとする姉の強さと、最後に待つ哀しい真実には心が痛みました。もっと怖い演出を期待していた人には物足りないかもしれませんが、ストーリー重視の人には刺さる映画だと思います。(30代 女性)
最初は静かすぎて物足りないかなと思ったけど、サイレンの音とともにじわじわ迫る恐怖演出に引き込まれました。島に隠された真実が少しずつ明かされていく構成が面白かったです。バリバリ怖いホラーを期待すると肩透かしかもしれないけど、世界観に浸りたい人にはおすすめの一作です。(40代 男性)
ホラーというよりミステリー要素が強く、登場人物たちの運命に惹き込まれました。特に、サイレンの音で過去と現在が交錯する演出が印象的でした。終盤、全てが繋がったときの切なさは予想以上。恐怖だけじゃなく、心に残る作品を探している人にぜひ観てほしいです。独特の後味を楽しめます。(20代 女性)
静かに積み上げられる恐怖がクセになる作品でした。ジャンプスケアなしでここまで緊張感を作れるのはすごいと思います。島の秘密、サイレンの正体、すべてがわかった後の喪失感がまた良かったです。派手さはないですが、ホラー初心者でも楽しめる、完成度の高いミステリー・ホラーでした。(30代 男性)
映画『サイレン(2006)』を見た人におすすめの映画5選
回路(2001)
この映画を一言で表すと?
静かに世界が滅んでいく絶望感を描いた、極限のサイバーホラー。
どんな話?
インターネットを介して「死者」が現れる奇妙な現象が発生。人々は孤独と恐怖に襲われ、やがて社会は崩壊していく。都市とネットを舞台にした、世界の終焉を描く異色のホラー作品です。
ここがおすすめ!
じわじわと世界が壊れていく不気味さと、説明されない恐怖の演出が秀逸。『サイレン』の持つ静かな絶望感や、理由の分からない不安に惹かれた人にはぴったりの映画です。
仄暗い水の底から(2002)
この映画を一言で表すと?
母と娘の哀しみが染み渡る、湿度高めの心霊ミステリー。
どんな話?
離婚後、新しいマンションで暮らし始めた母娘。しかし、建物には不可解な現象が次々と起こり、彼女たちは過去の悲しい秘密へと巻き込まれていきます。湿った空気感が圧倒的なホラー作品です。
ここがおすすめ!
恐怖だけでなく、切なさと人間ドラマが深く絡むストーリーが魅力。『サイレン』にあった悲しい過去と孤独感をさらに濃厚に味わいたい人におすすめの一作です。
富江(1999)
この映画を一言で表すと?
永遠に再生し続ける恐怖、美しくもおぞましい不死の怪異。
どんな話?
美少女・富江は殺されても蘇り、人々を破滅へと導く存在。彼女に関わった人々が狂気に堕ちていく様子を描いた、ホラーとサイコサスペンスが融合した物語です。
ここがおすすめ!
狂気と美の狭間に漂う不気味な世界観が『サイレン』に通じます。じわじわと精神を蝕む恐怖や、不可解な現象に引き込まれたい人にぴったりのダークなホラー映画です。
アカルイミライ(2003)
この映画を一言で表すと?
日常の裂け目から生まれる静かな絶望を描いた青春サスペンス。
どんな話?
孤独を抱える若者たちが、社会に居場所を見つけられずにさまよう物語。友情と裏切り、微かな希望と深い絶望が交錯し、淡々とした映像で描かれます。
ここがおすすめ!
静かな空気感と、説明されない感情の揺らぎが魅力。『サイレン』のように、明確な答えがない不安な世界を漂う感覚を楽しみたい人におすすめです。
残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-(2016)
この映画を一言で表すと?
見えない因縁が少しずつ侵食していく、静かな恐怖の極み。
どんな話?
あるマンションの怪奇現象をきっかけに、過去に遡る不可解な事件が次々と明らかになる。恐怖の正体を追う過程で見えてくる、人間の業と怨念を描いた実話ベースのホラーです。
ここがおすすめ!
派手な演出を排し、じわじわと心に染み入る恐怖を徹底追求。『サイレン』が持つ”静かな世界観に潜む恐怖”をより濃密に味わいたい人に、強くおすすめしたい作品です。
みんなの感想・レビュー
ゲームは全く知らないが、この映画は意外と単純な話なのかもしれない。
昔、ある島で、島民達が人魚を殺した。
その人魚の生き残り(高橋真唯)が、島にやってきた精神的に弱い外来者(市川由衣、阿部寛)を操って、島民に復讐をする。
操る道具としてサイレンの音を使う。
ようするに、以上のような話なのでは。
人魚がサイレンを使って人間に危害を加えるとは、なかなか面白い設定だと思った。サイレンの語源は海の魔女セイレーン(人魚の一種)だからである。