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映画『白い恐怖』あらすじネタバレ結末と感想

映画『白い恐怖』の概要:イングリッド・バーグマン主演の「汚名」「山羊座のもとに」に先駆けて出演したスリラー映画。共演はグレゴリー・ペック、ロンダ・フレミング、マイケル・チェホフ。アルフレッド・ヒッチコックの1945年米国映画。

映画『白い恐怖』 作品情報

白い恐怖

  • 製作年:1945年
  • 上映時間:111分
  • ジャンル:サスペンス、ラブストーリー、コメディ
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • キャスト:イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック、レオ・G・キャロル、ジョン・エメリー etc

映画『白い恐怖』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

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映画『白い恐怖』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『白い恐怖』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『白い恐怖』 あらすじ【起・承】

バーモント州の精神病院。所長のマーチスン(レオ・G・キャロル)が辞めることになり、新任のエドワーズが来ることになった。女医のコンスタンス・パターソン(イングリッド・バーグマン)はエドワーズを一目みて気に入った。

歓迎会で、コンスタンスが療養所内に作るプールの説明を始めたところ、白地に書かれた線を見たエドワーズは不機嫌になった。そして、ナイフでその線を消そうとするのだった。それを見た周りはざわつく。

翌日、父親を殺したと思い込んでいる患者ガームズを診療した後、エドワーズに散歩に誘われた。コンスタンスは美人だが、恋には奥手。彼に強く惹かれていた。

その日の夜。眠れないコンスタンスは、所長室へ行き、エドワーズが書いた本「罪悪感について」を読んでみた。本の中には彼のサインが。思い余って、彼の部屋を訪れたコンスタンスは熱に浮かれたように彼と抱き合った。

ところが、コンスタンスのガウンにあった縞模様を見たエドワーズに発作が起きてしまう。コンスタンスは心配するが、エドワーズはひたすら耐えていた。その直後、ガームズが自殺未遂を起こしたという知らせが。

エドワーズも錯乱状態になってしまう。数時間後、眠るエドワーズを見守るコンスタンス。やがて、彼の本にあったサインと昼間にもらった彼のサインが違っている事に気が付く。

”あなたは誰なの?”と問うと、”エドワーズは死んだ!私が殺したんだ!”と。そして彼は記憶を失っていた。自分が何者なのかと探るうちに、彼は上着のポケットから、”JB”と書かれたイニシャルの入った煙草入れを発見した。

コンスタンスは、”JBという名前を信じて!”と励ますが、彼は悩む。そして、コンスタンスに宛てたメモ”しばらく、ニューヨークのエンパイア・ステート・ホテルにいます。JB”と書いて、コンスタンスの部屋に投げ入れた。

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映画『白い恐怖』 結末・ラスト(ネタバレ)

エンパイア・ステート・ホテルに向かったコンスタンスだが、彼の部屋が分からない。ロビーで待つ彼女は、探偵を使ってJB(グレゴリー・ペック)を探し出した。ジョン・ブラウン。3033号室。

コンスタンスは、JBに治療をしたいと申し出るが、また2人は熱く抱き合う。部屋で新聞を受け取った彼女は、自らが追われている事を写真付きで知った。2人はホテルを出て、コンスタンスの恩師アレックス・ブルロフ(マイケル・チェホフ)を頼ることに。

恩師ブルロフがいるロチェスターに着いたが、なかなか恩師に会えない。ようやく、恩師と再会したコンスタンスは、新婚旅行で来たとJBを紹介した。2階の部屋に泊まることになった2人。

しかし、JBがベッドカバーの縞模様を見て発作を起こす。”なぜ怖いのか考えて。”と冷静なコンスタンス。

真夜中にJBは、ヒゲを剃ろうとしたが、洗面台や石鹸の泡などに恐怖を感じて剃る事ができなくなってしまう。剃刀を手にしたまま、降りてきたJBを見たブルロフは、彼にミルクを飲むよう勧めた。

ミルクを飲もうとすると、コップの底からブルロフの姿が見えるのだ!翌朝、JBが部屋にいないことに気づいたコンスタンスが慌てて、降りてきた。ブルロフは疲れて眠っており、となりのソファを見るとJBも眠っていた。

JBの異変に気付いたブルロフが、ミルクに鎮静剤を入れて飲ませたらしい。ブルロフは、JBは精神病だから危険だと言い、警察に任せるべきと忠告した。コンスタンスは、2~3日の猶予が欲しいと答えた。

ブルロフは、JBの夢分析を試みた。しかし、断片的なイメージばかりで内容を読み解くことができない。数時間後、雪が静かに降り始めた。

JBが雪の白さや線に反応しはじめるので、コンスタンスは”ガブリエル・エンジェル・バレー”について思い出すよう促した。その場所は、かつてJBが行った思い出のスキー場だった。

翌朝、スキー場へ向かった2人。早速、スキーを滑り始めるが、崖下に落ちてしまう。その時、JBはようやく思い出した。”殺したんじゃない。あれは事故だったんだ!”と。

しかし、警察が2人を追いかけてきた。ロッジに戻ったJBは、自分の名前がジョン・バレンタインである事も思い出す。そして、エドワーズ博士だと思い込んでいた理由も!

弟の事故死と彼の死が重なり、罪悪感を抱いていたのだ。謎が解けたところで、ジョンはエドワーズ博士への殺人容疑で捕まってしまう。コンスタンスは、ジョンを励まし精神療養所へ戻った。

療養所で、マーチスン所長と話してゆくうちに、ジョンの夢分析がにわかに形を帯びてきた。ヒゲの男とは、マーチスン所長だった!マーチスン所長の銃口が、コンスタンスに向けられた。

コンスタンスは、それでもひるむことなく、殺せば死刑は免れない!と言って部屋を出た。マーチスンは自殺した。やがて、疑いの晴れたジョンとコンスタンスは結婚した。

映画『白い恐怖』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『白い恐怖』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

異常心理を用いたヒッチコック流実験室

ヒッチコックがアメリカに渡り、映画を作っていた1940年代の傑作です。ニューロティックとは、神経症を原因とする恐怖感や不安。この心理状態を基に、事件を解決するという趣向ですが、全てを心理学で語るのは無理があると思っています。

グレゴリー・ペック演じる、病院長エドワーズは白い縞模様を見ると、発作を起こします。また彼には記憶がなく、エドワーズという人物でもありませんでした。病院長に恋をして救おうとするのが、美人女医役のイングリット・バーグマン。

映像には、ヒッチコックの徹底した個人主義がよく表れていると思います。フロイトの心理学が主流だった当時は斬新だったが、フロイトに続き、ユングやアドラーなど別の視点で物事を捉える考え方が広まった現在では時代遅れの感じがします。

しかし、「白い恐怖」の中での、ダリの抽象画を観てしまうと狂わずにいられるか!という強烈な心の渇きを喚起させます!加えて、エドワーズ改めJBが、白いもの(ミルクや泡)を見た時の反応がまさにニューロティックなんです!

彼女が眼鏡を外したら~イングリット・バーグマンの魅力

去年(2015年)は、イングリッド・バーグマンの生誕100年でした。骨の髄まで女優だった彼女の魅力と作品に迫ってみたい。

イングリッド・バーグマンはスウェーデン出身。幼い頃、両親を亡くしたが、ストックホルムの王立演劇学校を経て(1年で退学。)舞台デビューしました。

スウェーデン映画に7作出演した後、大物プロデューサー、デービッド・O・セルズニックによって、ハリウッドに呼ばれます。こうして、彼女は「別離」(39)でハリウッドデビューを果たしたのです!

北欧出身という美しい風貌に加えて、演技力が高いと認められ一躍、ハリウッドの人気女優になります。その黄金期に彼女はヒッチコックの3作品に出会っています。

「白い恐怖」では、イングリッド・バーグマンの知的さが最大に生かされています。メガネをかけた美人女医だが、恋には奥手。グレゴリー・ペックとのキスシーンでは、バーグマンの頭の中にある扉が1つずつ開いてゆきます。

ヒッチコックってロマンチストだなぁ。夢のような陶酔感が味わえます。


人間の奥底にあるものを映像化しているような気がして、不思議な気持ちになりましたが、私たちは知らない間に「色」に影響されているのだと感じます。
精神科医の男と女医が恋に落ちるシーンではこれは気味の悪いラブストーリーなのか…?と思っていましたが、その後の展開はサスペンスそのもの。男は一体何者なのかが気になりすぎて頭にハテナを浮かべながら、集中して鑑賞してしまいました。
とにかくテンポが良い作品なので、ストーリーはよく理解できましたが、見逃してしまった部分もあるかもしれません。もう一度鑑賞しようと思います。(女性 30代)

映画『白い恐怖』 まとめ

ヒッチコックは、本能的に恐怖を感じるものを嗅ぎ取る才能があったのかもしれない。
もし、「白い恐怖」がカラーだったらその魅力は半減しただろう。

実際に色を見て恐怖を感じた症例はないだろうけど、色で人間は印象を左右されたりするらしい。この映画の魅力は、イングリット・バーグマンの演技とニューロティック!

また1度観ただけでは掴みにくい展開もあるので、2度観る事をおすすめします。ただダリの絵に心が持っていかれるので注意してね!

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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