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映画『野いちご』あらすじネタバレ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『野いちご』の概要:老人のある1日を通して、人生や孤独、家族への愛を悟る人間ドラマ。北欧の巨匠イングマール・ベルイマン監督の1957年スウェーデン映画。主演はビクトル・シェストレム。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作。

映画『野いちご』 作品情報

野いちご

  • 製作年:1957年
  • 上映時間:90分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ、ファンタジー
  • 監督:イングマール・ベルイマン
  • キャスト:ヴィクトル・シェストレム、イングリッド・チューリン、グンナール・ビョルンストランド、ビビ・アンデショーン etc

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映画『野いちご』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

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映画『野いちご』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『野いちご』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『野いちご』 あらすじ【起・承】

イーサク・ボルイ(ビクトル・シェストレム)は、医者。妻のカリーンを亡くした後は、優秀な家政婦と2人暮らし。息子も医者だが、嫁のマリアン(イングリッド・チューリン)との夫婦仲が上手くいってないようだ。

またイーサクには、高齢の母親もいて気難しいが元気です。イーサクは明日、ルンド大学で名誉博士号を授与される予定。そんな彼は、6月1日の夜に奇妙な夢を見た。

夢の中で、人気のない町を1人で歩いていたイーサクは、”針のない時計”を発見した。そのとたん、心臓の音が激しくなり振り返ると、通りにスーツを着た男が立っているのだった。

その男の顔を見ようとするが、顔が奇妙に歪んでいた。やがて男の顔は溶けてしまう。鐘が鳴り、馬車が猛スピードで通りを走ってきたが、電灯の柱に車輪が引っかかってしまい横転してしまう。

馬車からこぼれたのは、棺桶。棺桶から手が伸びてきて老人を捕えようとした。恐怖に襲われながら、イーサクは目覚めた。

朝。イーサクは、家政婦に車でルンドへ向かうと告げると、晴れの日の楽しみを奪うつもりですか?と反対されてしまう。そこへ、息子の嫁であるマリアンが来て一緒に行きたいと言う。

マリアンは、はっきり物を言う性格だが夫との夫婦生活に悩んでいた。イーサクについて、”冷徹”だとか”エゴイスト”だと言い、嫌うのだ。

2人は、ルンドへ向かう途中、イーサクが20年間を過ごした思い出の場所で車を止めた。(回想)思い出の場所で、イーサクは初恋の人サーラ(ビビ・アンデショーン)に出会う。サーラは美しく、籠いっぱいの野いちごを摘んでいた。

結婚を約束していたが、サーラは女たらしのシーグリフトに惹かれてしまう。シーグリフトにキスされたサーラは驚いて、野いちごを落としてしまう。その後、彼を選び、イーサクから去っていったのだ。

映画『野いちご』 結末・ラスト(ネタバレ)

イーサクは思い出の場所で、初恋の人によく似た女学生サーラ(ビビ・アンデショーン)と出会い、快く車に乗せるのだった。サーラは大学の友人、アンデシュとヴィクトルとイタリア旅行をするらしい。

ところが、イーサクの車に1台の車がぶっかってしまう。幸いイーサクの車は無事だったが、年中ケンカをしているというアルマン夫婦の車は横転した。皆で協力して車を引き上げている間も、アルマンの妻は悪態を突くのだった。

結局、アルマン夫妻もイーサクの車に乗せるが、車内でもケンカをしてしまう。不愉快に思ったマリアンは、夫妻を車から下ろすのだった。

一方、お昼休憩を取るイーサクたちは、イーサクの開業医時代の話や学生たちの「神の存在理由」の話題で盛り上がった。アンデシュは神学科の学生で神を信じているが、医者の卵であるヴィクトルは信仰心を持たなかった。

そんな2人にイーサクは、”いたるところに神はいる・・。”と伝えた。その後、イーサクはマリアンと共に96才になる母親を訪ねた。マリアンを見て、妻カーリンと勘違いする母親。イーサク以外は歓迎していない様子だった。

イーサクは母親から、シーグリフトの息子に渡して欲しいと”針のない時計”を見せられた。また古い人形も箱の中から出してきて、母親は昔を懐かしむのだった。

再び、彼らを乗せた車は走り出す。イーサクは雷の音を聞きながら眠ってしまう。(夢)鳥の羽音がして目を開けると、サーラがいて手鏡をイーサクに向けた。”鏡を見て!”と。そして、”あなたの弟と結婚するの。あなたにあるのは知識の山だけ・・。”と言って去ってゆく。

ピアノの音がして、部屋に入るとサーラがピアノを弾いていた。隣にいるのはシーグリフト。2人で仲良くワインを飲んでいた。(回想)月が雲に隠される夜。イーサクは古い家を訪ねた。”ボルイ教授、どうぞ。”という声を聞き、部屋に入ると大学の講義室に通された。

講義室では医学試験が行われていたが、顕微鏡を覗いても何も見えず答えられない。診察試験では、死んだサーラが急に笑いだすのだった。試験監督に、”冷淡で自己中心的・・不適格だ。”と言われてしまう。

(回想)次に森へ連れていかれたイーサクは、妻カーリンと不倫相手の男が密会している様子を観察させられた。試験監督は、”全ての哀しみを手術で取り除きました。”と言う。そして、ようやく眠りから覚めた。

目覚めると、マリオンがいて煙草を吸っていた。マリオンに死ぬ夢を見たと話す。するとどうやら息子も同じ夢を見たらしい。マリオンは、夫の事で悩んでいた。妊娠したが、夫に”俺か子供、どちらを選ぶのか?”と聞かれたらしい。

夫はケンカの絶えなかった家庭が嫌で子供を育ててゆく勇気がないと。そこで、イーサクはこれまでマリオンの悩みに耳を傾けなかった自分を反省した。

ルンド大学での、名誉博士号授与式。イーサクは戴帽の儀に出席した。わずか1日の出来事だったが、イーサクの心に残り、起こった事全てを書き留めておこうと考えた。

映画『野いちご』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『野いちご』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

若い人にこそ観て欲しい!孤独や死を肯定し、どう生きるかを問う秀作

「野いちご」は、イングマール・ベルイマン監督の3大傑作の1つで、比較的分かりやすくベルイマン作品の入門編だと言われています。全編モノクロだが、それがかえって老人の心理や回想シーンを際立たせており、シュールな展開に笑えます。

老医師イーサク・ボルイがルンド大学で名誉博士号を授与されるまでの1日を回想形式で紡ぐ物語。最初の回想シーンに出てくる、”針のない時計”がまるでダリの絵の中に迷いこんだようで不気味です!

この奇妙な時計が暗示するものは、主人公が体験するはずだったもう1つの世界でしょうか?どんなに好きあっていても一緒になれない運命もあります。怖いというより、孤独である切なさを象徴しているように思えます。

また息子の妻マリオンと共にルンドへ行く途中、3人の大学生や年中、ケンカを繰り返している夫婦に出会います。他人を反面教師にして学ぶことは、大切です。特に「神の存在理由」を熱心に問う、若者たちとの絡みが秀逸です。

老医師イーサクは、マリオンに冷淡だと言われますが、観終わる頃には”思いやりのある人”へと成長しています。老いや孤独を受け入れた彼に何も怖いものはないのです。

”スウェーデン映画の父”ビクトル・シェストレム、最後の作品!

ビクトル・シェストレムは当時、78才。高齢で健康面に不安があったため、なかなか撮影も進まなかったようです。彼は、映画監督・脚本家として活躍し、サイレント映画の黎明期を築きました。

サイレント映画というと、1902年に製作されたジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」が有名です。またチャーリー・チャップリンの作品も人気を集めました。

シェストレム監督のスウェーデン時代の初期の代表作として、「波高き日」(17)や「生恋死変」(18)、そして幻想的な映像美を魅せた「霊魂の不滅」(21)の3作があります。その後、ハリウッドに渡り、「殴られる彼奴」(24)、「真紅の文字」(26)、「風」(28)の傑作が生まれました。

特に「風」は、風を可視化したサイレント映画の傑作で、2014年に”トーキョー・ノーザンライツ”(日本)でリバイバル上映されました。まだ日本での認知度は低いですが、イングマール・ベルイマンに助言を与えた人物として尊敬されています。

その中でも、「野いちご」はシェストレムの1番気に入った作品です。

映画『野いちご』 まとめ

人生の黄昏時をどう生きるか。回想シーンで野いちごを摘むサーラが妖精のように美しく、老医師イーサクも微笑む。現代の映画作家がもしカラーで撮ったならこれほど幻想的な作品にならなかっただろう。

「野いちご」は、人生の愛おしさや悲哀を熟成させた作品だと思う。若い人に観て欲しいと書いたが、もちろん老人にも感じて欲しい。誰しも死んでるように生きたくはないはずだ。

回想シーンでは、過去と現在とを同時進行で描くトランジット・ショットが、とても効果的に使われています。またシュールな笑いを散りばめ、飽きさせない工夫もあります。

人生はきっと考えるよりも短い。だから自分を見つめる時間を大切にしたい。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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