映画『眠れる森の美女(1959)』の概要:あるヨーロッパの王国に念願の王女オーロラ姫が誕生した。多くの人々が祝福する中、誕生会に招待されなかった悪の魔女マレフィセントがオーロラに16歳の誕生日に糸車の針に指を刺して死ぬという呪いを掛ける。しかし3人の妖精の魔法により、オーロラは死ぬのではなく永遠の眠りに付き、その呪いを破るのは愛する人の真実のキスであるとする。
映画『眠れる森の美女』の作品情報
上映時間:75分
ジャンル:アニメ、ファンタジー
監督:クライド・ジェロニミ
キャスト:メアリー・コスタ、ビル・シャーリイ、ヴェルナ・フェルトン、バーバラ・ジョー・アレン etc
映画『眠れる森の美女』の登場人物(キャスト)
- オーロラ姫(ブライア・コスタ)
- ヨーロッパの国に生まれた王女。美しく綺麗な歌声を持っており、多くの人々や森の動物達に好かれている。生まれたばかりの誕生日会で妖精達から美しさや歌声を授かると同時に悪の魔女マレフィセントから呪いをかけられてしまう。そして16歳の誕生日に呪いによって永遠の眠りにつく。
- フィリップ(ビル・シャーレイ)
- オーロラ姫の隣国の王子。彼女が生まれた際に将来を約束され、お互いの事を知らずに16年後に偶然再会した際に恋に落ちる。オーロラ姫を永遠の眠りから目覚めさせるためにマレフィセントに挑む。
- マレフィセント(エレノア・オードリー)
- ステファン王の国に住む悪の魔女。オーロラ姫に呪いをかけた張本人で彼女を目覚めさせようとするフィリップを邪魔する。魔力が強く、他の妖精達のものでは歯が立たない。自身をドラゴンの姿に変えてフィリップに襲い掛かる。
- 3人の妖精<フローラ(ヴェルナ・フェルトン)、フォーナ(バーバラ・ジョー・アレン)、メリーウェザー(バーバラ・ルディ)>
- ステファン王に仕える妖精。オーロラ姫に美しさや歌声、マレフィセントの呪いの緩和を授ける。オーロラ姫が16歳の誕生日を迎えるまで安全に暮らす為に養母となって彼女を育てる。日頃は魔法を使うが、人間として暮らしている間は魔法を封印していた。マレフィセントと闘うフィリップの救出や彼に真実の剣や美徳の盾を与えてサポートする。フローラは赤、フォーナは緑、メリーウェザーは青を基調とした洋装をしている。
映画『眠れる森の美女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『眠れる森の美女』のあらすじ【起】
あるヨーロッパの王国に念願の王女が生まれた。王女はその美しさからオーロラ姫と名付けられて誕生日会に各国から王族や貴族が祝いに訪れた。その中にはフィリップ王子もおり、オーロラの父ステファン王とフィリップの父ヒューバート王は両国の繁栄を願って2人の将来を約束した。誕生日会には3人の妖精、フローラ、フォーナ、メリーウェザーも訪れた。3人は姫の幸せを願いそれぞれ贈り物をする事にした。フローラは「美しさ」、フォーナは「美しい歌声」を与えた。そしてメリーウェザーが贈り物をしようとした時に風が吹き荒れた。そして雷と共に悪の魔女マレフィセントが現れる。マレフィセントは誕生会に招かれなかった事に腹を立ててオーロラに呪いを掛ける。16歳の誕生日に糸車の針に指を刺して死ぬというものだ。マレフィセントが去った後、フォーナはメリーウェザーの贈り物が残っていると話し、メリーウェザーはマレフィセントの呪いにかかった場合、死ではなく眠りにつくものへと変えた。そしてその呪いは運命の人のキスで解ける。
フローラは他の2人の妖精とオーロラを匿えないかと相談する。そうする事によりマレフィセントの目を免れるからだ。魔法を使わずに人間として暮らす事にフォーナは乗り気だがメリーウェザーは少々反対だった。しかし王女を守る為と考えて3人は人間として暮らす事にしたのだ。
映画『眠れる森の美女』のあらすじ【承】
それから16年が過ぎた。オーロラは3人の養子として育てられ16歳の誕生日を迎える。3人の妖精はオーロラに内緒で誕生日会の準備を進めていた。そしてオーロラを使いに出している間に掃除やケーキ、ドレス作りを進めた。オーロラは森にイチゴ摘みに来た。動物達と触れ合い、美しい歌声を響かせるオーロラ。その声をフィリップ王子が聞いていた。王子はその美しい歌声に魅了され、その声の主の元へと向かった。オーロラはフィリップと出会い、その優しさや優雅さに心を惹かれる。そして再び夜に出会う事になった。
一方、マレフィセントはオーロラの行方を追っていた。呪いを実行する為だ。しかしフローラ達の甲斐もありなかなか見つけられずにいた。マレフィセントはペットのカラスのディアブロに森の中を探るように命じる。
オーロラの家ではフローラ達が誕生日会の準備に追われていた。しかし、どれも上手くいかない。どうしようもなくなったフローラ達は魔法を使うことにした。しかし、ドレスの色を巡ってフローラとメリーウェザーがケンカを始めてしまう。そして外に漏れる魔法をディアブロに見つけられてしまう。ケンカも納まり、オーロラが帰ってきた。3人はオーロラの誕生日を祝う。その時、3人はオーロラから森の中で出会った青年の事を聞かされる。3人はオーロラの生い立ちについて話し、その人と二度と会ってはならないと伝える。オーロラはショックで自分の部屋へ籠ってしまう。そしてディアブロも事の次第を伝えにマレフィセントの城へと戻る。
ステファン王の城では王女を歓迎する準備が進められていた。しかし王は落ち着かない。国中の糸車を焼き払ったがマレフィセントの呪いの日が終わらず、オーロラも夜に戻ってくるからだ。それを気長に待とうと話すヒューバート王。そこへフィリップ王子がやって来る。フィリップは森で会った女性について話す。ヒューバート王は一国の王子がどこの誰かも分からない女性と結婚するなど許せないと話す。しかし、フィリップはそれに構わず、再び森へと向かう。
映画『眠れる森の美女』のあらすじ【転】
3人の妖精達はオーロラを連れてステファン王の城へと向かっていた。城へ無事に辿り着き、オーロラをしばらく一人にする妖精達。しかしその隙をマレフィセントに突かれてしまう。マレフィセントはオーロラを誘い出し、糸車の針に指を刺させた。マレフィセントの気配に気付いたフローラ達はオーロラの後を追ったが時既に遅く、オーロラは永遠の眠りについてしまった。
妖精達は王様達も含めて国中の人々を王女が目を覚ますまで眠らせる事にした。そしてその途中でオーロラが会おうとしていた青年がフィリップ王子である事を知る。3人は急いで待ち合わせ場所となっていた自分達の家へと戻る。
フィリップはオーロラの住んでいた家に来ていた。しかし中ではマレフィセントが待ち構えており、オーロラを目覚めさせるカギとなるフィリップを拘束し、自分の城へと連れて行って監禁してしまう。
フローラ達はフィリップ奪還にマレフィセントの魔城へと赴く。城は多くの怪物の兵士達に警備されており、中々フィリップが閉じ込められている牢まで辿り着けない。それでも体を小さくした妖精達は何とかフィリップに会う事が出来た。
映画『眠れる森の美女』の結末・ラスト(ネタバレ)
フィリップの錠を外したフローラ達は彼に「真実の剣」と「美徳の盾」を授ける。脱出を試みるフィリップ達はディアブロに見つかってしまう。ディアブロは不穏な雰囲気を感じ取り、見回っていたのだ。フィリップ達の事はすぐに他の兵士達の耳に入り、兵士達は再びフィリップを捕まえようとする。フィリップは真実の剣を振り、マレフィセントの兵士達をなぎ倒して行く。兵士達は岩や矢、溶岩などでフィリップの脱出を拒もうとする。しかし、フローラ達の魔法に助けられてそれを乗り越える。それを見兼ねたディアブロはマレフィセントに報告する為に飛んでいく。メリーウェザーはディアブロを追い、彼を石化する。
マレフィセントはフィリップに雷を落としたり、ステファン王の城の周りを茨で囲んだりと行く手を阻む。それでもフィリップは城へ向けてひたすら突き進む。マレフィセントは遂に自らをドラゴンの姿に変えて最後の戦いを挑む。その姿は恐ろしく巨大で口から炎をはく。その勢いにフィリップは崖の際まで追い込まれてしまう。そして炎の一撃で美徳の盾を失ってしまう。妖精達は真実の剣に魔法をかけた。そしてフィリップはその剣をマレフィセントの胸めがけて投げる。剣はマレフィセントの心臓に刺さり、マレフィセントは崖から落ち絶命する。マレフィセントを倒したフィリップはステファン王の城へと向かう。ベッドには永遠の眠りについたオーロラ姫がおり、フィリップは彼女の口唇にキスをして呪いを解いた。
城では王女の帰還とフィリップとの婚約が発表された。ヒューバート王は当初フローラ達と同じく、フィリップが恋に落ちた相手がオーロラとは知らなかった為、驚いている。そしてオーロラ姫とフィリップ王子はみんなが見守る中、ダンスを踊り幸せになった。
映画『眠れる森の美女』の感想・評価・レビュー
眠れる森の美女は、絵本でも幼いころに見ましたが、大人になっても楽しめるロマンチックな映画だなと思います。王子様のキスで目覚めるヒロインはディズニー映画の王道だなと思います。マレフィセントという魔女が映画の中で出てきますが、マレフィセントが主人公の映画を見た後だったので、複雑な心境で見てしまいました。お話の中で、王女が約束を破って糸車を触ってしまうシーンでは、「なんで!?」と疑問も多い中、体を張って王女を助け出そうとする(王女の顔も知らないのに)王子の姿が格好いいなと幼心ながらに思いました。素敵なアニメーションも見どころの映画となっています。(女性 20代)
今作のヴィラン「マレフィセント」の実写化が記憶に新しいですが、やはりオーロラ姫はディズニープリンセスの中で一番美しいと私は思います。気品があって高貴で、近年のディズニー映画ではお目にかかれない正真正銘のプリンセスです。そして何といってもディズニーの手描き時代の凄さ。ダンスをするシーンが何度か登場しますが、よくこんなに滑らかに動くなと感心します。
王道のプリンセス物語としてはもちろん、作画の素晴らしさやチャイコフスキー作曲のバレエ音楽にも注目して観ていただきたいです!(女性 20代)
オーロラ姫はディズニープリンセスのなかでも有名なヒロインだろう。古い作品でも丁寧で美しいアニメーションが特徴的で、色のトーンも全体的に暗いのがとても印象的だ。絵柄も独特で、他の作品とは違った雰囲気もある。
オーロラ姫はもちろん美しいが、マレフィセントも強く美しい魔女であると思う。どのディズニー作品よりも美しく、上品なプリンセスが観れる作品だ。(女性 20代)
ディズニー作品の髄いつの映像美を誇る作品。
特に妖精たちからのオーロラ姫への贈り物のシーンは、まさに映像芸術。
美しい背景と音楽と映像に対して、分かりやすいストーリーと愛嬌のあるキャラクターたちとのコントラストが、美しいだけではなく、観客への敷居の高さを無くしている、さすがはディズニーと言える所。
そして、オーロラ姫を守らんと16年もの間、誰よりも奮闘し、彼女を愛してきた、3人の妖精たちこそ、本作の真の主人公であろう。(男性 20代)
何年経とうが色褪せない不朽の名作。やはりこの頃のディズニー作品の色使いや動きは素敵だなと思う。丁寧に作られていることが分かるし、伝わってくるものがある。主人公を含めてふんわりしている雰囲気が、見ていて癒される。
実写映画の『マレフィセント』を見てから改めて視聴すると、主人公のオーロラ姫よりもついついマレフィセントに目がいってしまう。大変な人生を歩んできたのだなと、同情的な気持ちになってしまった。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
大ブームになった『アナと雪の女王』は、近年のディズニー映画のトレンドである「強い女性、女性の自立」をテーマにしていました。「ありのまま」というフレーズが女性たちの共感を呼び、大ブームになったわけです。
しかしながら、古いディズニーヒロインは強くありませんし、自立なんかしようとしません!なぜなら、女性は男性の元で暮らしていればいいという古い価値観の元制作されているからです。原作のグリム童話は1812年に出版されていますから、女性の権利が低い時代の風潮が反映されていますしね。
『眠れる森の美女』は素晴らしい映画ですよ。アニメーションも物語も「美しい」です。細田守作品のように悪の要素が薄いわけではなく、人間味のある美しさが観客を魅了します。
なぜディズニーは受け身のヒロインを捨てたのか。時代に適さなくなったからです。男女平等社会では、王子様を待っているだけのヒロインなんて受けないんですよ。だから強いヒロインが登場する作品を制作するようになったんです。
『眠れる森の美女』に代表される古いヒロイン像なんて、過去のものとして受け止めなければいけないんですからね。チャップリンの映画みたいに、今見ても影響をうけるような普遍性はありませんから。ディズニーの芸術的なアニメーションと綺麗なお話に感動するのが、正しい楽しみ方です。
見て損はしませんよ。絶対にしません。素晴らしい映画です。昔のディズニー映画はだいたい凄すぎる作品ですから、他作も見てもらいたい。でも、子どもに見せるのはちょっと問題あるかも知れないです。アナ雪とラプンツェルを見せるべきだと思います。