この記事では、映画『ソフト クワイエット』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ソフト クワイエット』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ソフト クワイエット』の作品情報
出典:https://www-video-lp.unext.jp/title/SID0089904
製作年 | 2022年 |
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上映時間 | 92分 |
ジャンル | スリラー ホラー ミステリー |
監督 | ベス・デ・アラウージョ |
キャスト | ステファニー・エステス オリヴィア・ルッカルディ エレノア・ピエンタ デイナ・ミリキャン |
製作国 | アメリカ |
映画『ソフト クワイエット』の登場人物(キャスト)
- エミリー(ステファニー・エステス)
- 教会で開催される、女性たちが集まる会合を主催した女性。幼稚園の教諭を務めていて、クレイグという夫と2人暮らしをしている。
- レスリー(オリヴィア・ルッカルディ)
- エミリーが主催した教会での会合に出席した女性。刑務所帰りという経歴を持ち、エミリーの語る主張に同意する。
- マージョリー(エレノア・ピエンタ)
- エミリーが主催した教会での会合に出席した女性。エミリーの主張に同意するものの、なぜかエミリーとはあまり馬が合わない。
- キム(デイナ・ミリキャン)
- エミリーが主催した教会での会合に出席した女性。夫と共に食料品店を経営していて、犯罪者撃退用の拳銃を店に置いている。
- アン(メリッサ・パウロ)
- キムの経営する食料品店にやって来た中国人女性。妹のリリーと2人で、丘の上に建つ一軒家で暮らしている。
- リリー(シシー・リー)
- キムの経営する食料品店に、姉のアンと共にやって来た中国人女性。店にいたエミリーたちと、口論になってしまう。
映画『ソフト クワイエット』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ソフト クワイエット』のあらすじ【起】
幼稚園の教諭を務めるエミリーは、教会で催されるある会合に出席する。この会合はエミリーが主催したものであり、出席者は全員女性で、一見普通の主婦や働く女性に見えたが、みな同じ強い主張を持っていた。エミリーは皆が集う会議室で、持参したお手製のパイを披露する。そのパイの表面には、くっきりとナチスの鍵十字が記されていた。
エミリーたちの主張は、現代のアメリカでは外国人や黒人が優遇される傾向にあり、真面目に働く白人が「逆差別」を受けているというものだった。会合に集まった女性たちは自分たちがいかに差別されているかを語り、それを聞いた出席者たちは親指と人差し指で丸を作る、「白人至上主義」のサインを掲げる。
また出席者たちは女性の権利についても意義を唱え、白人男性にとって理想的な妻と母親になることこそ女性の目指す道だと信じていた。そして学校での教育にも疑問を抱き、学校は歪んだ主張を押しつける場所だと考え、エミリーは自分で絵本を作り、自分たちの主張を子供たちに伝えようと試みていた。
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映画『ソフト クワイエット』のあらすじ【承】
出席者たちは、自分たちの主張を伝える会報を作成することで意見が一致する。エミリーは会報の第一号は過激さを抑えてあくまで穏便(ソフト)な内容にして、読んだ人々に静か(クワイエット)に主張が伝わるものにしようと思いを語る。
そこでエミリーは教会の神父から呼び出され、「出て行ってくれ」と言い渡される。エミリーは仕方なく教会を出て、自宅で食事をしながら続きをしようと皆に告げる。
会合に出席した女性のうち何名かはそこで別れたが、エミリーと刑務所帰りのレスリー、エミリーと馬が合わないマージョリーの3人は、出席者のキムが夫と経営する食料品店で酒や食料を買い込もうと考える。
エミリーたちがキムの店に着いたあと、中国人の姉妹・アンとリリーが店に入って来る。エミリーたちは差別的な言葉を姉妹に浴びせ、口論になったところでキムが犯罪者撃退用の拳銃を取りだし、姉妹を店から追い出す。
映画『ソフト クワイエット』のあらすじ【転】
姉妹は小高い丘の上に立つ一軒家に住んでいて、エミリーたちは姉妹が贅沢な暮らしをしていると妬んでいた。しかもリリーがエミリーの兄をレイプ犯だと訴えた過去もあり、エミリーたちは自分たちが侮辱されたと憤り、レスリーは「あいつらに思い知らせよう」と提案する。
そこにエミリーの夫・クレイグが迎えに来て、レスリーの話を聞いて反対するものの、エミリーに説得されて一緒に姉妹の家に向かうことになる。エミリーたちは姉妹が留守中なのをいいことに家に上がり込み、パスポートを盗みだして困らせようと考える。
エミリーたちは豪勢な一軒家の内装を妬みながら、子供のようにイタズラをする気分で家の中を探し回る。そこに姉妹が帰って来て、クレイグは咄嗟に姉妹を捕らえ、エミリーたちは家の中に姉妹を拘束する。
キムは店から拳銃を持ち出して来ていて、姉妹に拳銃を突きつけて静かにしろと脅す。姉妹に騒がないようにとだけ言うつもりだったクレイグはこの状況に恐れをなし、1人で家から出ていく。
映画『ソフト クワイエット』の結末・ラスト(ネタバレ)
そこでレスリーが、証拠を消して立ち去れば問題ない、2人を痛めつけて証言させないようにしようと言い出す。制する者がいなくなったエミリーたちは音楽をかけて酒を飲みながら、姉妹をいたぶりだす。そこでレスリーがキムの店で買ったナッツを取りだし、妹のリリーに強引に食べさせる。
しばらくしてリリーが、泡を吹いてケイレンを始める。口に貼られたテープを剥がしてもらったアンは、リリーがナッツのアレルギーだと必死に訴えるがすでに遅く、リリーは息を引き取ってしまう。
エミリーとレスリーは互いにあんたのせいだと言い争いを始め、レスリーはレイプ事件に見せかけようと、アンの股間にニンジンを挿入したあげく、首を絞めて殺害する。
皆は家の中の指紋を拭きとったあと、なぜこんなことになったのかと動揺しながらも、レスリーの指示通りにアンとリリーの死体を川辺まで運び、ボートに乗せて川の中に突き落とす。
エミリーはレスリーと共に、「私たち、やり遂げたわ」と言いながら川辺を後にする。しかしその後、川に沈められたアンが息を吹き返し、川面から懸命に顔を出すのだった。
映画『ソフト クワイエット』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
観終わった後、しばらく体が固まったまま動けなかった。全編ワンカットで進む緊張感に加えて、静かな日常からあっという間に狂気へと転がり落ちていく展開が圧巻でした。主婦たちの会話が普通であればあるほど、その背後に潜む暴力性と差別意識の恐ろしさが際立つ。まさに“静かで恐ろしい”映画です。(20代 男性)
「普通の人たち」が何の疑問もなく差別や暴力に手を染めていく姿が本当に怖かったです。最初は共感できるように見える彼女たちが、徐々に本性をむき出しにしていく流れがリアルすぎて、観ていて息苦しくなりました。人間の本性を突きつけられるような感覚を味わいました。(30代 女性)
低予算映画とは思えない緻密な構成。全編リアルタイム進行で展開するので、観客もまるでその場に居合わせているような錯覚に陥ります。最初はただの集まりかと思ったら、あっという間に道徳も理性も崩壊していく。ラストの沈黙が何よりも恐ろしかった。(40代 男性)
テーマは重いけど、映画としての完成度が非常に高いです。特に音の使い方が秀逸で、「ソフト&クワイエット」というタイトルが皮肉として効いています。女性同士の“共感”が狂気へと変わっていく過程にゾッとしました。現代社会にも通じる恐怖が描かれています。(20代 女性)
最初の数分で「何かおかしい」と感じさせる演出が上手い。明確な悪人がいないのに、全員が少しずつ道を踏み外していく過程が、まるでドキュメンタリーのようにリアルでした。人種差別や集団心理の恐ろしさを、これほど無音と沈黙で描いた作品は他にないと思います。(30代 男性)
自分と同じような立場の“普通の女性たち”が主役だったからこそ、余計に怖かったです。誰でもあの場にいたら流されてしまうかもしれないという恐怖。観ているうちに自分も加担しているような感覚になるのが、この映画の一番恐ろしいところでした。(40代 女性)
映像表現というより、空気感そのものが凶器になっている映画。会話のテンポや表情の変化、カメラの距離感など、すべてが緻密に計算されている。日常に潜む“差別の当事者意識の欠如”がいかに危険かを、静かに、しかし鋭く突きつけてくる一本でした。(20代 男性)
社会派スリラーとしてはかなり異色。メッセージ性が強く、それでいて押しつけがましくない。小さな発言や行動がどれほど大きな事件に繋がるかという恐ろしさを、静かな演出の中で伝えてくるのが巧妙でした。ラストの余韻が重く、しばらく引きずりました。(30代 女性)
ホラーでもスリラーでもない、だけどとてつもなく怖い映画。なぜなら、登場人物が自分の隣にいるような“普通の人”だから。その普通が積み重なって凶悪な事件になる様子は、他人事ではなく、自分の社会にも起こりうるリアルさがありました。無音の緊迫感が秀逸。(40代 男性)
ある意味、今まで観たどんなホラーよりも怖かったです。暴力的な描写は最小限なのに、心理的に追い詰められる構成で、最後には思考停止してしまいました。「私たちは大丈夫」と思っている人ほど観るべき映画。現代社会の病理をえぐり出した傑作です。(20代 女性)
映画『ソフト クワイエット』を見た人におすすめの映画5選
グリーンルーム
この映画を一言で表すと?
出口なき密室で繰り広げられる、命がけのサバイバル。
どんな話?
田舎町でライブを終えたパンクバンドが、偶然ある事件を目撃したことでネオナチ集団に監禁される。助けを求めることも逃げることもできない極限の状況で、生存をかけた壮絶な攻防が始まる。
ここがおすすめ!
緊張感の持続が異常なほどリアルで、観ている側も息を呑む展開が続きます。『ソフト クワイエット』同様、社会的テーマと暴力の境界を描く作品で、人間の本性が暴かれる瞬間にゾッとする映画体験が味わえます。
アメリカン・ヒストリーX
この映画を一言で表すと?
憎しみは連鎖する、しかし変われると信じたい。
どんな話?
ネオナチのリーダーだった男が服役後、過去を悔い改心するも、同じ道を進もうとする弟を止めようと奮闘する。人種差別の現実と、その背後にある家族や社会のゆがみを鋭く描いた社会派ドラマ。
ここがおすすめ!
社会問題を骨太に描きながらも、兄弟の絆というエモーショナルな軸がしっかり描かれていて観やすい。『ソフト クワイエット』のように、差別が“日常”として存在する恐怖を静かに、しかし力強く突きつけてくる作品です。
ヘイトフル・エイト
この映画を一言で表すと?
吹雪の山小屋、8人の中に潜む真の敵とは。
どんな話?
賞金稼ぎたちが猛吹雪の中、山小屋に閉じ込められ、それぞれの思惑が交錯するうちに嘘と暴力が支配していく。隔離された空間での心理戦と、タランティーノならではの毒とユーモアが詰まった密室劇。
ここがおすすめ!
セリフと表情で進む展開はまさに緊張の連続。『ソフト クワイエット』と同じく、表面上は“静か”なのに、内面では危機が刻々と進行するあの感覚が味わえます。じわじわと狂気が膨らむ密室劇が好きな方にぴったり。
スリー・ビルボード
この映画を一言で表すと?
怒りと哀しみが人々を変える、痛みを抱えたヒューマンドラマ。
どんな話?
娘を殺された母親が、未解決事件に憤り、地元警察を非難する広告を掲げる。それをきっかけに町の人々との関係が揺らぎ始める。憎しみ、赦し、そして変化を描いた心揺さぶる物語。
ここがおすすめ!
誰が悪者で誰が正しいのか、簡単には決められないリアルな人間ドラマ。『ソフト クワイエット』のように、“社会の闇”を静かにえぐりながら、強い女性の姿が芯に描かれているところが共通点です。
ファニーゲーム U.S.A.
この映画を一言で表すと?
観る者を巻き込む、反道徳的ショック・スリラー。
どんな話?
バカンスで訪れた別荘で、若者二人組に襲われる一家。なぜ、彼らはここまで残酷なのか?そしてなぜ、誰も彼らを止められないのか。サスペンスを超えた“観客への挑戦状”的問題作。
ここがおすすめ!
観る者の倫理観を揺さぶる構成と、静かで淡々とした暴力描写が強烈。『ソフト クワイエット』同様、“普通の人間”が一線を越えてしまう恐怖を描き、そのリアリティが心をザラつかせる一作です。
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