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映画『ソナチネ(1993)』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『ソナチネ(1993)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ソナチネ(1993)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ソナチネ(1993)』の結末までのストーリー
  • 『ソナチネ(1993)』を見た感想・レビュー
  • 『ソナチネ(1993)』を見た人におすすめの映画5選

映画『ソナチネ』 作品情報

ソナチネ

  • 製作年:1993年
  • 上映時間:93分
  • ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
  • 監督:北野武
  • キャスト:ビートたけし、国舞亜矢、渡辺哲、勝村政信 etc

映画『ソナチネ』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

映画『ソナチネ』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『ソナチネ(1993)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『ソナチネ』 あらすじ【起・承】

村川(北野武)は暴力団北島組の傘下・村川組の組長だった。
北島組からの扱いも悪く、幹部の高橋とは犬猿の間柄ということもあり2組はうまくいっていない。
しかし逆らうことが出来ず、村川は従う毎日だった。

ある日、北島組の友好組の中松組が沖縄で抗争となる。
相手は阿南組といいなかなかのやり手。
そのため北島組は村川に組員を連れて援軍として行ってくれないかと頼まれる。
このとき村川は即決出来なかった。
なぜなら最近抗争で組員を亡くしたばかりであり、抵抗があったからである。
しかし北島組はどうしても援軍に送りたいとしつこいため渋々重い腰をあげる村川。

村川たちが沖縄の中松組についたとたん、オフィスが狙われた。
銃弾が撃ち込まれ、爆弾を仕掛けられた。
この事件で2組は壊滅的な危機に陥る。
何とか残った5人で事務所を後にし、海沿いの空き地に身を隠すことにした。
ここでの生活は非常にのんびりしていた。
抗争中ということも忘れ、子供のように無邪気にはしゃぐ男たち。
仲間には幸という若い女も加わり楽しいと思えるほどの時間を過ごしている。

映画『ソナチネ』 結末・ラスト(ネタバレ)

村川はもう少ししたら市内に戻るか、東京に帰るかしようとしていた。
その時だった。
阿南組の組員が村川の仲間を一人殺害した。
村川は中松組の組長が手打ちにすると聞いていたため待っていたのだが、組長はそんな意思はすでに無かった。
組長はこの件から離れるからあとは任せるという態度だったため、村川の仲間に殺害される。
村川は何かおかしいと感じていた。
この援軍は北島組に仕組まれた罠だったのである。
元々村川組をつぶそうとしていた北島組が、友好組だった阿南組に頼んだというのだ。
村川を殺したらシマをくれるという取り決めだったらしい。

村川はその後阿南組長を殺害。
村川は事実の真相を確かめるべく北島組の幹部・高橋を拉致。
そして事実を再確認する。
村川達は車内で高橋を殺害し、阿南組が集合するホテルまで出向き停電にした隙に銃を乱射した。
阿南組を皆殺しにした村川。
帰りを待つ幸に会うこと無く、車の中で銃口をこめかみにあてるのだった。

映画『ソナチネ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『ソナチネ(1993)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

純粋な男達の映画

北野武映画の多くはヤクザ、所謂任侠物である。
ほとんどの作品はバイオレンス描写が多く、内容も単純だがシビアなものが多い。
しかし本作品はそれらとはひと味違う。
冒頭からラストまでドンパチやるヤクザ同士の抗争を描いているだけではなく、途中の沖縄ではちゃんとゆったりした南国感を演出しているのだ。

沖縄について事務所が狙われ海岸沿いの空き地に逃げる一行。
そこでは今まで人が殺し合っていたことなど忘れさせられる。
紙相撲をしたり、はしゃいだりと大の男達がリゾートを満喫する。
それは抗争の合間の休息のようなものなのだろう。

この男達が無邪気で子供のよう。
ストレートに物を言い、ヤクザとはとても思えないのだ。
そこに突然再び攻撃が開始。
一人ずつ銃殺されていく。
ここで思い出すのだ、これはヤクザ同士の抗争映画だったのだということを。

北野映画にしては一貫してぶれない男を演じさせるわけではなく、ヤクザでも心は普通の人間と変わらないのだという、ある意味で理想的な演出が面白い。
まだ芸人としてのユーモアが映画に反映されているかのような印象をうける。

ラストシーンのいきなりさ

北野武の映画は最後に主人公が死ぬことが多い。
それはまるで死に場所を探しているかのような死に方である。
本作品も主人公の死は突然訪れる。
しかも何のためらいも無く死んでいく姿は、爽快感さえ感じさせる。
しかしこれが無いとやはり盛り上がらないのだ。
武はこのスタイルを初期作品から時間をかけて確立させたかったのかもしれない。


北野武監督のヤクザ映画といえば『アウトレイジ』が思い浮かびますが、それよりも前に作られている今作はアウトレイジのようなバイオレンスな描写は少ないものの、ヤクザの世界を人間味溢れる描き方で表現しているので不思議とその世界観に入り込んでしまいました。
ヤクザとは関わりたくないと思うのが当たり前なのですが、沖縄という開放的な場所で、子供のようにはしゃぐヤクザの男たちを見ると、ヤクザも人間なのだと当たり前のことをしみじみと感じてしまいました。
ラストのこめかみに銃を当てるシーンはあまりにも突然なので驚きましたが、パッと散るのも生き様だと言っているような気がして、かっこよささえ感じました。(女性 30代)


衝撃的なほど静かなヤクザ映画だった。北野武演じる村川が沖縄で見せる無邪気な姿と、非情な暴力との落差が凄まじい。特に浜辺で花火を使った“ロシアンルーレット”のシーンは、笑いと恐怖が同居する名場面。ラスト、村川が自ら命を絶つ瞬間、全ての静けさが重くのしかかった。(20代 男性)


「死ぬのが怖くないんじゃなくて、生きるのが面倒くさい」——この映画にそんな感覚を覚えた。村川の生と死の間の「どっちでもいい」感じが、静けさの中にひたひたと迫ってきた。沖縄の美しい海と陽射しが、暴力とは無縁な時間を演出しているのに、最終的には死が待っている皮肉。何度も観たくなる作品です。(30代 女性)


無駄が一切ない構成で、セリフも少なく、余白の多い映画。それなのに感情の濃度がとてつもなく高い。村川と仲間たちが海辺で子どものように遊ぶ場面の中にある儚さと、「こんな日々が続かないこと」を全員が薄々感じているような虚無感が、観ていて辛くなった。あのラストは、静かな絶望の表現だった。(40代 男性)


人生で一番好きな北野作品です。沖縄の自然と、淡々とした殺し合い。村川というキャラクターに感情移入しすぎて、最後は呆然としました。誰もが抱える“日常の虚しさ”を、極道という非日常を通して浮かび上がらせた傑作。言葉よりも間、沈黙、風景が語る。北野武にしか撮れない映画だと思う。(20代 女性)


ヤクザ映画として観ると異色だけど、人生映画として観るとこれ以上に深いものはない。あんなに緊張感のある世界で、あそこまで力が抜けた時間が流れていて、それが一層怖い。特に敵対する組織との抗争が「突然」やってくる演出は、日常に潜む暴力そのもの。観終わった後もしばらく動けなかった。(50代 男性)


あれだけ激しい暴力を描いているのに、なぜか“美しい”と感じてしまう不思議な映画。村川のキャラクターは、強さと諦め、そして子どもっぽさが同居していて魅力的。海辺での遊びのシーンは、彼が“普通の人間”になりかけた証だったのかもしれない。だからこそ、最後の自死が本当に悲しくて残酷。(30代 女性)


無言の演技がここまで感情を揺さぶるのかと驚かされた。説明がなくても、村川が抱えていた疲労や諦念がひしひしと伝わってくる。あのラスト、彼がああすることしかできなかったことが痛いほど理解できた。北野武の間の取り方、暴力の使い方、全部が唯一無二の美学に満ちている。(40代 男性)


暴力とユーモアが共存する奇妙なバランス感覚が癖になる映画だった。笑えるシーンも多いのに、全体としてはどこか切なくて、観終わると無性に静かな場所に行きたくなる。人が壊れていく様を、ゆっくり、しかし確実に描いている。タイトルの“ソナチネ”の響きが、妙に似合う作品だった。(20代 男性)


女性の視点からすると、村川という人物の“優しさ”がすごく印象的だった。彼は本当は争いも殺しもしたくなかった。でもそうしないと生きられない世界にいた。少女とふざける彼の姿が自然で、それがあまりに日常的だから、終盤の展開がより一層つらい。北野作品の中で一番泣いた映画です。(30代 女性)

映画『ソナチネ』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ソナチネ(1993)』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

HANA-BI(1997)

この映画を一言で表すと?

静けさの中に凶暴さが潜む、究極の美と暴力の融合。

どんな話?

警察を辞めた男・西は、病気の妻との平穏な時間を守るために犯罪に手を染めていく。彼の行動には優しさと破壊衝動が同居し、やがて死へと向かうラストに至る。淡々と進む展開の中に、強烈な感情が宿る。

ここがおすすめ!

『ソナチネ』の“間”と“静けさ”を愛する人には間違いなく刺さる作品。北野武の美学が極まった映像と音楽、そして暴力の残酷さと優しさの同居が心に残ります。詩的でありながら、破滅的な美しさが光る名作です。

その男、凶暴につき(1989)

この映画を一言で表すと?

暴力でしか自分を表現できない男の、生と死の境界線。

どんな話?

暴力的な性格を持つ刑事・我妻は、同僚の死をきっかけに組織の腐敗と闘うようになる。法を超えた正義と、自らの衝動の行き着く先で、彼が見出したものとは――。

ここがおすすめ!

北野武の監督デビュー作にして、荒削りながらも強烈なインパクトを残す一本。『ソナチネ』にあった“爆発的な暴力”がよりストレートに描かれており、男の孤独と不器用な生き様が胸を打ちます。

ドライブ・マイ・カー(2021)

この映画を一言で表すと?

沈黙と喪失のなかで人と人が静かに繋がっていく再生の物語。

どんな話?

舞台演出家の家福は、妻の死をきっかけに自らの感情と向き合う旅に出る。広島で出会った寡黙な女性ドライバーとの交流を通じ、失われた心の断片が少しずつ回復していく。

ここがおすすめ!

『ソナチネ』のように“語られない感情”が重要な役割を持つ作品。沈黙の美しさ、映像の抑制、時間の流れを大切にした演出が魅力。深い余韻を求める人にこそ届けたい映画です。

アウトレイジ(2010)

この映画を一言で表すと?

仁義なき裏切りの連鎖が、血と怒りの海を生む。

どんな話?

関東の巨大暴力団組織・山王会の内部で勃発する権力争い。裏切りが裏切りを呼び、暴力がエスカレートしていく中、主人公・大友は非情な世界に飲まれていく。

ここがおすすめ!

『ソナチネ』とは対照的にセリフも多く、暴力も過激。しかし、その裏にある“虚しさ”や“生きる意味のなさ”というテーマは共通しています。北野作品の中でもエンタメ色の強い作品で、テンポ重視の方にもおすすめです。

バッド・ルーテナント(1992)

この映画を一言で表すと?

堕ちきった男の魂が、最後に見た救済の光。

どんな話?

ニューヨークの腐敗した刑事が、薬物、ギャンブル、暴力に溺れながら、自らの罪と向き合っていく。あるレイプ事件を通じて信仰と贖罪に目覚めようとするが、その行方はあまりに哀しい。

ここがおすすめ!

『ソナチネ』の村川と同じく、自らの終わりを悟りながらも最後まで抗おうとする男の姿に胸を打たれます。救いのない世界に、一筋の希望が差し込む瞬間を観たい人に最適な一本。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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