映画『あなた、その川を渡らないで』の概要:韓国の小さな村の川の辺りに住む老夫婦。彼らの純粋な愛は何十年経っても変わらないでいた。そして迫り来る夫の死。語られる夫婦の過去。世界で賞賛された韓国のドキュメンタリー映画。
映画『あなた、その川を渡らないで』の作品情報
上映時間:86分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督:チン・モヨン
キャスト:チョ・ ビョンマン、カン・ゲヨル etc
映画『あなた、その川を渡らないで』の登場人物(キャスト)
- チョ・ ビョンマン
- ゲヨルの夫で98歳。妻のことを心から愛している。いつも妻と一緒にいて、なんでも言うことを聞く。優しく思いやりのある人間。咳き込むことが多くなり、そのまま他界してしまう。
- カン・ゲヨル
- ビョンマンの妻で89歳。夫を愛し、どこへ行くにも一緒に行動する。何十年経っても夫婦の関係は変わらず、二人でじゃれ合うような場面もよくある。懸命に夫を看病し、夫の死を誰よりも悲しみ泣き叫ぶ。
映画『あなた、その川を渡らないで』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『あなた、その川を渡らないで』のあらすじ【起】
韓国の美しい小さな村の川の辺りに、ある老夫婦が住んでいる。夫婦であるチョ・ビョンマンとカン・ゲヨルはいつも仲が良い。
ある日、夫婦が自宅前で落ち葉掃除をしている。ゲヨルはビョンマンに、目が悪いから眼科医に行ったと言うが、耳の遠いビョンマンはそれを聞き取ることができない。ビョンマンはすでに98歳で、ゲヨルも89歳になるのだった。やがて落ち葉拾いをしていたビョンマンがゲヨルに向かって落ち葉を投げつける。二人は楽しそうに落ち葉を投げ合い、じゃれ合うのだった。
その後、ビョンマンは道に咲く花を摘み、ゲヨルに渡す。二人は仲良く髪飾りにしてつけるのだった。
夜、二人は手を繋いで家の外にあるトイレに向かう。ゲヨルは、怖いからビョンマンに外にずっといて欲しいと頼む。そして、歌を歌って欲しいと頼むのだった。ビョンマンはゲヨルの言う通りに外で歌を歌って待っているのだった。トイレを終えて出てきたゲヨルはビョンマンに、ありがとうと伝えるのだった。
映画『あなた、その川を渡らないで』のあらすじ【承】
山の中に入り、木を集める二人。二人は、昔はもっと力があったねと語り合いながら木を家まで運ぶのだった。
村に初雪が降る。二人は家の前の雪掻きに精を出す。そして、二人は雪を食べ合う。初雪は目に良いのだと言って仲良く雪を食べながら冗談を言って楽しく時間を過ごす。その後、二人はまた雪を投げ合ってじゃれ合うのだった。
二人が家で夫婦の過去を語り出す。ゲヨルがビョンマンに出会ったのは14歳の頃で、シャイだったゲヨルは、大人の男性を見るといつも緊張していたと言う。ビョンマンの母は彼が9歳の頃に亡くなった。その後、ゲヨルと出会ってからずっと一緒にいるのだと語る。
お正月、二人は民族衣装に身を包む。さらに、家には娘や息子とその家族達がみんな帰ってくるのだった。彼らは何でもない会話を楽しみ、家族団欒の時間を過ごすのだった。
春になり、山菜を採りに向かう二人。川へと出かけた二人は、再び水をかけあってじゃれ合うのだった。家に帰り、採った山菜でキムチを作るゲヨル。二人は仲良くキムチとご飯で夕食を摂るのだった。ゲヨルは、ビョンマンがよく食べるのを見るのが好きだった。
映画『あなた、その川を渡らないで』のあらすじ【転】
彼らが飼っている二匹の犬はビョンマンのことが大好きで、ビョンマンもいつも犬達と一緒にいるのだった。
縁側に座っている二人。ゲヨルは、退屈だから歌を歌って欲しいとビョンマンにわがままを言う。ビョンマンは嫌な顔一つせず、笑顔で歌い出す。ゲヨルはビョンマンの歌唱力を褒め、二人は陽気に踊り出すのだった。
そんな幸せな日々の中、ビョンマンの咳き込みがどんどん酷くなっていく。ゲヨルはそんなビョンマンの側から離れず、献身的に看病をする。夜になればビョンマンはいつものようにゲヨルの耳を触って眠りにつく。これは結婚して以来の習慣で、ゲヨルはビョンマンを感じることができるのだと語る。
毎年のように、大きな鏡を運ぼうとする二人。しかし、自分の体力の低下によって上手くいかないことにビョンマンは苛立ちを隠せないでいた。
ゲヨルの誕生日に家族が集まる。楽しい会も束の間、長男と長女がビョンマン達の健康のことや将来のことで大喧嘩を始めてしまう。そんな彼らの姿を見て、ビョンマンとゲヨルは心を痛めて涙を流すのだった。
映画『あなた、その川を渡らないで』の結末・ラスト(ネタバレ)
飼っていた犬の一匹が死んでしまう。ゲヨルは深い悲しみに浸り、「次はビョンマン、そして私が死んでしまうのだ」と悲観的なことを言い出すのだった。
ゲヨルの足の治療のために診療所を訪れる二人。ビョンマンはゲヨルの足をずっと摩っている。
家で寝たきりになって動けなくなってしまうビョンマン。咳も止まらなくなってしまう。ある日、ビョンマンは医師に、もう病気を治す薬は無いと宣告されるのだった。家族はビョンマンに最後の別れを告げに続々と家を訪れるのだった。
ある雨の日、ゲヨルはビョンマンの民族衣装を焼く。あの世で着られるようにというゲヨルの思いがそこにはあった。そんなある日、一匹の飼い犬が子供を産む。新しい命の誕生に、二人に笑顔が戻るのだった。
ビョンマンが死んでしまう。死の数日前にゲヨルは、一緒に連れて行って欲しいとビョンマンに語りかけていた。ビョンマンは、一緒に行こうとゲヨルに答えたのだった。
葬儀が終わり、川の辺りでビョンマンの民族衣装を燃やすゲヨル。ゲヨルはそこで泣き続けるのだった。
映画『あなた、その川を渡らないで』の感想・評価・レビュー
韓国の田舎で暮らす一組の老夫婦に密着したドキュメンタリー。この夫婦が非常に仲良しで、互いに思い合っている様子に心を打たれる。
ある意味、理想の夫婦というか、歳を経たが故の仲睦まじさというか。これまでの夫婦生活の中できっと辛いことも苦しいことも沢山あっただろうに、それでも夫婦は寄り添って共に暮らして来たのだろうと思う。老齢である夫婦は多くを語ることはないが、彼らの表情や行動、言動から生き様が垣間見える。旦那さんの方が年上であることから、病を得て亡くなるまで奥さんはずっと側にいて心を痛める。葬式で泣き崩れる奥さんの姿が痛ましく、いかに互いに思い合っていたかが分かる。苦楽を共に乗り越えて来た夫婦の姿を如実に映し、足りないものを教えてくれる素晴らしい作品。(女性 40代)
おじいちゃん、おばあちゃんになっても一緒にいようね。学生時代の恋人とこんな口約束をしたこと、きっとありますよね。この作品に出てくる2人は「一緒にいる」ということの、本当の意味を教えてくれました。
長く一緒にいると、同じ毎日を過ごし、相手の嫌な部分が見えてきて、不満が多くなり、喧嘩が増える。そんなの嫌だなあと思いながらも、仕方ないのかなとも感じていました。しかし、この作品を見るとどれだけ長く一緒にいても、相手に対する気持ちの変化は自分次第なのだと気付かされました。付き合った当時の気持ちを、いつまでも忘れずにいたいですね。(女性 30代)
韓国で暮らす老夫婦のドキュメンタリー。十代の頃には既に出会っていたと知り、75年以上も連れ添っている事実に心を打たれました。お互いを思い合う、助け合う姿が眩しいです。お揃いの衣装は演出のように見えましたが、大切なのは二人の絆や他愛無い日常なんだと思います。途中、親族が集まり誕生日を祝うシーンでは、子供達の諍いが始まり複雑な気持ちになりました。老夫婦の、ダイレクトかつ豊かな愛情表現が羨ましいです。ぜひお手本にしたいです。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー