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映画『その夜の侍』あらすじ・ネタバレ結末と感想

映画『その夜の侍』の概要:2012年11月公開の日本映画。劇団THE SHMPOO HATで演出家を担当している赤堀雅秋が監督の作品で、妻をひき逃げされた中村が5年越しの復讐を胸に誓い犯人に近づいていくというヒューマン・サスペンス。

映画『その夜の侍』 作品情報

その夜の侍

  • 製作年:2012年
  • 上映時間:119分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
  • 監督:赤堀雅秋
  • キャスト:堺雅人、山田孝之、綾野剛、谷村美月 etc

映画『その夜の侍』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

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映画『その夜の侍』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『その夜の侍』のあらすじを紹介します。

中村(堺雅人)は町の小さな鉄工所を営んでいた。
子供はいなかったが妻と穏やかな暮らしをしている。
そんなある日、糖尿病の気がある中村がこっそりプリンをほおばっている所に妻(坂井真紀)から電話がかかってきた。
中村は留守電のままにして妻のメッセージを聞いていた。
それは「プリンを食べすぎるな。納豆はあるか?」といういつもと同じ平凡なもの。
しかしその後、妻は木島(山田孝之)が運転する車にひき逃げされ死亡した。

5年が経つも中村の心の傷は言えず、部屋の机の上には未だ墓に入れることが出来ない妻の骨壺がのっていた。
心が崩壊している中村は、妻の洋服や下着を抱きしめては涙する生活だった。
そんな中村を心配した妻の兄・青木(新井浩文)は、同僚を紹介する。
お見合いとして会わせるも中村は乗り気では無かった。

一方で、中村の妻をひき逃げした木島と助手席に乗っていた小林(綾野剛)は5年のうちに刑務所を出所、その日暮らしの生活だった。
そんな木島に毎日脅迫状が届く。
それは木島の妻がひき逃げされた8月10日に、木島を殺して自分も死ぬという内容だった。
木島はその犯人が中村ではないかと疑い、青木と連絡を取る。
青木は穏便にすませてくれと木島に言う。

しかし滅茶苦茶な生活をしている木島は青木さえも脅し、山中で暴力を振るい殺そうとする。
そんな木島に嫌気が差した小林は木島を殴り、青木と共に逃げてきた。
その日はいよいよ8月10日。
青木は工場に戻らない中村を心配していた。

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映画『その夜の侍』 結末・ラスト(ネタバレ)

大雨の中、遂に木島と中村が対面。
包丁を出そうと見せかけた中村は、同じく包丁を手にしている木島にぶつかっていく。

しかし中村は刺さなかった。
日本の法律は二人殺すと死刑、そのため自らを刺すように仕向けたのだった。
木島はそんな中村に驚き、殺す気など失せる。

そして二人で取っ組み合い殴り合った。
一通り終わると中村は手帳を取り出し、木島のここ最近の日常を話す。
「お前は何となく生きているのだ」と。

そして去っていく木島と中村。
家に帰った中村は大好きなプリンを食べるのをこらえ、あの日の妻の留守電を消去するのだった。

映画『その夜の侍』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『その夜の侍』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

堺雅人の演技力の凄さ

この主役を演じた堺雅人は凄い。
あのにやついた笑い顔も、何を考えているのかわからないひょうひょうとした感じも一切封印している。
ぱっと見たくらいでは誰だかわからないような気持ち悪ささえ出しているのだ。

この人の凄さは目の演技である。
物語の最初は恐怖を感じさせるほどの目つき、途中からは病的な目つき、そして終盤では吹っ切れたような目つき、そして最後のラストにようやく私たちがよく見る堺雅人の顔になる。
ラストで5年間聞き続けていた亡き妻の留守電を消すとき、我に返るような、明るい未来を少しだけ期待させるようなそんな顔になるのが救われる。
堺雅人だと言うことを忘れ。ドラマにのめりこめる映画である。

山田孝之が恐過ぎる

上で述べたように堺雅人の演技力はさることながら、相手役の山田孝之も相当凄い。
こんな人間が本当にいたら怖すぎる。
中途半端な演技力の俳優が演じたら木島の人間としての怖さは伝わらなかっただろう。
山田孝之だからこそ、こいつは本当に殺してしまうかもしれないという次のシーンへの恐怖心を持たせるのだ。

人間の種類を描いた物語

この映画はひき逃げの加害者と被害者をテーマに物語が進んでいく。
しかしこの物語は人間としての本質を描いている。
中村は妻への執着から相手を恨み続け、木島は悪びれもせずまた何となく生きる。
しかし小林は罪を改め平凡に生きなおしたいと願い、青木は中村と同じ妹を亡くした被害者なのに木島とも冷静に調子よく渡り歩く。
様々な人間をリアルの描いたことでより説得力の増す人間ドラマに仕上がっている。


登場人物から人間味を強く感じる作品で、こういう人とは関わりたくないけど実際にいるよな…と思ったり上手く生きていくのって難しいのかもしれないと感じました。山田孝之演じる木島の悪人っぷりが本当に凄くて見ていて怖くなるほどでした。人を殺したことに対してなんの反省もしていないような彼でしたが、実際にこういう犯人が存在することを考えると怒りが込み上げてきます。
復讐に燃える中村の行動も理解は出来ますが、心が壊れてしまうほど自分の人生を犠牲にして復讐ばかり考えているのがとても可哀想でした。(女性 30代)

映画『その夜の侍』 まとめ

こんなに日本を代表する俳優が出演しているのにも関わらず、マイナー扱いの映画が本作品である。
主役の堺雅人と山田孝之の演技の上手さは鳥肌がたつほどで、恐怖すら感じてしまう。
ドラマの中のことでありながら、いつ自分がこの登場人物たちのような世界に置かれるかわからないそんなリアルさがある。
観ていて圧倒されるが、観終わった後は二度と観たくない。
ひど過ぎて辛いのだが、最後は人の心の強さを感じられる。
絶望だけでは決してなく、しかし明るい未来など無さそうなのだが男は強くなるのだ。
全編を通して、一人の男の心の苦しみが痛いほど伝わるのである。
久しぶりに観ていて疲れる映画に出会ってしまった。
賞を獲るなどというビジュアル的な問題では無く、映画として意味のある貴重な作品であった。

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