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映画『葬式の名人』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『葬式の名人』の概要:シングルマザーのヒロインの元に、高校の同級生が事故で亡くなったと連絡が入る。故人はヒロインとも深い関わりがあったため、急いで駆け付けたが、斎場に空きがなく遺体を置く場所がない。集まった同級生たちは一旦、母校へと運ぶことにする。

映画『葬式の名人』の作品情報

葬式の名人

製作年:2018年
上映時間:98分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:樋口尚文
キャスト:前田敦子、高良健吾、白洲迅、尾上寛之 etc

映画『葬式の名人』の登場人物(キャスト)

渡辺雪子(前田敦子)
高校時代、吉田と付き合いあきおを身籠る。天涯孤独の身で吉田から葬式の名人と呼ばれていた。大輔とは高校の同級生。シングルマザーとして、子供との時間が取れないながらも一生懸命育てている。
豊川大輔(高良健吾)
高校の同級生で吉田の親友。野球部ではキャッチャーだった。現在は母校の教師をしており、野球部の顧問。リーダーシップがあり明るいが、抜けているところがある。
吉田創(白洲迅)
大輔と雪子の高校の同級生。実は雪子と恋仲になり密かに付き合っていた。野球部のエースであったが、怪我でボールを投げられなくなる。野球を辞めた後は絵の勉強をしていた。右腕が動かない。
渡辺あきお(阿比留照太)
雪子と吉田の息子。父は大リーグに行っていて留守だと信じ込まされている。大リーグのボールを土産にもらうことを楽しみにしており、母雪子と満足に過ごせないことを不満に思っている。

映画『葬式の名人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『葬式の名人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『葬式の名人』のあらすじ【起】

シングルマザーで息子あきおを育てている渡辺雪子。息子が熱を出しても付き添ってやれず、仕事に行かなければならない。彼女は工場で働いていたが、昼休みに保険料を払いあきおを迎えに行くと、息子は家にいなかった。恐らくは学校へ行きたくないがための嘘だったのだろう。

仕事へ戻った雪子だったが、友人から高校時代の同級生、吉田創が亡くなったと知らせが入る。就業後に霊安室へ向かうと、他にも同級生で地元高校の教師をしている豊川大輔や他にも数人が集まっていた。吉田はどうやら日中、大輔が務める母校を10年振りに訪れていたらしい。斎場の手続きに時間がかかるらしく両親がそちらへ行くことになり、同級生たちは斎場の手続きが終わるまでの間、吉田を母校へ運ぶことにする。

思い出の場所を巡り、恩師とも挨拶。食堂にも吉田を連れて行った。そこへ、手続きを終えた両親が合流する。

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映画『葬式の名人』のあらすじ【承】

葬儀屋の掛け声により、食堂で通夜の予行演習をすることに。斎場が取れるまで、遺体を移動させることができない。通夜の進行について吉田の両親に代わり、大輔が詳細を聞きひとまず、お坊さんが来るまで昼食を取りに行くことにした。

外へ出るとあきおが来てくれる。息子にはスケッチブックを持って来てもらった。吉田との思い出がある木を探したが、大分前に伐られたようでもうすでになかった。
あきおは自分の父が野球で大リーグへ行っていると思っている。持って来たスケッチブックは、父がスケッチをしていたものだった。

聞けば聞くほど、あきおの父親像が吉田と重なる。同級生たちは疑念を深めた。吉田は野球で肘を負傷し、その後は絵の勉強をしていたようだ。
もうじきお坊さんが到着するとのことで、食堂へ戻って来た友人達。ところが、大輔が憤怒した様子で戻って来る。葬儀屋のセールストークに腹を立てたらしく、契約も解消したと言う。そこで、大輔は自分達だけでやろうと言い出す。しかし、お坊さんが到着してしまい、その場で通夜を始めることに。

お坊さんの挨拶が終わると、後のことは両親がやるからと告げ、一旦解散する。そこで、雪子は吉田の両親にあきおを紹介。それから、息子に吉田を見せ彼があきおの父親だと告げるのだった。雪子は幼少期に両親を送り、16歳の時に祖父をたった1人で送っている。吉田はそんな彼女を葬式の名人だと呼んだ。故に、雪子は葬儀の手伝いをさせて欲しいと申し出るのだった。

映画『葬式の名人』のあらすじ【転】

外には激しい雨が降っていたが、雪子とあきおがお参りすると雨が上がる。そこで同級生たちは思い出深い野球部の部室へ吉田を連れて行こうと言う。一行は野球部の部室へ移動。大輔は吉田と仲が良く、親しさでは雪子と同列である。2人は互いに言い合いをしていたが、夜になったため、吉田を連れて校内へ戻る。いつの間にかお坊さんが消えていたが、気にせずに進んだ。しかし、棺桶の窓を開けるとなぜか中にお坊さんが寝ている。では吉田の遺体はどこへ行ったのか。大輔たちは慌てて吉田の遺体を探すことにした。

方々へ散って探し歩いたが、遺体は見つからない。疲れ果てた同級生たちは口々に吉田の悪口を言い始める。大輔は必死にフォローを入れたが、そこへあきおが起きて来てしまう。息子は父の悪い話を聞き、母に嘘をつかれていたことに不満を吐き出す。あきおは自分も嘘を吐くことに疲れた、雪子も嘘を吐くのをやめろと言い走り去って行く。

大輔が後を追って来て戻ろうと言う。雪子と大輔は野球部部室へ。すると、吉田の遺体はそこにあり、あきおは父に寄り添って寝入っていた。ほっとした雪子と大輔も川の字になって横になる。

映画『葬式の名人』の結末・ラスト(ネタバレ)

深夜を過ぎた頃、弔問客が現れる。和服を着た上品な老婆であった。大輔と雪子親子は慌てて立ち上がり、続々と訪れる弔問客を迎え入れる。誰もが和服姿で不思議な光景だった。
弔問客が途切れると、和服の老婆は夢を終わらせるために来た。右腕は痛くないかと聞く。大輔が多少痛むと答えると、老婆は右腕を切り離し一晩だけ貸し出すと言うのだった。

気付くと右腕だけが残り、老婆の姿はない。大輔と雪子、あきおは吉田の遺体に右腕を装着。これできっと右腕が自由に動かせるだろうと笑う。一晩だけの世界の重なりなのか、灯篭を手に校庭へ向かうとそこに吉田がいた。彼は雪子と大輔に笑って挨拶をし、息子には約束の大リーグのボールを手渡す。そして、多くを語ることなく走り去って行くのだった。

目が覚めると野球部の部室にて川の字になって眠っていた。すでに同級生たちが集まっている。彼らは吉田の遺作となる原稿を囲んでいた。吉田の荷物から両親が見つけてくれたもので、編集部の同級生に渡すものだったのだろう。吉田が描いた漫画の原稿には、高校時代の思い出が描かれていた。

斎場が決まったため、遺体を運ぶ一行。彼らはどこか晴れ晴れとした様子で、朗らかに和気藹々と棺桶を運んで行くのだった。

映画『葬式の名人』の感想・評価・レビュー

川端康成の小説を基に描かれた作品。同級生の訃報により10年振りに集まったヒロインたちが、故人の思い出を語りながら別れを惜しむ。中でもヒロインは天涯孤独な上にシングルマザー。たった一人で仕事をしながら子育てをするのは大変なことだが、ヒロインは文句を言いつつも息子を大切にしている。和気藹々とした奇抜な通夜であったが、こういう通夜があってもいいなと思わせる、しんみりしつつも晴れやかな気持ちにさせる作品。(MIHOシネマ編集部)


関西弁って意外と難しいと思うのだが、前田敦子さんは結構流暢に喋れていたと思う。口調や視線から子供を育てる母としての芯の強さを感じ、アイドル・前田敦子ではなく女優として役柄に真摯に向き合っている気持ちが伝わってきた。
葬式、通夜というと悲しい、暗いといったイメージが思い浮かぶ。この作品では、悲しさの中にも人の優しさや温かさを感じることができた。大切な人の死について、深く考えさせられる物語だった。(女性 30代)


自分の葬式もこうやって大好きな仲間が集まってくれて、笑って送り出してくれたら幸せだなと感じるような心が暖かくなる作品でした。
これまで前田敦子の演技はあまり好きではなくて、どの作品を見ても悪い意味で彼女らしさが主張されてしまっているなと感じていたのですが、今作は雪子というキャラクターにしっかりハマっていて感情移入すらできました。シングルマザーとして文句を言いつつも、息子を大切に想って頑張っている姿にも好感が持てました。
高良健吾はとにかくかっこよくて、違和感を感じるほど美しいので彼のファンはたまらない作品だと思います。(女性 30代)

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