映画『スプートニク』の概要:ロシア発エイリアン映画。地球へ帰還中の宇宙船が謎の事故に遭い、宇宙飛行士の体にエイリアンが寄生する。エイリアンは毎晩決まった時間に宿主を離れ、しばらくすると体に戻るという奇妙な行動を繰り返した。
映画『スプートニク』の作品情報
上映時間:114分
ジャンル:SF、ホラー
監督:イゴール・アブラメンコ
キャスト:オクサナ・アキンシナ、ピョートル・フョードロフ、フョードル・ボンダルチュク、アントン・ヴァシレフ etc
映画『スプートニク』の登場人物(キャスト)
- タチアナ(オクサナ・アキンシナ)
- 脳医学研究所の神経生理学者。コンスタンチンの体からエイリアンを分離するために派遣される。治療法は過激だが結果を伴う。ランニングが趣味。
- コンスタンチン(ピョートル・フョードロフ)
- ソビエトの英雄と呼ばれる宇宙飛行士で、体内にエイリアンが寄生する。「100万本のバラ」という歌が好き。まだ会ったことのない息子(リョーシャ)がいる。
- セミラドフ大佐(フョードル・ボンダルク)
- コンスタンチンとエイリアンを研究する責任者。囚人をエイリアンに差し出すという非人道的な実験を行い、いずれ兵器利用しようと企んでいる。
- ヤン研究局長(アントン・ワシーリエフ)
- 大佐の部下でエイリアンの研究を行う博士。タチアナとは当初反目するが、次第に協力的になる。
映画『スプートニク』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スプートニク』のあらすじ【起】
1983年、2人の宇宙飛行士を乗せたソ連の宇宙船オービタ号は、地球への帰還中に謎の事故に遭遇する。カザフスタンの草原に不時着し、コンスタンチン飛行士は血まみれの状態で、アベルチェンコ飛行士は瀕死の状態で発見された。
コンスタンチンは軍の科学研究所に移送される。記憶障害を起こしているため、セミラドフ大佐は神経生理学者のタチアナ博士を派遣した。コンスタンチンは事故当時の記憶はないが、体は健康なので問題ないと自己分析する。
タチアナは彼がPTSDを発症していると診断すると、翌朝には帰ると大佐に告げて宿所へ行く。寝付けないため夜のジョギングに出掛けた際に、複数の囚人と遭遇する。
その真夜中、タチアナは大佐に呼び出され、コンスタンチンの監視部屋へ向かう。ぐっすり眠っているように見えるコンスタンチンだったが、突然苦しみ始めて気絶し、口の中から謎の生命体を吐き出した。大佐の説明によると、このエイリアンはコンスタンチンを宿主として寄生し、いつも決まった時間に出入りしているのだと言う。彼女は大佐から、エイリアンと宿主の分離を依頼された。
映画『スプートニク』のあらすじ【承】
これまでの研究で判明しているのは、エイリアンが分離すると宿主の体力は悪化するが、体内に戻ると再生能力が高まること。体内では30センチ程度の大きさだが、体外に出るときに宿主を気絶させ、1.5メートルの大きさになること。分離する時間は午前2時40分であること、などが分かっている。両者は寄生とも共生とも取れる関係だった。
タチアナは次の問診で、彼のプライベートに言及。息子を養護施設に入れながら、自分は英雄気取りで宇宙飛行士を続けているなどと非難する。それは、わざとストレスを与える実験で、血中ホルモン値からエイリアンが彼の何を摂取しているのかを調べるのが目的だった。
コンスタンチンは昼間、一般病棟で過ごすことになった。テレビでは宇宙飛行士は無事に帰還したと嘘の報道している。タチアナはわざと挑発したことを彼に謝罪。コンスタンチンは息子の存在は最近知ったばかりで、帰還したら引き取るつもりだったと打ち明けた。
その夜の分離で、彼女はエイリアンとの接触を試みるため、保護服を着て室内に入った。エイリアンは彼女に興味を持つような素振りを見せるが、彼女が足を滑らせた音に驚いて襲いそうになったため、実験は中止となる。
映画『スプートニク』のあらすじ【転】
コンスタンチンとエイリアンの意識は共有されており、分離時間が長くなれば宿主の体は不要になるだろうとタチアナは推測。設備の整ったモスクワに連れて行くことを勧めるが、大佐はその考えはないと答える。
タチアナはコンスタンチンの監視ビデオが編集されていることに気付き、ヤン博士に理由を尋ねた。するとヤンは、彼女を極秘の実験場へ連れて行く。そこでは囚人の檻にエイリアンを放つという実験が行われ、エイリアンは囚人の頭部を瞬時に食いちぎった。ヤンはこの実験は大佐の命令だと言い、エイリアンの餌は恐怖で分泌されるコルチゾールというホルモンだと説明する。タチアナは実験を痛烈に非難し、ヤンを臆病者だと突き放した。
タチアナはコンスタンチンに、エイリアンが体内にいることを明かすが、彼は全てを知っているようだった。その夜、生命維持装置で生かされているアベルチェンコの病室に彼女を連れて行き、囚人を食べたというエイリアンの記憶を全て覚えていることを明かす。そして、ここを出て息子や母に会いたいから、知らないフリをして欲しいと彼女に頼んだ。
映画『スプートニク』の結末・ラスト(ネタバレ)
大佐の本当の目的は、エイリアンを兵器利用することだった。その夜の実験で、タチアナは自ら檻に入る。コンスタンチンが好きな「100万本のバラ」を歌いながら近づくと、エイリアンから敵意が消えた。
エイリアンが嫌がるホルモンをコンスタンチンの体内に注射すれば、分離できるとタチアナは考えた。ヤンは2人の逃亡を手伝うが、囚人の実験を外部に告発した直後に大佐に殺される。
コンスタンチンとタチアナは兵士に囲まれた。するとコンスタンチンは、自らホルモン注射を打ってエイリアンを強制排出させる。巨大化したエイリアンが兵士と戦っている間に2人は逃亡するが、エイリアンが分離したことでコンスタンチンは弱ってしまう。同じようにエイリアンも衰弱。大佐はエイリアンを回収して2人を追った。
大佐はタチアナを傷付けようとしたため、コンスタンチンの怒りを共有したエイリアンに襲われる。エイリアンは大佐の頭部を破壊すると、当然のように宿主の体に戻っていった。コンスタンチンは全てを終わらせるため、拳銃で自決。エイリアンもろとも命を絶った。
その後、タチアナは養護施設を訪問。コンスタンチンの息子リョーシャを養子にするのだった。
映画『スプートニク』の感想・評価・レビュー
本作は2020年に発表されるがコロナ禍で一部の劇場でしか上映されず、主にオンデマンドで公開された。宿主の体を出入りするとか、ホルモンを餌にするとか、これまでなかったエイリアン像が独創的で、その仕草はどこか人間っぽく感じられて面白かった。
スプートニクとは人工衛星のこと。世界初の人工衛星スプートニク号や、スプートニク・ショックという言葉は聞いたことがある。最近ではロシア製コロナワクチンにもスプートニクと名付けており、ロシアにとって特別な意味のある言葉なのだろう。ポスターから想像されるようなド派手なバトルはほとんどないが、ロシアらしいひねりの効いた良作のドラマだった。
(最後の最後に「私はタチアナよ」というセリフが2回出てきて、男の子のリョーシャが「私はタチアナよ」と言うのだが、たぶん表記ミスと思われる。)(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー
今から養子になる覚悟が有る事を子供は皮肉として言っている。
分離は失敗に終わりエイリアンの狡猾な生存作戦に人類に撃つ手は無かったが、宇宙飛行士の自分で命を絶つorタチアナも飛行士の意志を汲み取り飛行士の子供を養子に取る。
人間の本当の強さは何なのか教えてくれる良い映画。
書かれている、
(最後の最後に「私はタチアナよ」というセリフが2回出てきて、男の子のリョーシャが「私はタチアナよ」と言うのだが、たぶん表記ミスと思われる。)(MIHOシネマ編集部)
は、タチアナが養護施設で育ったことを示していると思われるため、ミスではないのではないか。リョーシャと「タチアナよ」と言った子役は別人に見える。
見返して確認しましたが、「私はタチアナよ」の二度のセリフは、1度目は過去の幼少期のタチアナで、2度目は現在のタチアナのセリフであり、間違いはないと思います。