この記事では、映画『ステップ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ステップ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ステップ』の作品情報

上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:飯塚健
キャスト:山田孝之、田中里念、白鳥玉季、中野翠咲 etc
映画『ステップ』の登場人物(キャスト)
- 武田健一(山田孝之)
- 妻に先立たれ、仕事のキャリアと引き換えに一人で幼い娘を育てる決断をする。初めてのことに翻弄されながらも、周囲の人の言葉や行動に動かされ娘と一緒に成長していく。
- 武田美紀(中野翠咲 / 白鳥玉季 / 田中里念)
- 生後間もない頃に母親に先立たれ、父親・健一と二人で暮らしている。健一に心配をかけないように、大人びた一面があり我慢することも多い。
- 村松明(國村隼)
- 健一の義父。息子のように健一を想い、孫の美紀の幸せを何より優先している。社長としてバリバリ働き大きな企業を支えている。
- 斎藤奈々恵(広末涼子)
- 健一が部署を異動してから出会った同僚。実は過去に子供に関して傷を負っている。健一と美紀に対してすごく誠実に接する女性。
- ケロ先生(伊藤沙里)
- 保育園の美紀の担任。とても明るく園児にも人気の先生であるが、繊細な一面も多い。初めての子育てに奮闘する健一に、寄り添ったアドバイスをしてくれる存在。
映画『ステップ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ステップ』のあらすじ【起】
2009年。妻の予定がたくさん書きこまれたカレンダーから、真っ新なカレンダーに換えた健一は「再出発」と書き込んだ。若くして妻を亡くした健一は、男手で一つで幼い娘・美紀を育てる決心をしたのだ。健一には仕事があるため、保育園に入ることになった美紀。担任のケロ先生の元無事に保育園デビューを果たした娘の姿に、健一は安堵し仕事へ向かった。
営業の最前線にいた健一は、妻の死を機に総務課へと異動していた。元の部署の上司や同僚の配慮で仕事面は融通が利いたものの、美紀は思い通りにはならない。好き嫌いもあり、寝付けるのには時間がかかる。加えて家事をこなすためには自分の時間や睡眠時間が削られる一方であった。
ケロ先生から美紀が負けず嫌いであることを知らされた健一。保育園の直前でベビーカーから降ろして通園するなど、日々工夫を強いられていた。まもなく控えている保育園のクリスマス会には、義理の両親も一緒に参加できることになる。同然、美紀も楽しみにしていると思っていた健一。しかし、日が近づくにつれて美紀の表情は暗くなり始めていた。妻を亡くした時に、親族の優しさに甘え美紀を手放すべきだったのではないかと不安と後悔を募らせる健一。思わず「もうダメかもしれない」と本音が漏れるほどだった。
仕事が立て込み、お迎えの時間を過ぎてしまった日、保育園に着くとすぐにケロ先生が謝ってきた。実はクリスマス会の準備中に美紀の寂しいアピールを見過ごしてしまっていたという。美紀は「パパの抱っこは忙しい」と何気なく言っていたことを知った健一は、時間を言い訳にしていたことを気付かされるのだった。その日から健一はベビーカーを使わなくなった。美紀の時間軸に合わせることに重きを置くようになったのだ。

映画『ステップ』のあらすじ【承】
2014年。美紀は小学生になった。学校の前までは送らなくていいという美紀の言葉に、健一は子育ての第一段階を終えた実感をした。授業参観で母の日のプレゼントを兼ねて似顔絵を描くという授業があると担任から知らせを受けた。あまりに大事のように相談してくる担任の話を聞くと、実は美紀が「ママが家にいる」と発言してしまったと知った。
男で一つだからといって妥協することはしたくない健一。担任は「嘘」だと言い切るが、一緒に過ごした家には妻がまだ居ると思っている健一は美紀と同じ気持ちであった。帰宅すると写真を見ながら妻の似顔絵を描く練習をしている美紀の姿を見て、健一は良く行くカフェの店員を思い出した。妻によく似た店員と美紀を合わせ、より良いイメージで授業に挑めるように準備してあげるのだった。美紀が描いた絵には天使の輪が描かれていた。
美紀は小学3年生になり、初めて飛行機に乗ることになった。義母の実家である岡山へ向かうことになったのだ。この頃から健一は、実の息子のように迎え入れてくれる親族に違和感を覚えるようになっていた。お盆には死者が帰ってくると知った美紀は、母親の影を探していた。本当は上司からお見合いの話を持ち掛けられていた健一。ふと妻の声が聞こえたように感じ、物思いにふけるのだった。
映画『ステップ』のあらすじ【転】
2018年。美紀は小学5年生になり、健一は営業開発部に異動になった。義父の会社ではクーデターが起こり、それまで築き上げた地位から勇退へと追い込まれていた。義兄夫婦も長年の不妊治療を打ち切るなど環境は変わり始めていた。健一にも大きな変化があった。それは美紀に会わせたい女性・奈々恵がいること。義父と義兄に奈々恵の存在を打ち明けるとすんなり受け入れてもらえた。
美紀の運動会を控えた時、親族総出でお弁当を持ち寄るのが恒例であったが義父から一本の連絡が入る。義母が熱を出しお弁当が作れないので、奈々恵に作ってもらったらどうかという提案であった。妻を亡くして10年が経ち、浮いた話が一度もなかった健一の後押しをしようという思惑の義父母。健一は提案に甘え奈々恵の自宅でお弁当の予行練習をすることになった。
運動会前日、奈々恵とお弁当の練習をしながらたくさんの話をした。その中で、棚の上にへその緒が入った箱が置かれていることに気付く。あえて置いていたという奈々恵は、死産した過去があることを打ち明けてくれた。そして奈々恵の存在に勘づいていた美紀は、「お弁当のお礼」として会うことを了承してくれるのだった。しかし実際に会ってみると、美紀は体調を崩してしまった。その日を境に健一と奈々恵に対して壁を作り始めてしまうのだった。
映画『ステップ』の結末・ラスト(ネタバレ)
美紀は中学に上がるタイミングで祖母のいる横浜に行くと言い出した。既に義父母との話を付けていたようで、受け入れる姿勢ができていることを聞かされた。本当の息子のように叱ってくれる義父母の言葉を受けて、もう一度美紀と向かい合う決心をした健一。朝食に奈々恵を招待し打ち解けることができた。しかしその矢先、義父が倒れてしまった。プライドから弱った姿を見せない義父に心を打たれる健一。美紀が面会に行きたくとも、拒絶するので奈々恵と3人で話をしていたところ、美紀は何気なく「お母さん」と呼んだ。小学校の卒業式が終わるまでは一緒に暮らしていない3人だったが、少しずつ絆は深まり始めていた。
卒業式を間近に控えたある日、病室に出向くとスーツを着てかしこまった義父が待っていた。奈々恵を認め、健一と美紀のことを託した義父。美紀は身近な人の死を感じて恐怖を覚えるも、義父の言葉に前を向かされるのだった。一歩ずつステップを登り、成長していく美紀。健一の呼び方は「パパ」から「お父さん」になった。美紀と健一、そして奈々恵は慣れ親しんだ道を一緒に歩んでいく。
映画『ステップ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
「家庭とは変わり続ける場所」一歩前に踏み出すことに怖気づいている人の背中を押してくれるようなセリフが多い一作であった。経験は宝であり、問題は時間が解決してくれる。娘の成長を追うだけではなく、父である健一も一緒に変化し成長してく様がとても素敵な経過であった。重松清原作の物語は意地悪な人は出てこない。今作も同様。皆温かく、優しい人と愛情で溢れているのだ。子役を含め、演者のナチュラルさは秀逸で、似顔絵が3枚になっていたりと憎らしいほどに凝った美術にも目を見張る作品であった。(MIHOシネマ編集部)
優しさと温かさに溢れた作品で嫌な人が1人も出てこないのがすごく良かったです。山田孝之はどんな役でも本当に見事に演じていますが、今作は彼の今までの作品の中でも1番自然体で、こんなお父さんだったら、こんな家族だった幸せだろうなと心から感じさせてくれる作品でした。
序盤から涙がポロポロ零れてきてしまい、収まったと思ったらまた涙が…と結局泣き続けたままエンディングを迎えてしまいましたが、心が温かくなる素敵な作品でした。(女性 30代)
山田孝之演じる健一の静かな演技が胸を打つ。妻を亡くし、幼い娘を男手一つで育てる姿に涙が止まらなかった。特に、娘のみゆと向き合う日々の中で“父親”として成長していく過程が丁寧に描かれていて、派手さはないが心に沁みる。最後に娘が母の写真に語りかけるシーンでは、家族の形が確かにそこにあった。(30代 男性)
シングルファーザーの物語としてリアリティがあった。健一が仕事と子育ての両立に悩みながらも、娘の笑顔に救われる姿は本当に尊かった。特に保育園のシーンで、他の母親たちとの距離感に戸惑う描写がリアル。再婚を意識しながらも、娘の幸せを最優先に考える彼の姿に涙。山田孝之の静かな熱演が印象的だった。(40代 女性)
序盤から泣かされた。最愛の妻を亡くし、ひとりで育児に奮闘する父親という設定だけで胸が苦しくなる。けれど、悲しみを乗り越えようとする姿が、観る者に希望を与える。特に、小学校の入学式で娘が「お父さんがいるから大丈夫」と言うシーンには号泣。人生の痛みと再生を穏やかに描いた傑作。(20代 女性)
淡々と進む物語なのに、ずっと胸の奥が温かい。派手な演出はないが、時間の経過とともに親子の絆が深まっていくのが感じられた。娘が成長していく中で、父が少しずつ母の死と向き合えるようになる。最後に手をつなぐ親子の姿は、静かな幸福そのものだった。生きるとは、少しずつ“進む”ことなのだと教えてくれる。(50代 男性)
観ていて何度も涙を堪えた。妻を亡くした健一の孤独が痛いほど伝わるのに、娘との時間がその傷を少しずつ癒していく。特に、娘の誕生日に妻の写真へ語りかけるシーンは切なくも美しい。周囲の温かい人々の存在も印象的で、「支え合いながら生きること」の尊さを感じた。心に優しく残る作品だった。(30代 女性)
子を持つ親として、胸に刺さる映画だった。健一が娘を想う気持ちがひしひしと伝わる。彼が“母親の代わりにはなれない”と悩む姿がリアルで、そこから“父としての愛”を築いていく過程に感動。人生の喪失と再生を、こんなに静かに、こんなに優しく描けるとは。ラストの笑顔がすべてを救っていた。(40代 男性)
時間の経過を軸にした構成が秀逸だった。保育園から小学校、高校へと娘が成長していく中で、父親もまた人として変わっていく。悲しみは消えないが、それでも前を向く姿が感動的。終盤で娘が母の面影を語るシーンでは、言葉にできないほどの優しさを感じた。人生の「ステップ」を穏やかに描いた秀作。(20代 女性)
一見地味な映画だが、心の奥をじわじわと温めてくれる。健一が娘の弁当を作るシーンや、仕事帰りに疲れた顔を見せないようにするシーンなど、日常の小さな努力に涙。特に、娘が思春期を迎えて反発する場面がリアルで、親子の絆の強さが試される。派手さよりも“真実”で勝負した感動作。(30代 男性)
映画『ステップ』を見た人におすすめの映画5選
そして父になる
この映画を一言で表すと?
「家族とは血か、時間か」――問いを突きつける感動のヒューマンドラマ。
どんな話?
6年間育てた息子が、実は他人の子だった――。病院での取り違えが発覚し、二つの家族が揺れ動く。子どもへの愛情、父親としての責任、本当の絆とは何かを丁寧に描く。福山雅治とリリー・フランキーが繊細な父親像を熱演。
ここがおすすめ!
『ステップ』同様、家族の愛と絆を静かに描く作品。誰も悪くないのに、誰もが傷つく現実の中で、父親が成長していく姿に胸を打たれる。是枝裕和監督ならではのリアルで温かい眼差しが光る。
万引き家族
この映画を一言で表すと?
「血よりも絆」を描いた、現代日本の“家族”の真実。
どんな話?
貧困の中で万引きをしながら生きる一家が、虐待されていた少女を拾い、家族のように暮らす。しかしその裏には秘密があり、やがて悲しい現実が明らかになっていく――。社会の隙間で生まれる“擬似家族”の愛を描く。
ここがおすすめ!
『ステップ』と同じく、“家族とは何か”を問う作品。是枝裕和監督が現代社会の闇を見つめつつ、人間の温もりを描き出す。家族の形はひとつではないと気づかせてくれる名作。
トゥモロー・モーニング ~生まれ変わったら~
この映画を一言で表すと?
愛の終わりと再生を、音楽とともに描くミュージカルドラマ。
どんな話?
結婚10周年を迎えた夫婦が、離婚を目前にして過去を振り返る。恋の始まりから崩壊までを、現在と過去の2つの時間軸で描く構成が秀逸。幸せと喪失、そして再生の瞬間を歌と演技で綴る。
ここがおすすめ!
『ステップ』のように、時間の流れとともに関係が変化していく人間ドラマ。愛する人を失う痛みと、再び歩き出す勇気が丁寧に描かれている。優しい音楽が心に寄り添う。
世界で一番いとしい君へ(原題:My Brilliant Life)
この映画を一言で表すと?
“限られた時間の中で、家族が紡ぐ奇跡の愛”を描いた感動作。
どんな話?
早老症という難病を抱える息子と、その両親の13年間を描く韓国映画。彼の成長を記録する父と母の姿には、深い愛と切なさが溢れている。時間を超えた家族の絆が涙を誘う。
ここがおすすめ!
『ステップ』同様、“生きること”と“親子の時間”を真正面から描く。淡々とした日常描写の中に、大切なものを見失わない愛がある。観終わった後、そっと誰かを抱きしめたくなる。
湯を沸かすほどの熱い愛
この映画を一言で表すと?
母の“命懸けの愛”が、家族を再生させる涙のドラマ。
どんな話?
余命宣告を受けた母・双葉が、家族の絆を取り戻すために奮闘する物語。夫の失踪、娘との関係、秘密の再会――すべてを抱えながら、最後まで家族を想い続ける母の姿が心に残る。
ここがおすすめ!
『ステップ』が“父の愛”を描くなら、本作は“母の愛”の物語。宮沢りえの圧巻の演技に涙が止まらない。命の終わりではなく、“愛の継承”を描いた傑作。






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