この記事では、映画『ビリー・リンの永遠の一日』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ビリー・リンの永遠の一日』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ビリー・リンの永遠の一日』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:アン・リー
キャスト:ジョー・アルウィン、クリステン・スチュワート、クリス・タッカー、ギャレット・ヘドランド etc
映画『ビリー・リンの永遠の一日』の登場人物(キャスト)
- ビリー・リン(ジョー・アルウィン)
- 姉の婚約者と揉め事を起こし、イラク戦争に従軍することになった。先頭に立って行動するタイプで、危険を顧みず軍曹を救おうとしたことで英雄となる。
- キャスリン(クリステン・スチュワート)
- ビリーの姉。交通事故に遭い全身を何針も縫う怪我を負う。自分のせいでビリーが戦場に送られ、ビリーの身を案じている。
- ダイム(ギャレット・ヘドランド)
- ビリーの上官で、ビリーの兵士としての素質を見込んでいる。厳しいながらも愛情を持った姿勢でビリーに接する。
映画『ビリー・リンの永遠の一日』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ビリー・リンの永遠の一日』のあらすじ【起】
イラクでブラボー隊の特技兵ビリーが単身で軍曹の救出しようとする様子を捉えた映像がニュースで報道され、英雄視される。ビリーやブラボー隊の隊員は全米各地を巡ることになり、最終地のダラスにやって来る。皆がアメリカンフットボールのハーフタイム・ショーに出ることになっていたのだ。隊員全員がリムジンに乗り込んで会場に向かう。その2日前に隊員らは軍曹を埋葬したばかりだった。ビリーは実家に帰り、家族との再会も果たした。
スタジアムに向かう間、エージェントがブラボー隊の活躍を映画化する話を切り出し、隊員らはその収入をどう使うかを話して盛り上がる。ビリーはリムジンの外に見える景色をイラクでの情景と重ねる。イラクでビリーは軍曹に率いられながら市場を警戒したりしていた。
ブラボー隊はスタジアムに着き、シートに座る。ビリーは世間の人が何を考えながらと想像しながら、キャスリンとの会話を回想する。キャスリンはビリーに顔や体の傷の治り具合を見せる。そしてビリーの身を案じる。
映画『ビリー・リンの永遠の一日』のあらすじ【承】
ビリーは軍用車両を故障させてしまい、軍曹とダイムにしごかれる。ビリーはキャスリンが交通事故に遭って全身に怪我を負ったために婚約者に捨てられたこと、ビリーが仕返しにその男の車を壊したこと、そしてその男から告訴されないために入隊したことを説明する。
ビリーや隊員の姿がスタジアムのモニターに映され、観客から拍手を浴びる。隊員らはフットボールチームのオーナーやチアリーダーと共にビデオ撮影を行い、記者会見に臨む。リンはその途中にチアリーダーの一人から目を離せなくなる。また、ビリーは記者に軍曹を救うために反射的に行動したことを説明する。会見後、ビリーは惚れたチアリーダーと意気投合し、チアリーダーはビリーの功績をたたえる。そして2人はキスを交わす。
ビリーはイラクで民家を捜索した時のことを思い出す。拳銃が見つかり、ブラボー隊は妻子が泣き叫ぶ中で家主らを連行したのだ。さらにビリーは実家で食事を囲みながら、キャスリンが違法な戦争を始めた政府への批判を始めたことを回想する。ブラボー隊が食事中にシェールガスの採掘業者に話しかけられ、ダイムは不快感をあからさまにする。
映画『ビリー・リンの永遠の一日』のあらすじ【転】
国歌斉唱でビリーは敬礼しながら涙を流す。そして、キャスリンから心療内科医に頼んで戦地に戻らないように手を打とうと言われたことを回想する。試合を観戦中のビリーの元に心療内科医から電話があり、試合後に病院に来るようにと告げられる。ビリーはかつてダイムに米国に戻りたいと告げた時に、ダイムから兵士として素質があると言われたことを思い出す。
ハーフタイム・ショーのために、ブラボー隊は迷彩服に着替えさせられることになる。ビリーは迷彩服に身を包んで戦ったことを思い返す。捕虜になりそうになった民間部隊の救出に向かった時のことだ。それが初めての実戦経験だった。
ショーが始まり、隊員らはステージに上がる。花火が打ち上がるショーの最中にビリーは再び救出任務を思い返す。ブラボー隊は敵と交戦し、軍曹が負傷者を救けるために先陣を切って飛び出す。しかし、軍曹が敵に連れ去られそうになり、ビリーが一人で助けに駆けつける。そこに敵が現れてビリーともみ合いになり、ビリーは相手を殺す。
映画『ビリー・リンの永遠の一日』の結末・ラスト(ネタバレ)
ショーが終わるが、ステージ上に残っていたブラボー隊は設営スタッフともめてしまう。そこにチアリーダーが現れ、ブラボー隊を連れ出してくれる。ビリーはチアリーダーと連絡先を交換する。ビリーはキャスリンと電話で話し、待ち合わせ場所を決める。
ビリーはダイムと共にエージェントと会い、チームオーナーが映画を作りたがっていると知らされる。しかし、報酬が少ないことが侮辱と感じたダイムは不満を漏らす。そしてビリーもーナーに向かってはっきりとオファーを断る。エージェントも隊員らもビリーの判断を支持する。
ビリーはスタジアムを去る前にチアリーダーと会う。そしてチアリーダーと一緒に逃げたい気持ちをぐっと堪え、別れを告げる。ビリーは軍曹を救いきれずにダイムと涙したことを思い返し、隊員らと一緒にいることを決意する。そして迎えに来たキャスリンに戦地に戻ることを伝える。ビリーはキャスリンと抱き合って別れ、リムジンに乗り込んで隊員らとの絆を再確認する。
映画『ビリー・リンの永遠の一日』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
戦場を体験した兵士が日常生活に馴染めずに苦悩するというのは普遍的なテーマで、今作では兵士が帰還して過ごす一日に焦点を当てている。しかし、戦場と日常のどちらの物語もドラマ性に欠け、共感を呼ばない。主人公目線でドラマを描こうと視覚的にも工夫を凝らしているが、空回りに終わっている。『ハート・ロッカー』や『アメリカン・スナイパー』でも主人公の帰国場面が描かれているが、その2作の方が効果的に2つの世界を対比していた。(MIHOシネマ編集部)
戦場の記憶と現実社会とのギャップをこれほどリアルに描いた映画は珍しいと思いました。ビリーが英雄として扱われながらも、心の中では苦しみを抱え続ける姿が切なかったです。特に、家族との別れと仲間への想いが交錯するラストは涙なしでは見られませんでした。(20代 男性)
華やかなセレモニーと、ビリーの心の中にある痛みとのギャップが強烈でした。英雄として利用されるだけの現実に、静かな怒りを覚えます。戦場では仲間を守るために命をかけた彼が、帰国後には孤独を深めていく展開が本当に辛かったです。(30代 女性)
一見アメリカ万歳の話に見せかけて、実は反戦のメッセージがしっかり込められていて驚きました。ハーフタイムショーのきらびやかさと、ビリーたちのPTSDが対比される演出が絶妙。派手さより静かな衝撃が残る作品でした。(10代 男性)
アン・リー監督らしい繊細な演出が光る作品でした。特に、戦場での恐怖と、アメリカ国内の無理解とのギャップがビリーを追い詰める様子が痛ましかったです。戦争の英雄とは何か、改めて考えさせられる重厚なドラマでした。(40代 女性)
3D・高フレームレートでの撮影という技術的なチャレンジも興味深かったですが、それ以上に物語の骨太さに心を打たれました。ビリーが最後、自ら前線へ戻る決断をする場面には胸が締め付けられました。単なる戦争映画ではない、深い人間ドラマです。(30代 男性)
家族との再会が嬉しいはずなのに、心がすれ違う様子にリアルさを感じました。社会は彼らを英雄扱いするけれど、誰も本当の苦しみを理解していない。その冷たさにビリーが孤独を深める過程が本当に辛かった。派手な戦争描写に頼らない、良質な作品でした。(20代 女性)
戦争映画というより、心の映画だと思いました。英雄に祭り上げられた若者たちの心の叫びが痛いほど伝わってきます。特に、ビリーが仲間への想いと、自分自身の選択に苦悩するラストには涙が止まりませんでした。もっと多くの人に観てもらいたい映画です。(50代 男性)
演出が静かで地味に感じる部分もありましたが、その分、リアリティのある感情描写が際立っていました。戦場での出来事だけでなく、帰国後の「戦い」がどれほど過酷かを描いていて、観終わった後もずっと考えさせられました。(40代 女性)
帰還兵たちの「孤独」がこんなにも重いものだと突きつけられるとは思いませんでした。ビリーが英雄としてチヤホヤされながらも、心はどこにも居場所がないと感じている構図が本当に切なかったです。戦争を美化しない姿勢に好感が持てました。(30代 男性)
映画『ビリー・リンの永遠の一日』を見た人におすすめの映画5選
アメリカン・スナイパー
この映画を一言で表すと?
戦場の英雄と日常生活の間で引き裂かれる、魂の物語。
どんな話?
伝説的な狙撃手クリス・カイルの実話を元に、戦場での任務と家族との生活の間で苦悩する姿を描いた物語。戦場と帰国後のギャップに苦しむ彼の心の葛藤に迫る、重厚な人間ドラマです。
ここがおすすめ!
華々しい英雄像の裏にある心の傷と孤独をリアルに描写。『ビリー・リンの永遠の一日』で感じた兵士の「帰れない場所」をさらに深く掘り下げた作品。観た後に心が重く、しかし考えさせられる映画です。
ディア・ハンター
この映画を一言で表すと?
戦場に奪われた青春と友情を描く、壮絶な叙事詩。
どんな話?
ベトナム戦争に赴いた若者たちの友情、愛、喪失を壮大なスケールで描いた物語。戦争が彼らの日常に深い傷を刻み、取り返しのつかない変化をもたらしていく様を、丁寧に描写しています。
ここがおすすめ!
戦場の恐怖だけでなく、帰還後の絶望も痛切に描かれる点が秀逸。『ビリー・リン』と同様に「生き残ること」の重さを突きつけてきます。壮大で重厚な戦争ドラマを求める人にぴったりの作品です。
ハート・ロッカー
この映画を一言で表すと?
死と隣り合わせの快感に取り憑かれる男たちの戦場劇。
どんな話?
爆弾処理班としてイラクに派遣された兵士たちが、極限状態の中で任務を遂行する姿を描いたリアルな戦場ドラマ。死と隣り合わせの任務に中毒的な魅力を感じる兵士たちの心理を鋭く掘り下げます。
ここがおすすめ!
臨場感あふれる演出と、戦場の異様な日常が見事に表現されています。『ビリー・リン』が描いた兵士の精神的葛藤を、さらにスリリングな視点で体験できる作品です。
プラトーン
この映画を一言で表すと?
戦場の地獄で揺れ動く、若者の良心と闇の物語。
どんな話?
ベトナム戦争に従軍した若者クリスが、上官たちの対立や道徳の崩壊を目の当たりにしながら、戦場で心をすり減らしていく過程を描く反戦映画。戦争の非情な現実を生々しく描いています。
ここがおすすめ!
正義と悪が曖昧になる戦場での生き様を通して、戦争の虚しさを痛感させられます。『ビリー・リン』同様、若者の視点で描かれる戦場と、その残酷なリアリティが胸に突き刺さる作品です。
ありがとう、トニ・エルドマン
この映画を一言で表すと?
心の鎧を脱ぎ捨てることの難しさと大切さを描く、異色の感動作。
どんな話?
仕事に忙殺されるキャリアウーマンと、風変わりな父親との心の距離を描いたヒューマンドラマ。型破りな父の行動に振り回されながらも、娘は次第に心を開いていきます。
ここがおすすめ!
表面的な成功とは裏腹に、心に孤独を抱えた現代人を描いています。直接的な戦争描写はありませんが、『ビリー・リン』が描いた「見えない傷」と通じるものがあり、静かな感動を味わえる作品です。
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