この記事では、映画『サンセット大通り』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『サンセット大通り』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『サンセット大通り』 作品情報
- 製作年:1950年
- 上映時間:110分
- ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ホラー
- 監督:ビリー・ワイルダー
- キャスト:グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ナンシー・オルソン etc
映画『サンセット大通り』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『サンセット大通り』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『サンセット大通り』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『サンセット大通り』 あらすじ【起・承】
ハリウッド、サンセット大通りにある豪邸のプール。2発の銃弾に倒れた男の死体が浮かんでいた。周囲には警察官や新聞記者が大勢、集まってきていた。
その殺人事件から半年前。借金を抱えた脚本家のジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)は、サンセット大通りにあるさびれた豪邸に迷い込んでしまう。
そこに住んでいたのは、サイレント映画時代の女優ノーマ・デズモンド(グロリア・ワトソン)と執事マックス(エリッヒ・フォン・シュトリハイム)だった。
ノーマ・デズモンドは、ジョーが脚本家だと知ると、復帰作にと書いていた「サロメ」の脚本を読むように勧めた。当時、ノーマ・デズモンドは50歳。「サロメ」で映画界復帰を考えていた。
そんなノーマの豪邸にはプールやテニスコート、そして映画上映室までなんでも揃っているのだ。恐ろしいことにノーマは、ファンがずっと自分を待っているのだと思い込んでいた。
年越しパーティの夜。ジョーは招待されていたのだが、他の招待客が来る気配はない。ノーマとの生活に疲れていたジョーは、豪邸を出てゆく。
しかし、ノーマの事が気になり、電話をかけてみると、自殺未遂した(リストカット)らしい。その知らせを聞いて、ジョーは屋敷に戻った。

映画『サンセット大通り』 結末・ラスト(ネタバレ)
ジョーは、ノーマを支えるうちに男女の仲になってしまう。こうして、ヒモ同然の暮らしが始まった。ノーマは映画界復帰を目指して、「サムソンとゲリラ」を撮影中のセシル・B・デミル監督(セシル・B・デミル)に会いに行った。
脚本と自分自身を売り込むのだった。一方、ジョーは、脚本家ベティ(ナンシー・オルソン)と共同執筆を始めた。このため、夜ごと帰りは遅くなった。執事マックスから、”元映画監督で、彼女の元夫でもあるんだ。”と聞き、驚く。
その頃、ノーマはジョーの浮気を疑っていた。そして、ジョーの相手が脚本家のベティだと知ると電話をかけて、彼女を呼び出した。ジョーは、彼女の命があぶないと考え、ベティに別れを告げた。
ベティと別れたことを喜ぶノーマだったが、ジョーに出ていくと言われ逆上してしまう。”行かないで!”とジョーに懇願するが、逃げるジョーに銃口を向けた。
ジョーは、2発の弾丸に撃たれ、そのままプールに落ちてしまう。ジョーの遺体が発見され、周囲には警察官や新聞記者が大勢、集まってきていた。
ところが、ノーマはこの事態を”映画の撮影”だと勘違いしてしまう。”どのシーンなの?””宮廷の階段です。”と聞くと、サイレント時代の女優らしく、「サロメ」を演じながら階段を下りた。
”私はスター。女優なのよ!”と微笑む。そして、ノーマを逮捕するためにやってきた警官に向かって、”デミル監督、クローズ・アップの準備ができました!”と女優然として言うのだった。
映画『サンセット大通り』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『サンセット大通り』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
後世に多くの影響を与えた映画ナンバー1!過去の幻に憑りつかれた女
銃弾を受けて死んだ男のナレーションから始まるという、ホラー映画のような見せ方が面白い。この映画には、ハリウッドのきらびやかな側面ではない、汚くドロドロした内実を表現したとして評価が高いのだ。
もし、古い映画は観ないという人がいたら、ぜひそんな偏見を今すぐ捨てて欲しい。「サンセット大通り」が影響を与えた作品には、デビット・リンチ監督の「マルホランド・ドライヴ」(01)や「アメリカン・ビューティ」(99)など挙げるときりがないくらいなんです。
驚くのは、主人公ノーマ・ディスモンドを演じるグロリア・ワトソンをはじめ、元サイレント映画女優や元監督が出演していることだ。一大パロディ映画のようになっているが、これが映画に妙なリアリティーを醸し出しています。
注目すべき人物は、執事マックス役です。元映画監督かつ主人公の元夫という複雑な役柄を、少し怖い顔で演じています。とにかくオカルトチックな人間模様から目が離せない!
ビリー・ワイルダー監督の名作を観よう
「サンセット大通り」には、ビリー・ワイルダー監督の映画への愛が限りなく詰まっています。脚本家が、過去の栄光を忘れられない女優の豪邸に迷い込むのも、自身が脚本家として生きてきたから。
監督である印象が強いですが、実は名脚本家でもあるのです!「サンセット大通り」では、13年間ずっと共同執筆しているチャールズ・ブラケットとの最後の作品です。以後、1957年製作の「昼下がりの情事」からは、I・A・L・ダイヤモンドと組みます。
また作風が幅広く、フィルム・ノワール作品から、ジャック・レモン主演の「アパートの鍵貸します」といったコメディまで描いています。観客を楽しませることにかけては、超一流だったのではないでしょうか。
コメディ映画が多いイメージだったビリー・ワイルダーのシリアスな映画は初めて観て新鮮だった。ジャンルが変わってもなお引き込まれる脚本であるのは流石な監督である。
ハリウッドの暗い部分を描く映画としては、同年代に『イヴの総て』などがあるが、本作は更に奥深いというか、主演のグロリア・スワンソンの存在感が只者では無い雰囲気を醸し出してした。そして栄光と若さに取り憑かれた女優の執念にゾッとした。(女性 20代)
ビリー・ワイルダーと言えばどこか心温まるコメディ作品の印象が強いが、実は人のドロドロしたものを描いても一流。どちらかが出来る人はもう一方もできるということなのだろう。
過去の栄光の世界に生きる元・大女優が狂気の世界に墜ちていき主人公がそれに巻き込まれていく様は、ちょっとしたホラーよりもホラーだ。そしてそれを演じる女優さんが実際にサイレント時代に活躍された方ということとモノクロの映像が、その狂気にリアリティを与え怖さ倍増。それでもしっかりエンターテイメントなので安心して見て欲しい。(男性 40代)
女優が役に入り込むあまり、何かに取り憑かれてしまうなんてホラー映画は沢山ありますが、今作に登場するノーマは「女優」という職業に取り憑かれてしまっていたようです。
彼女は過去の栄光に縋るという言葉がぴったりで、今の自分を全く分かっていないようでした。そんな女に引っかかってしまう男も悪いのですが、ラストの衝撃の展開には思わず「えっ?」と声が漏れてしまいました。
出てくる人間の関係性も怖いし、それぞれが内に秘めているものにも恐怖を感じ、なんだかゾクッとさせられる作品です。(女性 30代)
衝撃的なラストに呆然としました。ジョーが撃たれ、プールに浮かぶ冒頭シーンが物語の結末だったとは…。かつての大女優ノーマの悲劇は、時代に取り残された人間の哀しさそのもの。栄光を失った者の狂気と孤独が痛いほど伝わる名作でした。モノクロ映像がこの世界観に完璧にマッチしていて圧巻です。(20代 男性)
ノーマ・デズモンドの哀れさと恐ろしさに圧倒されました。かつての栄光にしがみつく姿は痛々しく、ラストの「カメラ目線」の演技には鳥肌が立ちました。映画業界の冷酷さと虚構の世界に生きる者たちの悲しみが濃密に描かれていて、胸が苦しくなります。映像も台詞も全てが洗練された一本です。(30代 女性)
ジョーとノーマの関係がどんどん歪んでいく様子に、目が離せませんでした。夢と現実の間で揺れ動き、最後には破滅に至る展開が完璧。特にノーマが完全に現実を失ってしまうラストは悲惨そのもの。ハリウッドの裏側をここまでシニカルに描いた映画は他にないと思います。(40代 男性)
観終わったあと、しばらく立ち上がれませんでした。ノーマの狂気が一歩ずつ進行していく描写がとてもリアルで怖かったです。ジョーもまた、どこかノーマに依存していたのかと思うと、二人の関係は単なる搾取だけでは語れない気がします。美しくも残酷な名作だと感じました。(20代 女性)
まさに「ハリウッドの闇」を描いた傑作でした。衰退した大女優ノーマの孤独と、もがく脚本家ジョーの虚しさが交錯する物語に引き込まれました。特にノーマが自分の幻影に酔いながらカメラの前に進むラストシーンは圧巻。映画という夢の世界の裏側をこれほどまでに鋭く描いた作品は貴重です。(50代 男性)
モノクロであることが、逆にこの映画に説得力を持たせていると感じました。ノーマの精神の崩壊と、ジョーの諦めが絡み合って、見る者に大きな悲しみを残します。華やかな世界の裏にある絶望を、これほど繊細に描き出したことに脱帽しました。今なお色褪せない名作です。(30代 女性)
ノーマの悲劇に胸が締めつけられました。現実を直視できずに生き続ける彼女の姿は滑稽でありながらも哀れで、最後には涙が出そうになりました。ジョーもまた、夢破れた人間だったことが、この物語により一層の深みを与えています。まさに映画史に残る傑作です。(40代 女性)
映画『サンセット大通り』を見た人におすすめの映画5選
イヴの総て
この映画を一言で表すと?
華やかな舞台裏に潜む、女たちの野望と嫉妬を描いた傑作。
どんな話?
大女優マーゴのもとに現れた若きファン、イヴ。彼女は純粋無垢な顔をしながら、次第にマーゴの地位を脅かしていきます。華やかな演劇界を舞台に、名声を巡る女同士の緊張感あふれる攻防が展開される物語です。
ここがおすすめ!
表舞台の裏に渦巻く野心や裏切りを、鋭く描いた脚本が光ります。『サンセット大通り』のように、栄光と没落、そして虚構に生きる者たちの哀しみを味わいたい方に、ぜひ観てほしい一本です!
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
この映画を一言で表すと?
落ち目の俳優が再起をかけ、狂気と現実の間を彷徨うドラマ。
どんな話?
かつてヒーロー役で名を馳せた俳優リガンが、ブロードウェイ舞台での復活を目指すも、内なる不安とプレッシャーに追い詰められていく様を描きます。リアルタイム風の長回し映像が、彼の精神崩壊を臨場感たっぷりに映し出します。
ここがおすすめ!
虚栄と焦燥にまみれたエンタメ業界の厳しさを、独特な演出で描き切っています。『サンセット大通り』のノーマに共感した人なら、リガンの孤独と葛藤にも深く共鳴できるはずです!
マルホランド・ドライブ
この映画を一言で表すと?
夢と現実が交錯する、ハリウッドの暗部を描いた幻想的スリラー。
どんな話?
記憶を失った謎の女と、女優志望の若い女性がハリウッドで出会い、奇妙な旅に巻き込まれていきます。物語は次第に幻想と現実の境界を失い、観る者に不穏な感覚をもたらします。
ここがおすすめ!
ハリウッドの夢と絶望を、リリカルで不気味な映像美で描き出したデヴィッド・リンチの傑作。『サンセット大通り』の持つ不安定な空気感が好きな人には、必ず心に刺さる作品です!
ブラック・スワン
この映画を一言で表すと?
完璧を求めすぎたバレリーナの、狂気に堕ちる美しき悲劇。
どんな話?
プリマを目指すバレリーナのニナが、役にのめり込むあまり、次第に現実と幻覚の境界を失っていく心理スリラー。彼女の葛藤と精神崩壊を、美しくも痛ましく描いていきます。
ここがおすすめ!
自己を追い詰め、壊れていく過程が生々しく、圧倒的な映像美とナタリー・ポートマンの熱演が光ります。ノーマの狂気に心を打たれた人なら、ニナの悲劇にもきっと共感するでしょう。
レスラー
この映画を一言で表すと?
かつての栄光にすがる男の、哀しき再起と孤独の物語。
どんな話?
かつて人気を誇ったプロレスラー、ランディは、体力も名声も失い、孤独な日々を送っていました。そんな彼が最後の輝きを求め、再びリングに立とうとする姿を描いた感動作です。
ここがおすすめ!
過ぎ去った栄光と、現実の厳しさに抗う姿が胸に刺さります。『サンセット大通り』のノーマのように、ランディもまた過去にすがりながら懸命に生きるキャラクター。胸が痛む名作です!
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