映画『修羅の剣士』の概要:1977年に映画化された武侠映画をリメイク。剣神と呼ばれていた最強の男は人殺しに辟易とし、偽名を使って妓楼の下男として働いていた。ある時、夢を失った最強の刺客と出会った男は、彼と友好を深めることで己の武術の使い方を見直していく。
映画『修羅の剣士』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
監督:イー・トンシン
キャスト:ケニー・リン、ジャン・イーイェン、ピーター・ホー、ジァン・モンジェ etc
映画『修羅の剣士』の登場人物(キャスト)
- 謝暁峰(ケニー・リン)
- シェ・シャオフォン。武門一派、神剣館の三男坊。初代以来、誰も会得できなかった神剣流を7歳で会得。武術界を治める剣神、第三の師と呼ばれているが、現在は吉(チ)という偽名で放浪している。
- 慕容秋萩(ジャン・イーイェン)
- ムユン・チュウティ。七星堂の女主人でペットは白蛇。剣の腕も相当だが、第三の師の暗殺を燕十三に依頼する。暁峰の許嫁だったが、婚約解消後も暁峰に強く執着している。天尊派一派。
- 麗(ジアン・モンジェ)
- リー。妓楼にて働く遊女で、金に目がない。変わり者で下男の吉と親しくなり、やがて思いを寄せるようになる。自分の田畑を持ち、農作物を作って穏やかに暮らすのが夢。
- 燕十三(ピーター・ホー)
- エン・シサン。剣神と呼ばれる第三の師と戦うことを夢見る刺客。顔に髑髏のような不気味な入れ墨を入れている。十三剣術の最後の使い手だが、不治の病に冒されている。
- 竹葉青(原島大地)
- チュウ・イエチン。幼い頃から秋萩につき従う従僕で、天尊派を率いる統領。毒を使う術を持っており、別名青ハブとも呼ばれている。秋萩に恋焦がれ、暁峰を敵視している。
映画『修羅の剣士』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『修羅の剣士』のあらすじ【起】
凍てつく氷の剣で武術界を治める剣神と呼ばれる男、第三の師を倒すことを夢見て一心に腕を磨き、旅を続ける燕十三(エン・シサン)。彼はその日の夜も1人の剣士を倒し、次期第三の師と呼ばれるまでに名を轟かせていた。
剣士を倒した後、町に戻って来た十三だったが、そこで七星堂の女主人、慕容秋萩(ムユン・チュウティ)の元へと案内される。彼は女主人から第三の師の暗殺を依頼されるのであった。
神剣流の会得者である第三の師は、湖に囲まれた山の神剣館にいる。十三は館主と会うが、第三の師、謝暁峰(シェ・シャオフォン)はすでに亡くなっていると言われ、憤りを抑えきれずに墓標を破壊してしまう。このことにより、神剣館の者共と戦うことになってしまった十三。暁峰の父である館主に諭され、犠牲者は出さずに済んだ。
失意の元、帰路に着いた十三は、戦い続け腕を磨くことに意味を見出せなくなり、自らの愛剣を手放してしまう。
同じ頃、ある町の妓楼に名前も金もない1人の男が現れる。彼は吉(チ)という名前をつけられ、妓楼にて下男として働くことになる。
一方、幼い頃より重労働や身体を酷使する戦いを続けてきた十三は、重い病を患っていた。彼は仙人が住むという山へ向かい老医師に診断を頼むが、病を治す術はなく恨みや戦いから離れ、余生を穏やかに過ごすことを勧められるのだった。
映画『修羅の剣士』のあらすじ【承】
そんなある日、下男として働いていた吉は遊女の麗(リー)を馬鹿にして金を払わない、ならず者を追い返すことに成功する。そのせいで、店の親分の手下に迎え入れられそうになり、妓楼を出奔。その後、道端の仏像前で座り込んでいるところを、近くの農村の男に声をかけられ、家に招かれる。
その頃、妓楼には乱暴で恐ろしい客が訪れ、遊女たちは恐れおののいていた。客は金を上乗せしてまで遊女を痛めつけ、楽しみたいと言う。誰も痛い思いをしてまで金を稼ぎたくないため、麗が名乗りを上げ傷だらけになりながら仕事をこなした。彼女はその後、妓楼から逃げ出し実家へ帰省。実は吉が寝泊まりする家は、麗の実家でもあった。
麗の傷が癒えた頃、彼女を連れ戻すために妓楼から追手が現れる。そのせいで騒ぎを起こしてしまうが、そこへ自分の墓を購入しに来た十三が通りかかり、騒ぎをたちまち治めてしまう。村人達は剣も使えない吉の不甲斐なさを嘆き、十三に武術の教えを乞うが、十三は村人達の願いを拒絶。彼は病で生い先が短く、自らが入る棺桶や墓石を揃え死ぬ準備を整えるこに忙しかった。
その夜、十三は妓楼へ立ち入り、親分ともども郎党を殲滅してしまう。村人達は恐ろしい容貌だが、腕の立つ十三を称え歓迎した。
そんな彼に会いに行った吉。彼は十三が持つ十三剣という剣術を見せてもらう。彼の剣術は機敏さを有用し、風を巻き込み魂で戦うものだった。十三は打倒、第三の師を掲げていたが、第三の師になるつもりで腕を磨いてきたわけではない。吉と十三は、互いに過ごす時間を持つことで、次第に心を許し合うようになるのだった。
映画『修羅の剣士』のあらすじ【転】
そんな折、噂を聞いた慕容秋萩が村に駆け付ける。彼女は麗の家へ赴き、吉が自分の婚約者であり神剣館の第三の師、暁峰であることを明かした。そして、姿を現した暁峰を連れて去ってしまうのである。
翌日、棺桶で昼寝していた十三は、実は吉が第三の師であったことを知り、歓喜で雄叫びを上げる。剣を手にしていざ挑もうとした時、彼はふと気づいてしまう。吉に自分の剣術を全て伝授してしまったことを。これでは勝てるはずがない。十三は気落ちして踵を返してしまうのだった。
幼馴染の暁峰と秋萩は、生まれた時から結婚が決まっていた。彼らは互いに思い合い成長するも、結婚の日の当日に暁峰が姿を眩ましてしまい、こ秋萩の父親が激怒。神剣館とは縁を切ってしまう。その数年後、秋萩は諦めの境地に至り別の男との結婚を決めるも、暁峰が現れまたも結婚話を壊されてしまう。暁峰は秋萩に遠い場所で慎ましく暮らそうと言うも、秋萩が従僕の竹葉青(チュウ・イエチン)に連絡をつけてしまったため、彼女を置いて逃走してしまったのだった。
2人は今度こそ、慎ましく暮らそうと話すも秋萩の手の者がやって来て、お嬢様の暮らしを裕福にしようとしてしまう。暁峰は地に根を下ろすように、土を耕し農民のように心穏やかに暮らしたかった。だが、秋萩はどこまでもお嬢様で、足が泥に塗れることに嫌悪する。
暁峰の父親は神剣館の当主となった息子に、武術から足を洗って、地を耕し家族と穏やかに暮らす男を殺せと命じた。男が武術に優れた者であったからだ。暁峰はそのことに意を唱えたし、相手の男にも敵意はなかった。だが、父親は息子に人殺しを強要する。追い詰められた暁峰は仕方なく相手の男を一太刀で殺した。すると当然、男の妻や子が剣を持って抗って来る。父親は抵抗してくる男の妻や幼い2人の子を門下の者共を使って、皆殺しにしてしまう。それもこれも、全て神剣館の威光を保つためだった。
映画『修羅の剣士』の結末・ラスト(ネタバレ)
暁峰はそれらのことに辟易とし、全てを捨て死んだことにして逃げ出したのである。秋萩のところから去った暁峰は、その足で麗の家へと向かい彼女と家族に逃げるよう諭した。自分が奴らの意に沿わないために、全てを消しにかかってくるだろうと予想したからである。荷物をまとめて翌早朝には家を出ようと話し合ったが、夜半過ぎに夜襲をかけられてしまう。相手は秋萩率いる天尊派であった。
現在、天尊派は他の武門を潰しにかかっており、最も危険な思想を掲げ武術界の統一を狙っている。
村は火をかけられ阿鼻叫喚の巷と化した。暁峰は村の者達を逃がし囮となったが、竹に目つぶしをされてしまい、危うく殺されそうになる。そこへ、十三が現れ彼を助けるのであった。
同じ頃、騒乱の最中、自宅へ忘れ物を取りに戻った麗。目当ての物を見つけたが、外へ出ると秋萩が待っている。麗の家族は殺され、家にも火がかけられてしまい麗は年老いた母親と共に家屋の下敷きとなってしまうのだった。
翌朝、十三と共に村へ戻った暁峰。村は全て焼き払われ、酷い有様である。麗は母親に庇われどうにか命は助かったが、顔には醜い火傷の痕が残ってしまった。
十三は気落ちして覇気のない暁峰に、人を殺すのではなく心を挫き倒すのだと発破をかける。暁峰は彼の言葉に一抹の光明を見出し、天尊派を倒すべく旅立つのだった。
その頃、神剣館には天尊派が襲来。奴らは髑髏の仮面をつけ毒を多用してくる。まるで盗賊のようであった。たちまち追い詰められてしまう神剣館。ここまでかと思われたが、そこへ十三と暁峰が駆け付ける。
暁峰の登場により、戦いは一気に有利となり逆に追い詰められる天尊派。統領は秋萩の従僕の竹と秋萩だった。竹は使えるものは何でも利用すると豪語し、暁峰へ挑みかかる。だが、そこへ秋萩が割り込み激しい戦いを繰り広げた。暁峰は彼女を傷つけたくないあまりに防御に徹し、その様子に益々激高する秋萩。次第に正気を失い始めた秋萩を見た竹は、彼女を止めるべく戦いへと割り込み、逆に彼女の剣に倒れてしまう。そこで、ようやく正気を取り戻した秋萩だったが、竹は彼女へと結婚を申し込んだ後、秋萩の命を奪って斃れるのであった。
秋萩の死を看取った後、暁峰は好敵手である十三と対決。十三剣は第三の師の欠点を突くために考案された武術であるため、本家本元の十三から伝授された暁峰は最早、無敵である。2人は一進一退の攻防を展開するが、やはり武術界一と言われる暁峰には一歩敵わず、十三は暁峰の剣に斃れるのであった。
十三の亡骸は、彼が自ら用意していた墓へと丁重に埋葬した。その後、暁峰は傷の癒えた麗と共に旅へ出る。彼は今後、己の武術は人を救うために使うのだと強く心に決めているのだった。
映画『修羅の剣士』の感想・評価・レビュー
1977年にイー・トンシン主演にて映画化された古の龍の武侠小説を、イー・トンシン自らが監督となり再映画化した作品。主演の最強の剣士、第三の師役には数々の武侠映画にて頭角を現し始めている若手の俳優ケニー・リン。上品な顔立ちでありながら、コメディやシリアス、アクションもこなす何でもありの俳優である。
今作の主人公は第三の師ではあるが、ライバルとなる刺客の境遇へもしっかりスポットを当て、ストーリーをより奥深いものにしている。さまざまなしがらみを断ち切り、主人公が新たな道を歩むことになるきっかけを描いている。(女性 40代)
ストーリーはともあれ世界観がめちゃくちゃ好きです。最近『るろうに剣心』シリーズを見ていたこともあり、最強の剣士や修羅という言葉にビビっと来て鑑賞しましたが、中国・香港の時代劇めちゃくちゃ面白かったです。日本の「武士道」と言うよりも、華麗で美しい剣術を見せてくれるので強い男でありつつ、とにかく綺麗なんです。見ていてニヤニヤしてしまいます。
恋愛要素強めの時代劇で、好き嫌いが分かれると思いますが女性はかなり楽しめるのではないかなと思います。(女性 30代)
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