伝説の小噺、とまで人々に言わしめた、立川志の輔による名演目をまさかの実写映画化。この小噺に強く感銘を受けた中井貴一が全てを捧げて製作した、魂の一本。
映画『大河への道』の作品情報
- タイトル
- 大河への道
- 原題
- なし
- 製作年
- 2022年
- 日本公開日
- 2022年5月20日(金)
- 上映時間
- 112分
- ジャンル
- コメディ
ヒューマンドラマ - 監督
- 中西健二
- 脚本
- 森下佳子
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 中井貴一
松山ケンイチ
北川景子
岸井ゆきの
和田正人
田中美央
溝口琢矢
立川志の輔 - 製作国
- 日本
- 配給
- 松竹
映画『大河への道』の作品概要
伊能忠敬、日本人であればその名を知らない者はいないことだろう。中学や高校の授業で必ず習う、今の日本があるためには必要不可欠な存在だ。彼は、50代も半ばを超えた頃に、『日本地図を作成する』という途方もない任務につくこととなる。勿論、その当時まだ交通の便が発達しているわけもなく、より正確なデータを取るために、彼は自らの足で日本全土を練り歩いた。その距離、なんと地球一周分。なんとも情熱と行動力に溢れた人物である。これまでにはない視点から描いているのが本作。本作であれば、歴史にそれほど明るくないという人でも必ず楽しめるはず。
映画『大河への道』の予告動画
映画『大河への道』の登場人物(キャスト)
- 池本保治(中井貴一)
- 千葉県香取市にある市役所の総務課主任。なぜか、伊能忠敬を題材とした大河ドラマ開発プロジェクトの開発担当に抜擢されてしまう。
- 小林永美(北川景子)
- 市役所の観光課課長。なぜか池本を開発プロジェクトに抜擢する。
- 木下浩章(松山ケンイチ)
- 池本の部下。お調子者で、池本に開発プロジェクトの手伝いを押しつけられる。
映画『大河への道』のあらすじ(ネタバレなし)
いかにして市を活性化させるか。千葉県香取市の市役所職員達は頭を抱えていた。そして持ち上がったのが、伊能忠敬を主人公に描いた大河ドラマの制作。その開発プロジェクトに任命されてしまった池本は、部下の木下と共に渋々伊能忠敬に関する調査を開始した。しかし、その調査の末、とんでもない事実が明らかになる。なんと、日本地図を完成したのは伊能忠敬ではないというのだ!このままでは、企画そのものが潰れてしまいかねない。悩んだ末に、池本らがとった選択とは?そして、一体過去に何があったのか。隠され続けてきたその謎に迫る。
映画『大河への道』の感想・評価
落語が映画化
伊能忠敬は、実は日本地図を完成させていなかった!?そんな、これまでの日本人の常識を覆すような設定の本作は、元々は立川志の輔による創作落語。落語の演目は、代々受け継がれ語り口調で物語の奥行きが生まれる。そのため、ファンは様々な落語家の噺を聞き比べ、それぞれに魅力を感じるのだ。一方で、本作のような創作落語は、これらとはまた一味違う。創作落語、別名新作落語は、主に大正時代以降に生まれた、比較的新しい演目を指す。中でも本演目は、『究極の小噺』と称されるほど、圧倒的な人気とクオリティを誇る。その人気故、寄席でのチケットは一瞬で売り切れる、まさに幻の作品。そんな作品を今回映画化。本作で興味を持った人は、激しいチケット争奪戦を勝ち抜き、本場の落語を堪能してみるのも面白いかもしれない。
落語という文化
落語とは、日本が誇る古典芸術である。起源はなんと江戸時代にまで遡る、歴史のある由緒正しい落語。しかし、近年若者の古典芸術離れが深刻化している。同じく伝統芸能である歌舞伎などもそうだが、歴史が深い分、それぞれの芸能に独自の世界観、ルールが存在する。だからこそ、ファンはそれに熱中するのだろうが、中々初学者には手を出しづらいこともまた事実。そんな状況を何とか打破しようと、運営側も試行錯誤を繰り返している。本作も、そんな創意工夫がなされている作品の一つ。中々馴染みのない伝統芸能を、少しでも気軽に楽しむことができるように、と想いが込められている。是非、肩肘を張らずに、気軽な気持ちで作品を楽しもう。
中井貴一絶賛
本作の主演を務めるのは、名演中井貴一。実は本作品、中井貴一による熱烈ラブコールによって実現したのだ。前述の通り、本作は立川志の輔による創作落語が元となっている。その演目を実際に観劇した中井貴一があまりの完成度の高さに感動を覚え、ぜひ映画化を、と持ちかけたのだ。その熱といえば、例え自分が主演でなくとも、監督やスタッフとしてでもいい、と言わしめるほど。あの大俳優にそこまで言わせるのだから、この小噺のクオリティが非常に高いことが伺える。そんな中井貴一が魂を込めた一作、是非劇場で堪能しよう。
映画『大河への道』の公開前に見ておきたい映画
天地明察
今の日本の『常識』を作り上げた重大な歴史。最新作で取り上げられて伊能忠敬による日本地図作成も当然その一つ。そして、本作でもそのような重大イベントがテーマとして取り上げられている。本作で主人公となるのは、安井算哲。彼は天文、数学の分野において類稀なる才能を発揮した男性で、後に日本独自の正しい暦となる、『大和暦』を完成させた。まだ、江戸時代において、彼がどのようにしてその偉業を成し遂げたのか。気が遠くなりそうなその日々に、思わず心打たれることだろう。また、後に夫婦となる岡田准一と宮崎あおいの共演にも注目。
詳細 天地明察
しゃべれども しゃべれども
落語を元ネタとする作品、落語家を主人公に描いた作品という違いはあるものの、最新作同様落語をテーマに描いた作品という共通点を持つ。山本周五郎賞の候補作にも選ばれた小説を、アイドルグループ『TOKIO』の国分太一主演で実写化。今昔亭三つ葉は、なかなか芽が出ない売れない落語家。パッとしない毎日を送っていた三つ葉だったが、ある日ふとしたキッカケから『話し方教室』を開催することとなる。そんな彼の元に集まったのは、3人の曲者すぎる生徒達。果たして、この教室を通して三つ葉が教え、学ぶこととは?
花のあと
中井貴一が、例え監督やスタッフなどの裏方としてでも映画化を熱望した本作。幸いなことに、中井貴一は主演として、その夢を叶えることとなった。そんな彼の代わりに、監督として抜擢されたのが中西健二。本作で主演を務めるのは、最新作にも起用されている北川景子。北川景子演じる以登は、女性の身でありながら男性に剣術で全く引けを取らないという強気な女性。そんな彼女もある日とうとう恋に落ちる。しかし、彼女にも、その相手にも、それぞれ許嫁がいるのだった。彼への想いを断ち切ることにした以登。しかし、そんな彼女の元に自らの許嫁が亡くなったという連絡が入り…?
詳細 花のあと
映画『大河への道』の評判・口コミ・レビュー
“大河への道”地域振興の為に、地元の偉人、伊能忠敬を大河ドラマへと活動する香取市職員の活動と、偉人の影で、地図製作に尽力した、無名の人々の努力を、現代劇、時代劇コラボで描く作品は、企画段階から参画する主演中井貴一の、情熱を感じられる、無垢の人々の思いにスポットを当てた、力作でした。 pic.twitter.com/Hm3ZkiSEg5
— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) May 22, 2022
「大河への道」試写。
中井貴一企画&主演の歴史ドラマ!地元の偉人 伊能忠敬を大河ドラマにすべく奮闘する市役所職員と、その偉業を完成させようと幕府に嘘をつく当時の人々のドラマが交差する。中井貴一や松ケンの芸達者ぶりもいいけど、幕府の隠密を騙そうとする北川景子や岸井ゆきのに爆笑だった。 pic.twitter.com/OxmFC5BlDV— マサル☆ (@masarutak) May 20, 2022
映画 大河への道 鑑賞終了
凄く好き!(*´ω`*)
日本地図を完成させた偉人”伊能忠敬”の意志を継いだ、名を語り継がれなかった人々の奮闘の物語
現代と過去、主演の方々の2役がとても良い相乗効果で作品を活性化していました。
偉人も1人で事を成し遂げたわけではない。こういう作品 もっと観たい!
— あさるとん@通常 (@asaruton) May 21, 2022
『大河への道』
NHK大河経験者達による、派手さは少なくとも地に足の着いた、いぶし銀の良作。国防、愛国、美しい国といった概念は本来こういうことではと思ったし、為政者のあり方、三角関数の有用性まで説かれているのはあまりにタイムリー。何より、それらを説くさりげなさが最高に粋じゃないですか pic.twitter.com/fAWQqB1Nfi— エンバ (@enba_mitsuyoshi) May 21, 2022
「大河への道」行ってまいりました!
現代劇と時代劇の二重構造がとても良かった。面白かったです。困った顔をさせたら中井貴一さんの右に出る者なし。
平清盛から10年経っていると思えない松山ケンイチさんの若さと軽快さ。
やはり「ゾクゾク」しないと始まらない。 pic.twitter.com/xMUsoYgPHI— 「平清盛」セリフ集 (@taiganokiyomori) May 21, 2022
映画『大河への道』のまとめ
人間は、新しいものに目を奪われがちだ。昔ながらの物を、『古い』『ダサい』と考えて、避けてしまう人もいる。しかし、この世に温故知新という言葉があるように、古い物から学ぶことは必ず存在するはずなのだ。そもそも、今に至るまでにその『古い』ものが残っているのには、それ自体に大きな魅力があるためだ。落語もそう。古くからの文化であり、今尚根強い人気を誇る唯一無二の存在。しかし、その世界は今後も残っていくだろうし、その世界に救われる人は必ずいるだろう。まだその魅力を知る機会に恵まれてこなかった人も、本作をきっかけに落語の世界に触れてみよう。
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