映画『多十郎殉愛記』の概要:長州藩から脱藩し、生きる希望もなく日々を浪費する生活を送る多十郎。彼は腕の立つ剣士でもあったが、健気に世話をするおとよの気持ちに気付き戦う理由を見出していく。中島貞夫監督による20年振りの剣戟映画。
映画『多十郎殉愛記』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:時代劇
監督:中島貞夫
キャスト:高良健吾、多部未華子、木村了、三島ゆり子 etc
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映画『多十郎殉愛記』の登場人物(キャスト)
- 清川多十郎(高良健吾)
- 長州藩から脱藩して来た浪人。両親の借金から逃げるように脱藩し、京都で日銭を稼ぐ日々を送っている。長州藩随一の剣士と言われているが、生きる希望も目的も見失っている。おとよの気持ちに気付き、戦う理由を見出す。
- おとよ(多部未華子)
- 養母の居酒屋を任されており、用心棒として働く多十郎に想いを寄せている。芸子として育てられるも、恋仲となった男と駆け落ち。修羅場の果て逃げ戻って来る。傷物として嫁の貰い手がないが、芯のしっかりした女性。
- 清川数馬(木村了)
- 多十郎の義弟。後妻の息子で両親に愛されている。剣の腕の立つ兄を慕っており、崇高な使命に目が眩んでいる。尊王攘夷を目指し、長州藩を脱藩して来る。
- 溝口蔵人(寺島進)
- 京都見廻組の中でも精鋭部隊である抜刀隊隊長。長州・薩摩の脱藩浪人を取り締まっている。目的は桂小五郎の捕縛。腕の立つ剣士。
映画『多十郎殉愛記』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『多十郎殉愛記』のあらすじ【起】
幕末。尊王攘夷を目指し長州藩から脱藩する侍たちに混ざって京都に身を落ち着けた清川多十郎。彼は長州藩でも随一の剣士として名を馳せた人物であった。ある日、彼の元に同志である浪人が訪れ、新選組から逃れるために手を貸して欲しいと頼まれる。だが、多十郎は天下国家などと大それた目的で脱藩したわけではなく、親の借金から逃れるために故郷を後にし、確たる目標など持たずその日の糧を得るだけの日々を送っていた。多十郎は浪人たちに報酬を寄越すなら手を貸しても良いと答える。逃亡中の身である脱藩組が人を雇うほどの資金を持っているはずがなく、浪人たちは悔しがりながらも身を引くこととなった。
居酒屋で働くおとよは店の看板娘であり、用心棒として働く多十郎へと密かに思慕を寄せていた。しかし、当の多十郎は彼女の想いなど気付く由もない。おとよは世話好き女房よろしく多十郎の世話をするため、彼の寝起きする長屋へとせっせと通っては面倒を見ているのだった。
新選組による取り締まりが強まる中、京都見廻組が多十郎の存在に気付く。彼らは新選組より先に多十郎を捕縛するべく、策を巡らせていた。
映画『多十郎殉愛記』のあらすじ【承】
脱藩組から金子と共に義弟の数馬が脱藩して京都へ来るという手紙を目にした多十郎。彼はその夜、待ち合わせ場所へは向かわず金子を全て使って豪遊。周囲が湧くのを他所に、絵心のある多十郎は女の背中に絵を描いているのだった。
多十郎から待ちぼうけを喰らわされた浪人は新選組に見つかり、追い詰められ斬り殺されてしまう。助けに入った数馬は彼からある手紙を受け取った。
夜明け前、帰宅した多十郎を待っていたおとよ。彼女は何も言わず彼に水を浴びせ身の回りの世話をする。そんなおとよの心が分からない多十郎はもう構うなと言うが、おとよは生きた屍のような多十郎を見捨てることなどできない。彼女は彼に胸の内を明かし、死にたいなら今すぐ死ねばいいと彼の刀を抜いて迫った。ところが、武士の命である刀に刀身はなく愕然としてしまうおとよ。
多十郎の元へ数馬がようやく訪れる。彼は脱藩組を見捨てた兄を責め立てたが、そこへ京都見廻組がやって来る。多十郎は義弟に身を隠すように言いつけ、自ら外へ。囲まれた彼はとうとう刀を抜いたが、その様子を見ていたおとよはまたも驚愕。竹だとばかり思っていた刀身が戻っていたのだ。ところが、そこへ数馬が乱入し両目を負傷。多十郎は義弟をおとよに託し、囮となって逃走するのだった。
映画『多十郎殉愛記』のあらすじ【転】
このことは京都見廻組でも精鋭を率いる抜刀隊隊長、溝口蔵人へも報告され清川兄弟捕縛へと大々的に動き出す。捜索には多くの隊士たちが動員され物々しい警備が敷かれた。当然、多十郎の長屋やおとよが働く居酒屋へも捜査の手が入る。
その頃、おとよは待ち合わせの蔵にて町医者を呼んで数馬の手当を行い、身を隠していたが、多十郎はおとよに数馬を連れて逃げて欲しいと頼む。数馬をも説得した多十郎はおとよの気持ちに応え2人を守るために蔵を後にした。
翌朝、身なりを整えた多十郎は自ら姿を現し、囮となっておとよと数馬の逃走を助ける。多十郎の噂は隊士たちにも知らされ、大勢に囲まれてしまう。彼はどうにか逃げ出し、追手を引き連れて街中を逃げ回った。
映画『多十郎殉愛記』の結末・ラスト(ネタバレ)
数馬の手当をした医者から情報を得た京都町奉行所は、逃走したおとよと数馬へも追手を放つ。
多十郎は追手を伴い山へと逃走。攻撃を躱しながら反撃しつつ逃げ惑う。竹林へ入った彼は息を整えながら、反撃の機を狙った。おとよと生きて再会するまで、死ぬわけにはいかない。彼は必死に刀を振るい、追手の足止めを行って更なる逃走を続けた。
その頃、目の見えない数馬を連れて山道を進んでいたおとよは、数馬を見捨てて行こうと考えるが、それもできずに追手から身を隠していた。
山奥の邸に逃げ込んだ多十郎は家人を人質に取って立て籠もった。そこへ、溝口が駆け付ける。邸には主人と少女の2人だけしかいなかったが、少女は少し知能が足りない様子。主人は少女と生活を共にし、彼女のためなら死んでもいいと話す。多十郎はその話を聞きおとよのことを思った。
世俗と離れ世捨て人と言われている邸の主人は、多十郎の刀がぼろぼろになっていることに気付き、新しい刀を用意してくれる。多十郎は好意を受け取り溝口の前へ姿を現し、刀を構えた。
溝口との一騎打ちに臨んだ多十郎。鍔迫り合いから互いの隙を狙って刀を振り落とす。しかし、多十郎は仕合いに負け捕縛されてしまう。山道を進むおとよにも捕縛の知らせは聞こえていたが、彼女は愛する男の覚悟を受け、振り返らずに数馬を連れて逃走を果たすのであった。
映画『多十郎殉愛記』の感想・評価・レビュー
殺陣の魅力を存分に見てもらうことをコンセプトに制作された長編劇映画。作品の3分の2が殺陣のシーンで正に魅せる演出が随所に施されている。
主人公の浪人に高良健吾が務め、ヒロイン役に多部未華子が演じており作品に華を添えている。殺陣のシーンがほとんどであるが、飽きさせることなくストーリーが進む。それぞれの事情もさり気なく盛り込み、抱える葛藤も描かれているが、かなり控え目。メインが殺陣であるため、説明も多くない。殺陣の魅力を最大限に描いたエンターテインメントと言っても過言ではなく、コンセプト通りの作品である。(MIHOシネマ編集部)
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