映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』の概要:ノンフィクション『The Impossible』を基に制作された作品。溺水事故にて昏睡状態となった少年を巡り、養父母の苦悩と信仰、人々の祈りにより奇跡的な生還を果たす様子を描いている。
映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ロクサン・ドーソン
キャスト:クリッシー・メッツ、ジョシュ・ルーカス、トファー・グレイス、マイク・コルター etc
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映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』の登場人物(キャスト)
- ジョイス・スミス(クリッシー・メッツ)
- ジョンの養母。1型糖尿病を患っており、インスリン注射が欠かせない。肥満気味で体格が良い。敬虔なクリスチャンでジェイソン牧師のやり方と髪型が気に入らない。養子のジョンに深い愛情を与え、養育している。気が強く仕切り屋な面がある。
- ブライアン・スミス(ジョシュ・ルーカス)
- ジョイスの夫でジョンの養父。息子が馴染んでくれないことを気にしてはいるが、ジョンを愛情深く見守っている。ジョイスの要望のほとんどを受け入れているが、礼儀を見失うことに苦言を呈する。穏やかで包容力がある。
- 牧師ジェイソン(トファー・グレイス)
- 若い新任の牧師。派手な髪型でジョイスにも直すよう指摘されている。若者向けのミサを開催し、教会に若者を呼び込みたいと考えている。美しい妻と幼い息子、娘の4人家族。ジョイスに嫌われていることを知っているが、ジョンの事故をきっかけにスミス一家に寄り添い親交を深める。
- トミー(マイク・コルター)
- 消防隊員。ジョンの落水事故にて救助する。救助時にジョンの居場所を知らせる声を聞いたと訴えるも、周囲には信じてもらえない。ジョンの容態を密かに気にしてくれる。
- ジョン・スミス(マルセル・ルイス)
- ジョイスとブライアンの養子で14歳。実の母親から捨てられた事実を受け入れられず、養父母や教師に反発している。落水事故にて溺水にて昏睡状態になるも奇跡の生還を果たす。
- 医師ギャレット(デニス・ヘイスバート)
- 大病院の溺水治療の専門医。ジョンの担当医となり、治療を施す。絶望的な状況の中、奇跡的な生還を果たしたジョンを奇跡の子だと宣言する。
映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』のあらすじ【起】
2015年1月15日。アメリカ、ミズーリ州のセントチャールズに住むスミス一家は、養父ブライアンと養母ジョイス、養子ジョンの3人家族。14歳のジョンは思春期を迎え、本当の親に捨てられたことを受け入れられず養父母や教師に反抗的な態度を示すようになっていた。ジョイスは敬虔なクリスチャンで、新しく赴任した若い牧師ジェイソンが伝統を軽んじるため、あまり好きではない。
3日後の日曜ミサに参加したスミス一家。革新的なミサを行うジェイソンを町の人々は受け入れているようだが、やはりジョイスは彼のやり方にあまり賛同できなかった。午後はジョンが出場するバスケットの試合へ。試合に勝利したその日、ジョンは友人宅へお泊り会の予定だった。スミス夫妻はジョンの態度にやきもきしながらも息子を送り出す。
翌日の1月19日はキング牧師の記念日。ジョンと友人2人は近くの湖へ。湖には厚い氷が張っていた。3人は記念撮影などをしていたが、カフェの主人に危険だと注意されても言うことを聞かない。それから程なくして、メールの着信にジョンがスマホを見た次の瞬間。氷が割れて湖へ落下。他の2人も落ちてしまう。3人はどうにか氷の上へ乗り上がろうともがき、友人の1人が上がる際に蹴ってしまったジョンが水底へ沈んでしまうのだった。
その様子を発見したのはカフェの主人で即座に通報。警察と救急隊が駆け付け2人の少年はすぐさま救助される。ジョンが沈んで15分。救助に駆け付けた消防隊員トミーは氷が割れ広がり、ジョンが行方不明にならないよう慎重に水底を探った。そうして、ようやくジョンを発見し救助。
映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』のあらすじ【承】
心停止してしまったジョンには即座に蘇生処置が施され、救急搬送となった。連絡をもらったジョイスもまた急いで搬送された病院へ。担当医師は手を尽くしたが、ジョンの脈は戻らず。処置時間45分経過した後では蘇生も難しい。ジョイスは医師から容態を聞き愕然となった。
病院の計らいで処置室にジョンと二人きりになったジョイスは、悲痛な泣き声を上げながら必死に神へと祈る。漏れ聞こえるその声に誰もが肩を落としたが、突如脈が戻ったことで騒然となった。だが、脈は非常に微弱で危険な状態には変わりない。医師は溺水治療専門の名医がいる大病院への転院を勧めた。
ジョンはすぐさまヘリによって搬送されることに。心配したジェイソンが転院先の病院に駆け付けてくれていたが、それどころではない。専門医ギャレット医師によって診察が行われ、スミス夫妻は改めて説明を聞いた。
心肺蘇生開始までジョンは20分もの間、酸素が欠乏した状態だった。この状態は人間に致命的なダメージを与える。基本的な脳の機能に弊害が出る状態だが、ギャレット曰くここまで生きるケースは初めてらしい。意識を取り戻しても深刻な機能障害が残る可能性が高く、夜まで生き延びることはできないだろう。ギャレットは親族を呼ぶよう進言したが、ジョイスは諦めず治療を続けて欲しいと頼んだ。
ジョンの蘇生に携わった医師の娘はジョンと同級生で、彼のことを心配していた。救助した消防隊員トミーもジョンのことを気にしており救助時、水底に沈んだジョンの居場所を知らせる声が聞こえたと訴えたが、誰も聞いていないらしい。
映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』のあらすじ【転】
1月20日、事故から18時間後。ジョンに付き添い病院で一夜を明かしたスミス夫妻。ジョンの傍らにはジェイソンが寄り添っていた。夜は越せないと言われていたが、ジョンは無事に夜を越したのである。このことでジェイソンとの蟠りを解くきっかけを得たジョイス。
昏睡状態となったジョンの身体には様々な異変が発生する。脳浮腫が起こる可能性を忌避したギャレット医師は、ジョンを人工的な昏睡状態に置き回復の可能性に懸ける。ジョンの意識が回復するまで長い戦いになる。ギャレットにしても今後は未知の領域だった。
落水事故はニュースになり、ブライアンはジョンを見ていられないと心情を吐露。周囲の大半が助からないと思っており、ブライアンもそう思っていた。しかし、ジョイスは医師や看護師に病室でネガティブな発言はしないよう注意を促し、ジェイソンと交代で一旦、帰宅。糖尿病を患っていて高血糖が続いているため、インスリンが必要だった。
病院へ戻った彼女は息子が憧れるバスケットボール選手が使用しているシューズを持参。意識はないが、きっと聞こえているはず。ジョイスがジョンに言葉をかけ、手を握ると握り返してくれることが判明。バスケットボールの話に反応することが分かり、ギャレットに来てもらったが、その後は全く反応しなくなってしまった。
ニュースを見てクラスメイトや教師が駆け付けてくれる。無事に回復したジョンの友人2人も来てくれ、更にクラスメイトの1人がSNSを開設。SNSは反響を呼んで、ジョンへの応援メッセージが多数寄せられていた。ところが、ジョンはもう助からないと言いながら、不謹慎にも帰る家族もいる。ジョイスは腹を立て、待合室でも悲観的な発言はしないで欲しいと怒鳴ってしまうのだった。
ブライアンは彼女の態度に礼儀を忘れてはいけないと忠言。すると、ジョイスはなんと、ジョンが生きているのは自分のお陰なのだと傲慢な発言をしてしまう。ブライアンは驚き、自分の発言を今一度考え直すよう理性的に諭すのであった。
1月21日、事故から42時間が経過。早朝、病室をジェイソンと訪れたブライアンだったが、ジョイスの意識が戻らないことに気付く。どうやらインスリンの過剰投与で意識を失ったらしい。ギャレット医師は1型糖尿病であるジョイスに十分な水分補給と休息を告げるのだった。
映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』の結末・ラスト(ネタバレ)
最低でも5時間は休むように言われ、ジョンの病室への出入りを禁じられてしまったジョイス。そんな彼女の元にジェイソンがやって来る。ジョイスは彼に自分の身上を話し始めた。18歳で妊娠出産した彼女は、産まれた子供を養子に出した。その経験から養子を迎えることにして強く生きてきたが、今回ばかりは自分の思い通りにはできない。仕切り屋な面がある彼女に、ジェイソンは全てを神に委ねてみてはどうかと進言した。
そこで、ジョイスは病院の屋上で全てを神に委ねると祈る。その後、病室へ向かったジョイス。医師からジョンの体温が40度まで上がり、解熱剤を投与して昏睡状態を維持していると報告される。そこで、ジョイスは治療が逆効果になっているのならば、治療を一旦やめて意識を戻してはどうかと提案。ギャレットは両親の意向を聞き、投薬調整を行い覚醒を促すと決定した。
その夜、病院にクラスメイトやジョンを応援する人々が詰め寄せ、全員で讃美歌を唄ってくれる。歌はジョンにもきっと聞こえている。ブライアンもジョイスも涙を浮かべ人々の祈りに感謝した。
翌早朝、病室にトミーが訪れる。彼はジョイスが目覚めると踵を返してしまうが、ジョイスは彼に礼を言う。すると、彼は自分がやるべきことをやっただけだと言って帰って行った。
1月22日、事故から72時間後。いよいよジョンから全ての医療機具を外す。両親が見守る中、機器が全て外されるとジョンが突然、暴れ始める。その後、自発呼吸が発生。じきに意識を取り戻すだろう。ギャレットは奇跡的だと告げ、全員でジョンの様子を見守った。
ジョイスは息子に声をかけ、ジョンならきっとできると信じる。すると、ジョンが意識を回復。ジョイスを目にして「母さん」と声を発した。一斉メールにてジョンの意識が回復したとクラスメイトに知らせが入る。学校は騒然となり喜びで沸いた。
様々な検査をした結果、ジョンにはほとんど後遺症がないことが判明。48時間前まで、脳神経も壊滅的な損傷を負って主要な臓器も機能していなかった。これにはギャレットも信じ難いと口にし、ジョンは奇跡の子だと感嘆。2週間後、ジョンは無事に退院。自分の足で歩いて車に乗り帰路に就いた。
2日16日、事故から28日後。学校へ復学したジョンは、自分のロッカーに多くのメッセージが貼られていることに気付く。それはいい意味でも悪い意味でも彼を責め立てた。ジョンは自分が落ちた湖を訪れ、たまたま来ていたトミーと出会う。彼と話したジョンはある決意をする。
3月1日、教会のミサ。スミス一家は壇上に上がり経験談を語ることに。ジョンは両親に愛を捧げ心情を語った。そして、ジョンのために動いてくれた人々や祈ってくれた人々に感謝を告げる。会場の全員がジョンのために祈ってくれていた。一家は今一度、本当の家族として絆を結び直す。スミス一家は今も同じ町に住み、牧師一家とも親交を続けている。回復したジョンはバスケットボールを教えながら、教師を目指している。
映画『ブレイクスルー 奇跡の生還』の感想・評価・レビュー
宗教色の強い作品ではあるが、信仰が奇跡を起こした可能性はないとは言えない。少年が後遺症もなく意識を取り戻したのは、確かに奇跡だったのだと思う。それは、人の考えでは到底理解できない何らかの力が働いた結果なのだろう。今作では神への祈りによって、奇跡が起こったと描いているが、加えて非難する側の声や行動もしっかりと描かれている。このことで少年が心を痛め、良いことばかりではないと知らしめている。個人的には非難する人の気持ちも分からないではないが、責め立てるのは間違っていると思うし、真摯な祈りは届くと思っているので、今作を鑑賞して結構感動した。(MIHOシネマ編集部)
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