映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』の概要:世界的な科学者である母の誕生日を祝うため、母のラボへ侵入した主人公。ところが、ラボにて爆発事故が発生。主人公は爆発に巻き込まれ透明になるという特殊能力を得る。世界征服を狙う黒幕を止めるため、少年少女が大活躍する。
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:SF、アクション
監督:マルクス・ディートリッヒ
キャスト:ルビー・M・リヒテンベルク、アンナ・シリン・ハーベダンク、ルイ・エクハルト、ヴィクトリア・マイヤー etc
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』の登場人物(キャスト)
- スー(ルビー・M・リヒテンベルク)
- 本名はスザンネで愛称はスー。影が薄く一部のクラスメイトからいびられている。自分に興味を示してくれない母親に認められたいと思っている。爆発事故により透明化できる特殊能力を得る。ヒロインがヒーローとして活躍する『スーパームーン』のファン。
- カヤ(アンナ・シリン・ハベダンク)
- スーのクラスメイトで発明クラブに所属。あだ名はアプリ。ハッキング能力や開発能力に長け、機械系の修理などはお手の物。スーの特殊スーツを製作するなど頭脳明晰。
- トビー(ルイ・エッヒハート)
- 本名はトビアスで愛称はトビー。自転車や乗り物が得意でスーが『スーパームーン』のファンであったことから好意を抱く。
- マリア(ヴィクトリア・マイヤー)
- スーの母親。遺伝子の突然変異研究の第一人者である世界的な科学者。家族よりも研究第一で娘とのふれあいもほとんどない。治療薬NT26Dの開発者。
- クリストフ(リュック・シルツ)
- スーの父親。陽気な性格で自由を愛しており、主に娘の養育を行っている漫画コレクター。
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』のあらすじ【起】
漫画コレクターの父クリストフが持つレア本『スーパームーン』のヒロインに憧れるスザンネ、愛称スーは凡庸で影が薄い少女だった。彼女の母マリアは遺伝子の突然変異についての第一人者で世界的な科学者であったが、娘との交流はほとんどなく研究に没頭している。スーは母がラボで何を研究しているかも知らなかった。
その日はマリアの誕生日。クリストフとスーはラボへと侵入し、サプライズを企てるが、マリアは大事な研究を発表するイベントの最中だった。警報機によりラボへ戻ったマリアはサプライズよりも化学式を消されたことに激怒。家族よりも研究のことにしか興味がない母親に失望したスーは、苛立ちに任せてバースデーケーキを投げつける。すると、当たり所が悪かったのか何かの装置が起動してしまう。
スーはAIの制止も聞かず、慌てて装置を停止しようとしたが、失敗。爆発に巻き込まれてしまうのだった。
爆発事故に巻き込まれたものの、腕の傷だけという軽傷で済んだスー。クリストフに付き添われて帰路に就く。今回の件で母が上司からこっぴどく叱られている姿を目撃したスーは、深い後悔の念に苛まれた。
一夜明け、薬品を浴びた体に異変が発生する。スーはクリストフには何も言わず、いつも通りに学校へ登校した。ロッカーに荷物を置こうとした彼女は、クラスでも人気のある男子トビアス、愛称トビーに声をかけられる。ところが、トビーが他の女子に声をかけられたその隙になぜかスーの体が透明になってしまう。トイレへ逃げ込んだスーは、突然発生した特殊能力をコントロールできず、恐怖に苛まれ母の元へ向かうことにした。
ふらふらになりながらマリアに助けを求めたスー。気分も体調も最悪だったが、体温が上がることで透明になることが分かる。ところが、マリアは娘の心情よりも発生した特殊能力に夢中。スーは娘の心を慮ってくれない母を咎めた。
翌日、トビーも『スーパームーン』のファンであることが判明。スーは意地悪をする女子たちにやり返し、クラスメイトのアプリというあだ名を持つカヤと知り合った。これをきっかけにトビーと近づくことができたスーだったが、マリアの助手が迎えに来たことでラボへ。
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』のあらすじ【承】
マリアは身体を遺伝子レベルで治療するNT26Dという薬品の研究をしており、それをスーに投与し様子を見ることにしたが、回復したのは腕の傷だけだった。能力は体温上昇と共に発動し、彼女が触れた物や人をも透明化させることが分かる。分子レベルで娘の身体を調べたマリアは、開発した薬品が人体に害を及ぼす危険性を知りデータを削除。スーは母の行動にショックを受けラボを飛び出してしまう。
透明になることで体力が根こそぎ奪われるため、慢性的な睡眠不足に陥りとにかく強い眠気に襲われるスー。カヤとダイナーに向かい彼女に秘密を明かしたが、カヤは冗談だと信じてくれない。そこへ、意地悪をするクラスメイト達がやって来たため、スーは透明になって彼女らへ意趣返しをした。このことで、カヤはスーの話を信じることに。
迎えに来たマリアに事の経緯を話すと大笑いされる。マリアはここ数日の出来事を振り返り、自分は母親失格だと自覚した様子。加えて心血を注いで開発したNT26Dの危険性が判明したこともあり、今後についても危機感を募らせていた。
外は土砂降りの雨。家に到着し娘を車から運ぼうとしていたマリアは、突如現れた男達に連れ去られてしまう。スーは寝起きでぼんやりしており即座に対応できなかった。マリアは咄嗟に連れ去られる際、アルフレッドと赤いマスクを見つけろと言葉を残す。危うく自分も誘拐されそうになったので、咄嗟に透明になって姿を隠したスー。
最早自宅も安全ではない。スーはトビーに助けを求めた。トビーの親が夜勤で不在であったため、家へ案内してくれる。トビーはスーが透明になれることを知り驚いたものの、受け入れてくれるのだった。
翌朝、トビーに事情を話し自宅へ戻ったスーだったが、追手が迫っていると名も知らない人物から着信が入る。言う通りにマリアの車の荷台へ乗り込むと、程なくして追手が家へ到着。車もろとも移動することに。到着した場所はマリアのラボがある会社DECだった。助けてくれたのは優れたハッキング能力を持つカヤである。
トビーとスーはカヤの援護を受けながらマリア救出のため、DECへ潜入。ひとまずはラボへ到着したが、そこでスーの体力が限界を迎える。カヤの調べによりマリアのスマホがラボにあることが分かり、トビーが見つけてくれたが、追手が会社へと戻って来てしまう。トビーはくたくたのスーを起こして姿を消し、どうにか外へ。カヤの荷台付き自転車に加速器を設置し、追手から無事に逃れた。
3人はカヤの家に到着。彼女は豪邸に住んでいたが、伯母の持ち家に間借りしているらしい。カヤの伯母は両足が不自由だったが、かつてはマリアと共に研究を行っていたようだ。伯母からマリアがDECに移った経緯を聞かせてもらった。
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』のあらすじ【転】
カヤの解析によりマリアのスマホに誘拐後、マリア本人が逃走した動画が残されていることが分かる。そして、持ち出したマリアのPCに赤いマスクの形をした小型端末があり、その端末にAIアルフレッドが装備されていた。アルフレッドは爆発事故の際、スーを制止した声だった。
夕食後、再びアルフレッドを起動し話を聞く。マリアは治療薬のデータを即座に消去してしまったが、実はアルフレッドに解毒剤の製造をするよう命令していた。その時のログを見せてもらうと、どうやらマリアは発表前に自ら治療薬を試薬していたらしい。しかし、マリアには何の変化も現れなかった。治療薬はスーの血液だけに反応を示し、変化をもたらしたのだ。もし、他の人にも異変が発生した場合、血清を作るにはスーの血液が必要となる。故に、今後はスーが狙われる可能性が高い。
翌朝、カヤが冷暖調整可能な画期的なジャケットと眠気覚ましのドリンクを発明してくれる。スーは礼代わりに自分が来ていたパーカーをカヤへあげることに。これにより、能力の制御が可能となる。朝食の席で、マリアから連絡が入る。逃走中のようで待ち合わせ場所を指定して合流する算段をつけたが、何者かに襲われてしまった様子。
待ち合わせ場所までやって来た3人だったが、追手に発見されてしまう。カヤがドローンで時間稼ぎをしてくれたため、逃走に成功。あまりにも追手の到着が時間ぴったりだったことに疑念を抱いた3人。もしかして、マリアもDEC側なのではないか。スーはトビーのスマホをゴミ箱に投下した後、バイクを盗んで3人で逃げた。
加速器を装着し、追手を振り切る。アルフレッドの解析により、マリアが最後にいた倉庫へ向かったが、トビーは罠だと言い張る。スーは彼に酷いことを言って、追い払ってしまった。その直後、3機のドローンがカヤとスーに襲い掛かる。夜まで粘ったが、このままでは埒が明かない。スーはラボでトビーが拾って来た治療薬を爆発させることにした。
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』の結末・ラスト(ネタバレ)
爆破の衝撃で気絶していたスー。気が付くとベッドに横たわり、傍にマリアが立っていた。これまでのことは夢だったのか。マリアはカヤとトビーから電話があったとだけ言って、充分に休むよう娘に言った。
マリアが部屋を出て行った後、外へ出ようとしたスーだったが、部屋と窓に鍵がかかっている。閉じ込められたと気付いた時にはすでに遅い。部屋は透明になれないよう室温が調整されていて、逃げることもできない。
外へ出たマリアは上司へ報告。トビーとカヤの捕縛をも命令した。すると、彼女は自らを透明化し本性を顕わにする。マリアだと思っていた人物は、マリアの助手で透明化できる上に他人に姿を変化させる能力をも身に着けていた。
爆発騒動の後、廃工場にてさ迷っていたカヤは、スーを迎えに来たマリアと遭遇。2人はスーの居場所を探って彼女の救出を行った。アルフレッドのログにより助手がスーの血液を採り込んで異なる能力を得ていたことが分かる。助手の狙いがトビーの捕縛だと予想した3人は、急いでハロウィーンパーティー会場へ。
道中、悪者だと思っていたDECの社長が、実は味方だったことが分かる。全ての犯行はマリアの助手が単独で起こしたことだったのだ。会場である市民プールへ来たスーとカヤ。姿を変えた助手がトビーと踊っている女子だというところまで突き止めたが、手下の部隊が会場に到着しマリアが捕まってしまった。スーはトビーに事情を説明したが、信じてもらえず。少年は助手に捕縛される。そこで、スーは透明化して能力を無効化する解毒剤を助手に投与することに成功。
トビーの咄嗟の判断により、助手を捕まえることができたトビーとカヤとスー。犯人を引き渡そうとしたが、待ち合わせ場所になぜかカヤの伯母が登場。その車椅子の車輪が、マリアの動画に残っていたことを思い出した3人は、伯母こそが本物の黒幕だと気付く。マリアが彼女と決別したのは、治療薬を金儲けの道具にしようとしていたからだった。
伯母はスーの両親とDECの社長、トビーとカヤを捕縛。家族の命と引き換えにスーの身柄を渡せと言う。だが、スーは自らに解毒剤を投与。そして、叔母の車椅子に加速器を装着し悪者を退治した。
翌朝、カヤの豪邸で目を覚ましたスーは両親と無事に再会。マリアは娘との絆を結び直し、アルフレッドを譲り渡すことにした。
後日、スーには解毒剤の効果が得られなかったことが判明。だが、母との絆を取り戻しカヤとトビーという仲間を得たスーは現状に満足しているのだった。
映画『インビジブル・シングス 未知なる能力』の感想・評価・レビュー
『ゲット・アウト』などの良質なスリラーを製作しているジェイソン・ブラムと『ソウ』の脚本を手掛けたリー・ワネルがタッグを組んだ作品。透明人間をコンセプトに少女が憧れのヒーローになる様子を描いている。
非常に内容が濃く、突っ込みどころもないくらいしっかりしたストーリー。説明も簡潔で分かりやすく、12歳の子供達が披露するアクションにも無理がない。ただ、主人公が着用するスーツを製作するなど、発明家でもある友人の多彩な能力が凄い。天才じゃないか。対して、仲間の少年がちょっとドジっ子なのがまたバランス的にも良い。少年少女が活躍するから、ファミリー向けと思うかもしれないが、今作は内容的に結構複雑で面白かった。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー