この記事では、映画『タンポポ(1985)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『タンポポ(1985)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『タンポポ』 作品情報

- 製作年:1985年
- 上映時間:115分
- ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
- 監督:伊丹十三
- キャスト:山崎努、宮本信子、役所広司、渡辺謙 etc
映画『タンポポ』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『タンポポ』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『タンポポ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『タンポポ』 あらすじ【起・承】
ゴロー(山崎努)は長距離トラックの運転手で、今日も相棒のガン(渡辺謙)と大雨の中トラックを走らせていた。ガンは助手席でラーメンの食べ方を書いた本を朗読しており、無性にラーメンが食べたくなった2人は道路沿いのラーメン屋へ入る。
そのラーメン屋はタンポポ(宮本信子)という女が死んだ亭主の後を継ぎ一人で切り盛りしていた。タンポポは小学生の息子を女手一つで育てるため頑張っていたが、店は地元の土建屋ピスケン(安岡力也)たちの溜まり場となっており、ラーメンもまずかった。
ゴローはピスケンに喧嘩を売られ、一人で何人もの相手をして気を失いタンポポに介抱される。タンポポはゴローがラーメンに詳しいことを知り“弟子にして下さい”と頼む。ゴローはタンポポの熱意に押され、タンポポを助けることにする。
“ラーメン屋は体力勝負だ”とゴローはまずタンポポの体を鍛え、ゴローがお気に入りのうまいラーメン屋へ連れて行き、そこの店主の姿勢を学ばせる。
タンポポは独自に中国人が経営する店からうまいスープのレシピを盗み、そのスープを再現しようとするが、なかなかうまくいかず店は臨時休業が続いていた。
落ち込むタンポポを見て、ゴローは自分が師と仰ぐ元産婦人科医で現在ホームレスの“センセイ”に協力を依頼する。センセイ(加藤嘉)は食道楽が過ぎてホームレスになってしまったのだが、その環境を悲観せずむしろ仲間たちと楽しく暮らしていた。
ある日、ゴローたちは蕎麦屋で餅を喉に詰まらせた老人(大滝秀治)を助ける。大金持ちの老人はタンポポたちの事情を知り、腕のいい自分の料理人ショーヘイ(桜金造)を役立ててくれと言う。
映画『タンポポ』 結末・ラスト(ネタバレ)
センセイはスープ、ショーヘイは麺、ガンはスタイリストを担当し、ゴローをリーダーとするチームができる。店名も“タンポポ”と改め、この店を行列のできる繁盛店にするべくチームは動き始める。
そんな中、ピスケンがゴローのところへやってくる。2人はタイマンで喧嘩をした後仲直りをする。そして土建屋のピスケンは内装を担当させてくれ申し出てチームの一員になる。
ガンによってタンポポのユニフォームも決定し、ついでに綺麗にメイクしてもらったタンポポはゴローを誘ってデートをする。焼肉屋でお互いの過去を話し、そのままゴローはタンポポの家に泊まる。ゴローもタンポポもお互いに惹かれあっていた。
タンポポのラーメンは徐々に完成へと近づくが、なかなか5人から合格はもらえなかった。落ち込むタンポポにピスケンはとっておきのレシピを教えてやり、そのレシピは“ネギソバ”として店のメニューに加えられることになる。
タンポポの店は繁盛するようになっており、再び5人の試験を受ける。5人はスープを最後まで飲み干し、ついに“タンポポラーメン”は完成する。
ピスケンによる内装工事も無事終了し、ラーメンも店もタンポポ本人も生まれ変わり店は初日から大繁盛する。5人はその様子を見ながら、満足げに1人ずつ店を去っていく。
最後まで残っていたゴローもタンポポに微笑みかけ店を出て、ガンとトラックに乗り込む。ピスケンに“達者でな”と言い残し、トラックは走り出す。ピスケンは後を追うが、ゴローは後ろを振り返ることなく走り去っていく。
映画『タンポポ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『タンポポ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
とにかくラーメンが食べたくなる映画
この映画は“さびれたラーメン屋が繁盛店へ生まれ変わっていく話”なので当然、ラーメンを作るシーン、食べるシーンがいっぱいある。
日本人はなぜかラーメンが大好きだ。テレビのグルメ番組でもラーメンは鉄板ネタだろうし、自己流のこだわりを持つ人は多い。好みも千差万別だろう。
伊丹十三監督の描くうまいラーメンとは“綺麗に澄んだ醤油味でこってりとしたコクのあるスープにツルツルシコシコ麺、具はチャーシューとシナチクとネギのみ”というシンプルなラーメンでこれが実に美味しそうだ。この映画を観ていると、とにかくラーメンが食べたくなる。
今でも日本のラーメンブームは衰えず進化を続けている。それほどラーメン好きの多い日本でこの映画の興行収入が振るわなかったのは不思議でしょうがない。みんなの大好きなラーメンがこんなに美味しそうに描かれている作品なのに。
ストーリーと関係ない様々なショートストーリー
この作品にはタンポポたちのストーリーとは関係のない食に関するショートストーリーがポンポンと挟み込まれる。伊丹監督らしい実験的な構成だ。
役所広司演じる白服の男(おそらくヤクザ)と情婦の黒田福美はかなりエロチックなシーンを交えながら、最初から最後までところどころで登場するのだが、他のエピソードは全て単発のショートストーリーとなっており、共通点は“食に関する話”という点のみである。短いエピソードでも役者は豪華で作りもしっかりしている。
個人的にはこのショートストーリーが非常に好きだ。“ここでは食に関してこんなことが起こっている”という短いエピソードの中には、様々な人間の生き様があり、そこには常に“生と死”がある。伊丹監督の人間を面白がる視点の面白さが、いくつものショートストーリーの中に凝縮されており、笑えるしなぜか切ない気持ちにもなる。
日本人ってラーメンが本当に好きだよなと改めて感じる今作。1杯の丼に人生をかけて1000円弱で食べる人を幸せにできる「ラーメン」を作る店主は本当に凄いなといつも思っています。
今作はさびれたラーメン屋を個性豊かな男たちが協力し、繁盛店にさせるというストーリーなのですがその男たちがめちゃくちゃ豪華でこんなキャストでいいの!?と笑ってしまいました。
他の店のラーメンを食べて学び、試行錯誤してタンポポのラーメンを作る姿にはグッときてしまいました。(女性 30代)
ラーメン作りを通して人生を描くという発想自体が斬新で、改めて観ても全く色褪せない作品だと思う。タンポポが一杯のラーメンに本気で向き合い、周囲の人々の力を借りながら成長していく姿は、スポ根映画のような熱さがある。一方で、随所に挟まれる食にまつわるオムニバス的エピソードはユーモアと毒気が強く、大人向けの味わい。特に「正しいラーメンの食べ方」や食と欲望を結びつける描写は、伊丹十三らしい皮肉が効いている。笑いながらも、仕事や生き方について考えさせられる名作だ。(30代 男性)
初めて観たときは変わった映画だと思ったが、年齢を重ねてから観ると味わいがまるで違う。未亡人のタンポポが、自分の店を持ち、誇りを取り戻していく過程はとても力強い。男性たちに助けられながらも、最終的には自分の意思で店を切り盛りする姿に勇気をもらった。ラーメン作りを通じて、仕事への向き合い方や自立を描いている点が素晴らしい。食にまつわるブラックユーモアも多いが、それがあるからこそ人生の苦味と可笑しさが際立つ。女性目線でも深く共感できる一本。(40代 女性)
コメディとして観ても十分面白いが、実はかなり哲学的な映画だと感じた。主人公の成長物語と並行して描かれる食のエピソードは、どれも人間の欲望や価値観を鋭く突いている。特に、食べるという行為がここまで生き方や美学と結びつく描写は唯一無二だ。ラストで完成するラーメンは、単なる料理以上の象徴に思える。努力と工夫、仲間との関係が結実した瞬間で、素直に感動した。日本映画の懐の深さを感じさせる作品。(20代 男性)
物語の軸はラーメンだが、実際には「どう生きるか」を描いた映画だと思う。社会の中で居場所を失いかけていたタンポポが、自分の店を立て直すことで自信を取り戻していく過程が丁寧だ。そこに絡むクセの強い男たちも皆魅力的で、それぞれが人生の達人のように描かれている。食に関するエピソードは時に下品で驚かされるが、それも含めて人間の本音を描いているのだと感じた。笑って観られるのに、観終わると不思議と背筋が伸びる作品だ。(50代 男性)
正直、最初はラーメン映画という印象しかなかったが、観進めるうちに女性の再生物語として強く心に残った。夫を亡くし、自信を失っていたタンポポが、仲間と共に試行錯誤しながら店を成長させる姿は感動的。男性キャラクターたちに導かれつつも、最後に店を背負う覚悟を決めるのは彼女自身だ。食と性、仕事と誇りを結びつける大胆な演出には驚いたが、だからこそ忘れられない。女性が観ても学ぶ点の多い映画だと思う。(30代 女性)
伊丹十三監督のセンスが存分に発揮された一本。軽快なテンポと独特のユーモアで進むが、テーマは意外と重い。ラーメン作りにおける徹底したこだわりは、どんな仕事にも通じる職人気質を象徴しているように感じた。寄り道のように挟まれる食のエピソードも、社会風刺として非常に鋭い。特に形式やマナーに縛られる人々を皮肉る描写は今見ても新鮮だ。エンタメとして楽しめて、なおかつ考えさせられる稀有な映画。(40代 男性)
若い世代が観ると少し古く感じる部分もあるが、それを補って余りある魅力がある。テンポの良さとユーモアは今でも十分通用するし、食を通して人間を描く視点は新鮮だ。タンポポが失敗を繰り返しながらも諦めずに前進する姿は、現代の働き方にも通じる。ラストのラーメン完成シーンは、努力が報われる瞬間として素直に胸が熱くなった。日本映画の名作として、ぜひ若い世代にも観てほしい。(20代 女性)
何度観ても発見がある映画だと思う。ラーメンの湯気や音まで美味しそうに描かれ、食への愛情が画面から伝わってくる。一方で、食と権力、食と性を結びつける描写には鋭い批評性があり、単なるグルメ映画では終わらない。タンポポの成長を見守るうちに、観客自身も「自分は何に本気になれるのか」と問いかけられる。笑って、驚いて、最後に少し勇気をもらえる、完成度の高い作品だ。(50代 女性)
食べ物をここまでエンターテインメントに昇華させた映画は他にないと思う。ラーメン作りをスポーツや戦いのように描く手法が痛快で、観ているだけで元気が出る。タンポポの店に集まる人々が、次第にチームのようになっていく過程も楽しい。食のエピソードに潜むブラックな笑いは好みが分かれるが、個人的には強烈で忘れがたい。日本映画の自由さと大胆さを象徴する一本。(60代 男性)
映画『タンポポ』を見た人におすすめの映画5選
かもめ食堂
この映画を一言で表すと?
食を通して、人生がゆっくり整っていく北欧の癒やし映画。
どんな話?
フィンランド・ヘルシンキで日本人女性が営む小さな食堂を舞台に、訪れる人々との交流を描く物語。派手な事件は起こらないが、丁寧に作られる料理と穏やかな時間が、人々の心を少しずつほどいていく。
ここがおすすめ!
食が人と人をつなぎ、生き方を映し出す点が『タンポポ』と共通。静かな演出ながら、食べること・働くことの尊さが伝わってくる。肩の力を抜いて味わいたい一本。
南極料理人
この映画を一言で表すと?
極限の地で描かれる、笑えて沁みる“食と仕事”の物語。
どんな話?
南極観測基地に派遣された料理人が、限られた食材と環境の中で隊員たちの食事を支える日々を描く。単調な毎日の中で、食事が心の支えになっていく様子がユーモラスに描かれる。
ここがおすすめ!
食を通じて人間関係や仕事の誇りを描く点が『タンポポ』好きに刺さる。コメディ調ながら、働くことの意味を静かに問いかけてくる良作。
食堂かたつむり
この映画を一言で表すと?
料理に込めた想いが、人の心を癒やす再生の物語。
どんな話?
心に傷を負った女性が、田舎で小さな食堂を開き、料理を通して人々と向き合っていく。ゆっくりと時間が流れる中で、彼女自身も再生していく姿が描かれる。
ここがおすすめ!
料理が人生を立て直す力になるというテーマは『タンポポ』と重なる。優しくも切ない物語で、食と感情の結びつきを改めて感じさせてくれる。
しあわせのパン
この映画を一言で表すと?
焼きたてのパンのように、心を温めてくれる映画。
どんな話?
北海道の湖畔でパンと料理を出すカフェを営む夫婦と、そこを訪れる人々の物語。人生に迷う人々が、食事と会話を通して小さな答えを見つけていく。
ここがおすすめ!
食を通して人生と向き合う姿勢が『タンポポ』の精神に近い。派手さはないが、観終わったあとに優しい余韻が残る大人向け作品。
マルサの女
この映画を一言で表すと?
社会の裏側を痛快に暴く、知的エンターテインメント。
どんな話?
国税局査察官の女性が、巧妙に脱税を行う経営者と対峙する姿を描く。金と権力、人間の欲望がユーモアと鋭い視点で描かれていく。
ここがおすすめ!
監督・伊丹十三の社会風刺とエンタメ性を堪能できる一本。『タンポポ』のユーモアや人間観が好きなら、こちらでも伊丹作品の真骨頂を味わえる。



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