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映画『天才作家の妻 40年目の真実』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『天才作家の妻 40年目の真実』の概要:作家である夫がノーベル文学賞を受賞し、妻と息子と共に授与会場があるストックホルムへ赴く。夫には執筆に関するある疑惑があり、沈黙を守る妻に対し、一人の記者が真実を追求する。

映画『天才作家の妻 40年目の真実』の作品情報

天才作家の妻 40年目の真実

製作年:2017年
上映時間:101分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ビョルン・ルンゲ
キャスト:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレイター、マックス・アイアンズ etc

映画『天才作家の妻 40年目の真実』の登場人物(キャスト)

ジョーン・キャッスルマン(現在:グレン・クローズ / 学生〜新婚時代:アニー・スターク)
ジョゼフの妻。作家である夫に対して長年尽くしてきた。
ジョゼフ・キャッスルマン(現在:ジョナサン・プライス / 新婚時代:ハリー・ロイド)
世界的な作家。ノーベル文学賞を授与されることになる。
デビッド・キャッスルマン(マックス・アイアンズ)
キャッスルマン夫妻の息子。父親と同じ作家を志す。
ナサニエル・ボーン(クリスチャン・スレイター)
記者。ジョゼフの功績に疑問を抱いている。

映画『天才作家の妻 40年目の真実』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『天才作家の妻 40年目の真実』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『天才作家の妻 40年目の真実』のあらすじ【起】

ある夜、一組の夫婦が寝室にいる。夫は眠れないようで甘い物を食べ始め、それを妻が宥めている。そんな時電話の呼び出し音が鳴り、夫婦は一気に緊張の面持ちを見せる。夫が電話を取ったところ、それは作家である彼がノーベル文学賞を受賞したという報せであった。妻も電話を代わり、祝福の言葉を受ける。授与式の詳細を聞き、電話を切った二人はベッドの上で飛び跳ねながら快挙を喜ぶ。

授与式が行われるのはスウェーデンのストックホルム。作家志望である息子のデビッドも夫婦と共に現地へ赴くこととなる。機内には記者のナサニエルも同乗していた。彼は夫婦の元へ近づき、お祝いの言葉を述べる。彼を苦手としているらしい二人は当たり障りのない受け答えをし、彼を追いやる。

ストックホルムに到着すると、歓迎の嵐だった。豪華なホテルに案内され、彼らの世話係や専属のカメラマンも紹介される。喜びながらも戸惑いを見せるジョーンに対し、夫ジョゼフは無邪気に喜び、舞い上がった様子を見せる。広々とした部屋に通されると、そこには夫の著作がきれいに揃えられていた。ジョーンがそれを発見し夫に話を振るも、登場人物の名前さえうろ覚えの夫に対して彼女は呆れた表情を見せる。

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映画『天才作家の妻 40年目の真実』のあらすじ【承】

作家志望の息子は最近ある作品を書き上げ、それを母親であるジョーンは読んでおり、あなたには才能があるわと話す。しかし、父親のジョゼフは未だに読んでいない様子で、失望を隠せないデビッド。ウェルカムセレモニーで会う人達との会話で父は息子のことを少々馬鹿にしたように話し、彼は憤りを募らせる。
そして妻もまた、あくまで「ノーベル賞作家の妻」として紹介されることに複雑な表情を見せるようになる。

授与式本番までには様々なイベントが控えている。その日は授与式のリハーサルの日であったが、到着してからの色々なことに疲れてしまったジョーンは「リハーサルには同行しない」と夫に告げ、一人で街へ出ようと決める。しかし、ホテルのロビーで記者のナサニエルに遭遇したジョーンは、彼の強引な誘いもあり一緒にカフェに入ることになる。

「従順な妻」らしくなく、昼からお酒を飲むジョーン。そんな彼女にナサニエルは「ご主人はあなたと結婚してから急に良い作品を書くようになった。正直それまでの作品はイマイチだったのに、どういうことだろうか?」と、カマをかける。彼は、結婚後のジョゼフの作品は全てジョーンによる物だと考えているのだ。しかし、ジョーンは曖昧な笑みを浮かべ、ナサニエルの追求をかわす。

映画『天才作家の妻 40年目の真実』のあらすじ【転】

場面は変わり、キャッスルマン夫妻の若い頃が描かれる。当時ジョゼフは大学の文学講師をしており、ジョーンは彼の生徒だった。ジョゼフは結婚しており、彼ら夫婦が出かける際のベビーシッターをジョーンに頼む。彼らの家を訪れたジョーンはジョゼフの妻の冷たさ、夫への関心の無さに驚き次第にジョゼフに惹かれていく。

やがてジョゼフは離婚し、ジョーンと再婚する。そんな折、出版社で雑用として働いていた彼女は編集者たちが「新人作家を探している。女はダメだ」と話しているのを耳にする。
さっそく夫に執筆を勧め、彼も乗り気で作品を書き始めるのだった。しかし、出来上がった作品はジョーンから見てあまり良いとは言えず、そのことを正直に指摘すると夫は不貞腐れてしまう。そんな夫に対し、あなたの物語の発想はとても良い。だけど文体やその他の部分に修正が必要な箇所があるから、私がその部分を直しても良い?と聞く妻。

その作品は高い評価を受け、本が出版されることになる。ノーベル賞受賞の連絡の時と同じように、ベッドで手を取り飛び跳ねながら喜ぶ若き日の二人。
そこから二人の共同作業とも言える執筆活動が始まるのだった。夫が物語の発案をし、妻がそれをまとめる。いつしか妻の作業量は増え、生まれた子供との時間を満足に取れない時もあった。代わりに夫が子供の面倒を見るのだが、内心複雑な思いもある。優秀な妻に引け目を感じ、浮気を繰り返した。妻はその怒りを原動力にして、さらに執筆に励む。二人はそうやって40年もの間、日向の夫と日陰の妻として本を出版し続けて来たのだ。

映画『天才作家の妻 40年目の真実』の結末・ラスト(ネタバレ)

場面は現在に戻る。妻無しで授与式のリハーサルに臨んだジョゼフは、緊張のせいか倒れてしまう。そして回復した時、彼らの専属カメラマンとして行動を共にしていた女性カメラマンを口説くジョゼフ。その手口は若い頃から変わらず、詩の一節を読み上げながらくるみの実に愛の言葉を書くという物。カメラマンとの関係はハプニングにより寸前で止まったのだが、そのくるみをジョーンが見つけて状況を悟る。

夫を問いただし責め立てるジョーンだったが、地元に残してきた娘が無事出産したとの報せを受け、二人で泣きながら喜びを分かち合う内に関係修復の様子を見せる。

同じ頃、一人バーにいたデビッドはナサニエルから両親についての疑惑を聞いてしまう。今までは自分を認めてくれないながらも尊敬していた父だったが、自分は尊敬する対象を間違えていたのではないか?彼はその疑惑を真正面から両親にぶつける。母親からも「そんな事実はない」と諭され、納得できないながらもデビッドは引き下がる。

そして、授与式直前。会場に向かう車中でデビッドの作品を巡り父子は口論となる。両親への疑惑も相まって彼は車を飛び出す。ジョーンは夫を諌めながら、今日の受賞スピーチでは「妻のおかげで私がある」なんてことは絶対に言わないで、と釘をさす。

いよいよ受賞の時を迎え、ジョゼフは壇上に上がる。そして、妻の忠告があったにも関わらず、彼は「今の私があるのは全て妻のおかげです」と言ってしまう。その言葉を聞きジョーンは青ざめ、会場を飛び出しホテルに戻る。慌てて追って来た夫に対し、離婚する、こんな屈辱はもううんざりと言い放つジョーン。必死で彼女を宥めすかすジョゼフだったが、その時彼は心臓発作を起こす。驚いたジョーンが懸命に介抱し救急車を呼ぶも、夫はそのまま還らぬ人となるのだった。

ストックホルムからの帰りの飛行機。ナサニエルが行きの時と同じくジョーンに近づき、お悔やみの言葉を述べる。ジョーンは隣に座る息子、デビッドへ「帰ったら今までのことを全部話すわ」と告げる。そして、持っていたノートの空白のページを広げるのだった。

映画『天才作家の妻 40年目の真実』の感想・評価・レビュー

何よりも妻の表情が印象的な作品だった。彼女が長年抱えて来たであろう夫への愛憎、決して公表できない自分の能力。それをひた隠しにして自分に尽くしてくれた妻を、最後に裏切ってしまった夫。彼も、敢えて醜悪な情けない人物として描かれてはいるが、実際の心境は忸怩たるものがあったのではないか。優秀な妻のおかげで今の自分がある、という言葉は彼にとってあらゆる意味で間違いなく真実なのだから。(MIHOシネマ編集部)


本作は、作家である夫がノーベル賞を受賞するが、その背景にある長年連れ添った夫婦2人しか知らない秘密を描いたヒューマンサスペンス作品。
率直に、こんな夫は最低だと思った。
しかし、夫婦間に生じる気持ちのズレに焦点が当てられていて、40年連れ添った夫婦の絆の素晴らしさや人間らしさに気付かされて面白かった。
また、世界的作家の夫を支えてきた妻役のグレン・クローズの表情や堂々たる演技、その存在感に心を奪われ、あっという間に時間が過ぎた。(女性 20代)


ジョーンとジョゼフの関係は、他人だったらとっくに破綻している関係だと思う。夫婦であり子を持つ両親だったからこそ、愛憎が入り混じる感情になっても関係を続けていたのかなと感じた。40年って本当に長い。
女性も活躍できる時代だったら、ジョーンはここまで苦悩しなかったのかなと思うと少し辛かった。
ジョゼフは妻に引け目を感じ才能のない自分に苦しんでいたのだろうが、楽な方に流され過ぎだと感じた。どこかで、ジョーンを解放し、自分の実力で立ち上がるべきだったと思う。(女性 30代)


夫婦の関係は様々ですが、ここまでできた奥さんはなかなかいないだろうと感じました。女性の能力や才能が正しく評価されなかった時代が悪いのはもちろんですが、自分の才能を隠し続け、夫を色々な意味で支え続けた妻。この真実が公になることなく夫婦ふたりの秘密になっていればハッピーエンドだったのかもしれませんが、そう上手くは行きません。
才能がなかった夫の苦悩も分からなくはありませんが、自分のことよりも夫をと支え続けてくれた妻を裏切るような、気持ちを踏みにじるような行為はとても許せませんでした。(女性 30代)

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