映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』の概要:南北戦争中、田舎町の女子学園に負傷した敵軍の兵士が担ぎ込まれ、看病されることになる。戦争で男がいなくなった町に、突然、男が現れたことで、学園の女性たちは動揺と期待に心を乱されていく。
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:サスペンス、戦争
監督:ソフィア・コッポラ
キャスト:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、キルステン・ダンスト、エル・ファニング etc
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』の登場人物(キャスト)
- ジョン・バーニー(コリン・ファレル)
- 女子学園に運び込まれた敵軍の兵士。左足を負傷しており、自由に歩き回ることができない。女性たちから好意的に思われ、居心地の良さを感じ、学園に居続けたいと思うようになる。
- マーサ(にコール・キッドマン)
- 女子学園の女園長。生徒たちに知識と教養、規律を教えて淑女にするため、常に厳しい態度でいる。ジョンの足を治療し、治るまで学園に住むことを許可するが、早く出ていってほしいと思っている。戦争で愛する人を失っている。
- エドウィナ(キルスティン・ダンスト)
- 学園の教師。他の者たちとは違って、高貴な家柄の娘。おとなしく慎ましい性格だが、内心は学園を出たいと思っている。ジョンが現れたことで彼に惹かれていき、愛するようになっていく。
- アリシア(エル・ファニング)
- 女生徒のひとり。退屈な学園生活にうんざりしており、刺激を求めている。そのため、ジョンに強い興味を持ち、それは積極的な行動に繋がっていく。
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のあらすじ【起】
1864年、南北戦争が始まって3年目のバージニア州。マーサ・ファーンズワース女子学園の生徒エイミーは森にキノコを採りに来た。すると、そこで左足を負傷した兵士を発見する。ジョン・マクバーニーと名乗った彼は北軍の伍長だった。敵軍だったがエイミーは彼を助けることにする。
ジョンはエイミーに連れられて学園へ。学園はマーサ学園長、教師のエドウィナ、四人の生徒しかいなかった。ジョンを見た皆は驚き、警備隊に引き渡そうかとも考えるが、マーサは、まずは傷を治療することにする。
味方の兵隊が通りかかった。引き渡そうかとも考えたが、そうすればジョンは殺されるかもしれない。そう思ったマーサはジョンのことを報告しなかった。代わりに、自衛のためと言い、弾丸を少し分けてもらう。
女生徒たちはジョンに興味津々だった。夜には寝室に襲いにこないかと怯えて話しながらも、翌朝には皆、いつもより着飾って身なりを整えていた。年長者の女生徒アリシアは、学園での退屈な生活にうんざりしていたため、特に興味を示していた。
目覚めたジョンはマーサに、あなたは命の恩人だと感謝の言葉を述べるが、マーサは動揺を悟られまいと冷たい態度だった。
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のあらすじ【承】
動けないジョンに引き留められたエドウィナは、つい話し込んでしまう。ジョンは彼女に、今まで見た誰よりも美しい人だと絶賛。そして、何か望みはないかと問いかけた。エドウィナは、ここから出ていきたいと答えた。
積極的な性格のアリシアは夕食後のお祈りの最中に抜け出し、こっそりとジョンのところへ行って、寝ている彼に口づけした。ジョンは驚くが、アリシアは何事も無かったようにその場を離れ、お祈りに戻ってくる。
足が治るまでジョンを住まわせることに決めたマーサ。彼女も最初は頑なな態度だったが、ジョンの紳士的な態度に少しずつ気を許し始めていった。ひと月後には、ジョンは杖をついて歩けるまでに回復し、今までのお礼として庭仕事に精を出した。
ジョンの発見者であるエイミーは、彼のそばに居たがり、ジョンも妹のような信頼を置いていた。だが、アリシアはそれが面白くなく、次第にエイミーにきつい態度を取るようになる。
エドウィナからは好意的な視線を送られ、周りの女生徒たちも友好的な態度を示してくれることに、ジョンは居心地の良さを感じ始めていた。
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のあらすじ【転】
足の傷が回復し、ここを出ていけると分かったマーサは来週末にはここを去ってほしいとジョンに言った。居心地の良さと、行く当てのないジョンは困惑し、ここで庭師として働けないかと提案するが、今のご時世では無理だと言われてしまう。
ジョンはエドウィナに、マーサから出て行けと言われたことを告げる。行かないでと言うエドウィナに、ジョンは愛していると告白し、一緒に西部に行こうと口づけした。
ジョンを引き留めたい女生徒たちマーサのご機嫌を取って考えを変えさせようと、晩餐会にジョンを招待する。戦争前のような笑い声や音楽が響き渡る時間が久しぶりにやってきて、皆、大いに楽しんだ。ジョンはエドウィナに、深夜に君の部屋を訪ねたいとこっそりと耳打ちした。
エドウィナはジョンの訪問を心待ちにしていたが、なかなかやってこない。痺れを切らし、自分からジョンの部屋へと向かったエドウィナは、アリシアと抱き合うジョンの姿を見てショックを受けてしまう。
説明しようと追いかけてきたジョンは、興奮したエドウィナに突き飛ばされ、階段から転げ落ちてしまった。騒ぎに目を覚ましたマーサは、ジョンの足の骨が砕けていることに気がつく。助けるには医者を呼ぶしかないが、それはできない。考えた末、マーサはジョンの左足を切り落とすことにした。
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョンは目覚めたが、左足が無くなっていることに驚愕し、なんてことをしたのだとマーサを責めた。マーサは命を助けるためだったと説明するが、ジョンは錯乱し、お前たちは悪魔だと罵った。
ジョンのショックは大きく、自暴自棄になっていく。あれほど紳士的だった態度は一変し、叫び声をあげ、暴力的な行動を取るようになってしまい、女性たちは怯える日々を過ごし始めた。ここに残ってほしいという以前のような気持ちはすっかり無くなり、早くここを出ていってほしいと思うようになる。だが、ジョンはここに居座り続けるつもりでいた。
マーサが隠していた銃を見つけ出したジョンは、思うままに発砲。女生徒たちの心には恐怖しかなくなっていく。だが、エドウィナはまだジョンのことを好いていた。彼女は意を決し、ジョンを落ち着けようと、その身体を差し出した。そのおかげで、ジョンは冷静さを取り戻し、皆に申し訳ないことをしたと思うようになる。
だが、怒り狂うジョンの姿を見たマーサたちは、彼をどうにかできないかと考え始めていた。すると女生徒のひとりが、毒キノコを使えないかと提案。妙案と感じたマーサは、エイミーにキノコを採りに行かせ、晩餐会を開くことにした。
晩餐会が開かれ、料理が並ぶ。ジョンは今までの行いを恥じ、皆に謝罪した。だが、マーサたちは彼にキノコ料理を食べさせるのをやめなかった。キノコの毒に当たったジョンは、呼吸困難に陥り死亡してしまった。何も知らされていなかったエドウィナは取り乱したが、他の者たちは座ったまま、ただ死んでいくジョンを静かに眺めていた。
翌朝、死体袋に入れられたジョンは、警備隊に引き渡されるため、門の外に放置された。エドウィナは少し複雑な表情を浮かべていたが、他の者たちは淡々と作業していった。全てが終わった学園には、以前と変わらない生活が戻ってくるだろう。だが、彼女たちの内側は、以前とは全く違ったものになってしまった。
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』の感想・評価・レビュー
戦時中が舞台の作品だが、男性が戦場で荒々しく戦うのに対し、女性は静かに戦っていくのが面白い。舞台となった時代は男性と女性の役割がはっきりしているため、料理で殺すというのはとても女性的で恐怖を倍増させる。また、殺意を持つ女性たちが知識や教養を身につけているという点も不気味さを強める。彼女たちは淑女となるべく日々、勉学に励んでいるわけだが、そのために養われた人格から、とても冷静に毒殺を思いつき、さもそれが正しいことのように行動する姿は最高に恐ろしかった。(MIHOシネマ編集部)
本作は、南北戦争中に敵軍の負傷した兵士が女学園に担ぎ込まれ、その兵士と女たちの人間模様を描いたサスペンス作品。
探り合いお互いを引っ張り合う女の嫉妬や強い結束力、人間関係が変化していく様がとてもリアリティーに溢れていて、やはり女は怖いなと思った。
「ひとりの男、狂いゆく女たち」というキャッチコピーの通りの内容となっている。
また、存在感の強い女優陣の素晴らしさに目が離せないが、照明を極力使わない映像の暗さや、衣装やインテリアなどといった美術の美しさにも魅了された。(女性 20代)
良い意味でも、悪い意味でも物凄く女を女らしく描いた作品でした。女性しかいない空間で、厳しくしつけられた女性たちがとても品良く女性的な振る舞いをするのが美しく感じる一方、ジョンを殺そうと決めてからの頭の回転の速さや行動力は女の悪どい部分をリアルに描いていたと思います。
女性に好意を抱かれて居心地が良くなってしまったジョンが少し女たらしだったのも悪いと思いますが、それ以上に久しぶりの男性に好意を寄せて、危険を感じたら殺してしまうという女性陣の裏の顔がすごく怖くて好きでした。(女性 30代)
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