この記事では、映画『顔のないスパイ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『顔のないスパイ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『顔のないスパイ』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:マイケル・ブラント
キャスト:リチャード・ギア、トファー・グレイス、スティーヴン・モイヤー、オデット・ユーストマン etc
映画『顔のないスパイ』の登場人物(キャスト)
- ポール・シェファーソン(リチャード・ギア)
- 元CIA捜査官。議員殺害に関与していると疑われているカシウスの捜索を長官であるトムに依頼される。しかし、実は彼の正体こそがカシウスであり、議員殺害に関しては無実だった。彼は犯行現場から次々と自分に関わる証拠を隠蔽しながら、真犯人を探す。
- ベン・ギアリー(トファー・グレイス)
- FBI捜査官。学生時代に書き上げたカシウスに関する論文がCIA長官の目に留まり、捜査に加わる。その正体はロシアが送ってきた工作員の潜入を手引きする二重スパイ。
映画『顔のないスパイ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『顔のないスパイ』のあらすじ【起】
山岳地帯を越えようとする集団。彼らはメキシコからアメリカへの不法入国を目的としたグループだった。破れたフェンスを越えると、エスコート役のロシア人が他の者に、他人の目を惹かぬよう、装備を捨てて服を脱ぐように指示する。すると、そこに国境警備隊のパトカーが現れる。乗っていたのは、警備隊に扮したロシア人だった。ロシア人は連れて来た不法入国者の内の数人を銃で殺し、やってきた国境警備隊員に挨拶を交わした。それからロシア人たちはパトカーの荷台に積んであった死体を不法入国者の死体に紛れ込ませた。
それから六か月後、ロシアの不穏な動きにアメリカは冷戦の再来を予感していた。ロシアと繋がりのあるダーデン議員は過熱するマスコミの様子をテレビで見ていた。そんなダーデンを監視する影があった。FBIだ。逮捕に踏み切ろうとした矢先、彼に近付いた捜査員の一人が物陰から現れた何者かの手によって殺され、ダーデンを取り逃してしまう。
殺人現場となった路地でCIAとFBIが捜査権を争って対立していた。そこに一人の男が現れた。それと同時にFBIの電話が鳴る。電話は長官からのものだった。長官の命令によりFBIは渋々手を引くことにした。

映画『顔のないスパイ』のあらすじ【承】
FBI捜査員が殺された件について捜査を任されたトムは、ポールの家を訪ねた。トムはポールにカシウスが復活したと告げる。カシウスは過去の人間だ。そう言ってポールはトムの言うことを一蹴した。
トムは自分の下に集められたCIA捜査官に容疑者の話をする。カシウス7。ソ連の暗殺者にCIAがつけた暗号名。七人いた暗殺者はカシウス本人が今もまだ生きている。FBIの若手捜査員のギアリーはカシウスだと断定する証拠をポールに提示した。しかし、現場経験が全くない若手の言うことに彼は耳を貸さず、ポールはその場から立ち去ろうとした。ブルータスに会え。帰ろうとするポールにトムはそう言った。
帰宅したポールは異変に気付いた。窓から外をうかがうと、こちらを監視する車を見つけた。トムの仕業だろうと思ってCIAに電話をかけるが、家の外にいる車はCIAのものではなかった。
ポールはカシウスが既に死んでいるということをトムに証明するため、ギアリーを連れて捜査を開始した。
映画『顔のないスパイ』のあらすじ【転】
トムに言われた通りポールはブルータスに会うことにした。ブルータスはカシウスに育てられた暗殺者の一人だった。ポールの手によって捕えられ、今は刑務所に収容されているブルータスは、カシウスについての情報を話す代わりにラジオをくれと要求してきた。ギアリーに知っていることを話したブルータスは手に入れたラジオに入っていた電池を呑み、病院に移送されると脱走を試みた。ブルータスの前にポールが現れた。ポールはブルータスがこれ以上余計なことを話さないよう、彼を暗殺した。カシウスというのは、ポールのもう一つの顔だったのだ。
カシウスの手掛かりが増えたことをギアリーは歓び、捜査に熱が入る。その折、ギアリーはブルータスが殺されたことを知る。現場検証中、ギアリーは野次馬の中に不審人物を見つける。ポールと共に不審人物を追うギアリー。しかし、二人はその不審人物を逃してしまった。
ポールはギアリーの家の夕食に招待された。熱心にカシウスのことを話すギアリーに、ポールは警告した。カシウスは敬意を示すべき相手じゃない。それから、ポールはカシウスに近付きたいなら殺しの手段よりもまずは動機を考えろとアドバイスした。
映画『顔のないスパイ』の結末・ラスト(ネタバレ)
国境警備隊からCIAに新情報がもたらされた。不法入国民を装って数名のロシアの工作員がアメリカ入りした痕跡が発見されたという。ポールは容疑者の写真を見て苦笑した。そこにはまだソ連とアメリカが冷戦下ににあった時代、ポールが血眼になって負っていたKGB工作員のヨハンが映っていたのだ。
ヨハンの捜索中、姿を消したことと、カシウスと犯行の手口が同じ死体を見つけたことで、ギアリーはポールがカシウスではないかと疑い始める。一方、ポールはギアリーの妻に捜査から外れるよう夫を説得するように訴えた。
調査の結果、ギアリーはポールがカシウスだと確信してしまう。そして、ポールの家族がヨハンの手によって殺されていたことも知る。今まで身を潜めていたカシウスが動き出したのは、全て家族の復讐のためだったのだ。ヨハンを追っていたポールもあることに気付く。ギアリーの正体はロシアのスパイがアメリカ入りするのを手伝う二重スパイだったのだ。お互いの素性を明るみにしたくない二人は、ヨハンにカシウスの罪を被せることで合意し、共闘する。ヨハンを始末することに成功した二人だが、戦闘の直後、ポールは敵の凶弾に倒れてしまう。通報に駆け付けたトムは、現場検証が済んだ後、ギアリーをCIAに誘った。しかし、彼は何も答えず、家族の下に帰って行った。
映画『顔のないスパイ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
リチャード・ギアはヒューマンドラマや恋愛作品に出演している印象が強いため、今回のようなサスペンス作品に出演していることが驚きだった。伝説のスパイ「カシウス」を追跡することもあり、誰が嘘を吐いているのか、何が真実なのか考えながら見られて楽しかった。ポールはスパイとして活動しながらも、きっと本当に妻子のことを愛していたのだろうと思う。これから、ベン・ギアリーがどのような道を歩むことになるのか気になった。(女性 30代)
ヒュー・グラントと並ぶラブコメの帝王と言っても過言では無いリチャード・ギア。今作で彼が演じるのは伝説のスパイ。自分自身を偽って潜入捜査をし、時には味方をも欺くスパイのやり方にただ唖然としてしまいます。そして、時折見せるリチャード・ギアの笑顔や優しい雰囲気に「騙されてしまう」のだと感じました。
ある意味「自分を追う」ストーリーは斬新で面白かったです。自分に関する証拠を隠蔽しながら、真実を全て知りながら、上司に従う様子は「完璧」すぎて皆騙されるでしょう。(女性 30代)
序盤から渋いスパイサスペンスの雰囲気で惹き込まれました。リチャード・ギア演じる元CIAのポールが冷静かつ淡々と動く一方、若い捜査官ベンとの関係性に微妙な緊張感があり、物語が進むほどに面白くなっていきました。何よりも驚いたのは、実はポールこそが伝説のスパイ「カシウス」だったという展開。全てのピースがはまった瞬間に鳥肌が立ちました。裏切りと正義が交錯する、大人向けの良質なスリラー。(40代 男性)
本作は、派手さは少ないものの、緻密な構成と俳優の演技力で勝負するタイプのスパイ映画でした。序盤はやや淡々とした印象でしたが、ポールとベンのやりとりを通じて、少しずつ張り詰めた空気が高まっていき、後半のどんでん返しで一気に評価が跳ね上がりました。ポールがカシウス本人だったとは、完全に騙されました。ラストの決断には、彼の孤独な人生が滲んでいて切なかったです。(30代 女性)
リチャード・ギアが静かに演じるスパイ像に、今までのアクションスパイ映画とは違う深みを感じました。ポールがベンを育てるように見せながら、実は自分の過去と決着をつけるために彼を使っていたという構図が秀逸。カシウスの正体が明かされた瞬間は本当に驚きました。タイトルの「顔のないスパイ」が意味するものがラストでわかる、丁寧な作りの作品でした。(50代 男性)
予想を裏切る展開が見事でした。スパイ映画としては渋めの部類に入ると思いますが、その分、じわじわと真相に迫っていく緊張感がたまりません。特にカシウスを追う若手捜査官のベンの純粋さと、ポールの老練な策略がぶつかるシーンは見応え十分。ポールがベンを試すように真実へ導いていく姿が恐ろしくも哀れでした。最後にベンが真実を悟った表情が忘れられません。(20代 男性)
スパイ映画にしては静かな作品だと思っていたら、後半の展開で一気に引き込まれました。物語全体がポールという男の人生を描くための伏線だったのかと思うと、観終わったあとに重みが増します。彼が最後まで正体を隠しながら、自分なりの“償い”をしていたように思えるのが印象的でした。暴力ではなく心理戦を描いたところが新鮮でした。(30代 男性)
「カシウスはもう死んでいる」という前提のもとで進む物語に、完全に騙されました。ベンの熱血さとポールの冷静さの対比も上手く効いていて、二人のバディ感が絶妙でした。ベンの過去の因縁がポールに繋がっていたという伏線の回収も見事。スパイ映画好きなら間違いなく楽しめる一本で、アクションよりも頭脳戦が好きな人におすすめしたいです。(20代 女性)
リチャード・ギアが演じるポールの内に秘めた闇が、少しずつ明かされていく構成がとても良かったです。物語としては地味ですが、その分、緻密に計算された伏線と丁寧な演出が光りました。まさかポールがカシウスとは…と素直に驚かされ、脚本の巧妙さに唸らされました。エンドロールまでじっくり味わいたいタイプの作品です。(60代 男性)
派手なアクションに頼らず、緊迫感のある展開とサスペンスで見せる大人のスパイ映画。ベンとポールのやりとりが会話劇のようで、それがまた良い緊張感を生んでいました。中盤以降で明かされるポール=カシウスの事実には本当に驚いたし、それまでの冷静さの理由が全て腑に落ちました。知的で重厚なスリラーを求める人におすすめ。(40代 女性)
映画『顔のないスパイ』を見た人におすすめの映画5選
裏切りのサーカス(原題:TINKER TAILOR SOLDIER SPY)
この映画を一言で表すと?
スパイの心理と静かな疑心が渦巻く、極上の知的スリラー。
どんな話?
冷戦時代のイギリス諜報部MI6を舞台に、組織内に潜む“二重スパイ”をあぶり出すため、引退したベテラン諜報員が密かに動き出す。複雑に絡み合う人間関係と情報戦を通じて、真実に迫っていく重厚なドラマ。
ここがおすすめ!
派手なアクションは控えめながら、張り詰めた空気感と緻密なストーリー展開が魅力。ゲイリー・オールドマンの抑制された演技が光り、ラストのカタルシスは鳥肌もの。『顔のないスパイ』が好きな方には必見の作品です。
ミュンヘン
この映画を一言で表すと?
報復の正義と人間の良心の狭間を描く、重厚なスパイ・サスペンス。
どんな話?
1972年ミュンヘンオリンピック事件を背景に、イスラエルの特殊部隊が報復のために世界中の標的を暗殺していく。その中で、任務に携わる男たちの葛藤と変化が丁寧に描かれていく心理的なスパイ映画。
ここがおすすめ!
スティーヴン・スピルバーグが手がけた本作は、単なるアクションではなく、国家、正義、そして人間の良心という深いテーマに切り込む一作。任務の裏にある人間ドラマが、『顔のないスパイ』の陰影と重なります。
イースタン・プロミス
この映画を一言で表すと?
冷徹な裏社会の中で揺れ動く“もうひとつの正義”を描く衝撃作。
どんな話?
ロンドンを舞台に、ロシアンマフィアの実態に迫る助産師が、1人の少女の死をきっかけに組織の秘密に巻き込まれていく。マフィアに潜入する男の正体や裏切りが絡み合う、予測不能のサスペンス。
ここがおすすめ!
静かに進む展開の中で、終盤にかけて一気に明かされる真実とキャラクターの本質が鳥肌もの。『顔のないスパイ』のように、誰が味方で誰が敵か分からない緊張感と、陰のある主人公像に魅了されるはずです。
ジャック・リーチャー
この映画を一言で表すと?
孤高の元軍人が、真実を暴くために立ち上がる骨太スリラー。
どんな話?
無差別狙撃事件の背後に隠された陰謀に、元陸軍の調査官ジャック・リーチャーが独自の方法で迫っていく。証拠と証言の矛盾、組織の腐敗を浮き彫りにしていくミステリー要素満載のアクションサスペンス。
ここがおすすめ!
トム・クルーズが演じるリーチャーの“圧倒的な推理力と行動力”が見どころ。『顔のないスパイ』と同様、静かに展開する謎解きと、真実の暴露が後半で一気に盛り上がる構成が魅力的です。
ボーン・アイデンティティー
この映画を一言で表すと?
記憶を失ったスパイが、自らの正体と真実に迫るスリル満点の一作。
どんな話?
海で意識を失って漂流していた男が目覚めたとき、記憶を失っていた。自分が誰なのかを探るうちに、CIAの暗殺計画に関与していた過去が明らかになり、命を狙われることに。迫力の逃走劇と自己探求の物語が展開する。
ここがおすすめ!
記憶喪失という設定の中で、次々と繋がる記憶の断片と謎の追跡者との攻防がスリリング。『顔のないスパイ』と同じく、スパイの正体や信頼関係の崩壊が物語の鍵になるため、最後まで目が離せません。
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