この記事では、映画『ハウス・ジャック・ビルト』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ハウス・ジャック・ビルト』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ハウス・ジャック・ビルト』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0044746
製作年 | 2018年 |
---|---|
上映時間 | 152分 |
ジャンル | ホラー |
監督 | ラース・フォン・トリアー |
キャスト | マット・ディロン ブルーノ・ガンツ ユマ・サーマン シオバン・ファロン・ホーガン |
製作国 | デンマーク フランス ドイツ スウェーデン |
映画『ハウス・ジャック・ビルト』の登場人物(キャスト)
- ジャック(マット・ディロン)
- 建築技師をしながら、自分の理想の家を建てる夢を持っている男。
- 最初の犠牲者(ユマ・サーマン)
- 連続殺人鬼となったジャックが、最初に殺した女性。
- ヴァージ(ブルーノ・ガンツ)
- ジャックが死体を隠していた倉庫に現れた、謎の男。
映画『ハウス・ジャック・ビルト』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ハウス・ジャック・ビルト』のあらすじ【起】
建築技師をしているジャックは、車で家に帰る途中、車の故障で立ち往生している女性と出会い、修理工場まで乗せていくことになる。しかし乗せてもらった女性は、「あなたは殺人鬼かもしれないわね」などとしつこく言い始め、怒ったジャックはその女性を殴りつけて殺してしまう。
ジャックはピザの販売をするために所有していた冷凍倉庫に、女性の死体を隠すことにする。そしてこの日以来、ジャックは自分の中にあった殺人願望に目覚め、次々に犯行を繰り返すようになる。
連続殺人鬼と化したジャックだったが、同時にジャックは極度の潔癖症でもあり、殺人を犯した被害者の家で、証拠がどこかに残っていないかとテーブルや絨毯の下などを念入りに確認しないと気が済まなかった。そしてジャックは犯行を終えた後に、その場で死体を含めた写真を撮影していたのだが、建築技師としてその写真にひと工夫欲しいと考えるようになる。
ジャックは次の犯行から、殺した被害者の死体を冷凍庫に運んだあと、死体の手足に太い針金などを通し、自分の思い通りのポーズを取らせた上で、写真を撮り始める。
映画『ハウス・ジャック・ビルト』を無料視聴できる動画配信サービスと方法については、以下の記事をご覧ください。

映画『ハウス・ジャック・ビルト』のあらすじ【承】
ジャックは殺人を繰り返す一方で、自分の理想とする家を建築する夢を抱いていた。技師としてデザインをするだけでなく、自ら理想の家の建築に励むが、なかなか思い描いたような家が作れず、作っては壊し、また最初から作り始めることを繰り返していた。
そしてジャックは殺人を重ねるごとに、自分の潔癖症が治ってきていることに気付く。それがますますジャックの連続殺人を推し進める形になり、ジャックの犯行はエスカレートしていく。いつしか倉庫の中は死体だらけになり、あげくジャックは殺さずに捕らえた者たちを使って、ある実験を思いつく。
ジャックは倉庫の中で、捕えた者たちを一列に並べ、その頭部が同じ位置にくるよう調整する。その上で、強力な装甲を施した弾丸を用いて、「一発の弾丸で何人の頭を撃ち抜けるか」を試そうと考えたのだ。
ジャックは頭部を並べた者たちの前に三脚を置き、その上にライフルを固定して狙いを定める。すると捕らえた者の1人が、ジャックが弾をこめようとしているのを見て、「それは装甲弾じゃない。俺は軍人だからわかる」と、必死にジャックに訴える。
映画『ハウス・ジャック・ビルト』のあらすじ【転】
ジャックも弾丸が希望とは違うものだと気付き、捕らえた者たちをそのまま放置して、弾丸を買った店に向かう。しかし、何度も弾を購入したことのある馴染みの店なのに、店員はなぜか身分証を見せてくれと言い出す。店員の態度に腹を立てたジャックは店を飛び出し、興奮して車を路肩に乗り上げてしまう。
車を降りたジャックは、ちょうど近場にあった知人の住むトレーラーハウスに行くが、その知人はジャックを見て銃を構える。警察もようやくジャックの犯行に気付き、近辺に聞き込みをしていたのだった。ジャックは知人の隙を突いてナイフで刺し殺すと、知人が所有していた装甲弾を持ち、倉庫へと戻る。
改めてジャックはライフルで狙いをつけるが、狙いが近すぎて照準が合わないことに気付く。ジャックの背後には、倉庫を入手した時からカギが固くて開かないままになっていたドアがあったが、それを強引にこじ開けてライフルの位置を下げようと考える。
ジャックがなんとかドアを開けて中に入ると、そこに1人の男が座っていた。ジャックがどうやって入ったのかと問いただすと、男は「君が私を呼んだんだ」と答える。
映画『ハウス・ジャック・ビルト』の結末・ラスト(ネタバレ)
倉庫の中にいた謎の男はヴァージと名乗り、ジャックに新しい家を建てろと告げる。倉庫の外に警察隊が到着し、「手を上げて出てこい」とジャックに呼びかける声が聞こえる中、ジャックはヴァージの助言に従い、自分が殺して来た死体を用いて倉庫内に小さな家を組み立てる。
ヴァージとジャックが死体の家の中に入ると、床に穴が開き、2人はどことも知れぬ闇の中に落ちていく。暗闇は狭いトンネルや水中に続いていて、ヴァージはその場所を知っているかのようにジャックを導いていく。ヴァージは、罪人をあの世へ連れて行く案内人だった。
2人はやがて、切り立った地中の崖縁にたどり着く。崖の向こうには上に向かう階段が見え、ヴァージは階段を登れば地上へ出られるとジャックに告げる。階段に通じる道はなく、険しい壁に張り付くようにたどっていかなければならなかったが、ジャックは階段へ行くことを決意する。しかし途中で足を滑らせ、ジャックは果てしない暗闇の底に落下していくのだった。
映画『ハウス・ジャック・ビルト』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
狂気と芸術の境界を暴力で塗りつぶしたような映画。ジャックの語りは自己正当化の連続なのに、どこか理路整然としていて不気味。地獄へと至る終盤のビジュアル表現には圧倒された。美と死、創造と破壊をここまで結びつけた作品は他にないと思う。見る人を選ぶが、間違いなく強烈な一本。(20代 男性)
女性としては本作は本当にキツかった。女性被害者の描写があまりに暴力的で、観ていて心がえぐられる。ただ、ジャックの狂気とラース・フォン・トリアーの冷酷な視点は一貫していて、目をそらせない。芸術論を語りながら人を殺す姿には嫌悪感と同時に興味が湧いてしまう、そんな矛盾した映画体験だった。(30代 女性)
暴力が美として昇華される瞬間を目の当たりにする映画。ラストのダンテ的な地獄への下降は哲学的で、まるで観客自身がジャックの「家の中」に閉じ込められていくような感覚。芸術とサイコパスの境目をこれほどまでに詩的に描いた作品はない。挑戦的すぎるが、映像芸術として傑作。(40代 男性)
最初はただの猟奇殺人映画かと思っていたけど、途中から完全に“アート”の域に突入。女性としてはとにかく不快なシーンが多かったが、監督の意図も強く感じられた。特にジャックが写真の構図を語りながら遺体を並べる場面には震えた。倫理と芸術を問う問題作だと思う。(40代 女性)
苦しくて、グロくて、でも目が離せない。ジャックのモノローグが詩的で、殺人そのものが一種の「作品」であるかのように描かれるあたりが非常にラース・フォン・トリアーらしい。ラストの地獄行きすらも美しく、絶望と美学の融合を体現したかのようだった。心の準備が必要な作品。(30代 男性)
本作は完全に“精神的な地獄巡り”。女性の立場からは目を背けたくなるシーンが連続するけど、同時に「なぜここまで描くのか?」という問いが頭から離れなかった。ラストの地獄の橋を渡るシーンで、芸術と罪の報いがようやく繋がった気がした。ラース作品の中でも最も挑発的。(50代 女性)
ジャックの“建築”は、殺人と論理を積み上げていく物語だった。哲学的な台詞回しに引き込まれる一方で、あまりにもサディスティックな描写には観ていて吐き気がするほど。それでも映像表現の完成度は高く、すべてがトリアーの掌の上で転がされていると感じた。(40代 男性)
鑑賞後、しばらく言葉を失った。芸術と狂気の間にある境界線を、主人公ジャックが超えていく過程があまりにリアルで恐ろしい。女性の身体が“表現の道具”のように扱われる場面は正直耐え難かったが、そこに込められた監督の意図を考えざるを得なかった。(30代 女性)
「創造する」という行為に対してここまで病的な視点を持ち込んだ映画は珍しい。ジャックの歪んだ美学が、ラストで地獄へと堕ちていくことで皮肉的にカタルシスを与える構成が素晴らしい。万人には絶対に勧められないが、確実に記憶に刻まれる作品。(50代 男性)
嫌悪感と知的興奮が同時に襲ってくる映画でした。女性としては、描写があまりにも極端でショックだったけれど、ジャックの内面を旅する構成や地獄のビジュアル表現は映画史に残るレベル。倫理観を問われるけれど、そこに踏み込む覚悟があれば強烈な鑑賞体験になると思います。(20代 女性)
映画『ハウス・ジャック・ビルト』を見た人におすすめの映画5選
『セブン』(1995)
この映画を一言で表すと?
「罪と罰をめぐる究極の心理サスペンス」
どんな話?
退職間近の刑事と若手刑事が、七つの大罪になぞらえた猟奇殺人事件を追うサスペンス。終始重苦しい空気が支配する中、犯人の知能と狂気が徐々に明らかになり、ラストで戦慄の真実が待ち受けます。
ここがおすすめ!
デヴィッド・フィンチャー監督の美学が光る映像と、徹底的にダークな世界観が魅力。静かに忍び寄る恐怖と、衝撃の結末は、観た者の記憶に深く刻まれる傑作です。
『マニアック』(2012)
この映画を一言で表すと?
「殺人鬼の視点で描かれる、美しくも狂気に満ちた物語」
どんな話?
女性の頭皮をコレクションする殺人鬼・フランクの狂気を、主観映像で追体験するサイコホラー。被写体と観客の視線が一致することで、倫理的葛藤と倒錯的な没入感が生まれます。
ここがおすすめ!
主観カメラによる独特の演出で、殺人者の内面に迫るという異様な映画体験を実現。『ハウス・ジャック・ビルト』のような観る者に挑戦する作品を求める人にはうってつけです。
『ファニーゲーム U.S.A.』(2007)
この映画を一言で表すと?
「観客の“暴力を観たい欲望”に問いを突きつける逆説的スリラー」
どんな話?
休暇で別荘を訪れた一家が、突如現れた2人の若者に理不尽な暴力を受ける。ミヒャエル・ハネケ監督による観客への直接的挑発を含むメタ的な演出が特徴です。
ここがおすすめ!
暴力描写の意味を根底から問う意欲作。スリルを味わいつつ、観客自身のモラル観にも切り込む知的な作品で、『ハウス・ジャック・ビルト』のような「不快な美」を求める人におすすめです。
『アメリカン・サイコ』(2000)
この映画を一言で表すと?
「洗練された狂気が、80年代の虚構と暴力を暴く」
どんな話?
表向きは完璧なエリート投資家、しかし裏では冷酷な殺人者──そんな二面性を持つ男・パトリック・ベイトマンの日常を描く、ブラックユーモアに満ちたサイコドラマ。
ここがおすすめ!
クリスチャン・ベールの怪演が光るこの作品は、社会的成功と内面の崩壊という矛盾を描き切った名作。美と狂気が共存する世界は、『ハウス・ジャック・ビルト』と通じるものがあります。
『アンチクライスト』(2009)
この映画を一言で表すと?
「痛みと愛、性と死を描いた、衝撃のヴィジュアル詩」
どんな話?
喪失の悲しみから逃れるため森の小屋にこもった夫婦が、やがて精神の深淵に堕ちていく。ラース・フォン・トリアー監督による官能と暴力が交錯する衝撃作。
ここがおすすめ!
哲学的テーマと美しい映像の裏に潜む容赦ない暴力性。『ハウス・ジャック・ビルト』同様、トリアー監督による「心を抉る映画体験」が堪能できます。感情を揺さぶられること間違いなし。
みんなの感想・レビュー