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映画『ある過去の行方』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『ある過去の行方』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ある過去の行方』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ある過去の行方』の結末までのストーリー
  • 『ある過去の行方』を見た感想・レビュー
  • 『ある過去の行方』を見た人におすすめの映画5選

映画『ある過去の行方』 作品情報

ある過去の行方

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:130分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、ラブストーリー
  • 監督:アスガー・ファルハディ
  • キャスト:ベレニス・ベジョ、タハール・ラヒム、アリ・モサファ、ポリーヌ・ビュルレ etc

映画『ある過去の行方』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『ある過去の行方』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『ある過去の行方』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『ある過去の行方』 あらすじ【起・承】

パリで薬剤師をしているマリー(ベレニス・ベジョ)には17歳になるリシューと小学生のレアという2人の娘がいる。2人の実の父親とは随分前に離婚し、その後はアーマドというイラン人と結婚していた。しかしアーマドも4年前にイランへ帰国してしまい、現在はクリーニング店を経営する恋人のサミール(タハーム・ラヒム)と5歳になる息子のフアッドが同居していた。

アーマドはマリーと正式に離婚するため4年ぶりにパリを訪れる。アーマドはホテルに宿泊するつもりだったが、マリーは自宅に泊まれという。最近リシューの様子がおかしいので、彼女と話をして欲しいらしい。サミールのことを何も知らされていなかったアーマドはこの状況に戸惑うが、ひとまずマリーの要求を聞き入れ、リシューと話をする。

リシューが家を嫌う理由は母の再婚が気に入らないからだ。まだ正式に離婚をしていないサミールの妻・セリーヌは8か月前から植物状態で、リシューはその事情も知っていた。

裁判所で正式に離婚の手続きをする直前、マリーはサミールの子を妊娠しているとアーマドに打ち明ける。その後、アーマドはリシューと再び2人で話をする。

昔馴染みのシャーリヤルの店で話をしているとアーマドは泣き出してしまう。セリーヌは鬱病を患い洗剤を飲んで自殺を図り、それで植物状態になってしまった。自殺の原因はクリーニング店でのトラブルだとサミールたちは考えていたが、リシューは母のことが原因で自殺したのだと言う。“絶対に結婚して欲しくない”というリシューに、アーマドはマリーが妊娠していることを話す。

その晩、リシューが家出をする。アーマドはマリーにリシューが自殺の原因を2人のせいだと思っていることを話す。しかしマリーはそれを認めようとしない。シャーリヤルの家にいたリシューをアーマドが迎えに行き、サミールはフアッドを連れ、マリーの家を出る。

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映画『ある過去の行方』 結末・ラスト(ネタバレ)

アーマドはリシューを納得させるため、サミールの店の従業員・ナイマの話を聞く。自殺未遂の少し前、客とのトラブルでサミールとセリーヌが喧嘩になったことは事実だった。
ところがリシューは自殺未遂の前日、マリーとサミールのメールを自分がセリーヌに転送したのだと告白する。彼女はそのことでずっと苦しんでいたのだった。

アーマドはリシューの了解を得て、その事実をマリーに話す。事実を知って取り乱したマリーは、リシューに“出て行け!”と怒鳴り、アーマドとマリーが喧嘩になる。マリーがわざわざこの時期にアーマドをイランから呼び寄せ離婚しようとしたのは、自分を捨てた彼への復讐と未練からだった。

マリーはサミールにリシューのことを話す。しかしサミールは本気にしない。2人は薄々気づいていた本心をぶつけ合う。サミールは今も妻を愛し、マリーもアーマドを忘れるためにサミールを利用したのだとわかる。

セリーヌのメールアドレスをリシューに教えたのはナイマだとわかり、サミールは彼女をクビにする。ナイマはセリーヌが自分とサミールの仲を疑い、自分に辛く当たっていたと打ち明ける。サミールは彼女の話を信じようとしなかったが、詳しいことを聞くうちにナイマの話が正しいと気づく。

サミールはマリーに“お腹の子はなかったことに”と告げる。マリーはそれに反論しなかった。そしてアーマドもイランへ帰って行く。

セリーヌの病院を訪れたサミールは、彼女が好きだった香水をつけ耳元で“匂いがしたら手を握ってくれ”と話しかける。サミールが近づくと、反応がないはずのセリーヌの目からは涙がこぼれる。

映画『ある過去の行方』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『ある過去の行方』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

気の毒なアーマド

主人公のマリーが一応まだ離婚はしていない夫のアーマドを空港へ迎えに行くところから本作は始まる。アーマドは正式にマリーと離婚するため、わざわざイランからやってきた。それもマリーに呼ばれたためだ。

アーマドが4年ぶりに帰ってみると、パリの元家族は大変な状況になっており、離婚の手続きなんてついでのようなもの。家にはマリーの新しい恋人サミールと5歳の息子が同居中。マリーはサミールの子を妊娠中。マリーの娘で17歳になるリシューはサミールを嫌い母親に反抗中。リシューと次女のレアはアーマドの子ではない(マリーの最初の夫の子)が、アーマドをとても慕っており、リシューは彼にだけ重大な秘密を打ち明ける。またその秘密が大変に複雑な状況を生み、アーマドはあっちにもこっちにも気を使いっ放しだ。

この複雑な状況を作り出した1番の張本人であるマリーは、アーマドの心遣いにお礼を言うどころかヒステリックに彼を責める。大人の事情に翻弄される子供たちもかわいそうだが、アーマドも相当気の毒だった。

アーマドがイランに帰国した理由は最後まではっきり明かされない。要はパリでの生活に疲れてしまい鬱状態になっていたということらしい。アーマドは自分の感情を極力抑えるタイプなので、なんとなく納得。優しいから色々我慢していたのだろう。

というか、マリーとの暮らしはどんな男でも疲れるはず。美人だが彼女はトゲトゲしい。さらに“自分が悪かった”とは決して認めない。見ているだけで疲れる女だ。

後半の謎

サミールの妻が、なぜ自殺を図ったのか?後半部分はその原因を探るミステリーのような展開になる。

マリーは自殺の原因が自分たちの不倫にあるとは絶対に認めたくない。しかしリシューが不倫の証拠となるメールをサミールの妻に転送していたことがわかってしまう。そのことに逆上してマリーは娘に怒り狂うのだが…お前は娘を怒れる立場じゃないだろう…。

でも結局は、奥さんがわざわざクリーニング店で洗剤を飲んで自殺したのは、夫と従業員のナイマとの浮気を疑っていたからだということがわかる。サミールは最初その話を信じず、リシューに妻のメアドを教えたナイマを激しく罵倒し、クビにしてしまうのだが…これまたお前もナイマを怒れる立場じゃないだろう…。

奥さんのセリーヌは鬱病だったということだが、幼い我が子の目の前で洗剤を飲んで自殺を図るなんて…病気のせいだとしても子供にとっては残酷すぎる。

子供たちを散々傷つけ、奥さんは植物状態となり、ナイマは解雇され、それだけの犠牲を払ってマリーとサミールがどうなったかというと、どうやらお互い本気じゃなかったらしく別れたようだ。お腹の子供もなかったことにするらしい。

一番の謎はマリーとサミールが自分たちのしでかしたことの重大さをわかっていないところにある。2人して“もう過去は振り返らない”というようなことを言っていたが、振り返らなくても過去は消えない。なかったことになんてできないのだから。


マリーがものすごく嫌な性格で全く感情移入出来ずイライラしてしまいました。サミールのことも、アーマドのこともそして娘のリシューのことも誰も信じずに自分勝手な行動をする彼女を見ているとただ愛されたいだけの可哀想な人なのかなと思ってしまいました。
自分が相手にそんな態度を取るから相手からも愛されないという事を早く気づいて、そばにいる人をもっと大切にして欲しいなと感じます。そしてアーマドはマリーのことなんてさっさと忘れて新しい道を歩んで欲しいです。(女性 30代)


本作は、パリを舞台に、4年前からイランに帰国していた別居中の夫が戻ってきたことをきっかけに、次々と明らかになる家族の複雑な事情や秘密を描いたヒューマンサスペンス作品。
嘘や嫉妬といった複雑に絡み合った人間関係を余すことなく緻密に表現した秀逸な脚本。とても好きな作品で、監督のファンになるきっかけとなった作品。
物語は時間と共に進行しているはずなのに、過去に囚われ、過去へ戻っていくような不思議な感覚に襲われた。(女性 20代)


アスガー・ファルハディ監督らしい、静かなのに息詰まるような人間ドラマだった。特に、サミールの妻が昏睡状態に陥った原因が明かされていく過程は、本当に胸が痛かった。誰もが少しずつ間違いを犯していて、誰も完全な悪人ではないという描き方がリアル。最後、サミールが妻の反応を確かめようとする場面は、希望とも絶望とも取れる余韻を残して秀逸だった。(20代 男性)


メラニー・ロランの演技が圧巻。彼女が演じるアンヌの複雑な感情が、視線や沈黙の中にすべて詰まっているようだった。過去と現在、罪と赦し、愛と裏切りが絡み合う構成はファルハディ監督の真骨頂。結末では、誰も救われないのに、それでも前に進まなければならない現実を突きつけられた気がした。心に残る苦味が忘れられない。(30代 女性)


「真実を知ることは本当に幸せなのか?」という問いがずっと頭に残った。過去を清算しようとするマリーの行動が、結果的に誰もを傷つけていく皮肉さ。サミールの妻の手が微かに動くラストは、救いなのか呪いなのか分からない。人間関係のもろさと、言葉にできない感情の連鎖を描き切った傑作だと思う。(40代 男性)


登場人物の誰にも感情移入しきれないのに、なぜか全員の痛みが自分の中に刺さってくる不思議な映画だった。特に、子どもたちの存在が残酷なまでに現実的。大人の事情で振り回される彼らの姿に胸が締めつけられた。ファルハディ監督は、感情を爆発させずに静かな破壊を描く天才だと思う。(20代 女性)


再婚を控えた女性、過去を引きずる男、昏睡状態の妻。設定だけでも重いのに、淡々と進む物語が逆に心を抉る。最後のワンシーンまで希望を捨てられずに見ていたが、終わった瞬間に深いため息しか出なかった。派手さはないが、観る者に“人生の選択”を問いかけてくる一本。(50代 男性)


マリーの「真実を知りたい」という欲望が、結局すべてを壊していく様子が痛ましかった。愛情と執着、罪悪感と自己正当化の間で揺れる人間の弱さがリアルすぎる。あの最後の涙には、赦しでも懺悔でもない、ただ“生きていくしかない”という現実が込められているように感じた。(40代 女性)


物語の展開よりも、人々の表情と沈黙が語る映画。台詞よりも“空気”が主役だった。サミールの妻が真相を知ってしまったこと、その罪の重さが全員を壊していく。ファルハディ監督は、倫理のグレーゾーンをこれほどまでに美しく描ける唯一の監督だと思う。映像も繊細で、フランスの湿った光が印象的。(30代 男性)


観終わったあと、しばらく無言になった。人はどこまで他人を理解できるのか、そして自分の過去をどこまで受け入れられるのか。マリーの行動に賛否あるだろうけど、彼女もまた“誰かを愛したかっただけ”なんだと思う。結末が示すのは絶望ではなく、わずかな希望の欠片かもしれない。(20代 女性)

映画『ある過去の行方』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ある過去の行方』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

別離(原題:A Separation)

この映画を一言で表すと?

ひとつの離婚劇が、社会と人間の本質を暴く濃密な心理ドラマ。

どんな話?

イランの夫婦が離婚を巡って対立する中、家政婦とのトラブルが法廷劇へと発展。家族愛、信仰、正義の狭間で人間の脆さと誠実さが試されていく。単なる家庭問題を超え、社会構造をも映し出す重層的な物語。観る者に“正しさとは何か”を問う。

ここがおすすめ!

ファルハディ監督が『ある過去の行方』の前に手掛けた代表作。繊細な脚本と圧倒的なリアリティが光り、観る人の倫理観を揺さぶる。登場人物の誰もが「正しくもあり、間違ってもいる」描写が秀逸で、見終わった後に深い余韻を残す。

誰も知らない

この映画を一言で表すと?

静かな絶望の中で生きる子どもたちの、痛切な現実を描く。

どんな話?

母親に置き去りにされた兄妹が、都会の片隅でひっそりと生き延びていく実話を基にした物語。大人の無関心の中で、幼い命が懸命に「日常」を続けようとする姿が胸を締めつける。派手な展開はないが、心の奥を震わせる静かな衝撃がある。

ここがおすすめ!

是枝裕和監督が手掛けた珠玉の人間ドラマ。台詞よりも沈黙が語る演出は『ある過去の行方』と共通しており、現実を淡々と描くことでより深い感情を引き出す。柳楽優弥の自然な演技が、観る者の心を掴んで離さない。

ヒューマン・キャピタル(原題:Il capitale umano)

この映画を一言で表すと?

偶然の事故が、3つの家族の“真実”を暴くサスペンスドラマ。

どんな話?

クリスマス前夜に起きたひき逃げ事件をきっかけに、富裕層と庶民層、若者たちの関係が複雑に絡み合っていく。物語は複数の視点で進行し、誰の語る“真実”が本当なのかを観客に問いかける。人間の欲望と偽善がリアルに描かれる群像劇。

ここがおすすめ!

人間の価値を「金額」で測る現代社会の皮肉を、鮮烈に描き出した作品。ファルハディ作品のように“過去と選択の重み”がテーマで、観る者にモラルの揺らぎを突きつける。脚本の緻密さと映像美が際立つ社会派ドラマ。

私の中のあなた(原題:My Sister’s Keeper)

この映画を一言で表すと?

愛と犠牲の狭間で揺れる家族の物語に涙する。

どんな話?

白血病の姉を救うために“ドナーとして”生まれた妹が、自らの人生を求めて両親を訴えるという衝撃的な設定。病気・家族・倫理という重いテーマを、温かくも厳しく描いた感動作。誰もが「愛とは何か」を考えずにはいられない。

ここがおすすめ!

『ある過去の行方』のように“誰も悪くないのに誰も救われない”構造が共通している。家族を想う気持ちが時に他者を傷つける、その残酷な現実を丁寧に描く。キャメロン・ディアスの母親役も圧巻で、涙なしでは観られない。

灼熱の魂(原題:Incendies)

この映画を一言で表すと?

母の過去をたどる旅が、壮絶な真実へとつながる衝撃作。

どんな話?

亡くなった母の遺言に従い、中東へ旅立つ双子の兄妹。やがて母が抱えていた戦争と暴力、そして家族の秘密が明らかになっていく。緻密な構成と圧倒的なストーリーテリングで、“過去”の意味を観る者に突きつける。

ここがおすすめ!

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の代表作で、重層的な物語と衝撃的な真相が心に突き刺さる。『ある過去の行方』同様、“過去の真実”が現在を支配するテーマが秀逸。静かな演出とラストの余韻が深く、観終わった後も長く心に残る名作。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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