映画『ザ・レポート』の概要:日本では劇場未公開の一作。Amazonオリジナル制作作品であり、舞台となるアメリカでは2019年に公開されている。ブッシュ政権下で遂行されたCIAによる拷問と隠蔽を暴くまでを描く。
映画『ザ・レポート』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:スコット・Z・バーンズ
キャスト:アダム・ドライヴァー、アネット・ベニング、サラ・ゴールドバーグ、マイケル・C・ホール etc
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映画『ザ・レポート』の登場人物(キャスト)
- ダン・ジョーンズ(アダム・ドライヴァー)
- アメリカ合衆国上院調査スタッフ。学生時代に9・11のテロを目の当たりにし、国を変える職務につきたいと思うようになる。調査員として職務を全うするほど、隠蔽された事実に感情移入するようになってしまう。
- ダイアン・ファインスタイン(アネット・ベニング)
- 民主党上院議員。ダンを調査委員会へ推薦した人物。冷静な女性であり、ダンの上司として責任を果たそうと職務を全うする。
- レイモンド・ネイサン(ティム・ブレイク・ネルソン)
- 容疑者を死なせてしまった拷問を行った当事者。医師助手として拷問を主導した経験を悔やみ、ダンに過去の事実を密告する。
映画『ザ・レポート』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ザ・レポート』のあらすじ【起】
仕事優先で恋人にも愛想をつかされてしまう生活を送るダン・ジョーンズ。ダンはアメリカ合衆国上院調査スタッフの一人である。
2003年、ダンはダイアン・ファインスタイン上院議員の推薦で、CIAの勾留と尋問に関するプログラムを調査するチームのリーダーに任命された。大学入学直後に911事件を経験したダンは国を揺るがすテロを防ぎたいと思うようになり専攻を変更したという。
2007年、CIAがアルカイダ容疑者の尋問ビデオを破棄したという情報が入る。2年の歳月をかけ調査を続けるダン。機密情報として扱われ、調査は難航する。最終手段としてダンはCIAの機密情報隔離施設へ潜入し当時の文書を洗いざらい調査することとなった。
CIAは本来、刑務所局の条件を満たした施設に容疑者を収容しなければならないが、当時作戦本部のパヴィットが無視をして秘密収容所を設けていたと気づくダン。容疑者を他国で拘留するには国務省の許可が必要だがパウエル国務長官には内密にして進行したとメモが残されていた。この事実を掴んだ頃、調査班を立ち上げた共和党は調査から手を引いてしまう。
映画『ザ・レポート』のあらすじ【承】
容疑者は事件後すぐに病院で調書を取られた。「ムフタール」という男の存在を明かすが、このとき調書を取ったのはFBIの調査員であるとわかる。拷問プログラム「SERE」を推奨したのは心理学者のミッシェル博士であり、この非人道的な尋問に許可を下したのは当時CIA局長のロドリゲスである。
ダンたちのチームはCIAへの接触を禁じられているが、調査の糸口を掴むために最初の調書を取ったFBIの調査員への接触を試みた。FBI捜査官・アリの話では医療助手であるレイモンドによる拷問が繰り返されたという。文書で空白の時間があったことが気にかかっていたダンは、この間に酷い尋問が進められていたことを知る。
ある夜、レイモンドがダンをこっそりと訪ねてきた。CIAが容疑者を水責めにし「溺れさせた」ことを証言する。容疑者は「グル・ラフマン」という自身の名前だけを明かし拷問により命を落とした。この事実はCIAによる内部調査でも明らかになっているが、隠蔽され続けていた。
映画『ザ・レポート』のあらすじ【転】
拷問の証拠の破棄や作戦本部長の虚偽報告など、非道な事実を目の当たりにしたダンは次第に感情的になってしまっていた。責任を逃れながら出世し悠々と過ごしている当事者たちだが、有罪になる証拠はないと司法省もダンたちの調査には手を貸すことはなかった。
長年に渡る調査も中々日の目を浴びず、昼夜問わず調査に追われる日々についにチームから辞職者も出てしまった。メディアにはCIAにとって都合のいい情報だけが漏れていく。ダンたちは尋問によりCIAが得た情報はないということを確信しているが、CIAの画策に妨害されてしまう。
ようやく審議会にこぎつけたダンたち。しかし、CIAは内部報告書がダンにハッキングされたと主張し訴追の構えを見せた。ダンたちの報告書は公開されないかもしれないというファインスタインの言葉に絶望するダン。タイミングを見計らったように、国家安全保障省担当の記者から「オフレコで情報を共有しないか?」と誘いを受けるのだった。
映画『ザ・レポート』の結末・ラスト(ネタバレ)
CIAによる訴追により、ダンにはスパイ容疑がかけられた。しかし大統領が変わり拷問を禁じたことで司法省の判断により起訴は見送られ、ダンの報告書は重要なページを公表するかという審議に変わった。
監査官により捜査官の個人名を伏せられた報告書を見たダンは愕然とする。空欄ばかりで何も暴くことはできないからだ。さらに議会で共和党が多数派となったことでホワイトハウスとの取引が内密に進められ、報告書の公表は白紙に戻されてしまった。
納得のいかないダンは、以前連絡をしてきた記者と会うことにする。報告書のリークを促され、一度は心が揺らいだダン。「英雄にも、裏切り者にもなれる」という記者の言葉を受け、ダンは「公表するならば正しい方法を取る」と誘いを再び断るのだった。
粘り強いダンの調査と追及により、報告書はついに公表された。これまでCIAが偽ってきた世間体はすべて暴かれたのである。2015年に報告書が公表されたのち、ダンは委員会を去った。報告書に書かれた局員は罪に問われた者はおらず、皆昇進しているという。
映画『ザ・レポート』の感想・評価・レビュー
身震いするような圧力と薄汚い隠蔽気質、そして図々しい反論に満ちた時間であった。「真実でない嘘を言った。嘘を言ったという真実が分かった」というセリフが印象的である。ダンの誠実な仕事の様は、仄暗いオフィスと相反している。友人や恋人にも明かすことのできない任務につき、職務を全うするほど国を信じられなくなる迷路のような仕事である。ビジュアルのロゴデザインがとても皮肉めいた秀逸な一作である。(MIHOシネマ編集部)
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