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映画『扉をたたく人』あらすじネタバレ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『扉をたたく人』の概要:2016年度のアカデミー賞で作品賞と脚本賞に輝いた「スポットライト 世紀のスクープ」。衝撃的な内容ながら、事実をベースにした社会派で堅実な内容が話題をさらいました。その作品のトム・マッカーシー監督がオリジナル脚本で2008年に完成させたのが、今作。当時からシリアスな社会派の一面を持っていたマッカーシー監督に注目です。

映画『扉をたたく人』 作品情報

扉をたたく人

  • 製作年:2007年
  • 上映時間:104分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:トム・マッカーシー
  • キャスト:リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、ハーズ・スレイマン、ダナイ・グリラ etc

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映画『扉をたたく人』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『扉をたたく人』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『扉をたたく人』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『扉をたたく人』 あらすじ【起・承】

主人公の大学教授、ウォルターは偏屈な男です。無口で、愛想もなく、また大学教授という肩書と年齢から、周りからも距離を置かれています。しかし、彼がそんな風に心を閉ざしているのにはわけがありました。唯一愛した最愛の妻に、先立たれたショックから立ち直れないでいたのです。

そんな彼はある日、勤務先のコネチカット州から、学会のためニューヨークを訪れます。そこには彼が以前から所有するアパートがあり、ホテルをとる必要はありません。
しかし、久しぶりにその部屋を訪れてみると、見知らぬ有色人種のカップルが住んでいたのです。不動産業者に騙されたという彼らは、不法滞在者でした。
人懐っこいジャンベ奏者のシリア系男性のクレタとアクセサリー作家でしっかり者のセネガル系女性のゼイナブを、追い出しきれず、仕方なしに奇妙な共同生活が始まります。

はじめこそ、彼らとの生活様式の違いに辟易していたウォルターでしたが、特にクレタの明るさに心を開いていきます。
もともと、亡き妻の影響で音楽鑑賞が趣味のウォルターに、クレタはジャンベを教えだします。その軽快なリズムや、意外にも複雑な演奏法に、のめり込んでいくウォルター。そんな彼へ友情を感じ始めたクレタは、公園のセッションに彼を招きます。公園には、彼と似たような出自で集まり、音楽で心を通じ合わせる人々がたくさんいました。

映画『扉をたたく人』 結末・ラスト(ネタバレ)

しかし一方で、ウォルターへの警戒を緩めないゼイナブ。彼女は、不法移民として、数々の辛い思いを経験しているようでした。

そんなある日、クレタはウォルターの目の前で無賃乗車を疑われ、拘留されてしまいます。弁護士を雇い、なんとか彼の無実を証明しようと試みるウォルターですが、すべての方法がなしのつぶて。なにより悪かったのが、彼がパスポートを持たない不法移民であり、しかもシリア系であるという事実でした。
9.11テロを経験し、アメリカは特に不法移民への取り締まりを厳罰化していたのです。

そんなある日、息子を探しているというシリア系女性が訪ねてきます。彼女の名前はモーナ。まぎれもない、クレタの母親でした。
モーナとゼイナブ、ウォルターは、拘留されたクレタを救うためあらゆる手段を尽くします。ゼイナブの肌の色に難色を示していたモーナも、次第に息子を愛する気持ちを介し、わかり合っていきます。
しかし、そんな彼らの努力もむなしく、クレタのシリアへの強制送還が決まってしまいます。

ゼイナブやモーナも去り、ひとりになってしまったウォルターは、クレタの残したジャンベを手に、地下鉄の駅に降り立ちます。彼が無賃乗車で捕まった、あの駅です。
ひとり、クレタに教えられたジャンベを叩くウォルター。それを、まるで空気のようにすり抜けていく乗客たちもまた、現代のアメリカの針のような空気に苦しんでいるようです。

映画『扉をたたく人』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『扉をたたく人』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

シリアへ想いをはせる

今作での最も重要なポイントは、テロ以降のアメリカの政策変更です。
かつて、人種のサラダボウル、あるいはアメリカン・ドリームなどと評され、実力さえあればどんな人種・国籍・性別・年齢であれ夢が掴める国であったはずのアメリカ。(事実、そうであったとは言いませんが、たとえば黒人のスーパースターを最初に世に送り出したのは紛れもなくハリウッドです。)
その国の現在は、こんなにもギスギスしているのだな、と鑑賞して辛くなりました。とくに、テロ事件を起こしたアルカイダ系の組織の出身地である中東諸国への風当たりの強さは、半端ではありません。
拘留されたクレタは、ウォルターに訴えます。
「俺はテロリストじゃねえ。」
その通りです。たまたま派手なことをしたテロ組織の出身国と同じであったからと言って、一緒にされたんじゃたまったもんじゃありません。日本人ならみんな地下鉄にサリンをまくのか。

しかし現在、このクレタと同じような境遇にある人はたくさんいます。イスラム教というだけで、警戒されたり疑われたりしてしまう世界。
しかもシリアは、現在大量の難民問題で揺れています。映画のその後の世界を考えると、胸がつまります。

底抜けに明るいジャンベの音色

ウォルターとクレタの心を繋ぐ楽器として、ジャンベが登場します。これは西アフリカから世界へ広がった、高い音が特徴の太鼓。この楽器は、武骨でシリアスな社会派映画には不釣り合いなほど、明るく軽快なリズムを刻みます。
しかし、西アフリカと言えばかつて、暗い奴隷制の過去のある地域。そんな地域だからこそ、心を明るくする音楽が、こんなにも好まれたのでしょうか?

映画『扉をたたく人』 まとめ

今作で描かれるのは、人種や民族による高い壁と、それを乗り越え友情を築こうとした人々の物語。また、それがどれだけ難しく尊いことであるか、シリアスなストーリーから紡ぎます。
ウォルターとクレタの間に生まれたものは、まぎれもなく友情であり、その固く閉ざした心を叩いたのは、彼の演奏するジャンベの音色だったのかもしれません。

日本も昨今、武装化の必要性などと過激な論争が巻き起こっていますが、こんな風にギスギスした空気の現代だからこそ、今一度見直したい社会派映画です。

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