この記事では、映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 作品情報

- 製作年:2007年
- 上映時間:158分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
- 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
- キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ etc
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 あらすじ【起・承】
1902年のアメリカ西部。
金の採掘に成功したダニエルは、次は石油発掘をして金儲けをしようと企んでいた。
そして思惑通り石油発掘に成功した彼は、大金を手に入れ事業拡大をもくろむ。
しかしその途中仲間を石油の事故で亡くす。
そして彼の息子を引きとり、息子として育てることを決めた。
約10年後。
ダニエルは自他共に認める石油のプロとなる。
石油が発掘できそうな土地を見つけると早めに購入し、見事に掘り当てる山師だった。
周りから見ても彼の才能は凄かった。
ダニエルには息子が1人。
土地売買の交渉の場にHWという名前の息子を連れて行っていた。
お互い不器用ながらもそれなりに仲良く暮らしていた。
そこにヘンリーというダニエルの腹違いの弟だという男が現れる。
いかにも怪しい男だったが、ダニエルは家族として迎え仕事仲間にした。
ある日、ダニエルの元に新たな石油発掘が期待出来そうな土地情報が入る。
すぐさま向かうことにしたダニエル。
そこはカリフォルニアのサンデー牧場だった。
期待を込めてダニエルは、その土地をすぐに手に入れ掘り起こす。
すると今回もやはり石油が発掘された。
味をしめたダニエルは牧場周辺を買い取り、再び大金を手に入れることになる。

映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 結末・ラスト(ネタバレ)
ある日その石油発掘の地で大爆発が起こる。
そこにいたHWはその事故のせいで耳が聞こえなくなってしまった。
可愛がっていたダニエルだったが、耳の聞こえない息子には用が無いと急に冷たく当たり出す。
HWは傷つき、ダニエルを憎むようになった。
そして思い詰めたHWは、ダニエルの家に放火をする。
この事実を知ったダニエルは、HWを家から追放した。
その後、ダニエルはヘンリーの行動に不審な点があることに気がつく。
その疑心は確信に変わりだし、ダニエルはヘンリーを殺すことに。
自分の信用を裏切られた気持ちでいっぱいのダニエルは、銃の引き金を引いた。
ダニエルが買い取った土地の持ち主は、イーライ牧師と言った。
彼は売買契約で手にした金で教会を改装。
そのおかげで教会に通う信者は断然増えた。
事件の後、ダニエルはイーライ牧師の教会を訪れる。
息子を追放したことで評判の悪いダニエルだった。
イーライ牧師の計らいにより村人の仲間入りは出来たが、皆の前で「実の息子を捨てた」と叫ばされるという侮辱を受けた。
その後、仲が復活した親子。
HWはダニエルの元に帰った。
縁がありイーライの娘と結婚したHW。
そこで彼は父にこういう。
「自分で会社を作りたいのだ」と。
これには今までの恩をあだで返されたと激怒するダニエル。
実はHWは養子であり、拾った子供だったと告げる。
「仕事の場に子供がいると有利になることもあるからだ」と。
HWの突拍子も無い願いに呆れて怒ったダニエルは、今度こそ家から追放した。
その後、経営困難で金の無心に来たイーライにダニエルは過去のことを思い出す。
自分が教会で叫ばされた侮辱のことだ。
ダニエルはイーライに「自分は偽預言者だ」と同じように叫ばせ、撲殺する。
ダニエルは「終わった」とぼそっと呟くのだった。
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
本当は家族思いの男
ダニエルは金儲け主義で利己的。
自分と金のことしか考えていないように思える。
実際そうなのだが、実は家族や友人思いの男なのである。
まず仲間が死んだことで、ためらいも無く息子を引き取ってあげる。
それには確かに土地の交渉に子供がいると有利だという計算もあっただろう。
しかしきっとそれだけでは無い。
だからこそ急遽弟だと名乗る怪しい男がやって来ても、話を信じ交渉の場に同行させたわけである。
どこかで家族の絆を求め、誰より人と繋がっていたい、そんな寂しい心の声が映画の中で良く表現されており感動さえする。
ラストシーンが見物
隠居生活をしていたダニエルの元に牧師がやってくる。
金の無心をしにきた牧師に長年の恨みが爆発。
そのくらい許せない屈辱を受けたのだ。
映画を実際に見ていない人は、この文字だけ見ると何故殺したのか?と疑問に思うかもしれないが、作品を見ればわかる。
上手く言葉に出来ない男の心理と情景が、非常に胸にくるものがある。
セットやロケ地の美しさ
石油発掘がメインなので、そんなに背景は華々しくは無い。
しかしこの時代の背景を見事に再現した映像は、美しい。
特に石油発掘時の様子はリアリティーがあり、周囲の環境はノスタルジックなものを感じさせ見事という他ない。
場面があまり変わらないため飽きが来るのも事実ではあるが、そこがより現実的であり説得力がある。
まるでここを知っているかのような臨場感を楽しむ事が出来た。
ダニエル・デイ・ルイスを見るために作られたような作品で、ストーリーは結構退屈で飽きてしまうのですが、主人公のダニエルの人生をとにかくゆっくり、丁寧に描いているのでダニエル・デイ・ルイスという俳優をじっくり楽しみたい方には最高の作品でしょう。
ストーリーは「石油」と「ダニエル」という一人の男を軸に進んでいきます。石油によって成功に、石油によって狂ってしまった彼の人生。なんとも言えない複雑なラストですが人間らしさや人間の欲を強く感じる作品でした。(女性 30代)
ダニエル・デイ=ルイスの怪演に尽きる。石油のためにすべてを犠牲にする男・プレインビューの姿は、狂気と執念の化身そのもの。息子H.W.との関係が崩壊していく過程は、まさに人間の孤独の象徴。ラストでイーライを殺すシーンは衝撃的だが、それまでに積み重ねられた緊張と虚無があってこそ成立している。アメリカ資本主義の闇を見事に描いた傑作。(30代 男性)
最初の30分、ほとんどセリフがないのに目が離せなかった。音楽と映像だけで語られる“欲望の芽生え”が圧巻。ダニエル・デイ=ルイスの演技はまるでドキュメンタリーを見ているかのようなリアリティ。息子への愛情が歪み、やがて支配欲に変わる過程が痛々しい。人間の「成功」と「孤独」をここまで生々しく描いた映画は他にないと思う。(20代 女性)
宗教と資本、信仰と欲望。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は、その二つの対立を極限まで描き切った映画だ。プレインビューとイーライの関係は、まさにアメリカの象徴。表面的には成功物語に見えるが、内面は絶望そのもの。最後に彼が「I’m finished.」と呟く瞬間、彼の人生すべてが崩壊したことを悟る。まさに“人間の終焉”を描いた作品。(50代 男性)
この映画を初めて観たとき、正直よくわからなかった。でも何年か経って再見すると、その重みがずっしりと伝わってきた。音楽が不穏で、風景が荒涼としていて、プレインビューの心の中そのものを表している。息子との別れのシーンでの静けさが逆に残酷。何かを手に入れるたびに、人としての大切な部分を失っていく姿が恐ろしくも美しい。(40代 女性)
アメリカンドリームの裏側に潜む狂気を、これほど徹底的に描いた映画はない。プレインビューの成功は、まさに“血と油”の上に築かれたもの。イーライとの宗教的対立も見応えがあり、信仰を金でねじ伏せるラストには鳥肌が立った。ポール・トーマス・アンダーソン監督の演出が完璧で、セリフの少ない中にも緊迫感が満ちている。傑作中の傑作。(30代 男性)
プレインビューが息子を“利用していた”ことを自覚する瞬間が、この映画の真の地獄。成功の代償として失ったものがあまりにも大きい。宗教家イーライを殺したあと、虚無だけが残る彼の姿は、人間の究極の孤独を象徴している。映像は美しく、音楽は狂気的で、すべてが完璧に噛み合っている。観るたびに新しい恐怖と発見がある映画。(20代 男性)
正直、最初は“地味な映画”だと思った。でも観進めるうちにどんどん引き込まれていく。ダニエル・デイ=ルイスの目の演技が怖すぎて、まるで悪魔のよう。金に取り憑かれ、神を嘲笑い、最後には誰もいなくなる。その結末に、現代社会の虚しさを見た。静かだけど圧倒的にパワフルな作品。観終わったあと、長い沈黙が訪れる映画。(40代 男性)
映像の美しさと暴力性の対比がすごい。石油が吹き出すシーンの興奮と恐怖は、生命の誕生と破壊を同時に感じさせる。音楽も異様で、観ている側を不安にさせるほど緊張感がある。人間の欲望がいかに世界を動かし、同時に自滅させるかを突きつけてくる。これを単なる“石油王の話”だと思って観たら痛い目を見る哲学的映画。(30代 女性)
息子との絆が崩れるシーンが一番つらかった。プレインビューは愛していたはずなのに、支配と孤独がそれを壊してしまう。あの無言の別れは、言葉より重い。最後に彼が「終わった」と言うのは、人生そのものを終えたという意味なんだと思う。狂気と悲哀の混ざったラストに震えた。ダニエル・デイ=ルイスの演技はまさに芸術。(50代 女性)
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を見た人におすすめの映画5選
ノーカントリー
この映画を一言で表すと?
暴力と運命が交錯する、アメリカの“暗黒のリアリズム”を描いた傑作サスペンス。
どんな話?
西テキサスの荒野で起きた麻薬取引の金を巡り、男たちの運命が狂っていく。冷酷な殺し屋アントン・シガーが放つ不条理な暴力と、老保安官の無力感を通して、アメリカ社会の虚無を鋭く描き出します。沈黙と余白が深い意味を持つ、コーエン兄弟の代表作です。
ここがおすすめ!
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と同じ2007年公開のアメリカ映画の金字塔。どちらも“人間の本質的な悪”と“運命の不可解さ”をテーマにしています。映像は静謐でありながら、観る者を突き放す冷徹さが圧巻。ダニエル・デイ=ルイス作品の余韻をそのまま味わえる傑作です。
マグノリア
この映画を一言で表すと?
人間の孤独と赦しを、圧倒的スケールで描いた群像ドラマの最高峰。
どんな話?
ロサンゼルスを舞台に、人生の岐路に立つ複数の人々の物語が交錯していく。成功、絶望、赦し、偶然と必然……それぞれの人生が壮大な“人間交響曲”として描かれていきます。神の存在、運命、そして愛を問うポール・トーマス・アンダーソン監督の傑作。
ここがおすすめ!
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と同じ監督による作品で、人間の“内面の渇き”をより繊細に描いています。3時間を超える長尺ながら、一人ひとりの感情が絡み合う構成は見事。神話的な世界観と人間ドラマの融合が心を震わせます。
アメリカン・サイコ
この映画を一言で表すと?
成功と狂気が紙一重——“資本主義の闇”を描いた衝撃のサイコドラマ。
どんな話?
ニューヨークのエリート金融マン、パトリック・ベイトマンは完璧な外見と地位を持つ男。しかしその裏では、異常な暴力と狂気を抱えていた。次第に現実と妄想の境界が崩れ、彼の中の“空虚な成功”が露わになっていく。
ここがおすすめ!
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のプレインビュー同様、欲望と孤独に支配された男の物語。金と地位を求める現代の“怪物”を描いた、冷徹で皮肉な映画です。クリスチャン・ベイルの狂気的な演技は必見。人間の虚無を極限まで描いた問題作。
ザ・マスター
この映画を一言で表すと?
支配と信仰、そして魂の救済を描く、ポール・トーマス・アンダーソンのもう一つの傑作。
どんな話?
戦争帰りの男フレディは、謎の宗教団体の教祖ランカスター・ドッドと出会う。信仰と支配、依存と解放——二人の歪んだ関係が、アメリカという国そのものの狂気を象徴していく。哲学的で重厚な心理ドラマです。
ここがおすすめ!
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と対をなすテーマを持つ作品。両者とも「人間を支配するものは何か?」を問い続けています。ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンの圧巻の演技が、まさに魂のぶつかり合い。静かで暴力的な感情が心に残ります。
ツリー・オブ・ライフ
この映画を一言で表すと?
“人間とは何か”を詩的に描いた、映像と哲学の融合。
どんな話?
1950年代のアメリカ中西部。少年ジャックの成長を軸に、父との葛藤、母の愛、そして人生の意味が描かれる。やがて彼の人生は、宇宙の誕生や自然の摂理と重なり合っていく。テレンス・マリック監督による壮大な映像叙事詩です。
ここがおすすめ!
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と同じく“自然の力”と“人間の傲慢”を対比的に描いた作品。映像美が圧倒的で、光と影、音と沈黙が哲学的意味を持ちます。難解だけれど、人生について静かに考えさせられる深い一本。観る者の感性を問う究極の映画です。






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