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映画『小さな悪の華』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『小さな悪の華』の概要:「私達は身も心もサタンに捧げる」――カトリック系の学校へ通いながら悪魔を崇拝し、色んな悪事に興味津々の少女・アンヌとロール。やがて2人は好奇心から罪を次々と重ねていく。タブーを侵し続ける少女達の向かう先は倖せか、それとも破滅か。

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映画『小さな悪の華』の作品情報

小さな悪の華

製作年:1970年
上映時間:103分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ジョエル・セリア
キャスト:カトリーヌ・ヴァジュネール、ジャンヌ・グーピル、ベルナール・デラン、ミシェル・ロバン etc

映画『小さな悪の華』の登場人物(キャスト)

アンヌ(ジャンヌ・グーピル)
黒髪が特徴の、裕福な家に住む少女。何一つ不自由のない環境ではあるが、両親からはあまり関心を持たれていないことが原因か、家の中では常に虚ろな瞳をしている。唯一彼女が生きがいにしているのは親友のロールとの時間で、互いに神の教えに背くような行為に興味を抱く。仕舞いには窃盗や小動物殺害、放火、殺人とあらゆる悪事を心の底から楽しむようになる。
ロール(カトリーヌ・ヴァジュネール)
アンヌの親友で、こちらはごく一般的な家庭の娘。アンヌとは対照的な金髪が特徴。アンヌと同じように、両親とはどこか距離を持つ。アンヌとは互いに依存気味な程に親しい間柄であり、かけがえのない存在。大人達を性的に陥れることが多い。
エミール(ジェラール・ダリュー)
牧場の牛飼いをしている中年の男性。その気はなかったものの、アンヌとロールにたぶらかされるままロールに襲いかかる。

映画『小さな悪の華』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『小さな悪の華』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『小さな悪の華』のあらすじ【起】

黒髪の少女・アンヌと、金髪の少女・ロール。2人は親友同士で、カトリック系の寄宿学校へ通いながらも「悪事」への強い憧れを抱いていた。罪を犯すことが使命であり、善良な市民を見下し、自分達はサタンの信者だとアンヌは日記に書き留める。そして夜な夜な2人は同じベッドにて、官能小説を読み耽るのが日課だ。

ロールは一般的な庶民の家庭の娘で、アンヌは裕福な家柄の娘。まるで対照的な2人。只、共通しているのはアンヌもロールも両親からあまり関心を持たれていないこと。アンヌは金銭的には恵まれた環境に置かれているにも関わらず、その不満をぶつけるかのように隠れて煙草を吹かし、常に鬱屈とした表情を浮かべている。しまいには飼い猫に虐待めいた行為まで働く始末。

翌日、学校では朝の礼拝(聖餐式)が行われる。司祭の話の中で語られた「七つの大罪」、それにおいてもっとも罪深いのは「色欲」だという。それを聞いて、思わず吹き出すロール。アンヌの目にも、「姦通してはならない、わいせつなものには決して近寄らないこと」と熱心に語る司祭の姿がまるで滑稽なものにしか映らず、彼女の想像の中での司祭は、全裸で説教をし、皆の笑い者にされている。ロールと同じように、司祭の言葉を嘲笑うアンヌ。最後、アーメンの言葉と共に食さなくてはいけない「ホスティア」(カトリックの教会で使われる、ウエハース状の聖別されたパンの欠片)を渡され、食べるふりをしてこっそり吐き出し、何やら缶に詰めている2人。それが、彼女達のキリスト教に対する答えでもあり後のある「計画」への布石であった。

ある日、もうあと3日で夏休みに入るという時。悪魔に身も心も捧げると決めた2人の、悪事に向けての密やかな計画が動き始める。そんな晩、アンヌとロールは偶然覗き見したシスター・マルタの部屋でシスターが女性同士で接吻を交わしている場面を目撃してしまう。早速アンヌは、偽りの涙を浮かべ、自分を戒めるような言葉と共に神父にそれを告げ口しにいく。神父にその光景を見てどう思ったかと問われ、いけない行為だと飽くまでも模範的に答えるアンヌ。その光景は忘れなさいと言われるも、アンヌ達の好奇心は留まることを知らなかった。

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映画『小さな悪の華』のあらすじ【承】

学校が夏休みに入り、2ヶ月間アンヌの両親が長期の出張に出かけてしまう。早速アンヌはロールの家へと向かい、まずは彼女と牛飼いの男エミールの元へ向かう。立ち小便中の彼を見てクスクスと嘲笑する2人。彼の了解を得て、柵を越えて牧場内へと入るやエミールに話しかけるアンヌ。アンヌは友人のロールを紹介し、同じ学校同士だと語る。エミールは学校へ通える君達が羨ましい、自分も勉強を学んで司祭になりたかったと言うがそれを「結婚できないわよ」と鼻で笑う2人。果ては「女と寝たことはある?」とませた質問をするアンヌ。子供のする話じゃない、とあしらうエミールだったがその矢先、飼っていた牛が逃げ出そうとしてしまう。慌てて追いかけるエミールを見つめながら、何やらひそひそと耳打ちし合うアンヌとロール。好奇心という名の無邪気な悪意が、彼女達の心を狂気へと誘った。

やがて牛を捕まえ戻ってくるなり腰を下ろしたエミールの前で、ロールはわざと脚を広げるようにして倒れ込み、スカートが捲れ下着が露わになるよう扇状的な態勢を取り始める。その隣でニヤニヤと成り行きを見つめるアンヌ。初めは見て見ぬふりをしようとしていたエミールに、アンヌは「ロールがね、貴方としてみたいって」と挑発的な言葉を投げかける。ふざけるな、と一蹴するエミールだったがその白い脚を艶めかしく動かしながら下着を脱いであからさまな色仕掛けを働くロール。何を待っているの、とせせら笑いながらエミールを煽るアンヌ。冷静さを保っていたエミールだったが、やがて理性が決壊しロールを襲おうとする。その様子を見て殊更おかしそうに笑い声を上げるアンヌ。しかし、自らそのような行為を仕向けながら、いざエミールに押し倒されると「やめて!」と全力で抵抗するロール。彼女を蹂躙し、無理やり犯そうとするエミールの股間を蹴り飛ばす。そして、その隙に逃げ出してしまう。更にはその隙に、彼の飼っていた牛を逃がすアンヌ。アンヌとロールは大人をからかって楽しんだこと、キリスト教が嫌う色欲という概念に対し禁忌を侵したこと、それらの喜びからか、楽し気に自転車に乗って道を走り去って行くのだった。

悪魔に心を捧げた2人の行為は更に加速する。アンヌの家で雇われている精神薄弱を抱える庭師がいない隙に、彼が飼っている小鳥達を殺してしまおう。でも一気には殺さない、1度に殺してしまっては庭師が悲しむのは1回きりだから――そう言って、毒の入った餌を1匹の小鳥に食べさせ、小鳥は苦しみもがいた末に死んでしまう。やがて庭師が戻ってきたので逃げ出し、彼の様子をこっそりと覗き込む2人。庭師は小鳥が息をしていないのに気付き、嘆き、そっとその死骸を撫でながら悲しみに暮れる。その姿を見てやはり可笑しそうに笑い合うアンヌとロール。ことごとく神を冒涜し、壊し尽くし、強奪し、大人達を弄ぶ2人だったがもっともっと悪事を楽しみたい――やがてアンヌは語る、ロールと過ごせる最高の夏休みだと。毎日2人で楽しいことばかり。2人の少女は飽くまでも純粋な心のままに、背徳の道を辿ってゆく。

映画『小さな悪の華』のあらすじ【転】

次に彼女達が行ったのは、教会の神父の家に放火する。美しい程に明々と燃え上がる炎の中、自転車で逃走するアンヌとロール。家に戻り、ボードレールの『悪の華』の詩を読み上げ、一生こうしていたい、と寄り添い合う2人。詩にはこうある。「殺してはならない、死んでしまっては苦しみを味わえない。許しておくれ。儚い人生が終われば一緒になれる」――2人の少女にとって、曰く「最良の日」が明日へと近づいていた。彼女達がずっと計画していたとある儀式。それは「黒ミサ」、いわゆるサタン崇拝の儀でカトリック教に反発する最も冒涜的な行いであった。

儀式の日、悪魔崇拝とは思えないような清らかな白い装束を身に纏い花冠をつけた少女らは、先の庭師の男を司祭に見立て、「キリストを捨て、永遠にサタンに身を捧げる」と告げ両手を合わせ祈りを捧げる。そして指先を硝子片で切ると、互いにその血を舐め合い、この日のために集めて置いたホスティアを口にし、邪悪の名の元に契約を交わすのであった。儀式の直後、庭師の男を湖に突き落とし、そのざまを幼い子供のように笑い合う2人。

そんなある日、ロールは本意ではないが家族と旅行へ出かけることとなりアンヌにしばらく会えなくなってしまう。旅先からアンヌの元へ届くロールからの手紙には、「私にはやっぱりアンヌがいないと駄目なの」と書かれていた。深く依存し合う2人。アンヌもアンヌで、彼女に会えない寂しさから情緒不安定になり、庭師の小鳥を素手で絞め殺した後に1人で泣くのだった。

やがてロールが帰ってくると、再び禁断の遊びは始まった。ある晩、自転車を漕いでいた2人はガス欠のせいで立ち往生している男性を発見する。近くの町へは遠く、全く人気もないせいで困り果てているという男性に、アンヌの屋敷へと誘う2人。迷惑はかけたくないと言う男性に、どうせ私達しかいないから車に鍵をかけてうちへ泊まればいいと優しい言葉を投げかける。それが悪魔の囁きである等とは露知らず、男性は有難いとその厚意に感謝する。それが悲劇の引き金になるとも知らずに。少女達にすれば、その男性は新しい玩具でしかないのだった。

映画『小さな悪の華』の結末・ラスト(ネタバレ)

男性を屋敷に上げた後、アンヌとロールはわざと彼の前で服を脱ぎ始め、下着姿になり彼の前に座り込む。酒を振る舞い、2人は男性に話しかけ始める。男性は妻がおり、子供が2人いてとても愛していると言う。そんな男性に対し、かつて牛飼い・エミールにした行為と同じよう猥褻な質問や、扇状的なポーズを見せつけ弄ぼうとし、困惑する男性。それから暖炉の火が消えかかったので薪を取ってくる、とその場を後にしたアンヌ。ロールが1人になったのを見計らうよう、初めは紳士的に振る舞っていた男性も性的興奮を覚えロールを押し倒し強引にキスを迫る。激しく抵抗し暴れるロールに気付き、慌てて戻ってきたアンヌは男性の後頭部を薪で殴打する。男性は出血し倒れ、動かなくなる。息をしていないのを確認し、殺しちゃった、とアンヌは呟く。少女らの悪意はいよいよ殺人という最大のタブーにまで及んでしまうのであった。陽が昇り始めた頃、男性の遺体を湖に沈める2人。

翌朝、屋敷が荒らされていると使用人がアンヌに伝えに来るがアンヌは知らないふりをし、表沙汰にはしないよう口止めする。

やがて学校が始まり、警察も動き出しアンヌとロールは事情聴取にあうようになる。これまでの悪事も全てばれるだろう。このままでは刑務所行きになり、離れ離れになってしまう。そんなことだけは絶対にあってはならない。私達は離れたくない、血の契りで永遠に結ばれたのに……抱き締め合う2人。そして思い出す、ボードレールの詩を。「儚い人生が終われば一緒になれる」――死体はいずれ見つかるだろう、しかしロールを不安にはさせたくない。アンヌはその一心で、刑事に1通の手紙を送る。9月4日、学芸会の日にロールと自分は詩の朗読を披露するので是非見に来て欲しい、と。アンヌのその文章の裏にはロールと別離したくないがためのある目的が潜んでいた。

来たる学芸会の日。生徒や保護者等の人々で賑わうホールの中、天幕が上がり催しものを楽しむ観客達。そしていよいよ、アンヌとロールの朗読の時が訪れた。2人が読み上げるのは彼女達が日頃から好んでいたボードレールの詩。2人のまるで穢れを知らぬ、呼吸を合わせるかのような読唱に思わず拍手喝采を送る観衆の群れ。しかし、朗読が終わった後、2人は本来の予定には無かった筈の詩を読み上げ始める。プログラムと違うわ、と慌て始めるシスター達だったが少女らの声は続く――「地獄でも天国でも構わない。新しきものを探し続ける」……2人は詩を読み終え礼をした直後、客達からは拍手と共に歓声が起こる。そうしてそれから――少女達は自らの身体に可燃性の液体を浴びせ、炎を灯し焼身自殺を図る。歓声がたちまち悲鳴へと成り替わり、逃げ惑う人々。アンヌとロールは身を焦がしながらも互いに抱擁しあい、その炎は天幕を焼き尽くすまで燃え上がる。深紅の炎に包まれながら、アンヌとロールは皮肉なことにも「死」を以て本当の意味で一緒になれた。これからは決して離れることがないように……。

映画『小さな悪の華』の感想・評価・レビュー

無邪気という名の邪悪さ程、恐ろしいものはない。まるで子供が虫を殺し、遊ぶかのような純粋が故の悪行。2人の無垢な魂が惹かれ合い、やがて彼女達だけの箱庭の中でイノセントな悪に囚われてしまった少女達の悲哀に満ちた末路。彼女達の行為は許されるものではないが、痛烈な愛を貫く2人の姿は酷く悲しい。全編に渡り流れるゴシック的で美しい音楽も相まって、耽美な雰囲気が印象に残る。なお、反宗教的な内容のためか一部の国では上映禁止までされたという。(MIHOシネマ編集部)


本作は、カトリック系の学校へ通いながらも悪魔を崇拝し、好奇心から悪事をはたらく15歳の少女アンヌとロールの行く末を実話を基に描いたヒューマンドラマサスペンス作品。
少女特有の遊びや親密で無邪気、そして美しくも儚い雰囲気がゴシック的で底知れない怖さや狂気を感じた。
彼女たちが悪に手を染めていく姿や、ラストの衝撃が忘れられない。
身体に火をつけた少女たちは、果たして自分たちが施してきた悪に気づくことができるのだろうか。(女性 20代)


ダークで美しい世界観が魅力的な今作。無邪気な子供の行動だからと侮ってみているととてつもなく衝撃的で、言葉を無くしてしまいました。
好奇心旺盛なことは悪いことではありません。しかし、彼女たちの行動は度が過ぎていてとても褒められるものでは無いでしょう。でも彼女たちにとっては悪こそが幸せで、楽しくて何の疑いもなかったというストーリーなので、大人の「常識」で彼女たちを悪だと決めつけるのも違うのかなと思ってしまいました。
ラストまでしっかり衝撃的で見終わった時にはどっと疲れて脱力してしまいました。(女性 30代)

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