映画『地球の静止する日』の概要:『地球が静止する日』(2008年)の元となった1951年制作のモノクロ映画。ある日、宇宙船で地球に舞い降りたクラトゥ。人間と変わらない姿の彼は、全世界に向けてあるメッセージを伝えようとしていた。
映画『地球の静止する日』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:SF
監督:ロバート・ワイズ
キャスト:マイケル・レニー、パトリシア・ニール、ヒュー・マーロウ、サム・ジャッフェ etc
映画『地球の静止する日』の登場人物(キャスト)
- クラトゥ(マイケル・レニー)
- 人間と変わらない姿をした宇宙人。宇宙船で5か月もかけて地球にやって来て、ワシントンD.C.の公園に着陸する。世界中に向けて、あるメッセージを伝えることが目的だった。相棒のロボットのゴートは彼の警護をしている。見た目は40代だが、宇宙年齢では78歳。
- ヘレン・ベンソン(パトリシア・ニール)
- クラトゥが住む宿屋の住人。夫は第二次世界大戦で戦死し、息子のボビーと2人で暮らしている。トムという恋人がいる。
- バーンハート博士(サム・ジャッフェ)
- 科学者。クラトゥが高度な天体力学の数式を解くのを見て、彼が宇宙人であることを信じる。彼に協力して、全世界の科学者を集める。
映画『地球の静止する日』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『地球の静止する日』のあらすじ【起】
ある日、未確認飛行体が時速6500メートルの速さで、地球に近づいてきた。そのニュースは全世界を駆け巡り、人々は恐怖を感じ始めた。その飛行体はアメリカのワシントンD.C.にある公園に上陸。警察や軍隊が総動員で公園に集結すると、丸い宇宙船を包囲し、野次馬もたくさん集まった。
皆が固唾を飲んで見守る中、宇宙船の扉が突然開いた。その中から、人間とよく似た姿の宇宙人が降りてきて、「平和のためにやって来た」と言った。すると兵士の一人が驚いて発砲し、宇宙人に命中する。次の瞬間、宇宙船から大きなロボット・ゴートが現れると目から光線を発射し、銃や戦車をあっという間に溶かした。
クラトゥは病院で検査をして、地球人と全く同じ構造であることが判明。彼は大統領補佐官に、重要なメッセージを伝えるために、すべての国の代表と話したいと言った。しかし補佐官は、世界は紛争や戦争などで緊張状態にあり、一同に集めることは不可能だと答える。クラトゥは単独で行動するため、病院を抜け出すことにした。
映画『地球の静止する日』のあらすじ【承】
宇宙人クラトゥが逃亡したニュースは全世界で報道され、人々は不安となった。しかし、普通の人間と変わらない姿の彼は、街を歩いても誰も彼を宇宙人だとは気づかない。彼はカーペンターという偽名を使い、近くの宿屋に宿泊する。そこには未亡人のヘレンが、小学生の息子ボビーと住んでいた。
翌日ボビーは、クラトゥをワシントンD.C.の名所へと案内した。始めは国営墓地に連れて行き、第二次世界大戦で戦死した父の話をした。いつか映画館に行こうと約束すると、クラトゥはポケットからダイヤモンドを取り出し、ボビーの2ドルと交換した。
その後2人はリンカーン記念堂へ行った。「人民の人民による人民のための政治」というリンカーン大統領の名言を見て、クラトゥは感心をする。公園に寄ると宇宙船の周りは人だかりとなっており、クラトゥは素知らぬ顔でテレビの取材を受けた。
クラトゥは帰りに科学者のバーンハート教授を訪問。教授は留守だったが無断で侵入し、黒板に書かれた天体力学の数式を勝手に修正して帰った。帰宅した教授は黒板を見て、数式が正しく改変されていることに驚き、使いの者にクラトゥを呼びに行かせた。
映画『地球の静止する日』のあらすじ【転】
クラトゥは教授の家に案内され、自分が宇宙人であることを告白する。好奇心旺盛な教授は軍に報告せず、彼の話を聞き入った。クラトゥは地球人に向けて、ある警告に話しに来たのだと言い、各国の代表に集めてほしいと言った。教授は各国の科学者や各分野の代表なら集められると言い、声をかけることを約束する。
教授は約束をする代わりに、人類を動かすためにもクラトゥの星の威力を見せてくれと頼んだ。するとクラトゥは、明日の正午にその力を見せることを約束。彼は宿に戻ると、ボビーから懐中電灯を借りて、夜の公園へ向かった。
ボビーはクラトゥを尾行していたが、クラトゥが懐中電灯を使ってゴートに指令を出し、警備員を倒す様子を目撃する。慌てたボビーはすぐに家に帰り、母とトムにその様子を伝えるが、信じてくれなかった。トムはカーペンターを探るため彼の部屋に入り、ダイヤモンドを発見した。一方クラトゥは、宇宙船のコンピューターを起動し、あるプログラムをセットした。
映画『地球の静止する日』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌日、クラトゥはヘレンの職場を訪れ、2人でエレベーターに入った。するとちょうど12時となり、エレベーターが停止した。彼は教授との約束通り力を見せるため、全世界の電力を30分間停止させたのだ。電車もバイクも船も全て止まり、地球は静止した。
世界中が混乱に包まれたが、30分後には全ての電力が再開した。国防総省はクラトゥの行動を攻撃だと誤解し、警戒感をより強めて彼の逮捕命令を出した。一方トムは、ダイヤモンドが地球には存在しない成分であることを突き止め、クラトゥを捕まえようとした。ヘレンは何もするなと訴えたが、トムは聞く耳を持たなかった。
その夜、軍隊は攻撃準備を開始。クラトゥはヘレンと一緒にタクシーで移動中、軍隊に銃で撃たれて致命傷を負った。彼は倒れながら彼女に、宇宙船に行きゴートに向かって、「クラトゥ、バラダ、ニクトー」と唱えろと言った。
ゴートはクラトゥの危機を感知し、軍に向けて猛攻撃を開始していた。そこへヘレンが到着しゴートにあの言葉を唱えると、ゴートは攻撃を止めて、彼女を抱えて宇宙船に入った。ゴートは再び外に出て死んだクラトゥを連れ戻し、蘇生手術を開始した。
宇宙船の前には、教授が集めた世界中の科学者が待機していた。蘇生したクラトゥは彼らの前に姿を現し、地球が暴力を拡大すれば、我々には消滅させる力がある、と演説をした。平和に暮らすか消滅するかは、あなたたち次第であると話し終えると、クラトゥは宇宙船に戻り、地球を去って行った。
映画『地球の静止する日』の感想・評価・レビュー
キアヌ・リーブスの「地球が静止する日」の原作となった映画。「地球が…」では、宇宙船の中の卵のような物体から、キアヌ・リーブスがぬるっと出てきたシーンは衝撃的だった。宇宙人が地球人と同じ姿であるという設定は、原作に忠実だったようだ。1951年は終戦から6年が経過し、世界情勢は分断の時代を迎えていた。映画の中では具体的な国名を挙げないものの、核兵器に反対をし、戦争や紛争を批判する強いメッセージが込められていた。(MIHOシネマ編集部)
反戦態勢をSFという形で切り取った映画なのだと思う。思いっきり社会派でありつつ、ロボットのゴートの未知さや神聖さにはどんどん引き込まれていった。50年代のSFでもチープな感じはせず、むしろ少し恐怖すら感じるシーンがあった。
印象的なのはヘレンがゴートに初めて遭遇するシーンである。未知の物体に慄き、声ひとつ上げずに一歩一歩後ろへ退いていく様子は、単に叫ばせないことで恐怖を演出している素晴らしいシーンだと思った。古典映画にして完成度高めの見応えがある作品だ。(女性 20代)
キアヌ・リーブス主演の『地球が静止する日』がつまらなすぎてもう二度と見たくないと思っていたのですが、こちらが原作と言うことで気になって鑑賞しました。
シナリオはほとんど同じなのですが、何故か今作はとても面白く見られました。ロボットがロボットらしくて可愛らしいし、子供たちと遊ぶ姿も微笑ましく思えてしまいます。
これからキアヌ・リーブスの『地球が静止する日』を見る方はこの原作を先に見ることをオススメします。作品の印象が大きく変わることでしょう。(女性 30代)
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