映画『トータル・リコール(1990)』の概要:何不自由ない幸せな生活を送りながら、毎夜火星の夢にうなされる男、ダグラス。だがリコール社での「記憶旅行」を申し込んだのをきっかけに、自分の人生が全て作りものだったことを知り、命を狙われる身となる…。
映画『トータル・リコール』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:SF、アクション
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド etc
映画『トータル・リコール』の登場人物(キャスト)
- ダグラス・クエイド / ハウザー(アーノルド・シュワルツェネッガー)
- ダグラス・クエイドは地球の掘削現場で働き、美しい妻を持つごく普通の男。毎夜火星の夢を見て、自分の人生が本物ではないような気がしている。
ハウザーはダグラスが記憶を消される前の存在。機関の一員として働いていた。 - メリーナ(レイチェル・ティコティン)
- ダグラスの夢に繰り返し出てくる、ブルネットの髪の女性。
- ローリー(シャロン・ストーン)
- ダグラスの妻。火星に興味を持つダグラスを心配しているようだが、実は機関から派遣されたダグラスの見張り役。
- コーヘイゲン長官(ロニー・コックス)
- 火星のエネルギー鉱石発掘によって、絶大な権力を得た。ピラミッド鉱山について何かを知っており閉鎖中。反乱分子に対し、強硬な姿勢をとっている。
- リクター(マイケル・アイアンサイド)
- コーヘイゲン長官の部下。ダグラスを執拗に追い続ける。ローリーとは機関の仲間で恋人でもある。
- クアトー(マーシャル・ベル)
- 火星の反乱分子のリーダー。エイリアンの遺跡という噂のあるピラミッド鉱山を解放するため戦っている。超能力を持っており、その正体は不明。
- ベニー(メル・ジョンソン・Jr)
- 火星で働く陽気なタクシー運転手。片手がミュータント化している。
映画『トータル・リコール』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『トータル・リコール』のあらすじ【起】
未来の地球。人類は火星に入植し、そこから取れる鉱石をエネルギーとして使っているが、稼いではクアトー率いる反乱分子が火星のピラミッド鉱山の稼働を求めて反逆活動を行っていた。ピラミッド鉱山にエイリアンの遺跡があると主張する反乱軍に対し、政府は軍事強化を行っている。ダグラス・クエイドは毎晩のように火星の夢を見ていた。夢の中ではブルネットの髪の見知らぬ女性と自分が火星を歩いているのだ。妻のローリーはただの夢だと言うが、ダグラスは自分の今の生活が本当の自分ではないような気がしていた。
ある日、ダグラスは「夢内でバカンスを体験させる」というリコール社の広告を目にする。友人には反対されるが、ダグラスはリコール社に足を運んだ。ダグラスは夢で見たような火星で女性とスパイ活動をする夢をリクエストし、眠りに就く。しかしスタッフたちが処置をする前にダグラスが暴れ出した。彼は火星に行ったことがあり、その記憶を機関に消されていたのだ。
映画『トータル・リコール』のあらすじ【承】
リコール社での記憶を消されたダグラスが仕事場に戻ると、友人と武装した男たちに襲われる。知らないはずの武術で彼らを殺したダグラスは、パニックのまま帰宅した。ローリーに事情を話すと、ローリーは医者を呼ぶと言い出し、誰かに電話した。すると部屋が暗くなり、ダグラスは何者かに襲われる。反撃して捕まえたその襲撃者は、なんとローリーだった。ローリーは結婚生活が機関によって作られた偽の記憶であること、自分はダグラスの監視役だったことを告げる。そこへ、ローリーの連絡で機関の手の者が追ってきた。ダグラスは必死でそこを逃げ出す。
ダグラスを取り逃がした機関のリクターは、コーヘイゲン長官から「ダグラスは殺さず、もう一度記憶を入れ直せ」と指示を受ける。一方ダグラスは謎の男から電話を受け、頭に発信装置が埋め込まれていることを知る。ダグラスは男からかばんを受け取り廃屋へ逃げ込む。かばんにはスパイ道具やパスポートなどが入っていた。ハウザーと名乗る、自分と同じ顔の男からのビデオメッセージも見つける。ハウザーは機関を裏切って記憶を消されたのだと語り、機関壊滅のカギを握る火星へ飛ぶように告げる。ハウザーの指示で頭の発信装置を抜き取ったダグラスは、追手を逃れ火星へ向かう。
映画『トータル・リコール』のあらすじ【転】
ダグラスはスパイ道具で変装し、火星に到着した。火星は空気が薄く屋外では生きられないため、人々は空気を供給されたドームの中で生活していた。ダグラスはハウザーから指定を受けたホテルで、「最後の楽園」という娼館でメリーナに会うよう書かれたメモを受け取る。タクシー運転者のベニーに案内してもらう。
巷にはミュータント化した住人たちが多くいた。放射能漏れが原因だと言う。「最後の楽園」についたダグラスは、メリーナに会う。メリーナは反乱分子の一員で、かつてハウザーと恋人だったのだ。メリーナは「反乱軍の内部に入り込むために自分を利用した」と責める。ダグラスは記憶を消されてしまったことを告白する。
ダグラスの部屋に医者を名乗る男とローリーが現れる。医者は今起こっていることは現実ではなくリコール社の見せる夢なのだと説得する。混乱するダグラスだったが、医者の顔に汗がにじむのを見て嘘に気づく。そこへメリーナが突入し、ダグラスを救った。ダグラスはローリーを射殺する。
ダグラスとメリーナ、タクシー運転手のベニーはクアトーに会うため、「最後の楽園」の抜け道を進む。店は銃撃戦となり、コーヘイゲンの指示で地区の空気供給が断たれた。
映画『トータル・リコール』の結末・ラスト(ネタバレ)
ダグラスはクアトーに会う。彼は別のメンバーの腹に寄生したミュータントだった。クアトーはピラミッド鉱山にコーヘイゲンが隠している秘密を知るため、ダグラスの記憶を探る。ピラミッド鉱山にはエイリアンの遺した謎の装置があり、これが火星に空気を生み出すカギだった。そこへ機関の者達がやってきた。ベニーが裏切ったのだ。リクターはクアトーを射殺する。クアトーは死の間際、ダグラスに「リアクターを作動させろ」を言い残す。
ダグラスとメリーナは捕まり、今までのダグラスの行動はコーヘイゲン長官とハウザーが計画したものだったことを知らされる。わざと自分の記憶を消し、クアトーに近づく計画だったのだ。2人は記憶を消されそうになるが、何とか逃げだしピラミッド鉱山へ急ぐ。2人は追ってきたベニーやリクター達を倒し、装置のリアクターにたどり着いた。そこにはコーヘイゲン長官がおり、手りゅう弾を持っていた。
ダグラスがリアクターを作動させるが、手りゅう弾が爆発、外壁が破れる。まずコーヘイゲンが外に投げ出され、空気不足により死亡。メリーナとダグラスも外に投げ出されてしまう。しかしエイリアンの装置が発動し、ピラミッド鉱山は地下の氷を溶かして酸素にし、一気に噴き出した。ダグラスたちも空気を得て一命を取り留めた。ドームの窓が割れ、火星には青い空と空気が広がっていた。
映画『トータル・リコール』の感想・評価・レビュー
今では決して不可能じゃなくなった火星移住をテーマにした作品。
しかし、そこには人権を持てる社会的なテーマを内包し、主人公は二重スパイという少し複雑な立場に置かれます。
最初に持っていた記憶は偽物で、実は反乱分子の中に入ってリーダーを殺すという使命を帯びていたというミスリードは非常に面白い。
当然のように主人公を演じているアーノルド・シュワルツェネッガーが素晴らしい。
アクションでの強さはもちろん、時に見せるコミカルな演技もまた面白い。
ミュータントたちが迫害される様相も決してフィクションではなく、地球の歴史で何度も繰り返された事実で、これが火星になっても行われている皮肉も効いていました。(男性 30代)
1990年代に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演のSF映画。火星移住がテーマになっており、主人公は記憶を抹消されているのだが、火星を歩く夢を見た事からとある機関に追われる事となるという展開。この当時にしては、設定もしっかりと構築されており、宇宙事業などがより具体化してきている近年、安易に空想上の話として終わらせられない内容ではないだろうか。世の中が進んでいくにつれ、こういった作品を見返してみるのも、当時とはまた違った楽しみ方が出来るのだと感じた。(男性 30代)
記憶をなくしたスパイが裏切る、というストーリーだが、全てリコール社の夢だったというオチにしても、全て現実だったというオチにしても気になる点が多かった。
とはいえ、なかなか面白い構成だったなと思う。
シュワルツェネッガーは筋肉モリモリの肉体派なのでSFというよりか、がっつりアクションだった。
また、特殊メイクが凄くて、目が飛び出たり、顔が割れたり、お腹に人?がいたりと気持ち悪いと同時に驚く場面が多かった。
今の時代の映画とは違った味のある映画だと思う。(女性 20代)
シュワルツェネッガー演じるダグラスはリコール社の「記憶旅行」に申し込むが、そこで今までの自分の人生が全て作り物だったということが判明する話。
勝手に記憶を消されるなど考えただけで恐ろしくて抵抗を感じるが、当時としては画期的なSF映画だと思う。
観たことのないようなグロテスクさやカオスな世界観に驚愕し、ヴィジュアル的にも楽しめた。
総合的な完成度の高さが素晴らしい作品。コリン・ファレル主演のリメイク版と比較して観るのも良い。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー