第78回アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。R-15指定作品。「ツォツィ」と呼ばれる少年が格差社会(アパルトヘイト)の差別の世界で人間性を取り戻していく感動のヒューマンドラマ。
映画『ツォツィ』 作品情報
- 製作年:2005年
- 上映時間:95分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ギャビン・フッド
- キャスト:モツスィ・マッハーノ、ゼンゾ・ンゴーベ、ZOLA、ジェリー・モフケン、プレスリー・チュエニヤハエ etc…
映画『ツォツィ』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ツォツィ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ツォツィ』のあらすじを紹介します。
少年ツォツィは、ヨハネスブルクのスラム街に住んでいた。ツォツィは、仲間達と一緒に窃盗などを繰り返す不良少年であった。そして、住処は土管。親のいない「愛」を知らない少年たち。生きることだけが全ての生活であった。時には、ナイフで人を殺してしまうことさえあった。そんなある日、いつものようにカージャックをしていたツォツィ。車を運転していた女性を銃で撃ち、車を運転して逃げ去った。しかし、後部座席には赤ん坊が乗っていたのだった。驚いたツォツィは戸惑うが、赤ん坊を自分の部屋に連れて帰った。お腹が空いた赤ん坊は泣きじゃくり、適当に缶詰を与えるが、赤ん坊は蟻に集られてしまう。困ったツォツィは、乳を与えるために家に忍び込み、母親の女性を銃で脅して、赤ん坊に乳を与えた。その姿を呆然と見続けるツォツィ。母親と赤ん坊の姿から何かを感じ始めるのであった。徐々に、「愛」というものを取り戻そうとするツォツィ。ツォツィはいよいよ、赤ん坊を親の元に返そうと決意する。親の家のインターホンを鳴らす。すぐさま集まってくる警察。そして、父親との対面。ツォツィは震えながら、涙を流しながら、立ちつくす・・・。ツォツィの運命は・・・。
映画『ツォツィ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ツォツィ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
プレスリー・チュエニヤハエの演技が光る!
「ツォツィ」の主人公を演じるプレスリー・チュエニヤハエの存在感が、ものすごく大きく感じます!そして、赤ん坊が乳を与えられているシーンでの彼の顔は、怒りや憎しみから優しさや愛情を感じさせる素晴らしい演技でした!最後の震えながら赤ん坊を返そうとするシーンなどは、こちらが手に汗にぎって応援したくなるし、相手側が射殺などをしようとするのを止めてあげたくなります。「本当は悪い奴じゃない」という人間の持っている本来の良さを見せてくれる作品でした。
母親の愛は偉大なり
テリー・ペート演じるミリアムがまた素晴らしい演技でした!ツォツィが回心するきっかけがミリアムの母性なんです!誰かの説教とか、命救われたとか、そんなことではなくて、ただただミリアムの母親としての姿がツォツィの心に大きな影響を与えたんですね。ミリアムはただ母乳を与え、おしめを交換した。これだけです。ですが、その母親としてのシーンの深みある演技が素晴らしく、神々しいのです!女性は、母は、ここまで神々しくなれるのか!と驚きました。母は偉大なり。その通りでした!
「ツォツィ」の意味はチンピラ
「ツォツィ」とは、南部ソト語で、「チンピラ」という意味なのだそうです。
貧困や差別、主人公は愛を知らない少年となかなかハードな作品ですが、今作で何よりも強く感じたのは母の偉大さでしょう。
赤ん坊を自分の部屋に連れて帰るも何もしてあげられないツォツィ。乱暴なやり方ではありますが、おっぱいをあげるために女性に助けてもらいます。その時点で赤ん坊に対して何かを感じていたのでしょう。おっぱいをあげる姿を見ている時のツォツィの表情に胸がぎゅっと締め付けられました。
最後の展開にはハラハラしますが、色々なことを感じさせられる作品でした。(女性 30代)
映画『ツォツィ』 まとめ
社会派の映画ですね。「ツォツィ」は「チンピラ」という意味でもあるので、アパルトヘイトの廃止後も根強くその風習は残っているのを感じました。スラム街の姿も描かれ、とてもリアルでした。救いなのは、「ツォツィ」が人間性を取り戻していくことです。それも、母の愛によって。原点ですね。これは娯楽作品というよりは、社会風刺的で哲学的な作品です。しかも、美的なセンスを感じ、芸術的な作品でもあります。映像がきれいですね。観終わった後は、確実に「ツォツィ」がしばらく頭から離れません。地味なようで印象にすごく残る不思議な作品です!プレスリー・チュエニヤハエはとても素晴らしい役者さんなので、もっと他の作品でも観てみたいですね!
みんなの感想・レビュー