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映画『うなぎ』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『うなぎ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『うなぎ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『うなぎ』の結末までのストーリー
  • 『うなぎ』を見た感想・レビュー
  • 『うなぎ』を見た人におすすめの映画5選

映画『うなぎ』の作品情報

うなぎ

製作年:1997年
上映時間:117分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:今村昌平
キャスト:役所広司、清水美砂、柄本明、田口トモロヲ etc

映画『うなぎ』の登場人物(キャスト)

山下拓郎(役所広司)
真面目な中年サラリーマンだったが、妻の浮気を目撃し刺し殺してしまう。模範囚として過ごした後、理容師として再出発。人間を信用しておらず、うなぎだけが心の友。
服部桂子(清水美砂)
金融会社の副社長。自殺未遂したのを山下に助けられ、山下に惹かれていく。会社の社長とは愛人関係にある。
高田重吉(佐藤充)
山下の床屋の隣に住む船大工。山下のことを気に入っており、よく一緒にうなぎ漁に行く。
高崎保(柄本明)
山下の刑務所時代の友人。出所後、山下の幸せそうな姿に嫉妬をして山下への執拗な嫌がらせをする。

映画『うなぎ』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『うなぎ』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

サラリーマンである山下は、妻の恵美子が浮気をしているという手紙を何度も受け取る。そこには、山下が釣りに行った日に恵美子が他の男を連れ込んでいると書いてある。ある日山下は妻を試すため、早めに釣りから引き上げ自宅へと帰る。

自宅へと帰った山下の家の前には、手紙に書いてあった通りの車が駐車している。山下が外から中の様子を伺うと、恵美子が見知らぬ男とセックスをしていた。それを見て怒り狂った山下は、ナイフで男と恵美子を刺してしまう。

妻を殺した後、山下は驚くほど冷静に、そして鼻歌を歌いながら警察署へと向かう。警察署へ着くなり山下はあっけらかんと自首するのだった。

常に礼儀正しい山下。8年間の刑務所暮らしを模範囚として過ごし、2年間の仮出所期間を得る。

刑務所を出る時、看守が刑務所内で飼っていたといううなぎを山下のもとへと持ってくる。山下は、話を聞いてくれるからという理由でうなぎを大事にしていたのだ。

服役中に理容師の資格を得た山下は、理髪店を始めようとしていた。そして、かつての恩師に場所などを手配してもらうのだった。

映画『うなぎ』のあらすじ【承】

事あるごとにうなぎに話しかける山下。山下にとってうなぎとは、人間と違って嘘をつかない心の友だったのだ。

着々と床屋のオープンに向けて準備をする山下。地元の人達に色々と話しかけられるのだが、無愛想な態度の山下。まるでうなぎしか信用していないみたいだった。

ある日、山下はうなぎの餌を採りに川へと向かう。すると、そこに一人の女が倒れていた。一瞬妻の残像がよぎる山下。女は服毒自殺を図った末に倒れていたのだったが、通報した山下と地元住民のおかげで助かった。

山下が助けた服部桂子という女が御礼の為に山下のもとを訪れる。桂子は山下のお手伝いをしたいと願い出る。

徐々に軌道に乗り出した山下の床屋。地元の住民にとってはなくてはならないお店になっていた。そして、桂子もお店にいなくてはならない存在になっていた。隣の家の船大工である高田はそれを見て、まるで夫婦のようだと言う。しかし、山下はそれを良いようにはとらないのだった。

地元の住民の一人である斎藤は、UFOを呼ぶために山下と一緒に河原にいる。山下は斎藤に、人間の友達を作るのが怖いのだろうと言う。すると斎藤は、うなぎを好きなのも一緒でしょうと返答するのだった。

映画『うなぎ』のあらすじ【転】

ある日、清掃業者が山下の店を訪れる。そこには共に服役していた仲間の高崎がいた。地元の住民に素性を隠していた山下は、自分の過去が知られてしまうのではないかと心配し始める。

山下のお店に、桂子の友人だという堂島という男がやってくる。桂子が堂島に迫られている様子を心配そうに見る山下。その晩、高崎が山下のお店を訪れ、桂子に山下の素性を明かすのだった。

ある日、高崎から手紙を受け取った山下。そこには、人を殺していながら呑気に女と暮らしている山下を非難するような内容が書かれていた。恩師のもとを訪れた山下は、高崎がすでに故郷へと帰ったという知らせを受ける。

桂子は山下に、高崎に全てを聞いたと言う。なぜ妻を殺したのかを聞く桂子に山下は何も答えず、もう帰ってくれと怒鳴るのだった。

何度も山下から拒否される桂子は、それでも山下のもとを離れようとしない。そんなある日、桂子は愛人である堂島との間に子供を妊娠してしまった事を知る。

いつものようにうなぎ漁へと出た山下と高田。そこで高田は山下に、高崎が嫌がらせのために書いた貼り紙を見て山下の過去を知ったと言う。そこで山下は全てを打ち明けるのだった。

映画『うなぎ』の結末・ラスト(ネタバレ)

しばらく姿を消してしまった桂子。山下は、自分が全てを打ち明けた為にいなくなってしまったのだと思っていた。

桂子は堂島金融という会社を訪れる。そこは愛人の堂島の会社であり、桂子はそこの副社長だったのだ。桂子は親名義で貸していた3000万円を会社から引き出すのだった。

高崎が山下の床屋を訪れる。高崎は山下の事を非難し続ける。そこで取っ組み合いの喧嘩になる二人。そして山下は、高崎から桂子が妊娠している事を知らされるのだった。

桂子のことを探しに山下の床屋を訪れた堂島と弁護士。そこへ、桂子と地元住民達がやってくる。堂島は桂子に、金を返せと言う。しかし桂子は、それは母お金だから返さないと言い張る。みんなが暴力に訴えかけ、その場が荒れてしまう。そこで桂子が妊娠していることを知る堂島。山下は、子供は自分の子だ、と叫ぶのだった。

桂子のお金は母のお金ということで桂子のもとへと返却された。暴力を振るった地元住民達は軽い注意で済んだ。しかし、仮釈放中の身であった山下は再び刑務所へと収監されることになる。

夜の川で山下はうなぎに、お前と同じように見知らぬ子供をこれから育てるのだ、と語る。そして、うなぎを川へとかえすのだった。

収監の日、桂子のもとを訪れた山下。丈夫な子供を産んでくれ、と言って車に乗り込む山下。子供と一緒に待っていると返事をする桂子。そして、山下は刑務所へと向かうのだった。

映画『うなぎ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、公開当時にはかなり話題となった巨匠・今村昌平監督の作品。
仮出所となった中年男を役所広司が、自殺するところを助けられる女を清水美沙が演じた。両役とも影のある人物で、それでも生きていかなければならない情念の炎のようなものを感じるのだ。そうした演技が、全体的に淡々としながらも迫力のある映画に仕上げている。
決して気軽には観られる映画ではないが、深く考えさせられる内容である。(男性 40代)


面白いのに暗くて、笑えるのに少し影があって、なんだか不思議な作品でした。
浮気した妻を刺殺してしまった男。模範囚として刑期を終え理髪店を開くが、すっかり心を閉ざしてしまい信じられるのは「うなぎ」だけというストーリー。主人公を演じるのは役所広司です。彼の演技がものすごかった。浮気をした妻に怒り、メッタ刺しにするシーンは「愛」と「狂気」を感じました。
ゆったりと進んでいくストーリーですが、周りの人との優しい交流に心が温まります。(女性 30代)


人間の「赦し」と「再生」という重いテーマを、淡々と、でも確実に描いた名作。役所広司の抑えた演技が絶妙で、彼の静かな孤独が画面からにじみ出ていました。恵子との距離感がリアルで、押し付けがましくないところがまた良かった。これぞ大人の映画。(40代 男性)


登場人物たちが皆、どこか不器用で愛おしかったです。特に恵子のまっすぐな優しさに、山下だけでなく観ている私たちも救われる思いがしました。過去を乗り越えられない苦しみと、それでも一歩踏み出そうとする勇気が胸に響きました。名作だと思います。(50代 女性)


最初は淡々としすぎて退屈に感じたけど、物語が進むにつれて登場人物に感情移入していきました。うなぎと会話する山下の孤独が痛々しくて、それだけに恵子との関係が心温まるものに見えました。最後のシーンはシンプルだけど深い余韻が残りました。(20代 女性)


殺人犯でありながら、山下の孤独には共感せざるを得なかったです。静かでセリフも少ないのに、彼の心の葛藤がひしひしと伝わってくる。恵子との交流が希望の光のようで、最後には少し救われた気持ちになりました。こんなにも優しい映画だとは思わなかった。(30代 男性)


とても静かな映画だけど、その静けさの中にある感情の波がすごくリアルでした。恵子もまた過去に傷を持っていて、二人がゆっくりと心を寄せ合っていく様子にじんわりと涙。無理にドラマチックにせず、ありのままを描く作り方が本当に素晴らしかった。(40代 女性)


犯罪を犯した者にも「生きる権利」があるのか。そんな重い問いかけを感じた作品でした。山下の孤独は深く、誰も簡単に癒せないものだけど、うなぎと恵子のおかげで少しずつ変わっていく。ラスト、川にうなぎを放す彼の姿は、涙なしには見られませんでした。(50代 男性)


映画としては静かだけど、その中に込められたメッセージはものすごく深かった。うなぎ=孤独の象徴としての描かれ方が秀逸で、山下が自分の孤独と向き合い、解放していく流れに胸を打たれました。役所広司の演技力にただただ圧倒されました。(10代 女性)


人生に絶望した男が、もう一度人間を信じ、愛を知るまでの物語。本当に静かで淡々と進むけれど、その分だけ心にじわじわと沁みてくるものがありました。派手な演出が一切ないからこそ、役者たちの演技がストレートに心に響きます。日本映画の底力を感じた。(60代 男性)

映画『うなぎ』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『うなぎ』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

沈まぬ太陽

この映画を一言で表すと?

「孤独な闘いを通して、人間の尊厳を問いかける重厚なドラマ」

どんな話?

大手航空会社で労働組合活動をしたことをきっかけに左遷された男が、不正や理不尽と戦いながらも信念を貫く姿を描く社会派ドラマ。組織の中で孤独に生きる男の葛藤と再生の物語が、心に深く迫ります。

ここがおすすめ!

渡辺謙の渾身の演技と、骨太なストーリーが圧巻。『うなぎ』のように、孤独な人間が自分を取り戻していく過程に惹かれた人にはぴったりです。静かでありながら強烈なメッセージが胸に刺さる一本。

たそがれ清兵衛

この映画を一言で表すと?

「静かに生きる男が、愛と誇りを取り戻す感動の時代劇」

どんな話?

家族を支えながら貧しくも誠実に生きる下級武士・清兵衛が、ひとつの決断をきっかけに自らの誇りを取り戻していく物語。派手な剣劇ではなく、日常の尊さと静かな強さを丁寧に描きます。

ここがおすすめ!

藤沢周平原作の世界観を見事に映像化し、真田広之の素朴な演技が胸を打ちます。『うなぎ』の静かに生きる者たちの優しさと強さに共感した方なら、きっと心に残る作品です。

誰も知らない

この映画を一言で表すと?

「静かな絶望の中で、それでも生きようとする子どもたちの物語」

どんな話?

母親に置き去りにされた子どもたちが、誰にも知られることなく生き延びようとする実話ベースのドラマ。悲惨さを押し付けず、あくまで静かに、淡々と彼らの日常を見つめます。

ここがおすすめ!

是枝裕和監督の優しい眼差しと、柳楽優弥の圧倒的な存在感が光る一作。『うなぎ』が持っていた、静かな中に燃える生への渇望や再生の力に心動かされた人には強くおすすめします。

ポネット

この映画を一言で表すと?

「小さな少女が喪失を受け入れるまでを見つめた、奇跡の映画」

どんな話?

母を亡くした4歳の少女ポネットが、喪失を理解し、受け入れていく過程を描くフランス映画。子どもならではの無垢な視点から、死というテーマに真正面から向き合います。

ここがおすすめ!

本物の子どもが持つ繊細な感情を捉えた演出が素晴らしく、セリフ以上に心情が伝わってきます。『うなぎ』のように、言葉少なに感情を伝える映画を求める人にはたまらない体験になるはずです。

東京物語

この映画を一言で表すと?

「親子のすれ違いと愛情を、静かに、深く描いた日本映画の金字塔」

どんな話?

年老いた夫婦が子供たちを訪ねて上京するも、忙しい現代人に冷たく扱われ、やがて心の距離を痛感していく様子を描く、シンプルながらも深遠なドラマ。家族とは何かを静かに問いかけます。

ここがおすすめ!

小津安二郎監督の代表作であり、日本映画史に残る名作。『うなぎ』の持つ「静かな時間の中で人生を見つめる」感覚に感動した人なら、間違いなく心に響く一本です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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